未明の砦 の商品レビュー
怒りと絶望、哀しみと希望、様々な感情が押し寄せ、心揺さぶられる大作。 非正規工員として働く四人の若者が、大手自動車メーカー〈ユシマ〉に闘いを挑み、人間本来の姿と労働者としてあるべき形を見出していく。 企業と警察の癒着や隠蔽体質、社会に蔓延る悪が炙り出される度に怒りが増していっ...
怒りと絶望、哀しみと希望、様々な感情が押し寄せ、心揺さぶられる大作。 非正規工員として働く四人の若者が、大手自動車メーカー〈ユシマ〉に闘いを挑み、人間本来の姿と労働者としてあるべき形を見出していく。 企業と警察の癒着や隠蔽体質、社会に蔓延る悪が炙り出される度に怒りが増していった。 過酷な労働環境で労災認定もままならない。 自己保身と金の為なら一従業員の死までが軽く扱われる。 人を人とも思わない輩に制裁が下されるよう、彼等の頑張りを応援し続けた。 誰かが声を上げる事できっと社会は変わる。 諦めない心と強い信念に感動した。
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労働と生きることが切り離せない中で、人間であり労働者である私が、知識をもって声を上げる権利、力なきものが踏ん張る最後の砦があることを忘れてはいけない。
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★5 彼ら生き様に痺れる!ブラック企業の非正規社員が、仲間との出会いから変わっていき… #未明の砦 ■あらすじ 非正規社員として自動車工場に勤務する若き四人の男性たち。彼らはわずかな給料しかもらえないのに、恐ろしくブラックな環境で日々働き続けていた。 ある日長年勤めていた先輩が...
★5 彼ら生き様に痺れる!ブラック企業の非正規社員が、仲間との出会いから変わっていき… #未明の砦 ■あらすじ 非正規社員として自動車工場に勤務する若き四人の男性たち。彼らはわずかな給料しかもらえないのに、恐ろしくブラックな環境で日々働き続けていた。 ある日長年勤めていた先輩が、工場で過労死してしまう。彼らは働き方を変えさせるべく立ち上がるが、テロ行為を目論んでいると警察からとして追われることになり… ■きっと読みたくなるレビュー いつまでたっても高度成長期の成功にしがみつき、もはや外国から後れを取っている我が国。力をもった者は、間違った理想や欲望と保身だけしか考えずに、弱い者を押しつけていく。弱い者はさらに弱い者を叩き、なんとか自分だけは生き抜けるように精神のバランスをとる。 元気のない日本、格差社会の歪んだ現実、もはや戦前の戻ってしまった狂乱の現代を描いた社会派小説です。 胸が締め付けられるんです… 私は胸に刺さったシーンや会話には付箋を付けながら読んでいるのですが、本書の場合は大量に付箋がつけられました。読めば読むほど力が入ってしまい、完全に物語に引き込まれてしまいましたよ。 非正規社員として工場につとめる若い主人公たち…底辺で這いずり回る人たちの思考があまりにもリアル。ただ生活することに必死で、いまの環境に疑問を持たない。情報や環境に流され、常に諦めながら生きているのです。 それに対して、上級国民たちの横暴があまりにも酷い。経営者、政治家、警察官僚。たぶん現実と比べて、中らずと雖も遠からずなんですよね。マジで笑えない。 そして本書で綴られる我が国日本の経済データは、本当に目をそむけたくなります。頼むから経済が安定するように、戦略を持った政治と行政をして欲しいものです。 本作で一番の読みどころは、非正規の彼らが成長していく姿です。これまで戦ってこなかった者たちが、人との出会いや別れがきっかけで立ち上がっていく。これが痺れるんです。 本書引用: 強い者と戦うことなど意味はあるのか?我々は勝つと分かっている勝負なんてできない、まず勝負の場に立つことだ。 カッコイイーーーーー、こんなまっすぐで力強い台詞を、胸を張って言えるような生き方をしてみたいものです。 ■きっと共感できる書評 私も若い頃、人生がうまくいかずに必死に生活していた頃を思い出してしまいました。本書の彼らと、なんら変わらない。 ・気がついたら周りよりもレベルの低い生活をして、欲しいものも買えない。 ・人とコミュニケーションをとるのが臆病になり、人間関係が広がっていかない。 ・好きな女性ができても、自らの人生の将来性に疑問があるため、発展的な付き合いができない。 ・自己研鑽より、なんとか今日を生きることしかできず、成長やキャリアアップまで頭が回らない。 それでもなんとか前向きな人生に変えられたのは、一緒に働いていた良い仲間がいたおかげでした。 冗談を言いながらも励ましてくれた友人。学習すべきスキルを教えてくれたり、進むべき方向を背中で示してくれた先輩。能力も学歴もない私に責任のある立場を任せてくれた上司。私にとって、彼らに出会えたことが、なによりの宝だったのです。
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すごい、とにかく凄い小説を読んだ。現代社会の膿をこれでもかと抉る、圧倒的筆力、壮大なスケール。読む者を脅し、迷わせ、いつしか共感せしめ、遂には感動へと導く。恐るべし太田愛。読了後、しばらく鳥肌が止まらず、心が打ち震えた。黙って読むべし。読書家諸兄姉、必読です。
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読むのを楽しみにしていた一冊…すごかったぁ!600ページ越えの超大作…読み応え充分!さすが、太田愛さんです。読み終えるまでに日数を要しましたが、読めて本当によかった~ヒボさん、読めました(*^^)v この作品は、大手自動車メーカー勤務の非正規工員の4人が労働環境の改善を求め...
