無人島、研究と冒険、半分半分。 の商品レビュー
鳥類学者の著者が南硫黄島、北硫黄島での調査の様子を面白おかしく紹介した本。楽しく、あっという間に読了。 世界遺産登録を視野に、東京都が実施した南硫黄島自然環境調査に参加したとのことだが、無人島に関係する様々な分野の研究者、島で登攀していく上で不可欠な登山家など、二十数名での調査...
鳥類学者の著者が南硫黄島、北硫黄島での調査の様子を面白おかしく紹介した本。楽しく、あっという間に読了。 世界遺産登録を視野に、東京都が実施した南硫黄島自然環境調査に参加したとのことだが、無人島に関係する様々な分野の研究者、島で登攀していく上で不可欠な登山家など、二十数名での調査。驚いたのは、それ以前に、南硫黄島の調査が行われたのは2回だけということ。 実際にはかなり過酷だと思われる調査だが、研究者にとっては貴重かつ充実した経験だったに違いない。 10年で南硫黄島の形状も鳥や植物の分布も大きく変わっていたとのこと。地球温暖化が進むなか、これからいろんな島で大きな変化があるのかも、と考えてしまった。
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丸山ゴンザレスとか高野秀行氏の文章を彷彿とさせるようなコミカルなタッチで、冒険譚と研究話が楽しめる二度も三度も美味しい本。南硫黄島という日本人の99%以上が踏み入ったこともない無人島で鳥類の生態研究をするという話。若干、悪乗りというかウケ狙いの箇所はあるが、それは本を楽しくするた...
丸山ゴンザレスとか高野秀行氏の文章を彷彿とさせるようなコミカルなタッチで、冒険譚と研究話が楽しめる二度も三度も美味しい本。南硫黄島という日本人の99%以上が踏み入ったこともない無人島で鳥類の生態研究をするという話。若干、悪乗りというかウケ狙いの箇所はあるが、それは本を楽しくするためのご愛敬。 ー 場所によって繁殖する種類が異なっていた。海岸ではカツオドリやアカオネッタイチョウ、オナガミズナギドリが繁殖していた。標高500mには彼らはおらず、代わりにシロハラミズナギドリがいた。そして山頂ではクロウミツバメが見つかった。 ー この標高による違いの背景にある条件を考えてみる。すると、彼らの体重と標高に関係があることに気づく。海岸にいるカツオドリは1・5kgにもなる大きな鳥だ。アカオネッタイチョウは1kg弱、オナガミズナギドリは400g弱だ。コルを中心に分布していたシロハラミズナギドリは200gちょい、山頂のクロウミツバメは約50gだ。つまり軽い鳥ほど高いところにいるのだ。 この文章だけ記載すると大真面目に研究・考察している感じがする(実際、そうなのだろうが)。しかし、急峻を上ったり野営をしたりとドタバタ劇が続く。標本を採るために鳥の死骸を運んだりもする。 ー 海鳥はストレスに触らされると、胃の中にあるものを吐き出すことがある。 臭いらしい。そして、著者は、良く嘔吐物をかぶるのだ。漂流記などのサバイバル本と比べると呑気な感じもするが、この本にはそれを期待するものではない。寧ろ肩の力を抜いて、半分アカデミック半分エンタメの雰囲気を楽しむ姿勢が良いのだろう。
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初期の頃の特徴だったオタク知識と過剰なまでの注はすっかりなりを潜めたが、それでも読んでいて楽しい川上和人の南硫黄島の調査研究冒険記。驚いたのは2007年と2017年、十年のスパンをおいた二回の調査がまとめられていることだった。この二回の調査を盛り込むことでその間の研究や課題なども...
初期の頃の特徴だったオタク知識と過剰なまでの注はすっかりなりを潜めたが、それでも読んでいて楽しい川上和人の南硫黄島の調査研究冒険記。驚いたのは2007年と2017年、十年のスパンをおいた二回の調査がまとめられていることだった。この二回の調査を盛り込むことでその間の研究や課題なども取り上げることができ、より深い内容になっていると思う。ちょっと斜に構えたような文章は相変わらずで読む人を選ぶかも知れないが、私はもちろん好きな方(笑)。
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鳥類学者のフィールドワークを面白おかしく描いた本。本当は、もっとアカデミックでキツいだろうが、多くの人に興味持ってもらうためか楽しそうに書かれてる。無人島生活も経験したいなぁと一瞬頭をよぎった。
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鳥類学者の著者が、小笠原諸島の更に南の無人島である南硫黄島の自然環境調査隊に参加した一部始終を纏めた1冊。著者の作品に触れるのは3冊目です。 個人的に、島への憧れのようなものは持っているのですが、火山列島のような絶海の孤島感のある島(まぁ列島なんで孤島じゃないですが)はちょっと怖...
