ウクライナ戦争はなぜ終わらないのか の商品レビュー
ロシアがバランシング(欧米に対抗)の道を選んだ意思決定に、モンゴル支配時代からの武力重視の価値観があったのか。 結局国家としての判断も最後はアイデンティティの話になる。 やっぱりここを理解するために「ロシアについて」を先に読んでおいてよかった。 戦争開始の判断を止めるための欧米...
ロシアがバランシング(欧米に対抗)の道を選んだ意思決定に、モンゴル支配時代からの武力重視の価値観があったのか。 結局国家としての判断も最後はアイデンティティの話になる。 やっぱりここを理解するために「ロシアについて」を先に読んでおいてよかった。 戦争開始の判断を止めるための欧米の準備が弱い状況にあった。軍備対抗力や政治力的に、侵攻が有効な手段たり得るとロシアに思わせるものがあった。 長引いた理由の一つに、ロシアのクリミア侵攻での無血開城の成功がある。プーチンはウクライナ侵攻が1週間程度で成功終了すると見ていた。つまり慢心。また情報戦略で負けている。結局それら全て、軍事力だけでなく国家としての総合力が問われるということか。 また、台湾有事の際の備えについても言及があり(寧ろこちらが本題かも)、結局戦争を起こさないためには力の均衡を保ち発信することが最重要となるということ。悲しいけどこれ、現実なのよね。良著でした。
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安全保障の専門家によるロシア・ウクライナ戦争の解説本。この戦争はなぜ始まったか、どのような戦争なのか、終わらせることができるのかの3点について、本質的かつ大局的な分析を展開している。加えて台湾海峡有事にも言及し、日本人が考えるべき安全保障の観点も示す。 専門的な知見が勉強になる...
安全保障の専門家によるロシア・ウクライナ戦争の解説本。この戦争はなぜ始まったか、どのような戦争なのか、終わらせることができるのかの3点について、本質的かつ大局的な分析を展開している。加えて台湾海峡有事にも言及し、日本人が考えるべき安全保障の観点も示す。 専門的な知見が勉強になるのはもちろんだが、本書はとにかく論理が明快で冷静な点と、内容が必要十分で不足感も冗長感も皆無な点がすごい。今も続くこの戦争に対する見方がだいぶクリアになった。 現実的な分析ゆえに、「この戦争はアイデンティティの衝突という性格のため落とし所がなく、終わらせることが難しい。もし台湾海峡有事が生じた場合もその性格があり、終わらせるのはもっと難しくなり得る」という暗い結論が導かれるが、だからこそ抑止のためにどうすればいいか我々も考える必要があると論じている。
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本書では、「なぜロシアによるウクライナへの軍事侵攻は起きたのか」換言すると「なぜロシア(現状変更者)への抑止は機能しなかったのか」から論考を始め、どのように始まったかを見た後に、終わるとしたらどのようなシナリオを考えることができるかを見ていく。 (国内の事情を捨象する)システムレベルから見れば、背景には冷戦終結後の米国一強体制から、ロシア側の資源価格高騰に起因する経済復興と発言力の強まり、また米国側の対中政策へのシフトによる相対的な欧州の重要性の低下と、ロシアにとっての「機会の窓」は確実に広がっていたことが窺える。 また、新START後の体制で、ロシアの核戦力と米国のそれとのギャップが埋まる中で、戦略レベルでの安定性が構築されたことで、ロシアから見れば地域での侵攻が核戦争を引き起こすことはないだろうという、戦略レベルでの安定性が地域レベルでの不安定性を引き起こすという(”stability-instability paradox”)が観測されているのは、冷戦期に大国同士の交戦はなかったものの、地域単位での紛争(代理戦争)が生じた時代と根底は変わってないことが窺える。 ただ、今回米国側が実施していた「探知・開示による抑止」が失敗し、なぜロシア側にコストとして「認識」されなかったのかは掘り下げていく余地がありそうで興味深い。 この戦争の終わり方に着いては複数のシナリオの記載があるものの、本書で書かれているとおり双方にとってそれぞれが何者であるかというアイデンティティと結びついているため、どの段階で戦況を固定化させたとしても、双方にとって飲み込めないという終わらせることが非常に難しい点、あとがきにあるとおり、一度始まってしまうと終わらせることが非常に難しいため、始めさせないようにすることが重要という点は非常に首肯する。
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本書は、高橋杉雄編著であり、高橋氏の他にも3人の研究者の章もある。このことで、より客観的に分析ができているように思える。 内容は難しいものではなく、日頃ニュースを聞いてぼんやり思っていることを丁寧に文章化した感じなので、そうそうと納得しながら読める。 このような丁寧な分析に...
