始まりの木 の商品レビュー
多くの方がレビューを書かれているのを見て、昔読んで面白かった「神様のカルテ」の作者さんでもあり、買ってみることにした。 高名だが変わり者の民俗学者とその教え子がフィールドワークで日本各地を旅する物語。 二人は旅先で様々な風景に出会い、その美しさが描かれるとともに、あわせて、民俗...
多くの方がレビューを書かれているのを見て、昔読んで面白かった「神様のカルテ」の作者さんでもあり、買ってみることにした。 高名だが変わり者の民俗学者とその教え子がフィールドワークで日本各地を旅する物語。 二人は旅先で様々な風景に出会い、その美しさが描かれるとともに、あわせて、民俗学の意義、学問に対する姿勢、古来からある日本人の神や自然との付き合い方などが語られていく。 偏屈な先生と勝気な女子学生という組合せは、まあ、いいコンビだとは思うが、そのやり取りに新味はなく、そこにはあまり惹かれず。先生が自ら「障碍者」を連呼するのもいかがと思う。 民俗学について書かれた内容やそのあり様については知らないことも多くあり興味深かった。 『人生の岐路に立ったとき、その判断を助ける材料は提供してくれる学問だ』というのにはやや煙に巻かれた感じだが、『未来のために過去を調べる。それが民俗学である』には、主人公と同様になかなか惹かれるところがあり。 エリートだった柳田國男がその後半生を民俗学に費やした理由については、まったく無知だったので、ちょっとした驚きがあった。 古来からの日本における神を感じるという信仰のあり方や神の存在についての考察(『この国の人々にとって、神は心を照らす灯台だった』)、自然との付き合い方についての思いは理解できるし、そうした宗教観や倫理観が薄れてきた結果、権力や金の力が跋扈する今の世相に対する批判にも頷けるところは多かった(いささかお勉強臭かったが…)。 お話の中では第二話の鞍馬での出来事や最終話の桜が満開の風景などがとても印象深い。どちらのエピソードも色や絵柄が目に浮かぶよう。 ただ、それを何度も『理屈の通ることだけが真実ではない』などと言わなくても、普通にファンタジーとして描けば十分に伝わったようには思った。 最後の解説がこれまた難しくて、残念ながら十分に読み下せたとは言い難い。 これについて行けるようであれば、この物語の言わんとするところをもっときっちりと理解できたのであろうかと思わされた。
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私、この本に出会えてよかった。 民俗学を軸に、日本人の心のあり方を考えさせてくれる1冊。 大学院生藤崎千佳が、何とも個性的で偏屈な准教授古屋神寺郎とともに、日本各地を巡る旅の物語。 まず、古屋先生が濃い笑。 ここまで濃くはないけども、私が師事している教授も濃いなぁと、自分の世...
私、この本に出会えてよかった。 民俗学を軸に、日本人の心のあり方を考えさせてくれる1冊。 大学院生藤崎千佳が、何とも個性的で偏屈な准教授古屋神寺郎とともに、日本各地を巡る旅の物語。 まず、古屋先生が濃い笑。 ここまで濃くはないけども、私が師事している教授も濃いなぁと、自分の世界と重なってしまった。 そして、学問に対する、人としての芯の強さ。 古屋先生にあるその強さ、かっこよさが、私の世界の登場人物とも繋がる。 それを受け取る素直さ、柔軟さがあるからこそ、千佳ちゃんは成長していけるんだと思う。 そして度々登場する、民俗学の礎、柳田國男。それこそ度々名前を聞いていながら、まだ読んでいない。これを機に読もうと思う。 心に残ったフレーズをいくつか。 「神も仏もそこらじゅうにいるんだよ。風が流れたときは阿弥陀様が通り過ぎたときだ。小鳥が鳴いた時は、観音様が声をかけてくれたときだ。そんな風に、目に見えないこと、理屈の通らない不思議なことは世の中にたくさんあってな。そういう不思議を感じることができると、人間がいかに小さくて無力な存在かってことがわかってくるんだ。だから昔の日本人ってのは、謙虚で、我慢強くて、美しいと言われていたんだ。」 「大切なのは理屈じゃない。大事なことをしっかり感じ取る心だ。人間なんてちっぽけな存在だってことを素直に感じ取る心なのさ。」 「この国には、この国特有の景色がある。その地に、足を運ばなければわからない、不可思議で理屈の通らぬ、怪しささえ秘めた景色だ。その景色と向き合い、何が起こっているのかをただ見るだけでなく感じ取らなければいけない。」 その道がどこに続くのかもわからぬまま、ただ木は切られ、道は広げられ、東京は巨大化していくことになる。 その流れを止めることはできない。 アスファルトとコンクリートの町の拡大を、押しとどめることはできないし、とどめることに意味はない。 大切なことは、どこに向かって道を切り開いていくべきかをしっかりと見定めることだ。無闇と前に進むことに警鐘を鳴らし、ここに至り来たった道筋を丹念に調べ、どこへ道をつなげていくべきかを考えていくことだ。 多くの人が闇の中を手探りで歩んでいる今、未来を見据え、先々にささやかでも灯火を灯していくことができるのだとすれば、それはずいぶんと愉快な仕事ではないだろうか。
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民俗学という世界を通じて見せてもらったのは、日本人の心。私がどこで行き、何を失いかけているのかを教えられた気がいたしました。 再読中です。
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こちらも皆様の本棚から、評価が高かったので気になっていた一冊。神様のカルテの夏川先生。 大学の文学部で民俗学を学ぶ藤崎千佳は、指導教官の古屋についてフィールドワークへ出かける。 古屋は事故で脚に障碍がある為、千佳が荷物持ちなどをしながら旅をする。 偏屈な先生なのだが、どこか魅...
