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宗教の起源 の商品レビュー

4.4

18件のお客様レビュー

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2024/11/09

宗教の起源 知的好奇心を満足してくれる一冊。社会科学や脳科学を中心に、多くの視点から宗教を解説してくれるのは非常に興味深い。かつての俗説や自身の誤った知識を昨今の研究成果等をもとに指摘してくれるのも有り難い。

Posted byブクログ

2024/11/04

人間にとって安定的な集団サイズの上限はおよそ150人と言う「ダンバー数」を導き出し、人類学のノーベル賞と称されるトマス・ハクスリー記念賞を受賞したロビン・ダンバー氏の著書。ダイナミックに人類史、宗教史を論じていて、読みながら脳内のあちこちが刺激される感覚がとてもよかった。 人類...

人間にとって安定的な集団サイズの上限はおよそ150人と言う「ダンバー数」を導き出し、人類学のノーベル賞と称されるトマス・ハクスリー記念賞を受賞したロビン・ダンバー氏の著書。ダイナミックに人類史、宗教史を論じていて、読みながら脳内のあちこちが刺激される感覚がとてもよかった。 人類の進化に伴い、集団が形成され、それこそ150と言う規模が宗教的なものが生まれる1つのステップになった。気候など地理的な背景も容易にあるという主張はジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」にも通ずる点がある。 印象深かったのはメンタライジングの話。私たちが直接経験する世界から一歩引いて、別のパラレルワールド(相手の心)が存在すると想像する能力を指すらしく、それが原始宗教のスタートになった。そもそも人類の脳が大きくなったことでメンタライジングが可能になった。 自分には経験しえないものを信じてみる、それを集団で行うことで宗教が生まれ、やがて専門家集団が生まれ分派や他の宗教との対立も起きる。今の社会にも多くの教訓がある。 最後の長谷川真理子さんの解説が良かった。 ヒトには、宗教を生じさせる脳内の基盤がある。しかし、それは、宗教を生み出すことが主眼で進化してきたのではない。物事の因果関係を推論すること、物事の原因として他者の心を想定すること、そのような解釈を他者と共有することなどが、人類の進化史上重要だったから進化した脳の基盤だ。それが集まると、宗教と言うものをおのずと創発してしまうのだろう。そして、一度そういうものは出現すると、今度は、それが新たな意味を持ち始める。 トメ 解説を読んで、もう一度最初から読みたくなった。

Posted byブクログ

2024/08/10

メモ→https://x.com/nobushiromasaki/status/1822254920138961307

Posted byブクログ

2024/05/16

無神論者、いや何でも受け付ける人が多い日本。 私も例外ではないが、宗教は身近で興味はある。しかし、いつ・なぜ発生したは知らない。 古代交流のなかった地球上の各地で、あらゆる自然現象や自身の周りで起こる出来事に対し超人的な何かがあると畏怖する心が芽生え、それが意図せずアミニズムや...

無神論者、いや何でも受け付ける人が多い日本。 私も例外ではないが、宗教は身近で興味はある。しかし、いつ・なぜ発生したは知らない。 古代交流のなかった地球上の各地で、あらゆる自然現象や自身の周りで起こる出来事に対し超人的な何かがあると畏怖する心が芽生え、それが意図せずアミニズムやシャーマニズムにつながり、宗教に至るのは、まるでヒトの遺伝子に組み込まれているようで何とも不思議だ。 著者のロビン・ダンバー氏は、もともとサルの仲間の社会行動を研究する霊長類学者であったが、その後ヒトという生物が持っているヒトに固有の性質、即ちヒトの本性は何であり、なぜこのように進化したのかを研究する、進化心理学者になったとのことだ。 彼は、ヒトが真に親密性を感じて暮らすことができる集団のサイズには上限があり、それはおよそ150人であるという。(=ダンバー数 これが世界的に評価され「人類学のノーベル賞」と称されるトマス・ハクスリー記念賞を受賞) ダンバーは、もともと、脳の新皮質の大きさから、その動物が処理出来る社会情報の限界を計算し、ヒトの場合は150人だという数字を導き出した。人類の進化史の90%以上において人類は狩猟採集生活をしていたが、この暮らし方では、15人くらいまでの小さなバンドで日常的に生活し、バンドが寄り集まって部族を形成してきた。 そしてその最大サイズは、およそ150人だとわかってきたらしい。 人類は、およそ1万年前に農耕・牧畜を始め、定住生活を始めた。そこから都市が形成され、文明が生まれた。つまり150人以上の数の人々が集まって暮らすようになったのだ。これは脳の自然な認識の限界を超えた数である。それを可能にしたものの一つが、宗教的信条を同じくする人々の結束であったのではないか。 「同じ私たち」という感覚を想起させ、一緒にいそしむようにさせる、それを可能にした重要な要素が宗教だったのではないかと言う。 では、なぜ宗教というものが出てきたのか、なぜそれは広まるのか?それはヒトが持っていた脳の働きに起因すると言う。 ヒトという生物は、自己と他者を認識し、自分の心が自分の状態を作り出していることを認識するとともに、他者も他者自身の心を持っており(メンタライジング、マインドリーディング)、それによって行動を決めることを知っている。そして、自分と他者とを脳の中でシミュレーションすることによって、自分に起こったことではなく、他者に起こったことを、まるで自分に起こったことであるかのように、他者に共感することができる。 また、ヒトは、このような想像とシミュレーションを働かせることにより、あまり原因がよくわからないことが起こった場合に、何か、自分たちとは異なる能力を持った存在がいて、それらの存在がそんなことを起こしているのではないか、と想像することができる。そして、それを他者に伝え、他者もそれに同意することができる。 では自分たちとは異なる能力のある何かが存在する、という感覚はどこから来るのだろうか? それには、トランス状態というものが大きな役割を果たしている。踊り続ける、歌い続ける、ということをすると、脳内のエンドルフィンなどの伝達物質の分泌が変化し、「奇妙な精神状態」になるのだ。つまり脳がなせる技なのだ。 まとめると、 ヒトには、宗教を生じさせる脳内の基盤がある。しかし、それは、宗教を生み出すことが主眼で進化してきたのではない。物事の因果関係を推論すること、物事の原因として他者の心を想定すること、そのような解釈を、他者と共有すること、などが人類の進化史上、重要だったからこそ進化した。それが集まると、宗教というものがおのずと創発してしまうのだろう。そして、一度そういうものが出現すると、今度は、それが新たな意味を持ち始める。それは大きな集団をまとめる力にもなり、思いを同じくしない「他者」を攻撃する理由にもなる。これは宗教戦争が示している。 宗教的集団は、大きくなると「組織」になり、政治・経済と結び付く。 未来の人類は、あるいは脳は、どう対応すべく進化するのだろうか。

