葬式同窓会 の商品レビュー
山で出会う2人の様子から始まり、7年ぶりに担任の葬儀の後に集まった同窓生たちの現在。 そして、フィギュアスケートのデュオで金メダルを取ったペア。 これらがすべて繋がっていて、伏線で回収されると陰湿ないじめなどの負の部分が、切り取られていくようでもあった。 心に傷を負った者は、傷...
山で出会う2人の様子から始まり、7年ぶりに担任の葬儀の後に集まった同窓生たちの現在。 そして、フィギュアスケートのデュオで金メダルを取ったペア。 これらがすべて繋がっていて、伏線で回収されると陰湿ないじめなどの負の部分が、切り取られていくようでもあった。 心に傷を負った者は、傷つけられた相手を忘れることはできない。 いちばん楽しい時期である青春時代の1ページに、黒く塗り潰したい隠の部分があると、歳を重ねても思いだしてしまうかもしれない。 悔いのない青春時代を送ってくださいと言われることばも素直に受け取れない。 月夜に校舎を見上げる力士は… 噴水の縁に書かれた『オレ死ね』の文字。 何年か後であっても、隣に『生きろ!』があれば届かなかったとしても伝えたい思いが存在したと言えるからいいじゃないか。
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山の2人とスケートペア。この描写があるからこそ同級生の話を読みながら常に頭をフル回転させられる。どこで繋がる?ラストでようやく伏線が回収されて山の朝焼けのようにスッキリ。
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「オレ死ね」と書かれた横に同窓生3人が「生きろ」と書いた。船守くんは、奇跡的にそれを見ることができたんだな、きっと。読了した人しかわからない感想ですみません。
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子どもの頃の私は、大人になるということは「妬みや意地悪な気持ちがなくなること」だと思っていました。 乾ルカさんの作品は、自分や他人の様々な感情に振り回され、もどかしく感じていた、子どもの頃の教室という特別な空間に一気に引き戻されます。さらに、大人になった今でも、あの教室から抜け出...
子どもの頃の私は、大人になるということは「妬みや意地悪な気持ちがなくなること」だと思っていました。 乾ルカさんの作品は、自分や他人の様々な感情に振り回され、もどかしく感じていた、子どもの頃の教室という特別な空間に一気に引き戻されます。さらに、大人になった今でも、あの教室から抜け出せない自分がいることにも気付かされます。 作中に「成熟した人間とは、自分の考えを持ち、それを相手にも分かるように伝えられる人」とありました。 そうありたいと思います。 アセクシャルやジェンダーバイアスなど、様々なテーマが盛り込まれています。
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葬式同窓会 乾ルカ ∞----------------------∞ 恩師の葬儀で会った元クラスメイト達。そのまま同窓会をするように飲みに行き、それをきっかけに当時のことを思い出す。 ミラノオリンピック?って思ったら令和9年の未来設定だった。事件?が起きた高校3年生が実に今現在。 彩海は検査で病気と言える病状も無いのに、病院側は怪しいと言って彩海の心を落ち込ませて病気にさせてるとしか思えなくて辛かった。この話だけちょっと要らなかった気がする。「生きろ」のためかな。 華と望月のライブ配信は酷すぎた。関係者が結構聴いててそれぞれに色んなこと感じてたけど、この2人は高校生時代から自分のことしか考えず全然成長していなかった。 大人って何?っていうことが、この2人と他の同級生を比べて少し分かってくる。 好きなのは山中での2人のシーン。この後もこの2人の付き合いは続いていって欲しい。 2023/12/09 読了(図書館)
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いろいろと消化不良のまま読了となりました。 水野先生の問題の授業は何故だったのか、離婚のせいだったのではないかという推測は出来るけれど、当人がいない以上、もう明かされることはないのです。 “いじめ”についてもした方とされた方と認識の違いがあるのは永遠のテーマなのかもしれませんね。
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学生時代の良い思い出、悪い思い出。 大人になってから、あの時なんであんなことと後悔することもあったりします。 だからこそ、今の学生さんにはやりたい事をやったり、言いたいことを言ったり、そして失敗も経験して成長して欲しいと思います。 誰かの失敗を目の当たりしたときには、支えあって見...
