時計泥棒と悪人たち の商品レビュー
図書館で夕木春央さんの本が軒並み予約待ちで一番早く借りられたのがこれだったので、初。米澤さんの儚い羊たちの祝宴みたいに、大正という時代、独特なダークな終わり方、短編なのに雰囲気が良くて、もちろん結末も鮮やかで面白かった。
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実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を売ってしまった事実を知った井口。 泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏が所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー? (第1章 加右衛門氏の美術館) 元泥棒の蓮野と画家の井口のコンビのお話。井口くんが偽物の...
実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を売ってしまった事実を知った井口。 泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏が所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー? (第1章 加右衛門氏の美術館) 元泥棒の蓮野と画家の井口のコンビのお話。井口くんが偽物の時計を誤って売ってしまったので、それを本物と交換すべき2人は買主のもとへ行ったり、少し頭がおかしい家族が住んでる家に詐欺の件について話を聞きに行ったり井口くんの姪が誘拐されてしまった事件に巻き込まれたり、お世話になっている会社の社長の元に届いた外国からの手紙の謎を解き明かしたり、怪しい夜会が行われる客船で起こった殺人事件に巻き込まれたり、ルビーが嵌め込まれたものが次々に盗まれる事件に巻き込まれたりする。 イケメンで頭もいい蓮野くん。ワトソン役の井口くん。2人の関係がなんか面白かった。蓮野くんは、なんやかんや言いながらも井口くんのことを助けるし。誘拐された井口くんの姪の事件は、なかなか面白かった。どうなってしまうのかドキドキしてしまったし、最後の「本物の背徳感」はなんとも言えない気分になった。 あと面白かったのは、「悪人一家の密室」だった。少し頭がおかしい家族が住んでる屋敷の女中が、唯一ちゃんとお話ができて意思の疎通ができる次男が殺されてしまった一家の結末。そして、次男の本当の正体。異常な人しかいない中での正常の人が、一番ヤバいのかもしれないと思ってしまった。 「サーカスから来た執達吏」のほうが、私は好きだったかなぁ。これはこれで面白かったけど。キャラの印象は、やっぱり向こうのほうがあるなぁ。 2023.9.28 読了
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『方舟』、『十戒』と非常に楽しく、ハラハラして読めたので、以前の作品はどうだろうかと思って読んでみた。大正時代の話でなかなか馴染みがなく読みづらかったこと、そして何よりプロットが強引であり、「なるほど!」とは思えなかったことが残念であった。今後の作品に期待したい。
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井口・蓮野コンビの連作。「方舟」でこの作者さんを知ったので、こういうのも書かれるんだと印象が変わりました。 前述のコンビは魅力的に感じたけれど、2人とも騒ぐ感じではないからか全体的に淡々とした印象でした。大月さんが居る回は大月さんの存在がとても大きかった。 淡々と始まって淡々と終...
井口・蓮野コンビの連作。「方舟」でこの作者さんを知ったので、こういうのも書かれるんだと印象が変わりました。 前述のコンビは魅力的に感じたけれど、2人とも騒ぐ感じではないからか全体的に淡々とした印象でした。大月さんが居る回は大月さんの存在がとても大きかった。 淡々と始まって淡々と終わった感じですが、次作があれば読んでみたいです。
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デビュー作である「絞首商會」の続編?というかシリーズですね。絞首商會で語られていた過去の事件なんかがこちらで描かれていたり。 鉄板というかベタというか、探偵役とホームズ役の二人でいろんな事件に巻き込まれたりしていく王道な短編集。いろんな意味で「ちょうどいい」感じでした。「絞首商會...
デビュー作である「絞首商會」の続編?というかシリーズですね。絞首商會で語られていた過去の事件なんかがこちらで描かれていたり。 鉄板というかベタというか、探偵役とホームズ役の二人でいろんな事件に巻き込まれたりしていく王道な短編集。いろんな意味で「ちょうどいい」感じでした。「絞首商會」の方はデビュー作だったからなのかなんかちょっと読みづらく思ったところも多かったんですがこちらはそういうの大分少なく感じました。短編だからというのもあるのかもしれませんが。
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画家の井口と元泥棒の蓮野という不思議な組み合わせのコンビがいい。 大正時代という設定や、事件を解決していく過程は面白かっただけに、最後の終わり方にもう一工夫欲しかった気がする。
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画家の井口と泥棒の蓮野コンビがミステリトリックに挑む連作集。事件現場の状況や登場人物の把握に手間取り、集中力が途切れる。台詞の言い回しにも少々引っ掛りを感じた。
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7作からなる連作短編集。大正期に画家の井口と泥棒の前科を持つ同級生の蓮野が奇妙な事件を解決する、と言うもの。時代の雰囲気や言葉少なに展開される2人の会話も惹かれる。1話の事件が最後の章で完結される構成も素晴らしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
洋画家とその友人前科持ちの泥棒蓮野の大正浪漫の香り漂う探偵(泥棒ですが)物語。 最初から時計に始まり時計で終わる連作短編。事件が一つ解決する度に蓮野の能力の高さが証明されていく。井口が持ち込んでくる厄介ごとを、正直に告白するのがいちばんいいと言いながら助ける人嫌いなのに人情に厚いところも好印象。
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画家の井口が相談事を持ちかけたのは、元泥棒で今は論文の翻訳をしている友人の蓮野である。 元泥棒相手に物騒な相談というのも問題ありだが…。 井口の父が美術収集家に売った置時計が贋物で、近々、その収集家である加右衛門氏が美術館を造設するという。展示して贋物とわかり大恥をかく前にな...
画家の井口が相談事を持ちかけたのは、元泥棒で今は論文の翻訳をしている友人の蓮野である。 元泥棒相手に物騒な相談というのも問題ありだが…。 井口の父が美術収集家に売った置時計が贋物で、近々、その収集家である加右衛門氏が美術館を造設するという。展示して贋物とわかり大恥をかく前になんとかしてほしいと病床で譫言をいう。 さて、どうするか…どうなるか。 この加右衛門氏の美術館を始め全6作。 ちょっと風変わりで違う目線で人を見る蓮野が、警察抜きに次々と解決していく。 少しワクワクとしてくるのも否めない。 【加右衛門氏の美術館】 【悪人一家の密室】 【誘拐と大雪 誘拐の章】 【誘拐と大雪 大雪の章】 【晴海氏の外国手紙】 【光川丸の妖しい晩餐】 【宝石泥棒と置時計】
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