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やさしい共犯、無欲な泥棒 の商品レビュー

3.7

7件のお客様レビュー

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2024/05/28

2年前に急逝されたと知ったときは 本当にショックだった、今も悲しい。 潮ノ道の物語は懐かしい 「花散る夜に」幻想的な美しさ 「やさしい共犯」「無欲な泥棒」 は'80年代の大学生たちが可愛いい 「尾道草子」が読めたのもうれしい

Posted byブクログ

2024/05/21

[1]おそろしく穏やかで、でもミステリとして無理がないという稀有な世界。 [2]FM潮ノ道の話は他にもあるならもっともっと読みたくなりました。潮ノ道のモデルと思われる地は故郷からそう遠くないのでちょいちょい行ってたけどトシとったらしんどそうやなあということと、わりと平地もあるんや...

[1]おそろしく穏やかで、でもミステリとして無理がないという稀有な世界。 [2]FM潮ノ道の話は他にもあるならもっともっと読みたくなりました。潮ノ道のモデルと思われる地は故郷からそう遠くないのでちょいちょい行ってたけどトシとったらしんどそうやなあということと、わりと平地もあるんやと思ったりもしてました。趣があるので少なくともヨソモノにとってはええ土地です。 [3]ずいぶん以前に『時計を忘れて森へいこう』を読んで以来もっと読みたいと思ってましたがなかなか本の少ない著者で、単行本未収録作品のリストがあるこの本は価値あるかも。 【黄昏飛行】おっちょこちょいなとこはあるが明るくめげない永瀬真尋はコミュニティFM局「FM潮ノ道」の番組「黄昏飛行」のパーソナリティ。佐々木倫子さんのキャラクタのような感じ。杉下右京のような(全世界どこにいても浮いていそうな)局長、コーヒーの求道者のような山斗、事務仕事に長けている海斗らとともに楽しくやっている。特に局長との会話が楽しい。《ラジオはリスナー一人一人に、「あなた」と語りかけるメディアだから》p.48。今回は潮ノ道出身で離婚して旧姓のまま戻ってきた女性とかつて付き合っていたと思われるガサツな男性。 【黄昏飛行 涙の理由】潮ノ道の名物坊主、持福寺の了斎さんが推進力になっている恒例の幽霊画展示会。《幽霊の絵には、瞳孔が描かれません》p.70。中の一枚、森山桃花の「初恋」という絵に一年前には見えていなかった涙がはっきり見えるようになった。《それでも、絵に負けるわけにはいかないさ。》p.83/真尋が初めて憧れた大人の男性は仮面ライダー響鬼。《君は大体、簡単に感情移入しすぎです。》p.71。《誰かの人生が不幸だったなんて他人が決めつけてしまうのは、失礼だと思います》p.77 【不通】潮ノ道出身の悟がキャッチセールスっぽい形で親しくなったエリと連絡がつかなくなった。そんなとき先輩の菅生から潮ノ道の祭を見たいと誘われた。 【花散る夜に】マノミ(魔の実)を漬け込んだ酒は病に劇的な薬効を示す場合があるが治ったときには一番愛する者の記憶を失うという人間関係を試すような副作用がある。耀海(かぐみ)の領主蒼波(そうは)の妻水澄(みすみ)の病を治すためにマノミ酒を飲むことになったが。視点役の竹流(たける)は哲学的な思考をする。万能薬であるマノミの守りである初音は即物的な思考をする。ファンタジーであり謎解きがけっこう納得できるかたちになっていたミステリでもありました。 【やさしい共犯】浪速大学、通称「なんだい」ミステリ研の新入部員吉野桜子と「ミステリ研の筋肉」の黒田先輩、「ミステリ研の良識」公家のような清水先輩、「ミステリ研の頭脳」堕天使のような美貌の若尾先輩は今日も今日とて喫茶店「オーギュスト」で駄弁っていたが、黒田先輩が「シャロット姫がいたんや……」と言った。さて題名の「共犯」は誰と誰でしょう? これもわりと無理ないミステリ。 【無欲な泥棒】関西ミステリ連盟のイベントで参加費を集めた封筒が盗まれたが一部分だけなくなって封筒自体は見つかった。《状況打開の役に立たないことはやらない、それが我がミステリ研のモットーである。》p.260 【花吹雪】描かれた桜が。 【弥生尽の約束】学生の頃の仲間が集う何十年も続いている桜の花を見る会。 【何もできない魔法使い】何もできない魔法使いはただ人びとのそばにいてくれる。

