「おかえり」と言える、その日まで の商品レビュー
なにげなく読んだ本だったが、よかった。自分が思っていたよりも、山で亡くなっている方はいて、亡くなったときにそのご遺体が見つからないことも少なくないのだということ。山岳遭難捜索をしてくださる、民間のこんな方々がいるのだということが知れた。遭難者のプロファイリングもそうだし、ご家族へ...
なにげなく読んだ本だったが、よかった。自分が思っていたよりも、山で亡くなっている方はいて、亡くなったときにそのご遺体が見つからないことも少なくないのだということ。山岳遭難捜索をしてくださる、民間のこんな方々がいるのだということが知れた。遭難者のプロファイリングもそうだし、ご家族への寄り添い方もよかった。 まだまだ知らないことが、沢山あるなと改めて思わされた本になった。
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山岳遭難捜索の民間団体を立ち上げて活動されている看護師・中村富士美さんによるドキュメント。 驚いたのは、家族から聞き取り、遭難者の性格や登山スタイルを緻密にプロファイリングしてルートや行動を推測する捜索方法。 道迷いのときに、慎重な性格なら元来た道を戻ろうとするし、イケイケな性格...
山岳遭難捜索の民間団体を立ち上げて活動されている看護師・中村富士美さんによるドキュメント。 驚いたのは、家族から聞き取り、遭難者の性格や登山スタイルを緻密にプロファイリングしてルートや行動を推測する捜索方法。 道迷いのときに、慎重な性格なら元来た道を戻ろうとするし、イケイケな性格なら先へ進もうとする、という具合に、広大な山岳における捜索範囲を絞っていく(実際はもっと緻密)。 著者自身は山登りに熟練しているが、捜索においては、初心者目線を忘れず、遭難者の立場から考えることを大切に 「目だけはプロにならないように」心がけているという。 捜索内容だけでなく、遭難者家族との交流も印象的だった。 安否不明の家族を探し続ける、遭難者家族の負担は計り知れない。 事情や捉え方は家族によって異なるし、心境も、時間とともに変化もしていく。 心理学者キューブラー・ロスによると、受容の過程には、否認、怒り、取引、抑うつ、受容の5段階があり、時には行きつ戻りつしたり、相反する感情を同時に抱えたりしながら受容に至るというが、遭難者の家族たちにもこうした 過程が見て取れる。 単に捜索するだけではなく、残された家族の心情に寄り添いサポートを尽くす。他者の尊厳に対する敬意を感じた。
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山岳遭難救助隊の方による活動記録が6編紹介されている。 登山者遭難の連絡を受ける⇒現場へ急行⇒見つからない⇒家族へのヒアリングによる情報収集⇒再捜索⇒その間の家族のケア⇒ついに発見(ご遺体) といった流れなのだが、予想もつなかい場所から発見されることもある。 行楽シーズンは登山...
山岳遭難救助隊の方による活動記録が6編紹介されている。 登山者遭難の連絡を受ける⇒現場へ急行⇒見つからない⇒家族へのヒアリングによる情報収集⇒再捜索⇒その間の家族のケア⇒ついに発見(ご遺体) といった流れなのだが、予想もつなかい場所から発見されることもある。 行楽シーズンは登山者が多い山であっても、登山者の少ないシーズンや悪天候時は見通しや足元が悪くなり、簡単に遭難するような環境に一変することが分かった。 それぞれの事例紹介では、前半で登山予定ルートの地図が紹介され、最後には発見場所を追記した同範囲の地図が再掲される。遭難された方が死に者狂いで山中を彷徨った様子が思い浮かび、孤独・寒さ・疲労・傷の痛みを抱えながらの「死闘」が分かる。本当に辛くお気の毒である。 山岳捜索という、危険でハードな仕事を引き受けていらっしゃる人達には本当に頭が下がる。筆者も救急病棟勤務のご出身とのこと。「人の命を助けたい」という強い信念があるから、続けられるのだろう。 これから秋山シーズンだが、登山に行かれる方は、どうか山をナメずに、万全な装備と緊急連絡体制を整えた上で、楽しんで来ていただきたい。
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色々な書評で取り上げられていて気になって購入。 登山はほとんどしたことがないけど、こんなに危険が潜んでいるとは。 著者の中村さんの活動は本当に社会的意義がある素晴らしいものだと心が動かされた。
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最初に出てきた「棒ノ折山」、以前ハイキングに行ったことがある山の名前でどきりとした。そこから、読むのが止まらなかった。ハイキングでもなんでも、山に登る人はぜひ一読してほしい。どんな山でも遭難する可能性があるし、ひとたび遭難すれば、家族の日常は一変する。帰らぬ人を待つ家族の気持ちに...
最初に出てきた「棒ノ折山」、以前ハイキングに行ったことがある山の名前でどきりとした。そこから、読むのが止まらなかった。ハイキングでもなんでも、山に登る人はぜひ一読してほしい。どんな山でも遭難する可能性があるし、ひとたび遭難すれば、家族の日常は一変する。帰らぬ人を待つ家族の気持ちにどう向き合うか、遭難した方がどんなことを考えていたか。新たな目線から見る「登山」に心が震えた。
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救命救急センターの看護師だった著者は搬送されてくる登山者に接する中で山岳遭難に興味を持つ。いくつもの遭難の現場に立ち会い、その後捜索団体を立ち上げた。 身近な山で起きている遭難はニュースにもならない。帰らぬ人を待つ家族をサポートして、知恵を絞って見つけ出す事例が紹介されている。 ...
救命救急センターの看護師だった著者は搬送されてくる登山者に接する中で山岳遭難に興味を持つ。いくつもの遭難の現場に立ち会い、その後捜索団体を立ち上げた。 身近な山で起きている遭難はニュースにもならない。帰らぬ人を待つ家族をサポートして、知恵を絞って見つけ出す事例が紹介されている。 警察による捜索が打ち切られたあとに依頼されることが多いようで、残念ながら遺体での発見となるケースが書かれているが、残された家族にはそれがひとつの区切りとなるのだろう。それが本書のタイトルになっている。 自分も山に登るので他人事とは思えなかった。
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▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL= SB00549937
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面白かったと言ってはいけないのだろうけど、ミステリー小説のようでぐいぐいと引き込まれた。 丁寧に話を聞くことで行動が分かる。というか、やっぱり山では沢を降りないというのが大事だと改めて思う
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山を登る者として、読んでみる。 このような活動をしている方、組織があったとは知らなかった。 遭難している方はもちろん、帰りを待つ方々の為に動いている、頭が下がる思い。 書いてある事例はドラマチックな事はなく、本当に事実が書かれている。 書いてある内容が少ないのがいい事なのかはわか...
山を登る者として、読んでみる。 このような活動をしている方、組織があったとは知らなかった。 遭難している方はもちろん、帰りを待つ方々の為に動いている、頭が下がる思い。 書いてある事例はドラマチックな事はなく、本当に事実が書かれている。 書いてある内容が少ないのがいい事なのかはわからない。 とりあえず、改めて絶対に家に帰ろうと毎回の思うようにしないと。
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NKHラジオ「石丸謙二郎の山カフェ」で、ゲスト出演していた著者のインタビューを聞き、本書を購入。中高年層などを中心に山歩きや登山がブームとなっている近年、いわゆる低山での遭難者、行方不明者が増えているという。その捜索を担う民間団体の代表が本書の著者。
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