書きたい生活 の商品レビュー
6時に起きて近所のモーニングを食べたり、「好きなお店が続いてほしいと思うなら、お金を落とし続けることを忘れてはならない」(p.74)と、何を大切にしたいかを問い続けている姿勢に共感している。 他人の日記を読む面白さや、しっかり休みを確保する生き方を問うていることもよく刺さる。 ...
6時に起きて近所のモーニングを食べたり、「好きなお店が続いてほしいと思うなら、お金を落とし続けることを忘れてはならない」(p.74)と、何を大切にしたいかを問い続けている姿勢に共感している。 他人の日記を読む面白さや、しっかり休みを確保する生き方を問うていることもよく刺さる。 旅先の喫茶店で「水不足」の話が耳に入ってきたことで、旅に出た感を感じている様子も共感しつつ、そろそろ旅行に出かけたいなあと思いも強まる。 同い年の著者なので勝手に親近感わいている。 ======= でも、仕事できちんと断れるようになってからは、少し息がしやすくなった。断っても大丈夫という、当たり前のことに気づけなかった。休みを確保するとか、正直に現状を話すとか、そういう自分の守り方がわかるようになった。そして、無理をしても何も生まれないこともわかった。頑張れるなら頑張ったらいいけど、ほどほどでいい。長く続けたいことこそ、そう思うのが大事だった。無理はずっとは続かない。(p.96) 人の日記を読んでいるとき、食生活の多様さや豊かさにうれしくなる。茄子を入れを冷やし中華、きゅうりトースト、バナナのサンドイッチ、味噌汁にすだち……。知らない人の家の窓からそっとなかを覗いているような、そんな不思議な距離感で人々の営みを見せてもらっている。 つまるところ、他人の日常が好きだ。SNSに触れ始めたのも、そんな性質が由来したのだと思う。普通に生きていたら決して交わらないであろう他人の生活が、細部まで見えるのは面白かった。だからこそ、他人の日記が好きだし、顔も名前も知らない人の日常や思想を知るのは、得も言われぬ魅力があった。家族の話、仕事の愚痴、おいしかったコンビニの新商品や、買って良かった日用品の話。一日、一日と読み進めていくうちに、誰かの物語が立ち上がり、色づくのを感じる。特別な出来事がなくとも、小さな営みが続いていくのだってドラマだ。そして毎日、心は動いていく。(pp.98-99) 宿に荷物を預けて、お目当ての喫茶店へ。おばあちゃんがやっている「ミニ」というお店。アイスティーを頼むと、上にクリームがのって出てきた。調べていたので知っていたけれど、うれしい。紅茶自体にも少し甘みがついていた。おばあちゃんと常連客らしき人の会話が、水不足についてだったので、「香川に来たなあ」と思った。(p.106)
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「常識のない喫茶店」が面白かったという記憶があったので、手に取ってみた。 生活の変化はあるけど特に劇的ではない、なんということはない日常の出来事や思いを書いたエッセイだが、著者の感性とか生き方とか好きだなと思った。
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前作とはまた違った作品に仕上がっている。 今回は勤めていた喫茶店を辞めた後の話。 前作では、コロナ禍の喫茶店での出来事の表現がリアルだった。「あ、こんな人いる」という。 日常と非日常の間を、喫茶店を通して描かれる市井の人々の記録としてとても良いと思った。 今回は、喫茶店を辞め...
前作とはまた違った作品に仕上がっている。 今回は勤めていた喫茶店を辞めた後の話。 前作では、コロナ禍の喫茶店での出来事の表現がリアルだった。「あ、こんな人いる」という。 日常と非日常の間を、喫茶店を通して描かれる市井の人々の記録としてとても良いと思った。 今回は、喫茶店を辞めた後の引越しなどの環境の変化など、マリさん自身のことが多く書かれている。 「頑張らない」という言葉が多く出てくる。 以前なら、頑張ることがよしとされる世の中であったと思う。 けれど頑張った末に、キャパオーバーで健康を害する人がいることが知られてきた。 マリさんの頑張らない生活、心が救われる人もいるのではと思う。 そして、頑張らない、は努力しないわけではなく 日々、文章を書くという筋トレをされている。 本もたくさん読まれていて、何冊か読みたくなった本がありメモした。 「おわりに」の章でとても驚いた。 突然の具体的な心の葛藤が垣間見えた。 同性としてわかる部分がある。 けれど、当事者にしかわからない。 そんな時マリさんにとって、パートナーの存在は普段以上にとても大きく膨らんだと、読んでいて思った。 下記を引用するが、本を出した人の、日常が観察するどく丁寧に綴られている。 読者は「特別な出来事はないけれど小さな営みのドラマを見せてもらっている。そして心が動く。」そんな本だ。 P099より 「つまるところ、他人の日常が好きだ。SNSに触れ始めたのも、そんな性質が由来したのたと思う。普通に生きていたら決して交わらないであろう他人の生活が、細部まで見えるのは面白かった。だからこそ、他人の日記が好きだし、顔も名前も知らない人の日常や思想を知るのは、得も言われぬ魅力があった。家族の話、仕事の愚痴、おいしかったコンビニの新商品や、買って良かった日用品の話。一日、一日と読み進めていくうちに、誰かの物語が立ち上がり、色づくのを感じる。特別な出来事がなくとも、小さな営みが続いていくのだってドラマだ。そして毎日、心は動いていく。」
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5年間働いていた喫茶店でのバイトをやめ、作家さんとして各時間をより優先した生活、そしてパートナーさんとの2人暮らし、という新しい生活を始める記録。そんな新生活の過渡期の日記。読んでいて、僕のまりさんのの高揚感が伝わってきました。 東京での暮らしというのは変わりないけれど、 そ...
