もぬけの考察 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とある都市のマンション。四〇八号室に住む住人はどういう訳か姿を消してしまう。淡々と代々住民の様子が語られていくけれど、どこかにいる誰かの日常のようで妙にリアル。その当たり前のような日常が些細なことで侵食され、そしてあっけなく崩れていく恐怖を物語っていきます。 幽霊が出るわけではないけどなんか嫌。怖い。 これは立派な事故物件です。 郵便受けに前の住人の郵便物がぱんぱんに詰まっていたり、窓を開けると前が廃墟で殺伐してるので開けたくない。管理事務所となかなか連絡が取れないような部屋には住まないほうがいいかもしれませんね。 ┈┈少しネタバレ┈┈ 『初音』に出てきたお隣の四〇九号室の人はス〇イダーウーマン?ドアが開かないのは蜘蛛の糸でコーティング?いや、MARVELみたいなカッコイイものではないですね。怖っ… それと、生き物や動物の虐待は良くないです!罰があたりますよ。
Posted by
改行が少なく、字がぎゅっと詰まっているけど読みやすい。令和の若い子はこんなだよ~って話かと思ったけど全然違った。アタシ内田百閒読んでた!?みたいな、この世界どこ?みたいな頭がクラクラする感覚でした。群像新人文学賞をとった短編が最後に入っていてそれまでの短編のお話を回収してくれまし...
改行が少なく、字がぎゅっと詰まっているけど読みやすい。令和の若い子はこんなだよ~って話かと思ったけど全然違った。アタシ内田百閒読んでた!?みたいな、この世界どこ?みたいな頭がクラクラする感覚でした。群像新人文学賞をとった短編が最後に入っていてそれまでの短編のお話を回収してくれました。 次も必ず読みます。 久しぶりに新しい作家さんに出会えて幸せ。
Posted by
とても好きでした。コレクターズ・ハイから先に読んだので、また違った作風で良い。 ホラー大嫌いな私でも面白く読めました。
Posted by
第66回群像新人文学賞作品。装丁は、何か同賞受賞の村上作品の雰囲気もある(佐々木マキ)。 4編からなる連作。この手の続いていく作品は好き。想像で408号の住人を想像が膨らんでいく。
Posted by
怖っ。 タイトルと表紙イラストが興味を引いて良いですよね。タイトル通りの内容だったし。 中身も、著者の次作も読んでみたいな〜どんな話を書くんだろう、と楽しみにさせてくれる本でした。 賃貸時代は、ある程度の年月をそこで暮らし慣れ親しんだ空間になったとしても、この部屋に昔知らない...
怖っ。 タイトルと表紙イラストが興味を引いて良いですよね。タイトル通りの内容だったし。 中身も、著者の次作も読んでみたいな〜どんな話を書くんだろう、と楽しみにさせてくれる本でした。 賃貸時代は、ある程度の年月をそこで暮らし慣れ親しんだ空間になったとしても、この部屋に昔知らない人が住んでいて、これからまた知らない人が住んでいくんだよな〜と不思議な気持ちになることがあった。その循環の1人になっていた。
Posted by
あれ?これホラー?の1章から読み進め、この不気味さをどう受け取ればよいかと思案していると、最終章「もぬけの考察」でノックアウトされる。 描くとは、書くとは、の考察にしびれる。 遠野遥の破局の主人公を思わせる部屋の住人たちには、どれも顔がない。
Posted by
読解力が足りなかったのかもしれないが、内容が薄いというか、なんとなく不可解なできごとを並べて終わり、と感じた。結末がはっきりすることは求めないけれど、よくわからぬまま終わるわりにその先を想像して楽しむ余地もなくて、うーん?って。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「こがね」は訳が分からなかったけど,読み返す気になれず~突然会社に出られなくなった女は,12階建てのワンルームマンションの408号室で侵入者(といっても蜘蛛)を飼い殺しにしていたが,隣に越してきた新社会人が鍵を掛けて部屋をでてしまったと,ベランダからの入り込みを求めて部屋に入ってきた。やがて,外に出ようとして玄関ドアが開かなくなり,ベランダ越しに隣の部屋から出ようとして蜘蛛に捕らわれてしまう。二浪して大学に入り一人暮らしを始めた男は夜な夜なナンパに出掛けて初めて連れ込みに成功した女が408号室に出入りをし始めると嫌気が差してきたが,それを告げた女に薬入りのコーヒーを飲まされて,縛り上げられて運び去られる。一週間限定で文鳥のこがねを預かった408号室の住人が,可愛いと思えたのは初日だけ。ペット禁止の規則にはらはらし,ある日突然朝起きて部屋を出たきり戻らなかった。408号室に越してきた女は,前に住んでいた人に思いを馳せながら,部屋の様子を壁に描き始め,最後に自分を描いて,その中に入り込んでしまった~『群像』新人文学賞受賞作だってから,表題の「もぬけの考察」から読み始めて,最初に戻って「初音」を読んで・・・おーい,どいつもこいつも少しは外に出ろよぉーと思ったんだけど。よく考えたらコロナの影響なんだと納得した。「こがね」の住人って,てっきり男かと思ったぜ!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
治安の悪い場所物件のマンションの408号室の住人は次から次へといなくなる。蜘蛛を瓶に入れベランダに放置する女、ナンパする男末吉、インコを預かった女、壁の中の絵に同化してしまった女、みんなどこかへ姿を消す。ポストに溢れ出る前住者の手紙チラシ類やいるのかいないのか怪しげな管理会社。ジワジワ怖い。
Posted by
朝日新聞の「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた」というコーナーで紹介されていたもの。 著者は、会社勤めの傍ら、趣味として小説を書き始め、本書で群像新人文学賞を受賞。 肩肘張らない「ちょっとした怖い小話」みたいな雰囲気がよい。 本来、中身があった筈のところから、中身だけが...
朝日新聞の「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた」というコーナーで紹介されていたもの。 著者は、会社勤めの傍ら、趣味として小説を書き始め、本書で群像新人文学賞を受賞。 肩肘張らない「ちょっとした怖い小話」みたいな雰囲気がよい。 本来、中身があった筈のところから、中身だけが失くなっている=「もぬけ」の部屋への考察である。 コロナで私たちはそれぞれの部屋に籠る生活を余儀なくされた。他人と交わらずひっそりと為されてきた日常。そこで何が起き、どう狂っていったのか。ついつい、隣家の事情に耳を澄まし、想像を逞しくしてしまいたくなる。
Posted by