今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる の商品レビュー
手に取った第一印象は「ページが厚い」。110ページしかありません。別の形で、もっと安くだしてほしかった。内容は良いだけに残念。
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宮本常一氏とは、趣味の世界を極めて学問的な探究心を持って後世へ歴史民俗的な遺産を残してくれた人。 その珠玉のメッセージを解説とともに紹介してくれている。107ページの薄い本だが非常に読み応えがあった。永久本棚に入れておきたい一冊。 旅行、とりわけ街歩きが好き、という人に読んでもら...
宮本常一氏とは、趣味の世界を極めて学問的な探究心を持って後世へ歴史民俗的な遺産を残してくれた人。 その珠玉のメッセージを解説とともに紹介してくれている。107ページの薄い本だが非常に読み応えがあった。永久本棚に入れておきたい一冊。 旅行、とりわけ街歩きが好き、という人に読んでもらいたい本。街歩きを極めるとこうなるのかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2024/3/23 読了 1955年から多くの人口がサラリーマン化し、そういう人たちは時間に縛られ、仕事に縛られ、考え方に縛られる。つまり枠のなかだけで行動することになり、自由に考えるための立場すら失ってしまっている。 そういうことへのいらだちがが鬱積し、ほとんどの人たちがなにかしらの自己嫌悪に陥っている。そういうものから救わられるため、その束縛から逃れようとするのが旅のかたちとなり、観光のかたちとなって表れている
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旅に学ぶ父の10箇条 01汽車に乗ったら窓から外をよく見る。豊かか貧しいかその雰囲気を感じ取る 2新しく尋ねたところが高いところから見てみよう。 3金があったら名物や料理を食べる その暮らしの程度が分かる 4時間のゆとりがあったら歩いてみる。 10、み残したものを見るようにしろ ...
旅に学ぶ父の10箇条 01汽車に乗ったら窓から外をよく見る。豊かか貧しいかその雰囲気を感じ取る 2新しく尋ねたところが高いところから見てみよう。 3金があったら名物や料理を食べる その暮らしの程度が分かる 4時間のゆとりがあったら歩いてみる。 10、み残したものを見るようにしろ その中にいつも大事なものがあるはず 焦る事は無い自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。
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民俗学や宮本常一に全く土地勘が無かったが、入門本として薄く広くで話題が飛びがちなところはあるが、更に読書を進めてみようという気にさせる。 何点か特に印象に残ったのは、冒頭にある心の民俗学とものの民俗学ということで、柳田國男など、有名な民俗学者は前者で、有字文化を追うのに対して、...
民俗学や宮本常一に全く土地勘が無かったが、入門本として薄く広くで話題が飛びがちなところはあるが、更に読書を進めてみようという気にさせる。 何点か特に印象に残ったのは、冒頭にある心の民俗学とものの民俗学ということで、柳田國男など、有名な民俗学者は前者で、有字文化を追うのに対して、宮本常一はものに着目し、また、文字化されてない慣習や祭などに着目したと言うこと。文字は上流階級のものだとすれば、確かに民俗を広く捉えるなら無字文化への注目が必要だ。 また、それを分析として具現化したものに狭山茶の話があった。なぜ狭山でお茶なのかと言う点についてそれまで明確では無かったようだが、茶は茶壷に入れて輸送しないと湿ってダメになる→信楽の壺に宇治の茶を詰めて江戸へ→そうすると無駄に茶壷だけ江戸に残る→近郊で茶の生産に適した狭山で茶を作る→壺が足りなくなって信楽の職人が笠間などに進出。なるほどなと。 これ以外にも東日本の縦社会と西日本のフラット社会、開かれた性の文化など文字文化だけ見ていても見えてこない話が網羅されている。宮本常一については引き続き注目したい。
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忘れられた日本人しか読んだことなかったのでとても面白く読めました。 小さい声、それもメインストリームにいるのではない人々に注目し、その小さい語りを拾い上げていくのは、アレクジェービチさんの本でも感じた、現代に求められるものを同様に感じました。
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日本列島をくまなく歩き多くの人々から話を聞き、民俗学に関する活動を精力的に行ってきた宮本常一。彼の歩んできた道のりをコンパクトにまとめ紹介する本。 彼の著書「忘れられた日本人」から入り、郷土研究、無字社会における民俗文化を文字化して伝承すること、農村指導、女性の民俗的地位への着目...