こちらも皆様の本棚から、評価が高かったので気になっていた一冊。神様のカルテの夏川先生。 大学の文学部で民俗学を学ぶ藤崎千佳は、指導教官の古屋についてフィールドワークへ出かける。 古屋は事故で脚に障碍がある為、千佳が荷物持ちなどをしながら旅をする。 偏屈な先生なのだが、どこか魅力的な存在。 先生との2人旅を通して、たくさんの気付きを得る千佳。 相変わらず夏川先生の作品は、上品で言葉の一つ一つが素敵で、本好きさんにはたまらないだろうなぁ。。。 私みたいな学のない物にはちょっと難しかったのだが、素敵なお話が一冊の中にギュッと詰め込まれていた。 日本の神様っていいな。。。 日本の八百万の神様、私の腰痛を治して下さいな。。。 ↑こういう奴には奇跡は起きないな。 四国八十八ヶ所歩いて回るくらいの気合いが無いと。。。 あ゛ーーーーーー 腰痛い。゚(゚´ω`゚)゚。
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昔から受け継がれてきたものはそれなりの根拠があるのだろうな~ 自然の雄大さと素晴らしさ、厳しさも感じられすべて大切にしていくべきだと思いました。
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主人公と大学の先生とのやりとりは、読んでいて楽しかったです。と同時に、こんなに大学の先生と親密になり、自身の研究にいそしめる状況が羨ましくもありました。日本の素晴らしい自然風景の描写も、目に浮かぶようでした。 民俗学について、この本を読むまではほとんど知識がなく関心もなかったで...
主人公と大学の先生とのやりとりは、読んでいて楽しかったです。と同時に、こんなに大学の先生と親密になり、自身の研究にいそしめる状況が羨ましくもありました。日本の素晴らしい自然風景の描写も、目に浮かぶようでした。 民俗学について、この本を読むまではほとんど知識がなく関心もなかったです。 現代の日本人に欠けている自然への謙虚さ、目に見えることだけが全てでないということ、大事なことをしっかり素直に感じとる心、などハッとする事柄がたくさん散りばめられていました。 神宮外苑の銀杏並木伐採問題や、ビッグモーターの街路樹問題など、心に引っかかっていることが思い出されてきます。 文庫本の解説は、倫理学者の方が書いていますが、倫理学のことも理解でき、読む価値があります。 「神様のカルテ」も好きですが、同じくらい「始まりの木」も心に残りました。
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とても、とても良かった。 私も探しているであろうことの端っこが見えかけたような。 人間という小さな存在には説明出来ないけれど、それでも何かを解りたい、何かを掴みたい、という想いを書いて下さったのだ、と思った 古屋先生の言葉の端々に滲む愛を、深く受け止めたい。
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夏川さんが書きたかった内容なんだろうな、と思いながら読み進めました。個人的には関心の高いテーマ、領域なのですが、物語という観点からは、そこまでではなかったかな、ということで星三つ。
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日本には,八百万の神を奉る独自文化がある.そんな穏やかな文化に寄りかかれば,資本原理主義に疲弊したグローバリズム華やかな統一世界から抜け出せ,それもまた幸せの形ではないでしょうか,と提示する.学問は(資本主義的な)役には立たないけれど,役に立つ必要なんてそもそもない.
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民俗学の准教授と教え子の女子院生がフィールドワークに出かけ、日本人の失ったもの(失いつつあるもの)や神様について問いかける。 樹齢400年や600年の古木の存在感や、お遍路さんの「同行二人」という言葉が印象に残りました。八百万の神という言葉が浮かびました。 解説まで読み応えありま...
民俗学の准教授と教え子の女子院生がフィールドワークに出かけ、日本人の失ったもの(失いつつあるもの)や神様について問いかける。 樹齢400年や600年の古木の存在感や、お遍路さんの「同行二人」という言葉が印象に残りました。八百万の神という言葉が浮かびました。 解説まで読み応えありました。
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