はーばーらいと の商品レビュー
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ポテトチップスのうすしお味ですら、ひばりにとってはエリアビーチの潮の匂いを感じされられたのだろうと思った。 ずっと読むのがしんどかったし、施設を出る前によくないことが起きるだろうと思っていた。けどひばりはずっと踏ん張っていて笑顔の別れで勝ち逃げした。自分は逃げ出したかったところから笑顔で去る事ができなかった事を思い出す時があるけど、これができたひばりは本当にすごい。いちばん印象に残ったシーンだった。 また、作者あとがきでトイレで着替えるシーンについて「人が人を救う決定的な瞬間はああいうささやかな事だ」と言及しており、自分もふとしたことで救われたなあと重ねていた。友人、ありがとう。 自分自身、しんどかった時期を思い出して苦しくなる日が波のようにきて消えることはないけど、最近生きていて少しずつ本を読んだり人と話をして救われていってる実感がある。少しずつでいいのだと、この本を読んで再確認できた。
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言葉のチョイスがさり気なくてすき。 集団の難しさを考えさせられる。 ひとりひとりとはうまく行くのに、グループが出来た途端不具合が生じるのはなぜなんだろう。
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人間は弱い生き物だから、集団化して考えることを止めて、周りに合わせるのが一番楽な方法だと思う。 そんな世界でもひばりみたいに常に自分の頭で考えて、違和感を感じて、自分の気持ちのままに賢く生きていきたって思わされた。
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描かれている風景が美しくて、その美しさが苦しかった。いっそ悪者はめちゃくちゃ悪者であってほしいのに実際そうはいかない、みたいな。愛ってなんだろうな。 【読んだ目的・理由】吉本ばなな作品が好きだから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.2 【一番好きな表現】生きるのは今の連続が...
描かれている風景が美しくて、その美しさが苦しかった。いっそ悪者はめちゃくちゃ悪者であってほしいのに実際そうはいかない、みたいな。愛ってなんだろうな。 【読んだ目的・理由】吉本ばなな作品が好きだから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.2 【一番好きな表現】生きるのは今の連続があるだけで、理屈をつけてそこに生活を合わせてついていけるようなものじゃないよ。(本文から引用)
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事前情報一切なしに、ほぼ初めましての吉本ばななさんの作品。核となる問題はとても重いのに、登場人物やその言葉一つ一つにあたたかみがあるからか物語自体はとても柔らかく、スッと心に入ってくる、不思議な感覚だった。 本作のテーマは「宗教2世」。 被害者家族とその少女を救うまでの物語。 ひばりは支えになる存在、つばさとその母親がいたからこちらに戻って来れたけど、親の洗脳を受け入れて、諦めて、その世界に順応してしまう子も多いんだろうな。そして生まれた時からこの環境しか知らない子どもは、自分で選択する自由がない。それが恐ろしい。「いちばん困っているのは全員が悪い人じゃないっていうことなんだ」、ここに問題解決の難しさ、本質が詰まっているのかも、そう思った。 --- もっと幸せになりたいから欲が出る。でも、そのときどきにほどよい量が大切で。そういう欲のあり方を避けるために、そしてほどよいということを学ぶためにこそ、宗教みたいなのってあるんだと思ってた。 何も奪わないのが、神様ってもんじゃないのか。 世界のことや世界中の人を信じることはできないけど、知ってる好きな人くらいは信じたい。 未来の自分が考えるべきことを、今考えてはだめ。 可能性の淡い香りだけが、自由の味わいなのだ。 ---
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↓の方の感想にとっても共感。 *YUKO*さんの感想・レビュー『はーばーらいと』 https://booklog.jp/users/yuko1023/archives/1/4794973675 ばななさんの作品はいつも、本当のことがすーっと心に入ってくるのが心地いい。重たいテー...
↓の方の感想にとっても共感。 *YUKO*さんの感想・レビュー『はーばーらいと』 https://booklog.jp/users/yuko1023/archives/1/4794973675 ばななさんの作品はいつも、本当のことがすーっと心に入ってくるのが心地いい。重たいテーマでも、救いがあるし、大切なことをきちんと大切にしている人々が出てくるからだと思う。 宗教や宗教二世は、実際のわたしの生活にはあまり登場しないものだけど、この物語で浮かび上がるいくつもの大切なことは、わたしの生活や人生の指針になりそう。 隣の人を幸せにする。自然こそが最強。 時々読み返したいと思った。 あと、終盤の一節、ひばりのこの言葉が好きだった。 --- 一見つまんなく見えることがたぶん愛なんだと思う。いつもしてるネックレスとか、道端の猫を撫でたら家までついてきたとか、脱ぎっぱなしの服から自分の匂いがしてくるとか、好きな人たちそれぞれの足音とか。 うちの両親にはそりゃあ哲学的なたくさんの考えがあったかもしれないけれど、やっていることは雑味を抜いた、人生の模範、机上の空論をむりに現実におとしこんだ生活でしょう。雑味こそが人生かもしれないのに。そこから砂金を探す作業が一生の意味かもしれないのに。 ---
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一晩で一気読みしてしまった。 宗教二世と被害者家族という重い設定だけれど、自分ではどうしようもない困難や状況に対して、どういう気持ちで立ち向かうか。 家族の中心となる人(つばさの母)はどういう振る舞いと信念でいれば、まわりがグラグラしないか。 日常のなかで、自分の周りの人たちに対...
一晩で一気読みしてしまった。 宗教二世と被害者家族という重い設定だけれど、自分ではどうしようもない困難や状況に対して、どういう気持ちで立ち向かうか。 家族の中心となる人(つばさの母)はどういう振る舞いと信念でいれば、まわりがグラグラしないか。 日常のなかで、自分の周りの人たちに対して利他的であること。 そういう自分の生活と密接して、グッとくるシーンがいくつもあった。 つばさの飾らない真摯な姿がとても清々しい。 辛い状況の時に読んだら、灯台の光が見えるような本だと思った。
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信仰と家族と愛と自由の話。 吉本ばななさんの本は何冊か読んだけど、この本を読んで吉本ばななさんの良さがわかった気がします。伊豆行きたいな。
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筆者があとがきに記したように、安倍元首相の暗殺によってクローズアップされた「宗教二世」をテーマに書かれている。ひばりが洗脳されなかったのは確かにつばさの家族がいたからだし、退会できたのも奇跡的だったかもしれない。ばななさんの作品は、とにかく一言一句もらさず、すべてに意味がある言葉が並んでいると思う。読んで考えてほしい作品。
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安倍元首相の事件で知ることになった 宗教二世の苦しみ 自分らしく生きる道を選ぶ親は純粋であっても その子供は 親や施設の中での偏った常識に洗脳されて行くしかないのか 今回はつばさと理解ある大人つばさの母が 強い気持ちで救い出してくれて良かった 現実はとても難しい事だと思うからこそ 読み終えた時に優しい気持ちになれた つばさの父は飛び降りた生徒の下敷になり命を落とす 母は今でも落ちるお父さんを受け止める夢を見る つばさは高層階の窓に寄れない トラウマがあり不条理な死を受け止めて行こうとする2人は優しい 立場も状況も違うけれど 鬱病の妹に大量のお薬を出し 余計に苦しみが増すカウンセリングをする病院から 彼女を連れ出した時が重なった 彼女の意思を尊重する事が正しいのかを悩んだ時期 は苦しかった 今彼女はストレスなく生活していて 過去の事として話が出来る良い状況
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