アートの力 の商品レビュー
補論の「懐疑のアート アートの懐疑」が絶品。 アートとガブリエルの哲学の双対性が明らかにされる。 概念は言葉によるものだけでない。 「神話」に懐疑するのがアートである。
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アート愛好家であれば必ず、「アートとは何か」という問いにぶつかったことがあるはずだ。マルクス・ガブリエルは、この問いに「すべてのアート作品がそれだ。アートを定義するのはアートである」と答える。これは決してトートロジーではなく、「アート作品はラディカルに自律した個体である」という着...
アート愛好家であれば必ず、「アートとは何か」という問いにぶつかったことがあるはずだ。マルクス・ガブリエルは、この問いに「すべてのアート作品がそれだ。アートを定義するのはアートである」と答える。これは決してトートロジーではなく、「アート作品はラディカルに自律した個体である」という着想の結論だ。 アートは物品(オブジェ)そのものではなく、鑑賞者の解釈までをも含んだ構成(コンポジション)である。「解釈」とは「理論的な分析」のことではない。それは楽譜を演奏したり、映画を上映することに似ている。私たちはアートを解釈することで、アートに取り込まれている。 制作者も鑑賞者もアートの構成の一部であり、アートそれ自体は何からも支配されない絶対者なのである。 そのような論旨であると理解したが、理解が不十分なところの方が多いように思うので、何度も本書に戻ってきたい。 アートをどうにかしてカテゴライズする必要がある市場経済の中で、この考え方が遍く受け入れられることはないだろう。それでも、一人のアート愛好家として、アートが「ラディカルに自律したもの」という論には心が躍る。「無道徳的で、無法的で、無政治的である」アートは、私を、私たちを、これからどこへ誘ってくれるのだろうか。
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