本書は、高橋杉雄編著であり、高橋氏の他にも3人の研究者の章もある。このことで、より客観的に分析ができているように思える。 内容は難しいものではなく、日頃ニュースを聞いてぼんやり思っていることを丁寧に文章化した感じなので、そうそうと納得しながら読める。 このような丁寧な分析に基づく考察はとても説得力があり、かつ大事な現状説明である。一部分を取り上げてセンセーショナルに報道するマスコミやSNSを見ていると、いつの間にか見落としが出てくるのだ。 決して派手な言論に与せず、冷静で慎重な文章・意見で一貫している本書はとても信頼できるものだと思う。
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なんで戦争が終わらないのか、なんで侵攻したのか戦争が始まって2年ほど経ってるはずなのに全く知らなかった自分を恥じました なんかほんとに面白くて興味深すぎてあーー国際政治とか国際法とかもっと学びたいてなりました
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ロシア・ウクライナ戦争について、なぜこの戦争は始まったのか、この戦争はどのような戦争なのか、この戦争は終わらせることができるのか、という3つの論点について考察し、最後に日本の安全保障への影響についても論じている。 1つ目の問いについては、この戦争はロシアとウクライナのアイデンティ...
ロシア・ウクライナ戦争について、なぜこの戦争は始まったのか、この戦争はどのような戦争なのか、この戦争は終わらせることができるのか、という3つの論点について考察し、最後に日本の安全保障への影響についても論じている。 1つ目の問いについては、この戦争はロシアとウクライナのアイデンティティをめぐる戦争であり、抑止はほぼ不可能に近かったと結論付けられている。 2つ目の問いについては、この戦争は、「古さ」と「新しさ」が同居しているところに特徴があり、「デジタル時代の総力戦」と捉えられると論じられている。 3つ目の問いについては、3つのシナリオが考えられるが、どれも相当の時間がかかることが見込まれたり、蓋然性が低かったりして、いずれも早期実現の可能性は低いという悲観的な結論となっている。 そして、日本の安全保障への示唆として、中国による台湾海峡有事を念頭に置き、ロシア・ウクライナ戦争の最大の教訓は「戦争は始めるよりも終わらせることが難しい」ことであるとして、中国に「戦争を始めさせない」ために軍事的な抑止力の強化が必要であると指摘する。 ロシア・ウクライナ戦争の来歴と性格、今後の見通しについてとてもよく整理されている良書である。DIMEという概念や構造的リアリズムにおける「バンドワゴン」と「バランシング」という概念など初めて知る概念も少なくなく、ロシア・ウクライナ戦争の分析を通じて、安全保障論全体の勉強にもなった。 本書の結論はかなり厳しいものであるが、納得性の高いものであった。支援疲れが言われているが、ウクライナが占領地を奪回できるように国際社会が支援を継続していくことが大切だと改めて認識した。 アイデンティティを巡る争いという点では、懸念される台湾海峡有事は、ロシア・ウクライナ戦争以上ともいえ、本書が指摘するように中国に戦争を始めさせないために日本としても最善を尽くすことが必要だと感じた。その点で、賛否両論あるが、日本の防衛力強化は重要だと再認識した。
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国家としてのアイデンティティがロシアの考え方や感じ方を規定して、クリミア併合とロシア・ウクライナ戦争を選択させた。 これまでロシアの行動の理由の根本に何があるのかがわからなくて、ロシア・ウクライナ戦争勃発当初まことしやかにささやかれていたように、狂った独裁者にロシアが巻き込まれた...
