歌われなかった海賊へ の商品レビュー
ドイツ・ナチス下の元、エーデルワイス海賊団の少年少女がそれぞれの思想を抱えて体制と闘っていく。 子供ながらの心の葛藤や大人に対する不快さを綺麗に表現する青春小説そのもの。 とにかく読みやすい。 海外が舞台なので名前も覚えにくいと思いきや、スラスラ頭に入ってくる。 同志少女ほどの衝...
ドイツ・ナチス下の元、エーデルワイス海賊団の少年少女がそれぞれの思想を抱えて体制と闘っていく。 子供ながらの心の葛藤や大人に対する不快さを綺麗に表現する青春小説そのもの。 とにかく読みやすい。 海外が舞台なので名前も覚えにくいと思いきや、スラスラ頭に入ってくる。 同志少女ほどの衝撃はないけども読みやすさ抜群。戦時下の青年たちのことを思うと、今の時代に生きてる幸せさを噛み締められる。
Posted by
エーデルヴァイス海賊団 ナチス政権末期、差別が常習となった世界で社会に反乱を起こすために結成された少年少女たち 線路の先でみた悪を見つけ、トンネルを塞ぐことを決意する 最後に市民みんなで希望の歌を歌われるのか? そして、歳月とともに風化していく歴史を忘れてはいけない
Posted by
戦時中のドイツの物語です。 処刑されようとしている友人の命を救うため、ヴェルナーは警察に抗議してもらうよう、防空壕に避難している村の大人たちに訴えます。歌の力を「文化」だと信じて歌いますが、だれも共感してくれる大人はおらず、二人の友人は殺されてしまいます。 ユダヤ人への強制労働...
戦時中のドイツの物語です。 処刑されようとしている友人の命を救うため、ヴェルナーは警察に抗議してもらうよう、防空壕に避難している村の大人たちに訴えます。歌の力を「文化」だと信じて歌いますが、だれも共感してくれる大人はおらず、二人の友人は殺されてしまいます。 ユダヤ人への強制労働所の移送を阻止するため、命懸けで力を合わせてトンネルを爆破した海賊団の少年たち。彼らのルールは「助け合わない・自己責任」なのがなんともせつない。 果たしてわたしなら一緒に歌を歌えただろうか。戦時中の過酷な環境のなか「自分のことで精一杯」だと思ってしまうだろうな。きっと大人が束になって抗議すればもしかして少年達を救えたかもしれないのに。「協力する」という文化と、知恵があれば... ああ、やっぱり大人達を責められないという気持ちと、情けなさが行ったり来たり。
Posted by
このような小説が出版されない平和で倫理観の強い、集団ではなく個人が尊重されるユートピアな世界を望む自分が居ると同時に、そんな夢物語などこの世に金輪際訪れぬと断言する自分が両立する。個々人は善人なのに何故集団になれば倫理から外れる問題から目を反らし無関係、無関心でいられるのか。そこ...
このような小説が出版されない平和で倫理観の強い、集団ではなく個人が尊重されるユートピアな世界を望む自分が居ると同時に、そんな夢物語などこの世に金輪際訪れぬと断言する自分が両立する。個々人は善人なのに何故集団になれば倫理から外れる問題から目を反らし無関係、無関心でいられるのか。そこには都会も田舎の閉塞性もない。ただか弱い人間が存在するだけなのだ。どの登場人物に心を寄せても良い。但し著者の描く人間の«残虐性»と«理性»と云う夢は忘れず、どんな年齢層の人々にも一度は手に取って頂きたい一冊だと私は思う。
Posted by
私にとっては "同志少女よ敵を撃て" に続き2 作品目の逢坂冬馬さんの作品でした。 本作品、映画化してほしいです。 第二次世界大戦中のドイツでの反体制派の登場人物達、それぞれの心情が絡み合い物語を成していきます。 自分の中では本屋大賞受賞作の"同志少...