鳥類学者の著者が、小笠原諸島の更に南の無人島である南硫黄島の自然環境調査隊に参加した一部始終を纏めた1冊。著者の作品に触れるのは3冊目です。 個人的に、島への憧れのようなものは持っているのですが、火山列島のような絶海の孤島感のある島(まぁ列島なんで孤島じゃないですが)はちょっと怖さの方が先に立ちますね。。 さて本著、著者の軽妙な語りにはより磨きがかかり、純粋に娯楽として楽しめる1冊に仕上がっています。 まず、「鳥類学者」に抱くイメージとお茶目な文体のギャップ。挟まれる写真やイラスト。「ちょっと脚色」された文章(どの程度なんでしょうね(笑 等々。 「読むぞ!」とスイッチを入れていなくてもすーっと入ってくる文章で、1章も短めなので、寝る前にちょっと読むのにピッタリです。 そして、娯楽と言いながらも単に笑えるという意味の面白さだけでなく、知的側面で考えさせられる面白さも備えているのが良いところ。 鳥類学者としての匠の目が存分に発揮され、元有人島であった北硫黄島を「南硫黄島のパラレルワールドなのだ。もしも南硫黄島に人が住んだらどんな世界になるのか。そんな運命の分岐点の反対側を見せてくれる島だ。」と表現するのは思考の深さを感じさせます。 無人島に調査隊が踏み入れることを「自然に対してインパクトを与えながら、そのマイナス以上の成果を出さなくてはならない」と評したのも、なかなか研ぎ澄まされた言葉でカッコ良いなぁ!と感じました。 鳥好きだけでなく、島好きや旅好きにもオススメできる1冊です。 しかし、南硫黄島とまでの贅沢は言わず、その手前の小笠原諸島まででも旅行に行ければ良いんですが、ハードル結構高いんですよね。。同じ「都内」なのになぁ。。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
猫丸さんのリンクから、川端裕人さんのレポートを読めてとても面白かった。感謝です。川上和人さんは、鳥類学者だけれど、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所 鳥獣生態研究室 主任研究員、という肩書きなのです。 森林の研究機関で、なぜ海鳥を?という疑問も、こちらで解決できます。 この本はなんと、2007年と2017年の、あの南硫黄島の調査を書籍化したものだった。NHKのドキュメンタリーで見た、あれ・・・。随分昔の出来事だが、よく覚えている。当たり前だが、とても放送できなかったキタナイお話も、この本では余すところなく語られている。さらに10年後といえば2027年だが、はたして川上和人先生は三たび上陸を果たされるだろうか。 あいかわらず好調な書きっぷりだが、なにしろかなり以前の話である。なんだかなぁ。それでも、今さらながら記録してくれたことはありがたい。私も、ずいぶん前に入手しておきながら、つい面白そうな小説に手が出て、なかなか読もうとしなかったことは反省する。 詳しいことは、kazuさんのレビューがあまりに秀逸なので、もうここで書くことがないです。(やる気が・・・)
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内容以前に、ものすごく読みにくい。 著者の責任ではないと思うが、目次のフォントはまる文字を模した手書き風だし、余白には無駄なペン書きの着色線画が描かれている。 それがパラパラ漫画になってようがなんだろうが、書籍を読むということは文字を読むのであって、余白のうるささやふざけたフォン...
内容以前に、ものすごく読みにくい。 著者の責任ではないと思うが、目次のフォントはまる文字を模した手書き風だし、余白には無駄なペン書きの着色線画が描かれている。 それがパラパラ漫画になってようがなんだろうが、書籍を読むということは文字を読むのであって、余白のうるささやふざけたフォントに読みにくくされるのは迷惑である。 内容はとても興味深い。 文章であればすっと頭に入ってきそうな内容が、まるでそこで面白い先生の話を聞いているように、口語である。 学校の講義であれば、難しい話をくだけた口調で冗談を交えながら行なっていただくのはとても結構なことであろうが、書籍としては好き嫌いがあると思う。 扱っている内容は面白い。 書かれているエピソードもそれなりに面白い。 ちゃんとした本なのに、研究と冒険と冗談の三位一体に思えた。
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本当の無人島は、過酷なところなんだと想像できる。そんな過酷な状況に身を置くのは、好きじゃないとできない。ワクワクしたい、ワクワクを探したい。そんな気持ちにさせてくれるかもしれない。
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《色んな意味でドラマチック》 人の手が殆ど入っていない南硫黄島の研究調査の過程を著者なりに面白くした本。(もちろん、著者もしっかりした鳥類研究者。)調査期間の島での生活の苦労も分かり、読んでて面白い。(著者のギャグがどこまで本当が分からないが。)
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太平洋に浮かぶ南硫黄島、国内に残された貴重な秘境。10年一度の研究上陸。鳥類学者が体験した濃密な体験。 海からそびえ立ち人の登る海浜のない孤島。外来生物の侵入のない生態を研究する。 世の中、探せばまだまだ研究のタネは沢山あることを教えてくれる。筆者は2回参加。10年後の3回目...
太平洋に浮かぶ南硫黄島、国内に残された貴重な秘境。10年一度の研究上陸。鳥類学者が体験した濃密な体験。 海からそびえ立ち人の登る海浜のない孤島。外来生物の侵入のない生態を研究する。 世の中、探せばまだまだ研究のタネは沢山あることを教えてくれる。筆者は2回参加。10年後の3回目は年齢的にギリギリ間に合うか。 ドローンで振り返ると見つからなかった海鳥が確認でき、まだまだ筆者の好奇心をくすぐっているようだ。 冒険譚と専門的な話のバランスが絶妙、学問の面白さも伝えてくれる盛りだくさんな一冊。
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