青を抱く の商品レビュー
【2024年174冊目】 二年間目を覚まさない弟、靖野を家族と共に支える泉は、弟と瓜二つの顔立ちをした宗清に出会う。長期休暇でやってきたという宗清の態度に、初めは戸惑いや反発を覚えていた泉だったが、徐々に彼に対しての好意を抱き始めるものの――。 初めての一穂ミチさんの作品でした...
【2024年174冊目】 二年間目を覚まさない弟、靖野を家族と共に支える泉は、弟と瓜二つの顔立ちをした宗清に出会う。長期休暇でやってきたという宗清の態度に、初めは戸惑いや反発を覚えていた泉だったが、徐々に彼に対しての好意を抱き始めるものの――。 初めての一穂ミチさんの作品でした。うーん、ちょっと、期待しすぎたかもしれない。泉も宗清も、互いに惹かれていった理由がよくわからなかったのと、結構な頻度でどっちが話してるかわからなくなったりすることが多く、戸惑いました。 あとは設定いろいろ盛りすぎでは、とか、泉はゲイではなかったのに、そんなにすんなり同性との恋愛ができるのか、とか、起源となった二人の想いについてはエピローグでも描かれていたけれど、本編ではあっさり語られるくらいだったので、そんなに感情移入できなかったなぁ、とか。 BL小説の濡れ場ってドキドキしながら読むことも多いんですけど、疑問の方がいろいろと浮かんできてしまって、ご飯を食べながら淡々と読んでしまいました。 一番はやっぱり、「なんでお互い惹かれたの?」っていうところが読み取れなかったのが大きいかも。そこがわからなかったので、共感とかもしにくかったのかもしれません。うーん。
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すごく良かった。雑に一言で説明するなら「BLの話」ということになるんだろうけど、BLとかLGBTQといった概念、枠組を超越して、「人が人を想うことの神秘」みたいなものを感じさせられる感動作だった。結局のところ、誰かが誰かを大切に想う時、その一番の理由は、性別や血の繋がりではなく「...
すごく良かった。雑に一言で説明するなら「BLの話」ということになるんだろうけど、BLとかLGBTQといった概念、枠組を超越して、「人が人を想うことの神秘」みたいなものを感じさせられる感動作だった。結局のところ、誰かが誰かを大切に想う時、その一番の理由は、性別や血の繋がりではなく「その人がその人だから」ということなんだろうなー。自分が経てきた人生や経験により自分にとっての心地よさというものが各々にあり、それがピタッとハマる相手に出会えて、かつその相手も自分をそのように思ってくれているなら、それそのこと自体が尊い、みたいな。一穂ミチさんの作品は何冊か読んでいて結構好きなので、これもと思って手に取りつつ、LGBTQがらみの作品ってそんなに好きじゃないからなーと思いつつ読んでいたのだけど、とんだ誤解であった。 文庫本化に伴って書き下ろされた同録短編も非常によくて、良い読書になりました。
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「ツミデミック」で一穂さんが直木賞を受賞 あまり表に出てこなかった一穂さんが サイン会開いたり、サイン本作ったり こちらまで嬉しくなります 2015年フルール文庫刊行 2023年角川再文庫化 +ショートストーリー3編 「ツミデミック」はもちろん素敵な作品なんですけど 私は一穂...
