馬鹿と嘘の弓 の商品レビュー
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[こんな人におすすめ] *心がざわざわする小説が好きな人 やるせない。心が落ち着かない。消化しきれない。読み終わった後に上記のような感覚に陥ることが好きな人におすすめです。「ぞくぞく」でも「もやもや」でもなく「ざわざわ」します。 登場人物の一部あるいは全員に共感できない可能性がありますが、現実にいてもおかしくない人たちばかりです。リアルさを感じられる小説だからこそ消化しきれない問題にぶち当たってざわざわします。心の不安定さを味わいたい人におすすめします。 [こんな人は次の機会に] *他者を慮ることのできる優しい人 彼を止めることはできなかったのか。彼女ができることは他になかったのか。相手の気持ちに寄り添おうとする優しい人であればあるほど、考え込んで疲れてしまうと思うので気をつけてください。
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2024/8/31読了。小川と加部谷という馴染みのある2人がメインキャラクタに添えられており読みやすい。 ストーリィはいつもの感じながら、テーマは確かに考えさせられる。個人的には、理解はできるが共感はできない内容だが…うまく小説の形に嵌め込んでるなあという感じ。解説にある、形のないものに輪郭を与えるという表現がしっくりくる。 島田や加部谷のキャラもいいんだが、本当に求めているものは西之園萌絵なんだよな。
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重い……。ストーリーの緩急(起伏?)が少なく、全体的に単調な感じです。謎を解くようなミステリ要素はほぼ無く、結末もあぁやっぱりそうなるのか…という感じ。 主人公の思想がリアルで共感できません。働きたくないって思想はわかるけれど、死にたくないからお金は必要で、そのために他者に害を為...
重い……。ストーリーの緩急(起伏?)が少なく、全体的に単調な感じです。謎を解くようなミステリ要素はほぼ無く、結末もあぁやっぱりそうなるのか…という感じ。 主人公の思想がリアルで共感できません。働きたくないって思想はわかるけれど、死にたくないからお金は必要で、そのために他者に害を為すのも自然の道理だ、というのはただ怠け者なだけでは?と思ってしまう。コンピューターがやればいい、他者と関わらずコンピューターに管理された世界でぼんやり生きたいというのも、そのコンピューターを管理する人はどこから出てくるんだ?と思ってしまう。働きたい人だけが働くなら、考える人が減る分技術は衰退するだろうな…。 こういうことを考えさせるのが目的のストーリーなのだろうけど、私の好みでは無かった。
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柚原の屁理屈にずっとイライラさせられたのが、リアルだなと感じた。 ネットだと気軽に社不(社会不適合者)って言うけど、現実の社会不適合者ってこうだと思う。 全く共感ができないし、最後の警察とのやりとりも会話になってない。 加部谷はなにを持って真面目そうと思ったんだろう。言葉遣いが丁...
柚原の屁理屈にずっとイライラさせられたのが、リアルだなと感じた。 ネットだと気軽に社不(社会不適合者)って言うけど、現実の社会不適合者ってこうだと思う。 全く共感ができないし、最後の警察とのやりとりも会話になってない。 加部谷はなにを持って真面目そうと思ったんだろう。言葉遣いが丁寧だから?? 小川さんが恋愛脳なところがうざかったです。
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現実の無差別連続通り魔殺人を恐らく題材に,加害者を主人公に据え,それまでの足跡が描かれる.どこに動機,あるいは人生の分岐点となるトリガがあるかは判らない.殺人を犯した者も人であり,犯していない者との明確な境界などない.決して無関係ではなく,連続した時空間を共有したイベントであるこ...
現実の無差別連続通り魔殺人を恐らく題材に,加害者を主人公に据え,それまでの足跡が描かれる.どこに動機,あるいは人生の分岐点となるトリガがあるかは判らない.殺人を犯した者も人であり,犯していない者との明確な境界などない.決して無関係ではなく,連続した時空間を共有したイベントであることを印象づけられる.
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文系の私が、理系ミステリと呼ばれる森先生の作品たちに、どうしてこれほど惹かれるのか、未だに自分でもよくわからない。 描かれていることの半分も理解できていると思えない。 それでも理屈抜きで読んでしまうのだ。 今作もそう。 プロローグからもう惹き込まれている。 そして加部谷ちゃんとの再会に嬉しくなってしまう。 「そして、彼から離れる方向へ歩くときに、何故か涙が流れ始めた。 自分がどうして泣いているのか、わからなかった。 ただ、人間って悲しいものだな、くらいの茫洋としたイメージだけがあった。 その悲しみが、一部の人間を包んで、一生そこから抜け出すことはできないのだ。 それが、悲しい。 悲しいから、悲しい。理由なんてないのかもしれない。 そもそも悲しい存在なのだ。 悲しくないように、錯覚し、誤解し、誤魔化して生きているだけなのだ。 深呼吸をして、空を見上げた。これ以上、涙が溢れないように。」 思わず付箋を貼ったページ。 森作品には、冷静で頭の切れる人物が多く、どこか淡々としてロボットのような印象を受けることがある。 けれど、おべっかだとか謙遜だとか、人間関係を円滑にすると思われる上辺だけの言動を取り除いた先の、本質的な人間らしさのようなものがしばしば垣間見えて、その度に胸を衝かれる。 第4章の展開には息苦しくなった。 どうか、どうかやめてください。 祈らずにはいられなかった。 綺麗ごとだろうか。 世の中で起きている事件の犯人像を、ステレオタイプな型に押し込めて、あぁ、こういう生い立ちで、性格で、不運も重なって、それでこんなことになっちゃったのね、はいはいはい、とわかった気になる危うさ。驕り。 そのほうが楽だから。安心できるから。 エピローグは無性に泣けてしょうがなかった。 加部谷ちゃんは疫病神なんかじゃないよ。 海月くんはどこで何をしているんだろう。 これから二人がまたどこかで交差することはあるだろうか。 うまく言語化できないけれど、これまで読んだ森作品の中で、自分にとっては最も生々しく、強烈に生というものを感じる一冊だった。
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森博嗣作品初挑戦。 本屋で数ある森博嗣作品を見かける度に、 タイトルが秀逸だなと 感心しているだけであったが、 我慢できずに手に取ってみた。 まず驚いたのが、タイトルがそれとなく 回収されているところ。 森博嗣愛読者の方にとっては 普通のことなのかもしれないけれど、 字面だけ...
