可哀想な蠅 の商品レビュー
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今回も心理描写がすごかった。 短編4篇。 どの話も、身近にあるある、わたしの中にある、ないと言い切れない、という感情のオンパレードだった。 武田綾乃さんて本当にどんな感受性なんだろうといつも思う。 どの話も他人事とは思えない部分があったり、そこはもう少し感情表現しておこうよと思うことがあったり、色々なんだけど、とはいえそうなった時わたしはどうなるのか?? とゆーことに関しては、他人事と思えないなと。 最初の話はリツイートで悪口言われる話だけど、そこにやり返さないその子の全部の事情があって、なるほどと思うし、そのパプロフ康成をブロックしてくれた友達の半端ない人を観る目の鋭さに賢さを感じたし、こんな大学生もいるんだなぁと感心したり。で、その子が刺されて死ぬとか結構衝撃的なんだけど、わたしのせいじゃない!と、咄嗟に思ってしまう心理も真理かもしれない。そーゆーところを余さず書くのがこの人のすごいとこかなと思う。 次のまりこさんは、子供の頃はただただ優しい人だったのに、大人になって対等な立場に立ってみたらまりこさんは単なるヒスBBAだったとゆーオチで、それもあるあるだよな、と思うし、主人公の子が優しすぎた。言いなりすぎた。 次の重ね着は、姉妹の違いと姉妹だからこその遠慮のなさと心配と配慮、からの、大事な人を大事に思う気持ちがなんかよかった。これは怖さもなく、いい話で終わった感じがあるけど、でも東京で親元離れて働く女の子の、結婚、子育て、仕事感、我慢、とかそーゆーのは切実なんだろうなと思った。首都圏で生まれ育ったわたしには想像があまりできない。 けど、生活を守るために働くって普通に考えて普通なことが、人間的にはあり得ないよな、と思うのだ。 最後の話は本当怖くて、怖いから呪縛ってタイトルでホラーだった笑 付き合う相手の全てをDV野郎にしちゃう女の子を囲って暮らしたら、その女の子まで同じようになってしまって、最後逃げられた挙句、じぶんは処女を捨てるためだけにやった名前も知らない男の子供を妊娠したとこで終わるってゆーそこがホラーだった。笑 この前読んだのもホラーって思ったけど、この方なんでも書けるからすごいなと思います。今1番好きな作家さん。
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面白かった。 サラサラ読める。 まりこさん、 怖かった。 大人になると見えてくるもの。 異常さ。 呪縛。 面白い。 そうなってくんだなぁ。。。
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どれもいやーな気分になる話。しかも、どれもありそう。ちょっとしたことが、他人の気分を揺るがすんだろうな。どこまで許容できるか。
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全て女目線の4つの短編集。 表紙のきれいさで借りたけど、響けユーフォニアムの作者だとは知らなかったー。 表紙のきれいさとは裏腹にダーク目な作品。 というか人間の残念な部分に注目した感じかなあ。最後の呪縛に関しては、主人公に対して あーあ... みたいな気持ちになったりしなが...
全て女目線の4つの短編集。 表紙のきれいさで借りたけど、響けユーフォニアムの作者だとは知らなかったー。 表紙のきれいさとは裏腹にダーク目な作品。 というか人間の残念な部分に注目した感じかなあ。最後の呪縛に関しては、主人公に対して あーあ... みたいな気持ちになったりしながらも一気読み。 人間っていろいろいるよね。
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中編が4本の構成でさらりと読めるのだが、女性の視点からの考察にややついて行けない点もあった.化け猫屋敷の「まりこさん」も楽しめたが、最後に読んだからか「呪縛」が考えさせられた.大学を休学して父の介護を担った井之頭麻希とマッチングアプリで男を漁る茅野詩乃.ひょんなことから始まった所...
中編が4本の構成でさらりと読めるのだが、女性の視点からの考察にややついて行けない点もあった.化け猫屋敷の「まりこさん」も楽しめたが、最後に読んだからか「呪縛」が考えさせられた.大学を休学して父の介護を担った井之頭麻希とマッチングアプリで男を漁る茅野詩乃.ひょんなことから始まった所謂「いい子」の麻希と詩乃の共同生活.彼らのやり取りに現実味が感じられないのは、団塊世代のおっさんの目の付け所が拙いからなのか.もやもやが残った感じだ.姉妹で伏見稲荷に登る「重ね着」も、結婚を遠くの目標にしてその前で蠢く二人を、うまく描写していると感じた.
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読んでいて不快に似た感情が湧いてくるような、何ともダークな作品でした。(不快と表現するのは本作に対して最高の褒め言葉) 不穏な空気が漂いつつも続きが気になり、読む手が止められないのが魅力の一つです。本作はもちろんフィクションですが、案外近くに存在していそうなリアルな人間像が不気味...
読んでいて不快に似た感情が湧いてくるような、何ともダークな作品でした。(不快と表現するのは本作に対して最高の褒め言葉) 不穏な空気が漂いつつも続きが気になり、読む手が止められないのが魅力の一つです。本作はもちろんフィクションですが、案外近くに存在していそうなリアルな人間像が不気味さを強めていました。
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4篇を収録した短篇集。連作ではないが、どの作品も日常に潜む何気ない怖さを描いている(「重ね着」は除く)。 冒頭に置かれた表題作は、SNSに動画と共に上げたつぶやきがバズったことから、正体不明のアカウントにつきまとわれる女性が主人公。さっさとブロックすればいいのにと思うが、特殊な思...
4篇を収録した短篇集。連作ではないが、どの作品も日常に潜む何気ない怖さを描いている(「重ね着」は除く)。 冒頭に置かれた表題作は、SNSに動画と共に上げたつぶやきがバズったことから、正体不明のアカウントにつきまとわれる女性が主人公。さっさとブロックすればいいのにと思うが、特殊な思考回路の持ち主のようでそのアカウントの書き込みを読み続ける。世相を反映した作品ではあるが、読んでいてげんなりしてくる。 続く「まりこさん」は、住宅街に必ず1人はいる(?)猫おばさんの話だ。怖すぎる。 「重ね着」は、結婚を控えた妹が突然帰省し、姉を伏見稲荷登山に誘う。収録作品の中では、唯一まともな話だった。 書き下ろしの「呪縛」は本書中最長の作品だ。天使のような悪魔のような女性がもたらす不幸が描かれる。
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蝿=目障りな存在ということか! そこから目を背けようとしても、どこまでも纏わり付いてくるような不快感。 ブラックな短編集なので、読後感はあまり良くないのだけど、こういう人達って確かにいるよねと思いながら読んだ。
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短編集。「可哀想」という感情のなんと厄介なことだろう。そんなことを考えさせられた4編。イヤ~な感じなのにさくさく読めてしまった。 だが、なんだこの疲労感は。あ~しんどかった。 こういう小説を読んでいると、なんだか自分のことを省みてしまうなあ。自分はどうだったろう? 「呪縛」が印象に残っている。だんだん怖くなってくる感じがたまらないが、ページをめくる手が止まってくれない。 風呂場でのシーンはほんとヤバい。 平手打ちして、思ったより音が鳴らなかったので、もっかい打つとことか! 武田さんの本は青春ものを中心に読んできたけど、こういうのもあるんだなと思った。 他の作品にもトライしたい。
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武田さんの小説は何冊か読んでおりますが、珍しくダークな短編作品だと思いました。今の時代、このような似た話はどこかに転がっているよね、っていう内容で身近に感じられました。正義や善意の基準って一体、何なんだろうか。普通って一体、何なんだろうか、と考えさせられた一冊。
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