私にとっては "同志少女よ敵を撃て" に続き2 作品目の逢坂冬馬さんの作品でした。 本作品、映画化してほしいです。 第二次世界大戦中のドイツでの反体制派の登場人物達、それぞれの心情が絡み合い物語を成していきます。 自分の中では本屋大賞受賞作の"同志少女よ敵を撃て" を超えているのではと思うくらいに面白かった。
Posted by
1944年、ナチス体制下のドイツで、体制に抵抗する少年たち。当時の様子について何も知らない自分にもヒトラーに洗脳されたエーデルヴァイス海賊団の少年少女たちの勇気と恐ろしさ、迷いや戸惑い、そんな感じが少しだけわかってくるような気がした。 この本を面白いというのは結構難しいが、つま...
1944年、ナチス体制下のドイツで、体制に抵抗する少年たち。当時の様子について何も知らない自分にもヒトラーに洗脳されたエーデルヴァイス海賊団の少年少女たちの勇気と恐ろしさ、迷いや戸惑い、そんな感じが少しだけわかってくるような気がした。 この本を面白いというのは結構難しいが、つまらなかった訳でもない。少年たちの勇気ある行動が身を結ぶのかという後半はザワザワ、ドキドキした。でもそんなことではない、強いメッセージをこの本は投げかけているのだろう。人々を狂わせ恐怖に陥れ盲信的に突き進んでいく戦争の中でも、強く意志を持って行動することが大切だと教えてくれる。エンターテイメント性が高くないから余計に心に残るのかもしれない。
Posted by
1944年、もうすぐ戦争が終わろうとしているドイツで、ナチに対して疑問を持つ少年少女たち、エーデルヴァイス海賊団のお話しです。 ユダヤ人だけでなく、黒人、非国民、同性愛者、ツイゴイナー(ジプシー)、障害者を排除するナチス国。そこをただ反発することが目的なのか。そこに疑問を抱くの...
1944年、もうすぐ戦争が終わろうとしているドイツで、ナチに対して疑問を持つ少年少女たち、エーデルヴァイス海賊団のお話しです。 ユダヤ人だけでなく、黒人、非国民、同性愛者、ツイゴイナー(ジプシー)、障害者を排除するナチス国。そこをただ反発することが目的なのか。そこに疑問を抱くのではなく、単純に楽しく歌を歌いたい、遊びたい、愛し合いたい、他の国のように楽しい毎日を暮らしたいだけなのに、それが出来ないのはなぜだ。 国のために建設される、線路のレール工事を勤め始めたヴェルナー。その線路の先に何かがある。真実が知りたい一心で線路の先を追う旅に出る4人。しかしそこには見てはいけないものを見てしまう。 それによって、新たな正義感が生まれ大変な計画をたてる。そしてその結末は、、 表紙の真ん中はエルフリーデだと思うのだが、左がヴェルナーで、右がレオンハルト、裏面がドクトルでしょうか。表紙を見ながら読むと、生きざまも含め、4人ともカッコいいなぁと思う。 本物の反ユダヤ主義者とはどういうことなのか、どんな志があるのか、自分の命をこんなにも意志をもって考えたことがあるのか、たくさん学びがありました。 回想シーンが終わり、街では変人扱いされるアランベルガーから受け取った本を、クリスティアン・ホルンガッハーは読み終わった2020年に戻ってくるのだが、読者と同じ目線となり、はじまりと終わりでこんなにも自分が変化してしまったのか、不思議な感覚になります。 ここだけの話しではなく、日本でも都合の悪い出来事を歴史上無かったことにしたりする陰謀論はSNSでもよく見ます。そこに疑問を持つ方は是非、この本を読んでほしいです。 自分の過ちを隠蔽して平和を装う迎合たちがいる限り、歌われなかった海賊たちは、いつまでも報われない、と思いました。
Posted by
まだ少年なのに信念と間違った大人たちと闘う。そして相手の真意を見抜く質問の仕方や常に正しくありたいと自問自答する姿に心打たれ自分も信念をもって行動したかったし、自分の考えに固執していたので周りを視る力を養う事なくふらふらと生きていた。そしてそんな生き抜く力を持った少年でも目的を達...
