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未明の砦 の商品レビュー

4.5

131件のお客様レビュー

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2023/11/28

最後までハラハラドキドキの高いエンタメ性を保ちながら、社会派の強いメッセージがある。ストーリーに胸を熱くする一方で、権力者に都合のよい世の中になっていくことへの危機感を覚え、学びの大切さを考えさせられた。すごい作品だと思う。出会えてよかった。

Posted byブクログ

2023/11/16

「それでまず決めたわけだ。いい労働者になろうって」 はい、太田愛さん『未明の砦』ですよ! 以前読んだ『天上の葦』がめちゃくちゃ面白くずっと気になる作家さんだったんですが、三部作の最後を一番最初に読んでしまうという致命的なミスを犯してしまったがために、『犯罪者』は常に読みたいリ...

「それでまず決めたわけだ。いい労働者になろうって」 はい、太田愛さん『未明の砦』ですよ! 以前読んだ『天上の葦』がめちゃくちゃ面白くずっと気になる作家さんだったんですが、三部作の最後を一番最初に読んでしまうという致命的なミスを犯してしまったがために、『犯罪者』は常に読みたいリストの上位にありながらなんとなく後回しにされ続けていた太田愛さんですよ でもなんか普通に借りれたんで まあまあの新刊で人気作なのに図書館行ったら普通にあったんで借りて来ました あれか?うちの地域は新刊は購入して図書館がすぐ新刊を配架してしまうことに一石を投じる派の人たちばっかなのか? だとしたらなんかすみません はい、本編! まさしく太田愛さんの「怒り」が詰まった傑作でしたね 全ての文章の最後に怒りマークが付いてるようなそんな物語でした 冒頭のセリフは最終盤で主人公の青年たちのひとりが発するセリフなんですが 彼らが苦悶の末に辿り着いた「いい労働者」と利益を搾取し続ける一握りの老人たちが考える「いい労働者」の間に埋めようのない溝があって そんなところにも登場人物たちの「怒り」、太田愛さんの「怒り」が向けられているように感じ、自分もなんだか体が熱くなりました だけどそんな熱さも少し時間がたてばシュッと消えちゃうのも日本人なんだよなぁ〜って思ったり うん、なんかすみません それにしても驚愕すべきは太田愛さんの「噛み砕き力」です 『天上の葦』のときもそうだったんですが、とにかく情報量が多い!そしてなんだか難しい! だけど難しいことを分かりやすく伝える しかもそれを(これがとても大事なんだけど)物語の邪魔をしないで伝える この物事を噛み砕いてやさしくする技術がすごい! 大人気の塾講師か!っていう あれ?なんかこの例え違う? なんかすみません

Posted byブクログ

2023/11/15

 これは、4人の若者が巨大な組織に立ち向かう物語だ。  矢上、脇、秋山、泉原の4人は大手自動車メーカー「ユシマ」で働く非正規工員だ。帰る家がない4人は、同じユシマの正社員である元羽に夏休みの期間、海のすぐ近くの家に呼び寄せられた。  元羽からユシマの従業員に対する対応を聞いた...

 これは、4人の若者が巨大な組織に立ち向かう物語だ。  矢上、脇、秋山、泉原の4人は大手自動車メーカー「ユシマ」で働く非正規工員だ。帰る家がない4人は、同じユシマの正社員である元羽に夏休みの期間、海のすぐ近くの家に呼び寄せられた。  元羽からユシマの従業員に対する対応を聞いた4人はユシマに対して不満を募らせていく。夏休みが終わり、元のハードな仕事に戻る4人。いつもの日常が始まった矢先、元羽が仕事中に亡くなり、4人の思いは頂点に達する。  ユシマに対して労働組合を立ち上げる4人だったが、あらゆる手を使って妨害してくるユシマ。そんな中、前代未聞の共謀罪が発動し、4人は指名手配犯として追われることに。国会議員や警察を取り込む巨大な力を持ったユシマに対抗できるのか。  ずっと頭にきながら読んだ。4人以外の従業員たちも、警察も、ユシマの上の人たちも腹が立ってしょうがなかった。こんなことが許されていいのか。自分は何を考えるべきなのか。  ただ、家族を守らなければいけない従業員の立場だったら、自分は4人と同じように戦うことができただろうか。他の従業員と同じように傍観者となりうるのではないか。便乗でもいいから立ち上がることはできただろうか。    そんな時矢上の言葉が背中を押してくれた。子どもたちが生きたいと思える世の中にしていかなければならない。最後は祈るような思いで読み上げた。

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2023/11/14

雇用問題の闇。働いている人なら何かしら共感できる部分があるはず。行動に移したり、訴えたりするのは難しいけれど、仲間のため自分たちのために戦った4人。自分も仲間のつもりで熱くなりました。 モヤモヤムカムカからのスカッとする終わり方が良かった。 いつも何かを問いかけ訴えている太田さ...

雇用問題の闇。働いている人なら何かしら共感できる部分があるはず。行動に移したり、訴えたりするのは難しいけれど、仲間のため自分たちのために戦った4人。自分も仲間のつもりで熱くなりました。 モヤモヤムカムカからのスカッとする終わり方が良かった。 いつも何かを問いかけ訴えている太田さんの作品。新刊も深く考えさせられました。

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2023/11/11

600ページ超の大ボリュームにビビりましたが、 読める読める。まるでテレビドラマを観ているようにワクワクドキドキでページをめくり、最後まで飽きることなく楽しめました。 太田愛さんの他の作品にも大注目です。

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2023/11/09

めちゃくちゃ面白かったー。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 大手自動車メーカー〈ユシマ〉で非正規工員として働く四人の青年。矢上・脇・秋山・泉原。それぞれの事情で夏休みに帰省できる家のない四人は、班長の玄羽に誘われ 千葉県の笛ヶ島の一軒家で過ごすことに-。 ここで過ごした数日間が四人の人生...