森博嗣作品初挑戦。 本屋で数ある森博嗣作品を見かける度に、 タイトルが秀逸だなと 感心しているだけであったが、 我慢できずに手に取ってみた。 まず驚いたのが、タイトルがそれとなく 回収されているところ。 森博嗣愛読者の方にとっては 普通のことなのかもしれないけれど、 字面だけみたら「なんのこっちゃ?」な タイトルを終盤によく回収したなと思った。 加えて、登場人物が魅力的だった。 会話のテンポの良さが印象的で それぞれの掛け合いは読む手が止まらなかった。 加部谷さんが、特にツボだった。 終盤の柚原の行動については、 自分の読解力もしくは想像力が足りていない為か なぜそういう方向にいったのか 理解できなかったが、 それこそがむしろこの作品が取り扱っている テーマの複雑さを表しているのではないか と思った。 単なるミステリーでは片付けられない。 自分は続編も追いたいと思ったが、 ミステリー小説の読書体験に 何を求めているかによって 好みが分かれやすい作品だと感じた。
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全てがFになる を読んだ時、シリーズの何冊目かは出ていた。それからもう20年位? えっ?犀川先生とあの子供が同一人物!?のあの衝撃は10年たった今でも覚えている。それとは違ってもう2人の関係性は我々には見えているだけに、このシリーズがどんな展開をしていくのか楽しみ。 ‥ではあるが...
全てがFになる を読んだ時、シリーズの何冊目かは出ていた。それからもう20年位? えっ?犀川先生とあの子供が同一人物!?のあの衝撃は10年たった今でも覚えている。それとは違ってもう2人の関係性は我々には見えているだけに、このシリーズがどんな展開をしていくのか楽しみ。 ‥ではあるが、本を一冊読み終わったというより、長いプロローグを読んだ感じで⭐️⭐️⭐️。
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新シリーズ。探偵物だけどミステリィではない。 ジャンルはなんだろうな…? 最後、柚原の考えが恐ろしい。理解できない考えではないことが何より恐ろしい。 馬鹿は誰だったのか? 装丁が綺麗。
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「持つものと持たざるもの、悪いのは誰か」という帯のコメントと綺麗な装丁に惹かれて手に取った一冊。 そして、どっと疲れた読後感。笑 小説なんだけど、新書を読んだあとみたいなかんじ。たぶん人によって好みが分かれる作家さんじゃないかな。あとから名古屋大学工学部で工学博士として勤務してる...
「持つものと持たざるもの、悪いのは誰か」という帯のコメントと綺麗な装丁に惹かれて手に取った一冊。 そして、どっと疲れた読後感。笑 小説なんだけど、新書を読んだあとみたいなかんじ。たぶん人によって好みが分かれる作家さんじゃないかな。あとから名古屋大学工学部で工学博士として勤務してる作家さんって知ってすごく納得。 理知的で、冷静なホームレスの少年。自分の確固たる信念のようなものを持っていて、社会を俯瞰して見ているのだけど、どこか掴みどころがなくて不気味だった。 なぜか説得力のある彼の言は、共感はできないけれど頷けるところもあって、たくさん考えさせられた。 〜*〜〜〜*〜 働いていない人間、金を持っていない人間は、事実上、普通の社会人としては扱ってもらえない。1人でぶらぶら歩いてる自由は、この国にはないようだ。 革命が起きるには、日本の社会は成熟しすぎた、ということだ。 だが、全ての成功には代償が伴う。何かを得ようとすれば、差し出すもの、奪われるものがある。普通に生きるために生き物の摂生が必要なように、築くためには破壊しなくてはならない。 だから、その偉くなった奴らが定めたこの日、この場所だけで、羽目を外して自由になろう、というわけだ。馬鹿じゃないだろうか。そんなものが自由か? 目の前に吊られた餌を、自由だと思って噛み付く連中。馬鹿ばかりだ。馬鹿の社会なのだ。 自由なんて、全部嘘っぽっちなのに。 面白いものは、すべて偽りなのに。
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