まだ少年なのに信念と間違った大人たちと闘う。そして相手の真意を見抜く質問の仕方や常に正しくありたいと自問自答する姿に心打たれ自分も信念をもって行動したかったし、自分の考えに固執していたので周りを視る力を養う事なくふらふらと生きていた。そしてそんな生き抜く力を持った少年でも目的を達成したら意気消沈して生きる力を無くしてしまうのかとその後の生き方は書かれていないがすごく考えさせられる内容と自分の弱さや反省や自己嫌悪など過去を振り返る時間でもあったし、内面を抉られた時間でもあった。 過去を見つめ直す機会を持てたけど時間は戻せないので、これから先の生き方が揺らぐ事のない信念と間違った事を見抜く洞察力を培っていけたらと思う。あとやはり10年目標は大切だなと実感。
Posted by
逢坂冬馬さんの「歌われなかった海賊へ」読了。 2年前に読んだ「同志少女よ、敵を撃て」の著者の最新作。気になっていたのだけれど、図書館でやっと借りられて読みました。 「同志少女よ、敵を撃て」は、第二次世界大戦時の独ソ戦において、ドイツ兵と戦ったソ連の女性スナイパーの話。ヒリヒリ...
逢坂冬馬さんの「歌われなかった海賊へ」読了。 2年前に読んだ「同志少女よ、敵を撃て」の著者の最新作。気になっていたのだけれど、図書館でやっと借りられて読みました。 「同志少女よ、敵を撃て」は、第二次世界大戦時の独ソ戦において、ドイツ兵と戦ったソ連の女性スナイパーの話。ヒリヒリする戦争の空気感を感じた書籍でしした。 そして、今回の「歌われなかった海賊へ」。舞台は変わってドイツ。前作の「敵」にあたる国の話。けれど、結局は同じ「敵」と戦った記録なのかもしれない、と。その「敵」とは、ナチス党であり、ナチス党を支持した大人たち。 「エーデルヴァイス海賊団」の話でした。 この小説を読むまで、エーデルヴァイス海賊団、という言葉を知りませんでした。ナチス党のやり方に違和感を感じていた若者たちのグループ。大きな組織が存在したわけではなく、ローカルに結成されたものだったらしい(この小説を読む限りでは)。 全体主義で国が大きな流れを作って流れていく。大人たちは、強制収容所みたいなものがあることを知っている。そこでは人が殺されていることを知っている。たくさんの人が犠牲になっていることを知っている。けれど、見て見ぬふりをする。自分は「正しい側の人間である」と信じ疑わない。理由をつけて、自分を正当化している。 けれど、忖度しない子供たちは疑問に思う。そして、思う。 「自分が自分であることを否定する人間と戦うべきなのだ」(p326) 自分が第二次世界大戦下のドイツにいたら、私はきっと「忖度する大人」側にいただろうと思う。自分に火の粉が降りかからないように静かに過ごそうと思ってしまうと思う。そんな中で、声を上げることができる人を尊敬する。 読んでいる時には、ヒリヒリした感覚は前作の方が上かも、と思ったけれど、読み終わって反芻してみると、今作の方が重たい物語だったように思う。 世界が変な方向に進んでいかないことを願う。
Posted by
第二次世界大戦中、エーデルヴァイス海賊団と呼ばれる若者たちがいた。ナチスの非人道的な独裁政治を嫌い、自分の気持ちに従って自由に活動すること。そんな彼らの活動に反対し、捕虜収容所に目を背け、存在しないことにしてしまう大勢の市民たちが残念でならない。私も事なかれ主義なので、きっと見て...
第二次世界大戦中、エーデルヴァイス海賊団と呼ばれる若者たちがいた。ナチスの非人道的な独裁政治を嫌い、自分の気持ちに従って自由に活動すること。そんな彼らの活動に反対し、捕虜収容所に目を背け、存在しないことにしてしまう大勢の市民たちが残念でならない。私も事なかれ主義なので、きっと見て見ないふりをするんだろうな。そんな自分も残念だけど、良心に蓋をせず、自らのあり方を反省し小さな行動に移すことはできる。そんな希望を見た。
Posted by