日本列島をくまなく歩き多くの人々から話を聞き、民俗学に関する活動を精力的に行ってきた宮本常一。彼の歩んできた道のりをコンパクトにまとめ紹介する本。 彼の著書「忘れられた日本人」から入り、郷土研究、無字社会における民俗文化を文字化して伝承すること、農村指導、女性の民俗的地位への着目、民具・物流・産業に関する研究など、宮本が取り組んだ活動の意義を掘り起こす。 著者によると、彼の民俗学がほかの民俗学と際立って違うのは、フィールドワークの成果が実践に結びついていったことだという。 戦中・戦後の大阪府下での農村指導、新潟県山古志村や佐渡での民俗文化財の活用を考えたいわゆる地域おこしの先駆的活動などが挙げられている。また、生まれ故郷の周防大島など離島と本土の格差を埋める離島新興法の成立に向けても尽力した。 おおむね、宮本常一の輪郭がわかる本になっているが、自分としては、やはり宮本の実際の著書やフィールドワークの様子をつぶさに紹介した本に比べると物足りなさが残った。
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宮本常一のものの見方、思想と方法の概要が分かりやすく解説される。 宮本が何に影響を受けていたのかは、あまり知らなかった。クロポトキン『相互扶助論』で、アナキズムの系譜にあることや、読もうと思っていたくらしのアナキズムの著者が宮本を評価していることを知り、自分の関心、ものの見方はこ...
宮本常一のものの見方、思想と方法の概要が分かりやすく解説される。 宮本が何に影響を受けていたのかは、あまり知らなかった。クロポトキン『相互扶助論』で、アナキズムの系譜にあることや、読もうと思っていたくらしのアナキズムの著者が宮本を評価していることを知り、自分の関心、ものの見方はこの系譜が好きなようなことがわかる。また、実際の地域おこしや、離島振興法の整備に奔走したという、学問に止まらない実践の人であったことも知る。 ⚫︎西日本のフラットな社会構成と、東日本の縦社会の対比や、 ⚫︎共同体と公共性の違い、 ⚫︎技術と、物流、産業、人の移動、都市との関係をも複合的に考えて、相関関係で見ることで、流動的な文化や社会の実態がわかる。→自然環境保全を実現する上でもこのアプローチが必要なのでは? ⚫︎諸民は、虐げられただけの存在ではなく、慎ましく健全に生きていること ⚫︎人間とかく、自分の立場から見て、苦しい生活にある人(小農や乞食など)の生活を悲惨と見做しがちではあるが、そうではなく、彼らの中にも相互扶助があり、福祉事業ではなく彼ら自身が自ら立ち上がる道がないかと探っていたこと ⚫︎何が進歩、発展か、その裏で失われているものがあること ⚫︎村落共同体の中にある熟議と民主主義、そのよさと、それが阻む進歩もあること ⚫︎女性が虐げられた存在とだけではなく多彩な生活と自律を持っていること ナドナド、この本だけでも興味深いことの連発である。 途上国で感じた、発展してほしいけど今の良さを無くしてほしくないという感覚や、生活が苦しい中でも明るい途上国の人々に出会ったときの感覚と符合する言説が多い。そして、宮本の眼差しは、多様性が語られる今、この時代でも古びていない。 決して大きな極端な言葉で語らず、物事のひかりと影を丁寧に見ていく宮本の言説は、今のSNS社会でも重要だと思う。 傍流に留まるという見方、まさにオルタナティブである宮本の姿勢は、現代資本主義に端を発する様々な社会問題に絡め取られている我々にとって、重要な示唆を与えていると思う。
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読みやすさ ★★★ 面白さ ★★ ためになった度 ★★★★ これから宮本常一の著作を読もうという人にとっては、宮本のことを要領よくまとめていて、最適だろう。巻末のブックガイドも使える。
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ときとして「思想がない」と批判されることもある宮本を思想家として位置づける試みとのこと。『忘れられた日本人』をはじめとする仕事をコンパクトに紹介してくれるが、あまりそこから思想が見えてくる気はしなかった。 むしろ要約して無理に「思想」っぽいコメントを加えることにより、もともと宮...
ときとして「思想がない」と批判されることもある宮本を思想家として位置づける試みとのこと。『忘れられた日本人』をはじめとする仕事をコンパクトに紹介してくれるが、あまりそこから思想が見えてくる気はしなかった。 むしろ要約して無理に「思想」っぽいコメントを加えることにより、もともと宮本の著作がもつ魅力が抜け落ちている。いわゆる思想みたいなものを志向していないあたりに、やはり宮本の魅力があるのではないか。地域おこしの実践家としての顔があるのも面白い。
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