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2024/03/22

宗教がなぜ生まれてきたのか、脳内でのエンドルフィンの分泌作用、人口増加による集団の防衛、集団の統率など、様々な実用的な目的で発達してきたという仮説。 神秘的な観点ではなく、必要があったから生まれてきたという客観的な根拠にも依拠する説明は目から鱗が落ちる読書体験でした。

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2024/03/21

一定以上の集団を結ぶ役割としての宗教の考察が丁寧になされている。 宗教は何も不思議なものではなく、背景がある。 アメニズム的信仰にも言及されている。 内容は難しい。相当数の宗教分派に関わるワードが多数出てきており、詳しい理解のためには他に勉強の必要がある。 しかし、前段の通り、普...

一定以上の集団を結ぶ役割としての宗教の考察が丁寧になされている。 宗教は何も不思議なものではなく、背景がある。 アメニズム的信仰にも言及されている。 内容は難しい。相当数の宗教分派に関わるワードが多数出てきており、詳しい理解のためには他に勉強の必要がある。 しかし、前段の通り、普遍的な意味での宗教を捉えるには背景知識が多少不足していても可能であり、非常に面白い書籍である。

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2024/03/17

かなり読みやすく、それでいて深い知見を得られる素晴らしい一冊。宗教そのものというより、私は、同じ志によって行動する組織──つまり、会社のような組織に応用できる考察はないかと思って読んでいたが、その期待を裏切らなかった。 ダンバー数が圧倒的に正しいと信仰するかどうかは別にしても、一...

かなり読みやすく、それでいて深い知見を得られる素晴らしい一冊。宗教そのものというより、私は、同じ志によって行動する組織──つまり、会社のような組織に応用できる考察はないかと思って読んでいたが、その期待を裏切らなかった。 ダンバー数が圧倒的に正しいと信仰するかどうかは別にしても、一定の尤もらしさや、組織マネジメント論に比して検証なされている人類学の共同体に関する研究について、人々と関わり、字義通り目に見える実利以外の効果を期待する場合、宗教の起源について学ぶことの意義は小さくない。

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2024/03/08

 ダンバー数という概念をご存知だろうか。そのダンバー数を提唱したロビン・ダンバー氏の著書『宗教の起源―私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』を読んだ。ちなみに、ダンバー数の1つの数値として、「ヒトの自然な共同体の大きさは150人」というものがある。同著で個人的に注目したものは、「...

 ダンバー数という概念をご存知だろうか。そのダンバー数を提唱したロビン・ダンバー氏の著書『宗教の起源―私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』を読んだ。ちなみに、ダンバー数の1つの数値として、「ヒトの自然な共同体の大きさは150人」というものがある。同著で個人的に注目したものは、「宗教の進化的基盤の分析」と「ダンバー数の理論の宗教教団の発展論への応用」の2点。人間の認知の仕組み、集団における心理をもとに、宗教というものがなぜ成立したのかを、さまざまな研究をもとに解き明かしている。

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2024/03/08

宗教について、人間というかむしろ生物の起源にまで遡って、行動心理などを通して科学的に考察した良書。 宗教の集会などが、大麻やマジックマッシュルームなどによるある意味今のドラッグパーティーのような感じだったんじゃ無いかとも感じ、独特の高揚感が人を呼び込み、また極端な集団行動の生まれ...

宗教について、人間というかむしろ生物の起源にまで遡って、行動心理などを通して科学的に考察した良書。 宗教の集会などが、大麻やマジックマッシュルームなどによるある意味今のドラッグパーティーのような感じだったんじゃ無いかとも感じ、独特の高揚感が人を呼び込み、また極端な集団行動の生まれる理由にもなるんだなと。 日本からも天理教などの起源にも言及されてますが、日本の宗教観は世界からすると独特なんだなと改めて。

Posted byブクログ

2024/03/01

宗教について、進化的、身体的な側面も重視して考察する内容で、端的に言ってすごい本。群淘汰を前提にしているかも。

Posted byブクログ