神に愛されていた の商品レビュー
小説に限らず、何かを創造して世に送り出す仕事をしている人は、こんな風に身を削りながら作品を創り上げているんだろうな。 『最終楽章』を読んだ時の衝撃が凄かった。 ぜひまた読み返したい。
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若くしてデビューした天才小説家の二人 ♠壊れた母と、汚部屋の隅で小説だけが救いだった 東山冴理は痛みの物語を。 ♣︎世界が輝き、命を与えてくれた出会いから 白川天音は希望の物語を紡いでいた。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 作品を愛し才能を認めながらも 天音に対する...
若くしてデビューした天才小説家の二人 ♠壊れた母と、汚部屋の隅で小説だけが救いだった 東山冴理は痛みの物語を。 ♣︎世界が輝き、命を与えてくれた出会いから 白川天音は希望の物語を紡いでいた。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 作品を愛し才能を認めながらも 天音に対する嫉妬と絶望から冴理は書けなくなる。 それから30年後。ある女性が執筆依頼に訪れたことで冴理は過去を話し始める。 「あなたは、誰かを殺したいと思うほどの絶望を味わったことってあるかしら」 冴理目線で進んでいきますが、 最後天音の手記であの時はこうだったのか!とすれ違いだった思いと秘密に繋がります。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ ✑ 『狂気』よりも不器用な愛がもどかしい! 気持ちを素直に伝えていたら、、 切ないけれど強い憧れが『神』の存在となり生きる希望になった天音は幸せだったのではないでしょうか。 天才モーツァルトに対するサリエリの嫉妬がモチーフの小説や『別れの歌』という曲も絡めた世界観は光と影が際立つ ⟡.·*. 「あとがき」がまた素敵。 「作品を生み出すというのは、人が生まれるのに似ている」 「この小説がとても好きだ」と、真っ直ぐな情熱を持った木爾チレンさん。作家さん目線の繊細な感情、0から1を生み出す苦しさはきっとリアルなのでしょう ✑ 登場人物と一緒に生きているような感動をこれからも探したいです。
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話の展開が常に予想できてしまうものの、作家(東山)と若き作家(白川)が見事にすれ違っていく歯痒さを覚え、一気に読了。 自分より若く才能もあり、本も売れているとなれば、こいつさえ居なくなれば…と考えるのは当然だと思う。しかし、東山は、白川に全てを奪われて憎しみを覚えながらも彼女の本を買い続け、その才能にひれ伏していた。単純に凄いと思う。私だったら嫌いな奴とはなるべく関わるまいとして避けて生きていくだろう。 白川の思考回路に、どうしてそうなるのかとツッコミたくなるところもあったが、実際、かねてからの憧れの人にやっと会えたときに平常心を保てるかと問われれば自信はない。 東山に小説を書いて欲しい、ただそれだけのために生きていたのに、逆に自分が原因で東山が書けなくなったと知った白川が哀れでしょうがない。 東山と小説を遠ざける者は何人たりとも葬り去るというスタンスを最期まで貫いた点に感服する。 白川のように生涯をかけて追いかけたい作家がいるというのは、羨ましい限りだ。
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面白かった。 最近思うけど、面白くて、一気に読んでしまうが、 読んだ〜っ‼︎という感じになる本がほんとに少ないと思う。 私が年齢を重ねたせいかもしれないが。 世阿弥最後の華のように、読み終わったあとの読みごたえを感じる作品ではない。 キャッチーで、エンタメ。映画化とかされやすそう。この方の他の本を読んだことがないので、こういう時書き方なのか、わざとこうしているのかわからない。 最近、2つの視点から物語を書く手法が流行っているけど、創造力の低下が招いたことなのか、小説として本当に必要なのか?私にはわからない。 ダークサイドならダークサイドで良いと思う。
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装丁とタイトルが気になり、何となく手に取って面白そうだから読み始めました。 詩的な流れるような文体がそうさせるのか、手を止めることなく一気に読み終えました。 帯に「女にだけわかる狂気」とあるように、二人の女性作家の嫉妬や狂気が描かれますが、女性向けの小説ということでもなく、物を創り出す仕事をしている人であれば、創作における心の闇の部分に対して、性別に関わらず共感できるでしょう。 後半は驚くべき罪の告白もあり、闇はさらに広がりますが、最後には二人の作家の心のすれ違いがや誤解が融けていき、闇の中に一筋の光が差し込むような、かすかな美しさを残して終わります。 神に愛されたかったあの人に向けて、冴理どんな物語を描いていくのでしょうか。 いい作品でした。
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初めて読む作家さん。題名に惹かれたので手に取った。まず、装画がとても素敵!パラパラめくると字が少ない! 題名から重厚な文章を期待したけれど、文は割とポップだった。ライトノベルのよう。なので、若い作家さんなのかな?とも思ったけど、登場人物の名前やキャラ設定が、割と平成初め頃な感じ...
