夜空に浮かぶ欠けた月たち の商品レビュー
悩みのない人なんていない。 一人一人に寄り添って、話を聞いてくれる椎木クリニックのような場所があったらいいのになぁ。
Posted by
心が救われる本でした。 余裕がないと心も体も病んでしまう。 人に頼っても良い。休んでも良い。 そんなじわっと沁みる感じが良かったです。 忙しく疲れている時ほどこんな本に救われます。
Posted by
駆け抜けるように読め、読後の爽快感を味わえる作品だった。しかし、内容は、登場人物の心が塞がってしまう場面が多く描かれてあり、重たいものだった。なのに、なぜそう感じたのだろう。 誰にも言いたくない辛い出来事は、人によって違うだろう。その辛さは、分かってほしいと期待する近い人にも伝...
駆け抜けるように読め、読後の爽快感を味わえる作品だった。しかし、内容は、登場人物の心が塞がってしまう場面が多く描かれてあり、重たいものだった。なのに、なぜそう感じたのだろう。 誰にも言いたくない辛い出来事は、人によって違うだろう。その辛さは、分かってほしいと期待する近い人にも伝わらない時がある。そうすると、次第に近い人だから、伝えられなくなる時もある。そんな時は、どうしたらよいのだろう。話すだけで涙が出てきそうなことは、なかなか口に出せないもの。だからこそ、もし口に出せたら、最後までゆっくりと聞いてもらいたいと願う。それだけでも心が少し和らぐから。 作品には、そんな心が塞がってしまった登場人物たちに2つの居場所があった。それは、純喫茶・純と椎木メンタルクリニック。そこには、ゆっくりと最後まで話を聞いてくれる人がいた。登場人物たちが、それぞれの辛さを言葉にしていく過程は、心が揺さぶられ、胸にぐっとくるものを感じた。その辛さを受け止めて、包み込みながら寄り添ってくれる登場人物たちがいた。それは、一方向ではなく、互いに受け止める双方向になっていた。打ち明ける立場になることもあれば、受け止める立場になることもあった。そんな温かい関係が心地よい。そんな人たちがいる場所があることが、心を和らげてくれたのだろう。大丈夫だよというやわらかく温かい言葉は、登場人物たちの心に沁みていくものになっていた。その言葉は、その人が丸ごと受け止めてくれているメッセージのようにも感じた。心が疲れている時にかけられるやわらかく温かい言葉で、ふっと緊張が和らぎ、詰まった思いを思いきって出せそうだ。そして、何でも話していいという気持ちになれる気がする。 それぞれの章で、登場人物たちの背景が徐々に明らかになっていき、登場人物たちが偶然にも繋がった意味やめぐりあわせの幸せや運を感じた。こんなめぐりあわせは、誰にでもあることなのかもしれない。でも、そのめぐりあわせを気づかないこともたくさんあるのだろうな。それも、運だという気もする。 初めての窪美澄さんの作品であった。またの機会に、窪さんの作品を読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【内容】 東京のとある街に、【純喫茶・純】と【椎木メンタルクリニック】がある。大学生活や仕事、子育てで疲弊し、心が疲れてしまった人たちがいきつく場所である。それぞれの環境、それぞれの立場、それぞれの悩み…どんな人たちにもそっと寄り添ってくれるメンタルクリニックの旬先生と、カウンセリング担当の奥さんのさおりさん。美味しいコーヒーを淹れてくれる、心優しい喫茶店のマスターの純さん。そんな3人ですら抱え込んでいる心の闇がある。『人間は完全な丸じゃなく、誰だってどこかが月みたいに欠けているもの』『人生は、いつでも、何度でも、やり直すことができる』自分自身が辛い経験をしたからこそ、痛みを抱えた人たちの気持ちがわかる、優しい日々の短編連作集。 【感想】 こんなに心あたたまる優しい本は読んだことがない。 わたし自身も大学時代に軽いうつ病にかかった経験がある為に、澪の鬱屈した暗い日々に感じる出口のない閉塞感はとてもリアリティがあった。子育てしている今は、美菜や純さんが経験してきた、決してキラキラばかりでない赤ちゃんとの生活に共感した。 そして、すべてのお話で救われた、心から。 いろんな人の感想にもあるみたいに、自分がしんどかった時期に読みたかった、と思う。 しかし、その時には出会わず、グッと堪えて乗り越えたから今だからこそ、感じる心の震えがある。 この世に生きるみんなが、夜空に浮かぶ欠けた月たち。
Posted by
癒やしと再生の物語 - 窪美澄「夜空に浮かぶ欠けた月たち」★★★★☆ ものすごく良かった。私の中で、短編連作って基本的に及第点しかつかないイメージです。おそらく物語に入っていく前に終わるからだろうな。しかし、本作はどの作品もしっかり入り込めます。そして読んだあとは心が暖かくなり...