「ツミデミック」で一穂さんが直木賞を受賞 あまり表に出てこなかった一穂さんが サイン会開いたり、サイン本作ったり こちらまで嬉しくなります 2015年フルール文庫刊行 2023年角川再文庫化 +ショートストーリー3編 「ツミデミック」はもちろん素敵な作品なんですけど 私は一穂さんの一般文芸系より こちら系の方がより上手い、ストーリーの幅が広いと思うんですよ 選者さん達の中にも もしかしたらそう思う人もいたかもしれない…… 静かな海辺の街で暮らす泉は、海岸散歩が日課 ある朝、出会った男の風貌に思わず息を飲む。 2年前、海難事故に遭ってから、目覚めない弟にそっくりだった BLでなくても感動的に練られたストーリーなのに そこに純な恋愛を入れてきてずるい なぜ、弟とそっくりなのかというミステリと なぜ、弟が着衣のまま溺れたかというミステリ これは、角川さんですから、シマシマしてないし 内容もそれほどシマシマしてないので、 読みやすいし借りやすいし買いやすいと思います
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母から子へ紡がれる縁 偶然か必然か 出会うべくして出会い 惹かれ合った泉と宗清 荒々しい愛の形、 徐々に自分の気持ちを素直に認めて相手に応えていく愛の形、 色んな愛の形があるんだと思い知らされる。
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ちゃんど恋愛対象が同性であることをゲイと言ってくれるのは安心する。人間の機微というか矛盾してしまうことやままならなさを書くのがうまい BL文芸出身でついに直木賞作家となった一穂さんにはレズビアンの恋愛小説も書いてほしい
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読了後の素晴らしい満足感。美しく、静謐で、繊細な一冊。レイ・チャールズの『Born to lose』という曲に出会えた
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弟が植物状態になったことをきっかけに実家で在宅勤務と弟の看病を行う主人公の泉(男性)。ある朝海辺で弟によく似ている宗清に出会い関係を築いていくストーリーでした。 私個人としてはわずかにですが結論ありきのような読後感を持ってしまい星2つとしましたが、先を期待させてくれるような展開が...
弟が植物状態になったことをきっかけに実家で在宅勤務と弟の看病を行う主人公の泉(男性)。ある朝海辺で弟によく似ている宗清に出会い関係を築いていくストーリーでした。 私個人としてはわずかにですが結論ありきのような読後感を持ってしまい星2つとしましたが、先を期待させてくれるような展開が大変面白かったです。
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海岸を歩きながらゴミを拾っていた泉は二年間目をさまさない弟に似た宗清に出会う。母を亡くして仕事を休み一人海辺のアパートを借りる宗清。二人は惹かれ合いながらも泉は自分の気持ちをうまくコントロールできないでいる。最後に絡み合った糸が解かれていく。
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こういうお話を素直に楽しめなくなったのは、年のせいなのか感性が古くなったからなのか。 BL小説とはこういうもの、と言われてしまうと身も蓋もないんだけど、ここまで恋愛要素の強い作品は正直苦手。特にラブシーンは読むのがしんどかった。 表題作のラストシーンについても、結局そうなっちゃう...
こういうお話を素直に楽しめなくなったのは、年のせいなのか感性が古くなったからなのか。 BL小説とはこういうもの、と言われてしまうと身も蓋もないんだけど、ここまで恋愛要素の強い作品は正直苦手。特にラブシーンは読むのがしんどかった。 表題作のラストシーンについても、結局そうなっちゃうのか、とあまりに予想通りの展開すぎてやや残念。 描き下ろしの短編は可もなく不可もなくといった印象だけど、ラストの「Dear my her」は表題作に含めちゃったほうが良かったんじゃないかなあ。 と、色々思うところはあるんだけど、なんだかんだそれなりにインパクトはあるし、タイトルも表紙も完璧。心理描写の丁寧さ・美しさは一般向けにシフトした近年の作品群と引けを取らないように思う。
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全体的に「青」を感じるものが散りばめられていて綺麗だった。それは青空だったり、青い海だったり、名前に青という文字が入っていたり、ひと夏の青春のような時間だったり。青に対するこだわりを感じた。 内容自体は少し重めで、植物状態の方がいる家族やLGBTQに関わること。 それでも、宗清と...
全体的に「青」を感じるものが散りばめられていて綺麗だった。それは青空だったり、青い海だったり、名前に青という文字が入っていたり、ひと夏の青春のような時間だったり。青に対するこだわりを感じた。 内容自体は少し重めで、植物状態の方がいる家族やLGBTQに関わること。 それでも、宗清と泉のふたりが触れ合うシーンでは少女漫画のようなトキメキを感じ、前半で集めた点が後半で線になって繋がった時にはびっくりした。私の中ではとても満足度の高い1冊だった。
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