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熟達論 の商品レビュー

4.5

28件のお客様レビュー

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2023/09/09

「熟達」のプロセスをものすごく精緻に記している。読んでいるだけで、体が組み替えられそうなくらいの言語化具合。 遊→型→観→心→空の5つのプロセスのうち、この本の中でのハイライトは「空」だろうが、私にとっては、「遊」「観」のプロセスは意識したことがなかったので、目が見開かれる思いだ...

「熟達」のプロセスをものすごく精緻に記している。読んでいるだけで、体が組み替えられそうなくらいの言語化具合。 遊→型→観→心→空の5つのプロセスのうち、この本の中でのハイライトは「空」だろうが、私にとっては、「遊」「観」のプロセスは意識したことがなかったので、目が見開かれる思いだった。 この本の読書体験自体が気持ち良い感覚だったので、また読み直したい。

Posted byブクログ

2023/09/03

熟達への道は、習慣化して長い時間をかけるしかないのだろうと思っていた。この本を読んで、何事も適切な順番で、自分の状態を客観的に見てやり方を変えながら、うまくいかないときも淡々と技能を身につけたいと思った。その先に自由に創造性を発揮して表現できる楽しみが待っていると思うと日々の練習...

熟達への道は、習慣化して長い時間をかけるしかないのだろうと思っていた。この本を読んで、何事も適切な順番で、自分の状態を客観的に見てやり方を変えながら、うまくいかないときも淡々と技能を身につけたいと思った。その先に自由に創造性を発揮して表現できる楽しみが待っていると思うと日々の練習を頑張れそうだ。哲学的で理解が難しい箇所は具体例でわかりやすく説明されていて、深く納得させられた。 なるほど!と思ったところ ・うまくいった時に喜び、失敗したときに悔しがるリアクションが大きい人ほど、「諦める傾向」にある。失望は期待との落差だから、期待が大きければ失望も大きい。続けていればいつかうまくいくがすぐうまくいくとは限らない。そう考えることで、反応を小さくすることができ、ただ淡々と続けることができる。今やったことを振り返り、別のやり方をまた試す。 ・型の習得は、本来は自分で試行錯誤しながら辿り着く地点に、ワープするようなものである。先人が試行錯誤した結果として、型は出来上がっているからだ。だから、型を身につけた方が早く高度な段階に進める。 ・人間は複雑なことを無意識に行っている。意識よりも無意識の世界の方が遥かに大きく深遠である。技能を高める上では無意識の世界に注意を向け、意識的に行うことは避けられないが、意識を向ければ無意識の世界を混乱させることにも繋がり、この加減が難しい。 ・体調を整えるのがうまいアスリートは、朝起きた瞬間に自分が正常な状態からどの程度ずれているのかを敏感に察知する。そのずれをトレーニングなり日常生活なりで調整し、いざ試合の時には正常な状態に近づけておく。 ・「リラックスする」「脱力する」ということの本当の意味は「姿勢維持に必要な部分のみに力を入れ、それ以外の力を抜く」ことである。必要な箇所に、必要なだけ力を入れ、それ以外は脱力する。これが自然体だ。 ・よい連動を引き出すためにはリズムが使われる。どんなことでも上手な人と一緒に何かを行うと、うまくできるような感覚に陥ることがある。知的作業でも上級者の横で一緒に行っているだけでリズムにひきずられてうまくいく。だが、内在化されていないので一人で行うとまた元に戻ってしまう。 ・言葉は先人の感覚を保存するものでもある。型の伝承も言語を通じてなされることが多い。映像は表現された姿しか残せないことがある。言葉は表現された姿だけではなく、どこに注意を向けながら行うかなど感覚の部分も含んでいる。 ・技能が使えるようになると新たなイメージが浮かんでくる。絵を描く技能が向上することにより、こんな表現方法があったのかと、創造性が膨らんでいく。創造性と技能は双方向の関係で、お互いに高めあっている。 ・「思い込み」は外にあるものではなく、自分の中にあるもので、制限や壁とも言える。自分自身が囚われている「思い込み」の外に飛び出すには意識する自分を消してしまうことだ。無我夢中になることだ。 ・勘については「経験を元にした無意識下の論理的帰結」だと定義している。熟達者には多くの経験が蓄積されており、その領域においての勘は論理を超える。 ・「空」で起きている出来事に身体がすぐさま反応するという世界を体験すると、意識するという行為の遅さ、狭さを感じるようになる。感じることの広さ深さを知り、今を生きることを身体で悟る。いくら情報が行き交ったとしても、それを受け取った自分の主体的体験こそが自分にとってのすべてなのだ。 ・学ぶという行為は二つの見方をすることができる。人は無知で生まれてくる。知識を得て、経験をしていくことで、一つずつ学んでいくというもの。もう一つは制限を取り払うという見方だ。人間は外界を内在化させる時、社会の「当たり前」を取り込んでしまう。学び続けることでその制限を取り払っていき最終的に解放されることを目指すというものだ。

Posted byブクログ

2023/08/10

現代の五輪の書 力を出せる時と出しきれない時や人の解説は目から鱗。これが海外のチームスポーツの練習のインテンシティの差。遊びから入る大切さは、学びごとから入る人との差に大きく影響する。

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2023/08/07

スポーツに限らず、およそ人間が自分の身体を「乗りこなして」こそはじめて極めることができる営みはいろいろある。アスリートの世界でいえば、オリンピックとはまさにこの熟達者の集まりであり、本書は、元オリンピアンである著者が、自身の熟達の道のりを振り返って、当事者(経験者)として、これま...

