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獣の夜 の商品レビュー

3.7

77件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

    3

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2024/04/17

[1]ヘンな短編のオンパレードで、すれっからしの読者にも対応してます。 [2]でも、妙に後味がよくて素直な読者でも安心です。 [3]背景にコロナ禍があり数十年後にはその切実さがわからなくなっているとは思いますが作品そのものの価値はたぶん減じないでしょう。 ■簡単なメモ 【雨の...

[1]ヘンな短編のオンパレードで、すれっからしの読者にも対応してます。 [2]でも、妙に後味がよくて素直な読者でも安心です。 [3]背景にコロナ禍があり数十年後にはその切実さがわからなくなっているとは思いますが作品そのものの価値はたぶん減じないでしょう。 ■簡単なメモ 【雨の中で踊る】 フットマッサージに行くはずだった永井は短パンのように見える海パンで家を出たせいか海に行こうと思った。そして… 【Dahlia】 「でも、きっとどこかに抜け道はある」 【太陽】 神経を抜いているはずの歯で激痛。歯科医は代替ペインだと言う。 《素敵な犯人です》 【獣の夜】 サプライズパーティーに連れていかなければならないのに友人の美也は肉に惹かれてコントロール不能。いろいろあって女二人、野生が覚醒する。 《結局のところ、起こってしまった過去は不動なわけだから、問われているのは今このときの私自身の心模様なのだ。》 《人はそれぞれのネイチャーのままに生きればいいし、どっちみち、それしかできないんだって》 【スワン】 ハタくんちの別荘の沼で誕生日プレゼントのスワンボートを漕ぐと不思議なことが… 【ポコ】 飼い犬のポコが死んだ。 《ポコをあれほどしがみつかせた何かが、きっと、この世界にはあるはずだ。》 【あした天気に】 てるてる坊主たちのテルテル王国に行った。 《我々は非科学の申し子、てるてる坊主ですよ。》

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2024/03/23

森絵都さんの短編集。 皮肉が効いている作品が多めでした。 表題作「獣の夜」は、なかなか爽快! ジビエもおいしそう。

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2024/03/22

短編集。 表題作の「獣の夜」は 江國香織さんみたいな テイスト。 「スワン」など数編は筒井康隆の ショートショートみたいな、 ファンタジーで笑えて 心があったかくなるストーリー。 一番好きだったのは「あした天気に」 これが表題でも良かったんじゃないか?と個人的には強く思った。 ...

短編集。 表題作の「獣の夜」は 江國香織さんみたいな テイスト。 「スワン」など数編は筒井康隆の ショートショートみたいな、 ファンタジーで笑えて 心があったかくなるストーリー。 一番好きだったのは「あした天気に」 これが表題でも良かったんじゃないか?と個人的には強く思った。 設定はユニークで、 空想好きな森絵都さんが、楽しみながら書いたんじゃないかな?と 想像させる。 でも、どの短編をとっても、 誰もが共感できる部分が必ずある。 過去への後悔だったり、 家族との確執だったり、 恋愛観だったり。 本当に大切なもの、って何だろう? ここにあったね、これだったね。 ほら、見えたよね。 軽いタッチの 短編集でありながらも、 こういった人間の本質を 垣間見せてくれるあたり、 やっぱり、森絵都さん好きだ! 風に舞い上がるビニールシート、 は勿論、 みかづき、 漁師の愛人も好きな作品。

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2024/03/21

短編集ってなんだか苦手で普段はあまり手に取らない。でも、今回ばかりは装丁に惹かれて読んでみた。 最後まで読んで思うのは、やっぱり森絵都さんが書く本は本当に読み易いなと思う。 これからは短編集にも目むけたいかも…

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2024/03/10

2016年から2022年までに雑誌やWEB、アンソロジーに発表された7篇を収録した短篇集。そのせいか統一感を欠き、読んでいて落ち着かない。反面、同じような作品ばかりを読まされる心配はないので安心感はある。一長一短か。 リフレッシュ休暇をコロナ禍で台無しにされた会社員の「雨の中で踊...

2016年から2022年までに雑誌やWEB、アンソロジーに発表された7篇を収録した短篇集。そのせいか統一感を欠き、読んでいて落ち着かない。反面、同じような作品ばかりを読まされる心配はないので安心感はある。一長一短か。 リフレッシュ休暇をコロナ禍で台無しにされた会社員の「雨の中で踊る」、結婚8年目の女性の誕生日をサプライズパーティで祝おうとする表題作、シャレで作ったてるてる坊主が起こす奇跡を描いた本書中最長の「あした天気に」が好みだった。

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2024/02/25

表題作の獣の夜も傑作。浮気相手とご飯を食べている間に女子2人でジビエ料理をかっ喰らう描写が最高。明日天気になあれ、もてるてる坊主に天気のお願いを3つ叶えられるという設定が面白い。結末もあっぱれ。

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2024/02/05

人間の感情のうつろう様を描いた短編集。 読みやすい中にドキッとする表現もあり、ややファンタジー要素もあるお話でした。

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2024/02/01

『獣の夜』‥世間的な善悪で他人を判断しない二人。それを心の柔軟さと言うには少し生々しさが漂う。自分にもあった獣の部分。平凡な還暦の自分にホッとする。 『あした天気に』‥思いも寄らない結末に意表を突かれた。ドラマ化して多くの人を笑顔にして欲しい!