読むのを楽しみにしていた一冊…すごかったぁ!600ページ越えの超大作…読み応え充分!さすが、太田愛さんです。読み終えるまでに日数を要しましたが、読めて本当によかった~ヒボさん、読めました(*^^)v この作品は、大手自動車メーカー勤務の非正規工員の4人が労働環境の改善を求めて、様々な人たちからの協力も得ながら行動を起こすストーリー…。それはこの4人のみならず、雇用形態に関わらず多くの労働者、そして経営者サイドや政治家、警察組織も巻き込む大きなうねりとなっていく…。 もう…ぜひぜひ映像化をお願いしたい!ドラマでも、映画でもいいので…!!今の環境がたとえ劣悪なもので不満があったとしても、声に出さなきゃ、行動しなきゃ伝わらない…。そういえば…池袋の西武でストライキしたのは、先月のことだったかな…街頭インタビューでストライキのことを全く知らない世代もいて、逆にびっくりしたりもして(あ…年バレる(;'∀'))。この作品を読んで、みんなが同じ方向を向いて同じ目的のために一致団結する姿に、心が揺さぶられました。
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久々の太田愛さんの本気の新作。 20代半ばから30歳の四人の若手の非正規労働者が主役。否が応でも、秋葉原無差別殺人事件の犯人の境遇を思い出してしまう。車の組み立ての工場での労働の過酷さがひしひしと伝わってきて、そんな毎日で将来に夢も持てない四人(背景は人それぞれ)に胸が苦しくなっ...
久々の太田愛さんの本気の新作。 20代半ばから30歳の四人の若手の非正規労働者が主役。否が応でも、秋葉原無差別殺人事件の犯人の境遇を思い出してしまう。車の組み立ての工場での労働の過酷さがひしひしと伝わってきて、そんな毎日で将来に夢も持てない四人(背景は人それぞれ)に胸が苦しくなった。私の父もかつて労働組合活動で大手企業相手にも闘ってきた人間で、そのことが若い自分にはコンプレックスになっていたこともあり、読み進めるのが辛くなった部分もあったが、小説らしく、味方してくれる人たちもいたし、ハッピーエンドでなによりでした。
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ぜひとも映画化してほしいと思う大作でした。自分達の今の生活が当たり前と思って過ごしているけど、おかしい事はおかしいと声をあげていくのが大切なんだと考えさせられた。利権が絡みまくりの政治家に警察に、大企業に、本当にこれはフィクションか?とぞっとするシーンもありました。 ひとりだということは、ひとりじゃないんだ。自分の意思を示せば仲間ができる。
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教育、労働、社会 そういった私たちが小学校から、親から教わってきた「おりこうさん」文化。 きちんとお話を聞いて、みんなと一緒にできて、迷惑をかけない。 目上の人の言うことは聞く。 ということが目上の人をただただ神格化し、自分たちをデクノボウにしていくんだな。 自分のことだけど、...
教育、労働、社会 そういった私たちが小学校から、親から教わってきた「おりこうさん」文化。 きちんとお話を聞いて、みんなと一緒にできて、迷惑をかけない。 目上の人の言うことは聞く。 ということが目上の人をただただ神格化し、自分たちをデクノボウにしていくんだな。 自分のことだけど、自分は労働者で、今労働組合の幹部になってる。 無知は他の組合員に対して罪だと思ったし、無責任だね。そんな意味でもタイムリーにめっちゃ勉強になりました。 しかし太田愛さんの小説は、登場人物の背景設定がしっかりしていて好き。特に犯罪者ではちょい役までこれこら主要人物になるのかな?と思わせる程書き込んでて驚いた。きっとこの本の登場人物にも細かい背景があり、それも書き込みたかったんだろうなぁ。それでも600ページ! 大満足です。 次は憲法くん読もう。 ご馳走様でした。
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当たりです。 読み応えあり。 多くの善良な一般国民が長年盲目的に信用していた、政治家、警察、マスゴミ、そろそろ彼らが何をしているか気づき始めてますよね。 この話はフィクションだけど、このような事が日常的に行われていると気づき始めてます。
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政治家も警察も、ホント、信用ならんな。 たまたま、有期雇用、無期雇用について考えてる機会を得ていたところで、本書の内容に驚く…シンクロニシティ? そして、社員とは? あ〜…、私も自分は社員だと思っていたけど、ただの労働者だったのねぇ…代替も十分効くしねぇ…(^◇^;)と、他人...
政治家も警察も、ホント、信用ならんな。 たまたま、有期雇用、無期雇用について考えてる機会を得ていたところで、本書の内容に驚く…シンクロニシティ? そして、社員とは? あ〜…、私も自分は社員だと思っていたけど、ただの労働者だったのねぇ…代替も十分効くしねぇ…(^◇^;)と、他人事ではなく慄く。 そうそう、法律って、知っている者の味方でしかないのよね…。 でもね、無知が故に搾取されながら、ぬるま湯に浸かりながらでもいいから、心穏やかに一生を終えたいと思うのよね…でも、それって自分のことだけしか考えてないってことでもあるから、やっぱダメなんよね。 人は、何の為に生きるのか?ってことを考えて生きないとだよな、と最近とみに考えている。
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