スポーツに限らず、およそ人間が自分の身体を「乗りこなして」こそはじめて極めることができる営みはいろいろある。アスリートの世界でいえば、オリンピックとはまさにこの熟達者の集まりであり、本書は、元オリンピアンである著者が、自身の熟達の道のりを振り返って、当事者(経験者)として、これまで個別に議論されることはあっても体系的に議論されることは少なかったかと思われる熟達の道筋を、5つの段階にわけて精緻な言語化によって定義した論考である。 スポーツにハマったことがある読者としては、その精緻な言語化に唸らされた。 自分の場合はそれがモーグルというスキーの中のニッチな競技だったわけだが、最初はただただ身体を動かすことが楽しく、やればやるほど上達する「遊び」だったのが、アスリートの真似をして、自己流で、ときに指導者につき、また孤独な自主練をつうじて「極めよう」とスキー場に通い詰めた一時期は間違いなく「熟達」の過程だった。 本書の副題に「人はいつまでも学び、成長できる」とある。正直、本書を読んでも直接この言葉を後押しするような話は出てこなかった気がするのだが、それはともかかく、「熟達」といういとなみ自体が楽しくも哲学的な人間らしい「遊び」であり、それは年をとっても、いつでもできることだよな。最高に面白いよな、と。

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2023/08/06

競技や自分自身などあらゆることに素直に向き合えるのが、為末さんの強みなのかと思えた。まえがきとあとがきに記された以下の二文がもっとも印象深かった。自分ももっと学んでいきたい。 ・熟達者には共通点がいくつもある。基本となるものを持っている/迷うと基本に返っている/人生で何かに深く...

競技や自分自身などあらゆることに素直に向き合えるのが、為末さんの強みなのかと思えた。まえがきとあとがきに記された以下の二文がもっとも印象深かった。自分ももっと学んでいきたい。 ・熟達者には共通点がいくつもある。基本となるものを持っている/迷うと基本に返っている/人生で何かに深く没頭した時期がある/感覚を大事にしている/おかしいと気づくのが早い/自然であろうとしている/自分がやっていることと距離を取る態度を身につけている/専門外の分野から学んだ経験がある。 ・競争は必ず優劣をつけるが、「学び」自体は全ての人に開かれている。そして「学び」そのものが「娯楽化」するのが熟達の道だ。

Posted byブクログ

2023/07/31

とことん自分と向き合って、競技と向き合ってきた方なんだろうなと尊敬する。 いくつになっても学べるし、成長できるという自分に対してのワクワク感が生まれた。 自分が今どの位置にいるのかも想像しながら読むことができた。 考え方が深くて素晴らしかったです。

Posted byブクログ

2023/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

為末大の本は基本購入して何度でも読むことにしている。この本も本屋で発見し、即購入。 今までの為末大の本は、断片的というか、書物にしては短文が多かったが、今回は1冊を通して、色んな技術をどのような段階を踏まえてスキルアップさせていくか、まさに熟達について5章だて5段階を踏まえて書かれている。 結構な歳になってからクライミングやランニングを始めた俺は、生来の運動音痴や積年の不摂生もあって、上達速度が非常に遅く、正直身体を動かすことには全く不向きだなと痛感することが多い。 それでも楽しいから続けているのだが、楽しいからやっているというのはこの本では第一段階の「遊」に当たるのだ。所謂努力や練習と言われる第二段階の「型」にすら到達していない情けなさ…。 それでも、日々走って登って楽しんでいれば、死ぬまでにひょっとしたら第三段階「観」の端っぽぐらいには手が届くかもしれない。成長が遅くても誰にも迷惑をかけないのであれば、それでもいいかなと思っている。 とにかくしっかり意識した練習を「量」こなしていくこと。そこを習慣化していかないと… ってこれ、読書のレビューなのか?(笑 この本も何度も何度も読み返すことになりそうだ。特に前半は型がつくくらいに読みふけりそう。

Posted byブクログ

2023/07/13

歳とった時、若い時と同じように身体を使うのできなくなるが、頭を使うことはできる。為末さんが考える、学び続けることでの熟達とはなにかを知りたい #熟達論 #人はいつまでも学び、成長できる #為末大 23/7/13出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 ...

歳とった時、若い時と同じように身体を使うのできなくなるが、頭を使うことはできる。為末さんが考える、学び続けることでの熟達とはなにかを知りたい #熟達論 #人はいつまでも学び、成長できる #為末大 23/7/13出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 https://amzn.to/3NO5Kuz

Posted byブクログ