マリエ の商品レビュー

千早茜(著者)

2023/10/15

40歳を目前にしたマリエが離婚後に婚活・恋愛を通して、恋愛とは？結婚とは？を模索していくストーリー。
些細なきっかけで結婚相談所に行き、婚活することとなるが、婚活中に自然発生的に年下の男の子と出会い、恋愛に発展していく中で【恋愛】と【結婚】の違いが描かれていく。
婚活では、男性から求められるものが前時代的な価値観が多く戸惑う。
一方、恋愛では高揚感を感じたり、やりとりがうまくいかないときの重たさを感じたりと気分の昇降に振りまわされる。婚活と恋愛を同時進行していくうちに、最終的に【恋愛】【結婚】という枠にとらわれず、マリエがパートナーに望むものが見えてくる。
私は主人公のマリエと同世代で考え方もやや似ているため、共感する部分が多かった。
なんといっても千早さんならではの、匂いや味、触感など五感の描写が美しすぎ。
"透明な夜の香り”がお好きな方は是非。

2023/10/15

結婚生活７年半、子供なし、アラフォーの主人公
まりえ
ある日「また、恋愛がしたいので離婚したい」
と言われて２年後離婚

離婚後、まりえは元夫のことが嫌いというのではなく、もう夫婦であることは終わりと、扉を閉じたから。
多分多くの女性別れるまでに悩んだり散々苦しんで考え決心した後はもう後戻りしないのではないか。
元夫と共に離婚届けを出しに行った時昼食に誘い、食事中「やっぱり泣かなかったな」と言う
その後もメールや電話をよこしたり

離婚後母親との電話中「孤独死させる為に産んだんじゃない、親より先に死ぬな、とか言われて落ち込む。
好きな部屋に住んで、好きなものを買って、好きに生きたことを、孤独死なんて言葉で回収されたくないと思う。

マッチングアプリ、結婚相談所、ひとり寝、コロナ発症、などなど各章の題が3つの単語で表され内容を想像させる。
年下の恋人との関係にも揺れながら考え続けるまりえ
人生は選択することの連続で、どこに住みどう生きるか、学校は、仕事は、結婚するのかしないのか、
子供は、二択　三択しながらずっと選択し続けるのだなぁ、と思う。

2023/10/14

10/10～13

Kindleで読んだ。
40歳を前に離婚した桐原まりえは、些細なきっかけと少しの興味から結婚相談所に登録する。そこで見聞きする世界は思いもよらないもので…。おとなの女性の幸福と結婚を巡る物語。

空気感が好き。
料理の描写はもう大好き！

結婚相談所に登録してお見合いをしつつ、七つ下の男の子・由井くんに小麦粉料理を教えて…。
由井くん………！！！！ちょっと良すぎる…。
“「まりえさん、見た目はきりっとしているのに、声かわいいので。あと、髪、似合ってます」”

“私がパートナーに望むのは世界を共有することなのかもしれない。色や匂いを記憶に刻んで、また季節が巡っても思いだしたい。そして、思いだしてもらいたい。この金木犀が甘く香る夜も、あの桜が淡く発光していた夜道も。”
ここにすごく共感した。

本当に素敵な表現が多くて読んでて幸せ。
“ シナモンスティックで濁った赤い液体を混ぜると、ぱちぱちと弾けるようにスパイスと柑橘の香りがひろがった。両手で抱えてそっとすする。甘さと酸味、煮立った葡萄のざらりとした味。喉から胃に火が点っていくようだった。目をとじる。体内を煌かせるイルミネーションだと思った。”

2023/11/14

まりえ、なにか、おしろの、かごのとりのごくちゆうに、はいりつくばってる、おひめさまや、ようろぴあんでんせつの、どらきゆらはくていたくいじめのように、なにやら、そそろ、そそろわせる、はいびすかすいじめにきこえたよ！むろうつよしが、はくしゆくや、きしの、がいむけい、のっぽりあんのやくや、ふらんしゆたいんけの、やばい、のおとるじいんだつひげの、だったいしき、しきいしかなばういじめなど、けんやくしせいとなにたまりきんるいされつないかいしきは、よくおもってないきがしたよまりえ、なにか、おしろの、かごのとりのごくちゆうに、はいりつくばってる、おひめさまや、ようろぴあんでんせつの、

2023/10/12

恋愛がしたいからと言う理由で離婚させられたまりえ。浮気を疑ったがそんな影もなく、2年話し合って円満離婚。おひとりさまを満喫していたが、何となくの流れで結婚相談所へ登録してみるが…