国家としてのアイデンティティがロシアの考え方や感じ方を規定して、クリミア併合とロシア・ウクライナ戦争を選択させた。 これまでロシアの行動の理由の根本に何があるのかがわからなくて、ロシア・ウクライナ戦争勃発当初まことしやかにささやかれていたように、狂った独裁者にロシアが巻き込まれたという話が事実なのかどうか、いまだにいぶかしく思っていたけれど、国家としてのアイデンティティという考えを含めて考えると、すとんと納得できた。 考えてみれば当然だ。日本を含めた西側諸国だって、自由な民主主義国家というアイデンティティのためにウクライナを支援してきた。 この本の中でも盛んに論じられている、ロシアがウクライナで核兵器を使用する可能性についてだけれど、ソ連はチェルノブイリ原発事故でとどめを刺されたようなものだったし、核による被害についてのトラウマは旧ソ連国内にはまだ根強くあるんじゃないかと思う。 ロシアの目的はウクライナの国土強奪のはずだし、手に入れたい国土を核兵器で汚染させるだろうかと思う。 でも、手に入れたいはずのウクライナ人をブチャで虐殺したことを考えると、ロシアの核兵器使用に関する私の考えは、使わないでほしいという願望だけに基づいたものかも。 冷戦時代はイデオロギーをめぐる対立だった。ソ連が崩壊して冷戦が終わってから、イデオロギーの害悪について盛んに語られるようになった。 いま起きている戦争がアイデンティティの対立によるものなら、争いが終わった後にアイデンティティの害悪が語られるようになるの?そんなことになったら、誰も自分がだれかわからなくなってしまうので、そんなことにはならないはず。でも、一瞬だけそんなことも起きてしまうのかもと思った。 ロシア・ウクライナ戦争以前は軍事力が存在しなければ戦争も起きないと夢想していた。もうそんな夢は見られない。日本にも防衛力が必要だ。最低限、中国共産党が台湾有事をためらう程度の防衛力が。 高橋杉雄がロシア・ウクライナ戦争について、さまざまな媒体で非常に理解しやすく解説しているのを見て、著書も読むようになったけれど、文章でもやはり理解しやすい。
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開戦原因、抑止や宇宙、ハイブリッド戦争などの観点から、戦略や安全保障の専門家によるウクライナ戦争の分析と台湾有事へのインプリケーション
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2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で始まったロシア・ウクライナ戦争は、「ヨーロッパの一部」となることを選択したウクライナに対し「旧ソ連的な勢力圏」を形成するためにウクライナ(の領土)を必要とするロシアが一方的に攻め込むという構図であるが故に、ロシアがその意図を充足す...
2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で始まったロシア・ウクライナ戦争は、「ヨーロッパの一部」となることを選択したウクライナに対し「旧ソ連的な勢力圏」を形成するためにウクライナ(の領土)を必要とするロシアが一方的に攻め込むという構図であるが故に、ロシアがその意図を充足するか、断念しない限り終結しない。 前者はウクライナに妥協を強い、後者はロシアの宗旨変えか物理的な無力化を意味するために、短期間での終結は見通せない。 本書の本筋は1章と5章の編著者による論考であり、挟まれた他著者による論考は補足的なものなので、1+5章を読んだ後に2〜4章を読むのも勉強としてはあるが、各論にも同等の重みを置き、結論(書名の命題に対する回答)を最後に配置する本書の構成が落ち着きが良いのだと思う。
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ロシア・ウクライナ戦争の開戦から現在に至るまでの戦争の経過からわかる現代の戦争の特徴(&従前の戦争との共通点)や、戦争を終わらせるに至るシナリオについての検討がされている。それぞれの国家の論理からすれば、落としどころを見つけるのは極めて困難で、戦争を始めさせないこと(つまりは抑止力を高めること)が最も重要であろう。
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