Posted byブクログ

2023/10/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【収録作品】第一部 潮ノ道の物語 黄昏飛行/黄昏飛行涙の理由/不通 第二部 短篇の名手 花散る夜に/やさしい共犯/無欲な泥棒-関ミス連始末記- 第三部 尾道草紙 花吹雪/弥生尽の約束 あとがきにかえて 何もできない魔法使い 「光原百合さんのこと」 有栖川有栖 第一部 初めの2作はFM潮ノ道を舞台とした物語。ユーモラスな語り口が楽しい。 第二部 「花散る夜に」 不思議な木の実「マノミ」とその守り手の残酷で優しいファンタジー。 「やさしい共犯」「無欲な泥棒」は大学のミステリ研究会の面々が活躍する日常の謎。雰囲気は昭和かな。 第三部 桜を巡る幻想的な物語二つ。

Posted byブクログ

2023/10/01

一見すると優しい柔らかな物語なのだが、人の世のままならぬこともそこにはあって、それでもやっぱり人を信じている。そしてミステリが好き。それらがきゅっと詰まっているから、珠玉なのですね。

Posted byブクログ

2023/07/22

 本屋さんでこの本を見つけたとき、涙が出そうになりました。光原百合先生の新しい本が読める!でもこんな、遺作集みたいな形で読むことになるなんて。  最初の「黄昏飛行」は潮ノ道の町でラジオのパーソナリティーを務める真尋が主人公。名前の謎解きが鮮やかな一編で、局長さんや同僚の双子、住職...

 本屋さんでこの本を見つけたとき、涙が出そうになりました。光原百合先生の新しい本が読める!でもこんな、遺作集みたいな形で読むことになるなんて。  最初の「黄昏飛行」は潮ノ道の町でラジオのパーソナリティーを務める真尋が主人公。名前の謎解きが鮮やかな一編で、局長さんや同僚の双子、住職さんもいい味出してました。その次の「黄昏飛行 涙の理由」も同じ主人公。こちらの謎解きは正解がわからないけれど、夏にふさわしいお話です。  「不通」はね、最初から怪しいと思えよ、ぼく、と思わないでもなかったけれど、最後のシーンが見事でした。「花散る夜に」はファンタジー設定で、なのにばりばりの本格ミステリ。一種の密室ものでもあります。  「やさしい共犯」「無欲な泥棒」は、『遠い約束』に出てきた桜子となんだいミステリ研の三人の先輩のお話。人を殴ってはあかんやろとか、花の謎解きそこで終わり?とか、若尾先輩法学部やなかったっけとかツッコミどころはあるけれど、楽しいからいい!「英都大学ミステリ研の江神さん」も名前だけ出てきて、にやっとさせられます。  ほかの小品も心温まるものばかりでした。光原先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

Posted byブクログ

2023/07/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先生の訃報を知らずにいたので、某作家さんがこの本を宣伝されているのを見かけて初めて知ったという。 自分を日常ミステリへと誘ってくれた作家さんだったので、思い入れもひとしお。 そんな先生の短編集、大切に読みました。 尾道をモデルにした町が舞台の連作から、ファンタジーに謎解きのある話まで様々。 謎解きも全容を明らかにせず、読者の好きに想像させる余地のある話もあって驚いた。 ファンタジーな世界の中にも殺人事件(?)を絡めた話もあって読み応えもあり。 そんな中、個人的に一番印象的だったのは、尾道の民話になってほしい短編2作品と、あとがきにかえて掲載された短編だった。 他の作品に比べると文章量は短いのだが、先生の作風をぎゅぎゅっと濃縮された感じで「ああ、そうそう、こういう感じ」と思えたのがこの3作品だったので。 何度でも読みたくなりました。 もうこれ以上、物語が紡がれないことが本当に残念です。 心よりご冥福をお祈り申し上げます。

Posted byブクログ

2023/06/12

【尾道の作家が紡いだ傑作短篇を編んだ追悼作品集】生まれ育った町・尾道で綴ったミステリ、ファンタジー、童話が一冊に。人を好きであることの切なさと、広い世界への憧れが溢れ出る。

Posted byブクログ