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2024/01/22

生きることに戸惑い立ちすくす人たちと、それに寄り添う存在が織りなす物語。「あした天気に」の王道のリリカルなユーモアと優しさ真っ当さが心地よかったし、ちょっと異質な「Dahlia」も好き。「正しいことは移り変わるけど、美しいものは変わらない」 ただ、表題作。野暮な観方だと自覚しつつ...

生きることに戸惑い立ちすくす人たちと、それに寄り添う存在が織りなす物語。「あした天気に」の王道のリリカルなユーモアと優しさ真っ当さが心地よかったし、ちょっと異質な「Dahlia」も好き。「正しいことは移り変わるけど、美しいものは変わらない」 ただ、表題作。野暮な観方だと自覚しつつ。主な登場人物たち皆んな、恋愛奔放とかいうカッコつけた言い訳で悉く親しい人を裏切っているの、人間的にどうなのよ、クズばかりと呆れて冷めた読後感だった。

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2024/07/03

 自分なりに一所懸命に生きてきたつもりだったのに……。  何かのはずみで日常が変化してしまった人たちを描くファンタジー要素が強めの短編集。            ◇  コロナ禍の最中のある日。永井タクは妻からフットマッサージに行くことを勧められた。それもかなり強く。  在宅ワーク...

 自分なりに一所懸命に生きてきたつもりだったのに……。  何かのはずみで日常が変化してしまった人たちを描くファンタジー要素が強めの短編集。            ◇  コロナ禍の最中のある日。永井タクは妻からフットマッサージに行くことを勧められた。それもかなり強く。  在宅ワークの妻は間もなくオンライン会議の時間だ。夫がいては邪魔なのだろうと思い、永井は妻の提案に従うことにした。  マッサージ店でズボンを脱がなくてもいいように短パンを探したが、なかったので海パンを履いて駅前のマッサージ店に向かう。  だが駅が近づくに連れ、永井の気持ちに変化が生じてきた。  今日でリフレッシュ休暇が終わる。明日からまた仕事だ。なのにフットマッサージで時間を潰していていいのか。   そう思った永井は海パンを履いていることもあって、行き先を海に変更することにしたところ……。        ( 第1話「雨の中で踊る」) 全7話。        * * * * *  いろいろなチョコレートの詰め合わせみたいな短編集で、どんな味わいなのかワクワクしながら楽しめました。  特に気に入ったのは第3話「太陽」と最終話「あした天気に」で、読後の爽快感が格別な作品です。簡単に紹介すると……。 第3話「太陽」  緊急事態宣言が発出されたその日、奥歯に釘をねじ込まれるような痛みを感じた加原という女性は、翌朝さっそく自宅近くの歯科医院に電話を入れますが、コロナ禍が原因でなかなか予約が取れません。  いくつか当たってみたものの、どこも予約がいっぱいだったり新規患者の受け入れをしていなかったりで、軒並み断られてしまいます。  ところが一軒だけ、診療時間内なら好きなときに来ていいというところが見つかったのですが……。 ☆名医とはこういう医師を指すのでしょうね。風間医師は、カウンセリング、診察、診断。さらにアフターケアも申し分ない。しかもおちゃめです。  歯に支障がなくても、まったく別の要因で歯痛を感じることがあると、耳にしたことがあります。こういう場合、普通の歯科医ではお手上げです。  風間医師のように患者と会話を重ねることによって歯痛の原因を突き止め、それを患者にも気づかせる。こんな優れたカウンセリングマインドを持った医師が増えてくれることを願いたいものです。 ( 大好きなクッピーラムネ。私も処方して欲しい! )   最終話「あした天気に」  ゴルフの下手な一平は、明日の接待ゴルフが憂鬱でしかたありませんでした。けれど一平はなぜかその時、思わずてるてる坊主をつくってしまいます。  するとその夜、一平は夢の中でてるてる坊主の国に招かれ、「自分たちを忘れずに頼ってくれた」と感謝されたうえ、お礼に3つの願いを叶えてもらえることになりました。ただし願いごとは天気に関することに限るという制約付きです。それなら明日はどしゃ降りにしてほしいと一平は言ってみました。  朝になり目覚めた一平は、地面を叩きつける滝のような雨を目の当たりにします。ゴルフ中止の連絡に大喜びの一平。てるてる坊主の「3つの願い」は夢ではなかったのです。  残り2つの願いごとは思いつき次第、部屋につり下げたてるてる坊主に伝えるということになっています。  せっかく予定が空いた休日です。一平は ( てるてる坊主を連れて ) 地元に帰り、思いきって高校時代の部活仲間だった小春に会うことにしますが、実は2人にはあるわだかまりがあって……。 ☆かつて土着信仰の対象となり人々から畏れられ祀られてきた「産土神」や「妖怪」などでさえ、人々から忘れ去られることで力を失い、やがて消え去ってしまうと言われます。  ましてや子どもに親しまれるだけで畏れられもしなかった「てるてる坊主」など、科学や娯楽が発達した現代では絶滅危惧種でしょう。彼らの苦衷は察して余りあります。それをうまく取り込んだのが、この最終話です。  ファンタジー色の強い構成で、一平に生きる意欲を持たせて自立させる方向へと導いていく展開は楽しいのひと言でした。  優れた児童文学作家でもある森絵都さんの力量を見た気がします。  表題作の『獣の夜』も含め、主人公たちが前を向いて歩もうとする姿が清々しくて元気づけられました。

Posted byブクログ