初めて読む作家さん。題名に惹かれたので手に取った。まず、装画がとても素敵!パラパラめくると字が少ない! 題名から重厚な文章を期待したけれど、文は割とポップだった。ライトノベルのよう。なので、若い作家さんなのかな?とも思ったけど、登場人物の名前やキャラ設定が、割と平成初め頃な感じの雰囲気だったので、ちょっとパンチの効いた中堅の作家さんという印象を受けた。 筋は面白く、どんどん先を読みたくなった。作家さんが本を書く大変さが少し垣間見れたので、小説を書いたこともない一読者が、あーだこーだ感想言うのはなんか申し訳ない気がした。ミステリーとは言えない気がした。 ドラマ化すると良さそう。天音役は、恒松祐里さんが直ぐに浮かんだ。冴理役は今ひとつぴったりくる方が思いつかなかったけど、鶴田真由さんとか?若い時代は別の俳優さんを起用してもらって。 嬰役を柄本佑さんのような色気あり、雰囲気あり、そして演技上手な俳優さんに演じてもらったらしまっていいなぁ、なんて一人で楽しく考えてました。 読者の感想なんて、お気楽で申し訳ないなぁと思いつつ…
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すんごかった。最後の一文が目に入った瞬間にトリハダが立って「うわぁ、すごい。」と言葉に出た。 漫画にも映画にもできない、この面白さは読書ならではだと思う。 全てが計算し尽くされていたし、読み進めながら何度も振り返りに戻った。戻るたびに、自分が何気なく読み進めた文章が際立って、遠...
すんごかった。最後の一文が目に入った瞬間にトリハダが立って「うわぁ、すごい。」と言葉に出た。 漫画にも映画にもできない、この面白さは読書ならではだと思う。 全てが計算し尽くされていたし、読み進めながら何度も振り返りに戻った。戻るたびに、自分が何気なく読み進めた文章が際立って、遠い稲妻のように光った。 終盤に差し掛かって【誰が誰に愛されたのだろう】【誰の神だろう】【タイトルは天使に愛されていたではないのか】と疑問が湧いたが、そんな自分の考えが浅すぎて震えた。 間違いなく、神に愛された一冊だった。
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面白くて一気に読んでしまった。 天音の冴理に対する想いは下手すると異常な愛になるんだけど、それを感じさせずむしろ純粋さがあって良かった。 とはいえ、冴理からみた天音はとてもひどい女性なのだけど。 好きな京都の街もちょこっと出たし、文芸部のメンツも可愛らしくてほっこりした。 同年代の美人作家の登場。 しかも高校、大学の後輩で冴え渡る才能ときたら冴理じゃなくても絶望してしまう。 ラストは読了感よかった。 茉莉も報われて良かった。
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帯に「女にだけわかる狂気」とあり、どろどろしたミステリーを期待してしまったが、すれ違う恋物語だった。 天音の崇拝とも言える執着は異常なものの、読みやすい文体のせいか狂気というよりも健全な方へ導いてあげたファンとして、しかし当の本人にはその愛は伝わらなくて、という切なさ。 天音のやっていることだけを考えると異常なのだが、それを"狂気"と呼ぶには違和感がある。別に狂ってる訳じゃなくて、神として執着してしまっているだけなのだから。 もっと闇が欲しかった。
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