学生時代の良い思い出、悪い思い出。 大人になってから、あの時なんであんなことと後悔することもあったりします。 だからこそ、今の学生さんにはやりたい事をやったり、言いたいことを言ったり、そして失敗も経験して成長して欲しいと思います。 誰かの失敗を目の当たりしたときには、支えあって見て見ぬふりをしない人であって欲しいとも感じます。 それが後にかけがえのない財産になるはずだと信じて…。
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高校時代の担任の葬儀で再会した元3年6組のクラスメートたち。 懐かしさ、うれしさ、そして未だ癒えない心の傷。 卒業してから7年。大人になったつもりでいた。けれど……。 現在の自分を見つめ直し、これからの自分を作っていく。そんな若者たちの姿を描く群像劇。 ...
高校時代の担任の葬儀で再会した元3年6組のクラスメートたち。 懐かしさ、うれしさ、そして未だ癒えない心の傷。 卒業してから7年。大人になったつもりでいた。けれど……。 現在の自分を見つめ直し、これからの自分を作っていく。そんな若者たちの姿を描く群像劇。 ◇ 8月11日午後0時。 カナダのトロントに住むある女性のスマホに着信があった。発信者は不明だが表示された番号は、その女性には心当たりがある。 存在すら忘れていた相手。もう自分に電話をしてくることなどないと思っていた相手の顔が思い浮かんだ。( 第1章「八月十一日 正午 カナダ トロント」) 全16章。 * * * * * いくつもの人生が絡み合う、読んでいて胸が痛くなるような物語でした。また、群像劇ではあるのですが、物語の中心になるのは2人です。 1人は、柏崎優菜。 優しく自己主張の強くない女性で、本好きでもあった優菜は現在、母校の白麗高校で司書教諭をしています。 優菜は高校1年の時、ある女生徒のグループからイジメを受けていました。仲間外れ。陰口。イヤミに皮肉。思ったことを言い返せない優菜にとって、心に深い傷を負った苦しい1年間でした。 2年でクラスが分かれたものの3年で再びイジメグループの急先鋒だった北別府華と一緒のクラスになります。ただし1人になった華の方も仕掛けてくることはなかったのですが、悪かったと思っている様子もなく図々しく接してくる華を見ると、優菜の心の傷は疼くのでした。 高校を卒業後、華の顔を見ることなく7年が経過し、ようやく心の傷も癒えたと思った矢先のこと。急死した水野先生の葬儀で華と再会した優菜の心には、また苦しさが蘇ります。傷は癒えてなかったのです。 もう1人は、船守大和。 高校3年のある日、機嫌の悪かった水野から授業でパワハラめいた扱いを執拗に受け、不登校になった男子生徒です。大和は以後も復学することもなく7年経った今、ある決心をして1人で風冷尻山に登ってきました。 実は大和は家庭でも問題を抱えており、登場人物の中でもっとも苦しい人生を送っていたのです。 それについては物語の重要部分なので直接お読みください。 この2人を軸に、イジメっ゙子の華、アロマンティックと思われる一木来良 ( 男子です ) 、恐らく同性愛者の碓氷彩海、高校時代は明るく人気者で目立ちたがりだった望月凛 ( 男子です ) が、それぞれの人生を見つめ直していきます。 自分の黒歴史のケリをつけるのはかなり難しい。ましてや主原因が自分にない黒歴史ならなおのことです。 終章を読んだとき、ようやくタイトルの本当の意味がわかります。 乾ルカさんの『白麗高校』シリーズの中ではもっとも心に重くのしかかってくる、それでいて雲の切れ間から覗く陽光を見たような気持ちにさせてくれる作品でした。
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「色々あったかもしれないけど今となってはいい思い出だよね」 いじめ加害者が放ったこの一言には怒りを通り越し呆れ果てた。 高校時代の担任・水野が亡くなり葬儀に参列した元クラスメート達。 その後、斎場近くの居酒屋へ流れ学生時代の思い出を語り始める。 温厚だった水野が起こした衝撃的...
「色々あったかもしれないけど今となってはいい思い出だよね」 いじめ加害者が放ったこの一言には怒りを通り越し呆れ果てた。 高校時代の担任・水野が亡くなり葬儀に参列した元クラスメート達。 その後、斎場近くの居酒屋へ流れ学生時代の思い出を語り始める。 温厚だった水野が起こした衝撃的な行動、それが原因で不登校になった男子生徒。 それだけでも不穏だが、過去のいじめ、承認欲求と物語は刺々しさを増していく。 自己顕示欲の塊のような望月と華の動画配信は最悪。 他人を貶める事で得られる成功など意味がない。 道徳的想像力の大切さを痛感する。
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題名からして、年寄りの話かなって思ったけど、そんな事は全然なかった。 そうだよね、表紙のイラストからして若いもんな。 一木さんと船守さん、ガンバレ!
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