アラフォーである程度の地位もあり、自活できるまりえにとって、結婚とはパートナーを求める物だけど、結婚相談所は女性は男性を立てなくてはいけない風習があり、まりえには合わない気がしました。

そして、7歳年下の由井と恋人関係になるも、お見合いは止めない。何かブレブレだなぁと思っていましたが、まりえは型にはめるのを無意識にしてるのが裏目に出ていた様に感じました。

自分から別れを告げたのは森崎なのに、まりえが恋人が出来たのが許せないのがちょっと引きました。

ようやく自分の立ち位置が見えて前を向き始めたまりえと由井がうまくいってくれるのを願っています。

2023/10/11

――恋愛をしたい――そう言った元夫。
今の生活が、そんなに不満げには思え
ない。なのに何故？二年後結局別れた。
慰謝料無しでだ。考えられない、私には
許せない！でも、主人公まりえは考えて
考え抜いて離婚を決めた。

今、彼女の胸中は年末の大掃除の後の
様に、すっきりと新しい家具に包まれ
ている。これからの自分に不安はなかったのだろうか？

この先に起きるまりえの様々なできごとについて綴ってある。切なくなってくること、楽しそうで羨ましいがそれと同時にハラハラしてくることも起きている。

ひとりのほうがせいせいして良い！
ひとりは将来的に不安、相手がいてくれたほうが。

おひとり様、独身貴族、晩婚化。
私が若い頃は女性はクリスマスケーキと
言われた。現代そのようなことはない。
却って昔の様に、皆早く結婚しお互いを
尊重しながら生活していくことを、考え
たほうが良いのではないか、と思って
しまう。

2023､10､10 読了

2024/09/07

赤い月の香りがいまいち合わず、離婚後の女性の複雑な心理を描く作品というだけあって、恐々と手にしてみたが、生々しいほどリアルで、千早さん自身の経験もあってか、さもノンフィクション作品と思うほどであった。
おそらく、テーマは結婚とは、恋愛とは。そして、離婚だけでなく、フリーターなど、一般的にネガティブに見られがちなことに対しての問題定義だろうか。人間日々気持ちも上向き下向き変わり、不安定な時は人から多く影響受けたりもする。ただ、他人にどう思われようとも、自分の選択について、他人は責任を一切負ってはくれない。後悔のない人生とは、おそらく意志と信念で選択していくことではないかと思った。 ★3.5

2023/10/03

40歳手前で離婚したまりえの恋と結婚と生き方の話。始まりの離婚、そこから自由に生きつつ柵から逃れられないジレンマが苦い。隣の芝生は青いってほんまにそうなんよな。けどそれでも自由を手に入れたいとか常々思う。出てくる人達に共感や反感を抱きつつも、千早さんらしいこの静かな薄暗い雰囲気が好きで心地よく読めてしまう。寂しさより清々しさは分かる気がする。

2023/10/02

結婚って何の為にするんでしょうね。

正直、まりえの人生よりも結婚相談所で知り合った香織の背景がかなり現実味を帯びて苦しくなりました。「女の婚姻は身売り」「婚活は私にとって人生の就活」そんな風に吐露して去った彼女は母親の介護をしていた。
結婚相談所の担当者は「良い悪いではなくて条件が合わないだけなんです」と。悍ましいと思ってしまいました…

2023/10/25

　頭が知っていることは言語化できるものだが、五感は言語化できるものより多くのことを知っている。だから、結婚相手の候補として出会った本田さんの手を、「安心感のある手だった。でも、違った。この手は違う、と体が言」うのだろうし、年下の恋人である由井くんとの食事は「鮮やかで生き生きとしている」んだろうなと思った。
　「私がパートナーに望むのは世界を共有することなのかもしれない。色や匂いを記憶に刻んで、また季節が巡っても思いだしたい。そして思いだしてもらいたい。この金木犀が甘く香る夜も、あの桜が発光していた夜道も。」
　主人公のまりえが、最終的に辿り着いたこの答えが、不幸にならないためではなく、自分の考える幸せを実現するための選択だという感じがして、すごく好きだなと思った。一方で、それは「職をもち余裕のある者だけができる恵まれた選択」で、「結婚は自分にとって人生の就活」だと冷たく言い放ち、まりえの元から去っていく香織の姿も、あまりにも苦しく印象的だった。