めちゃくちゃ面白かったー。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 大手自動車メーカー〈ユシマ〉で非正規工員として働く四人の青年。矢上・脇・秋山・泉原。それぞれの事情で夏休みに帰省できる家のない四人は、班長の玄羽に誘われ 千葉県の笛ヶ島の一軒家で過ごすことに-。 ここで過ごした数日間が四人の人生を大きく変える。 玄羽は言う。 「おまえたちは、可哀想だ。」と。 今を生き延びるためだけに生きている。命を切り売りして生きるのが当たり前であってはならないはずだ、と。しかし、劣悪な環境、過酷な労働条件、改善されない待遇、そこに何の疑問も持たずに働いてきた。 「俺たちはユシマにいいように食い物にされてきたんじゃないか。俺たちが何も知らないと思って」 そして四人は『知ろう』とする。大企業の闇を。法律の闇を。理不尽な社会に対抗するべく知識を得た四人は〈世界のユシマ〉を相手に闘うことを決めた。 -あのとき初めて、自分たちにとって〈ユシマ〉は単なる会社の名前ではなくなった- 工場での玄羽の死をきっかけに、四人は行動を起こす。「人間としての尊厳」を取り戻すために。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ やっぱり太田愛さんは 情景描写 背景描写 が上手。個々のセリフ 会話のテンポも好きだし、なんといってもキャラ作りが上手いー!主役の四人はもちろんのこと、刑事の薮下・小坂コンビが最高。『悪』もとことん『悪』。 四人が 自分の生き方を見つめ直し どんどん成長していく青春群像劇としても楽しめるし、計画を阻もうとする企業や公安からの逃亡劇としても最後までハラハラが止まらなくて一気読み。 ─Are you ready to kill? 殺す覚悟はできているか? 四人の企てた計画は成功するのか。 その先に希望はあるのか。 〈夏の家〉笛ヶ島の海岸で、親子が楽しそうに遊ぶ姿を見て「あれ、パラレルワールドの10年後の俺な」と言った脇。夢見ることすら出来なかった未来。 命をかけた想いが人の心を動かしていく。こんなラストって、、、胸熱!涙 。・゚・(*ノД`*)・゚・。

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2023/11/06

労働問題労働争議にがっぷり取り組んだ物語。政治家、公安や警察、記者なども立場の違いも含め丁寧に描かれて、水面下で繰り広げられる駆け引き裏工作にハラハラしながら一気読み。チャップリンの映画のようなライン生産の行き着く先の過労死、人間ではなく物として扱われることの恐ろしさがビンビン伝...

労働問題労働争議にがっぷり取り組んだ物語。政治家、公安や警察、記者なども立場の違いも含め丁寧に描かれて、水面下で繰り広げられる駆け引き裏工作にハラハラしながら一気読み。チャップリンの映画のようなライン生産の行き着く先の過労死、人間ではなく物として扱われることの恐ろしさがビンビン伝わってきた。 玄さんに招待された4人の夏休み、そこから全ては始まった。搾取されるばかりの労働者(矢上、脇、秋山、泉原)が覚醒し成長していくところ、ワクワクしたし、勉強になりました。

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2023/11/05

相変わらず凄いとしか言いようがない。 いつもの?政治、警察の闇に加えて、今回は企業と労働者、非正規雇用の闇。 正直読んでいて犯罪めいた事は何も起こらない(微妙なのは多々あるが)し、主人公達がしている事は至極真っ当なのに何故警察や政治家が動くのかがわからなかったが、読み進めるうち...

相変わらず凄いとしか言いようがない。 いつもの?政治、警察の闇に加えて、今回は企業と労働者、非正規雇用の闇。 正直読んでいて犯罪めいた事は何も起こらない(微妙なのは多々あるが)し、主人公達がしている事は至極真っ当なのに何故警察や政治家が動くのかがわからなかったが、読み進めるうちにだんだん恐ろしくなってきた。 本当に日本、終わってるよ… 太田愛さんの作品は主人公がドタバタする割に報われず決して勧善懲悪でないのが特徴であり魅力だが、今作は珍しく「良かった!」と思えた。個人的に一番のドクズと思えた登場人物が痛い目にあったのはスッキリした。 しかし犯罪者シリーズの修司もそうだけど、主人公達短期間のうちに何でそんなに理解力が上がるの?あと、朱鷺子さん何者?そこがちょっとだけ気になるかな。

Posted byブクログ

2023/10/31

共謀罪、大手メーカーの工場での労働環境、派遣社員の扱いなど、主張の偏りに半歩引くところはあるが、最後のどんでん返しには大いに溜飲が下がる。

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2023/10/31

過労死労働者を生むレベルのブラック企業と、派遣工による労働組合、それを取り巻くエトセトラの話 過労死を生むレベルは問題だけれど、本作にはいなかった労働者の権利を主張して仕事をしない労働者には読んでもらいたくない作品 企業と労働者、双方が気持ちよく働くことを考えても、人間は満足...

過労死労働者を生むレベルのブラック企業と、派遣工による労働組合、それを取り巻くエトセトラの話 過労死を生むレベルは問題だけれど、本作にはいなかった労働者の権利を主張して仕事をしない労働者には読んでもらいたくない作品 企業と労働者、双方が気持ちよく働くことを考えても、人間は満足をしないもの。その辺りは続編なのかな

Posted byブクログ