5年間働いていた喫茶店でのバイトをやめ、作家さんとして各時間をより優先した生活、そしてパートナーさんとの2人暮らし、という新しい生活を始める記録。そんな新生活の過渡期の日記。読んでいて、僕のまりさんのの高揚感が伝わってきました。 東京での暮らしというのは変わりないけれど、 そして新しくまた飲食店でのバイトを始めるのだけれど、 気持ちは以前とは違っていて。 「ゆるく働きたい、給料以上の働きはしたくない、というのはこの国ではタブーなのだろう。」 人と違う、自分の生き方や考え方を肯定している姿があるように思いました。 また、僕のまりさんにとって、書く行為が、自分の爆発的エネルギーをもってこの世とつながる手段であることが言語化されていました。 そんな行為を仕事にできる幸せも伝わってきますね。
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前作「常識のない喫茶店」がすこぶる面白かったので、続編のこちらをようやく読了。喫茶店を辞めた後の話だった。 私はこの著者の感性が好きだ。とても控えめだけど心の中でたくさんの感情が渦巻いていて忙しい人だと思う。何気ない日常に溢れる人との関わり方もすごく好き。また喫茶店で働いて本を書...
前作「常識のない喫茶店」がすこぶる面白かったので、続編のこちらをようやく読了。喫茶店を辞めた後の話だった。 私はこの著者の感性が好きだ。とても控えめだけど心の中でたくさんの感情が渦巻いていて忙しい人だと思う。何気ない日常に溢れる人との関わり方もすごく好き。また喫茶店で働いて本を書いてほしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自分と似ているところがあったり、ここは違うなと思ったり 6ページの終わりぎわ、「わたしにとって本を書くことは、自分の正しさを失わないための祈りでもある。」この文章が好き
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僕のマリさんは私がエッセイを書いてみようと思い立ったきっかけの人である。彼女みたいなエッセイが書きたいと思い、noteで連載してみることにした。彼女の文章は暖かく、読む度に心地よい気分になる。文学フリマに今度参加してみようと思う。
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‣ わたしによって本を書くことは、自分の正しさを失わないための祈りでもある ‣ とにかく毎日続けること、そうすれば力は確実についていく。そして、それが心の健康に繋がるような気がしている ‣ 真剣にやっていることは、真剣に汲み取ってくれる人がいるとどこかで信じている。だからこそ...
‣ わたしによって本を書くことは、自分の正しさを失わないための祈りでもある ‣ とにかく毎日続けること、そうすれば力は確実についていく。そして、それが心の健康に繋がるような気がしている ‣ 真剣にやっていることは、真剣に汲み取ってくれる人がいるとどこかで信じている。だからこそ、書き仕事は、読者以上に自分が楽しもうと思っている ‣ 頑張れるなら頑張ったらいいけど、ほどほどでいい。長く続けたいことこそ、そう思うのが大事だった。無理はずっとは続かない ‣ 幸せなことも、腹が立って眠れないくらい嫌なことも、書くことで輪郭が見えてくる。そうやって自分の心に刻んでいく行為によって、社会につながろうとしている ‣ 「どこにお金を落とすか」というのは大切で、好きな店が続いてほしいと思うなら、お金を落とし続けることを忘れてはならない ‣ 日常は重く、そして脆い。しかし、その危うさをもってしても、毎日はよどみなく進んでいくし、そうやってつぶさに積み上げてきた生活を、誰にも奪われたくない、だからしぶとく書いている ‣ 売れる作家になるほうが偉いとか、子どもを産む女のほうが偉いとか、そんなものは他人が測れるものではなし、そんなもので人の価値なんて測れない。でも、そのしんどさを聞いてほしかったし、感じていることを持ち寄りたかった ‣ 誰かに頼まれたわけでもなければ、いつやめたっていいこの仕事を、自分の命綱のように握っている。いつも、頭のなかで弾けて浮かぶ言葉たちを並べているあいだのことを、幸福と呼ばずになんと呼ぼう ‣ よろこびや楽しさだけで生きていけるのが人間ではない。だってわたしは、苦しいときこそ前に進んでいた。そして気づけば、書きたいと思う生活が、そこにはあった ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 『常識のない喫茶店』という衝撃的なエッセイを発表した僕のマリさん。 この喫茶店どこにあるの?と探してしまった(行こうとしている)のは私だけではないはず。 その続編となる本作をようやく読むことができました! 〝書く〟ということに 対する焦がれる思いが痛いほど伝わってきます
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感想 飲み込んだ思い。心の中に溜まっていく。そして淀んでしまう。だから書いて吐き出してあげる。それが何と言われるかも。自己満足だから良い。
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前作『常識のない喫茶店』出版後、人生の変化点を迎えた。不安も喜びも入り混じった文章に新生活のドキドキ感を思い出す。書くことは、日々感じた気持ちをなかったことにしないよう閉じ込める作業なのかもしれない__。
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