癒やしと再生の物語 - 窪美澄「夜空に浮かぶ欠けた月たち」★★★★☆ ものすごく良かった。私の中で、短編連作って基本的に及第点しかつかないイメージです。おそらく物語に入っていく前に終わるからだろうな。しかし、本作はどの作品もしっかり入り込めます。そして読んだあとは心が暖かくなります。 最近、心が疲れていると思う人は是非読んでください。 #引用 ・人間は完全な丸じゃない。僕は欠けた月のまま、生きていくのだ。かけた場所にはきっと真美が光を投げかけてくれる。 ・人生ってね、何度でも、どこからでも、もう一回始められるんだよ。 ・人は内側に入ったまま、外に出られなくなってしまうときがある。
Posted by
読みながら涙が出た。私も就活がうまくいかなくて、鬱っぽい時期があって、消えたいと思っている時期があったから。辛くて辛くて誰かに助けてほしいと思ってたあの日々。その時にこの本と出会いたかったし、あんなクリニックに巡り会えてたらよかったのになと思った。
Posted by
とても感動するお話で読みながら共感する部分もあり、こんな素敵なお医者さんがほんとに現実にいたらいいのになと思った。そしたらたくさんの人が救われるはず。 うつ病、産後うつ、ADHD、パニックなどさまざまな症状を持った人物がクリニックを訪れる。 それぞれに向き合い、丁寧に診察をし、...
とても感動するお話で読みながら共感する部分もあり、こんな素敵なお医者さんがほんとに現実にいたらいいのになと思った。そしたらたくさんの人が救われるはず。 うつ病、産後うつ、ADHD、パニックなどさまざまな症状を持った人物がクリニックを訪れる。 それぞれに向き合い、丁寧に診察をし、回復していく様子が描かれていた。 現実にもさまざまな悩みを抱える人々で溢れていると思うので、疲れた時こそ読むと助けられるような気持ちにもなると思う。心が暖かくなるお話。
Posted by
優しいお話でした。他人を助けるって出来にくい世の中ですけどやっぱり人は一人では生きられないと思うのでしんどい時は誰かに頼って休んでも大丈夫、元気になったらほかの人を助けるって循環が出来ると良いですね。私も心療内科にお世話になったくちなので思い出して涙目になりました。
Posted by
東京の片隅で医師の夫とカウンセラーの妻が開いている“椎木メンタルクリニック”。うつ病、ADHD、パニック障害、不眠など様々な症状でクリニックを訪れ、心の病と向き合っていく男女を描く6つの連作短編。 6つの物語タイトルがそれぞれ絵画の題名になっていて、その絵が物語の中で意味を持って...
東京の片隅で医師の夫とカウンセラーの妻が開いている“椎木メンタルクリニック”。うつ病、ADHD、パニック障害、不眠など様々な症状でクリニックを訪れ、心の病と向き合っていく男女を描く6つの連作短編。 6つの物語タイトルがそれぞれ絵画の題名になっていて、その絵が物語の中で意味を持っているという趣向。 コスパ、タイパと効率重視で、生産性だの合理的だのという言葉が飛び交う現代社会で、人との関係性も薄れてどんどん追い詰めらていく人たち。 それでも心を病んでいるということを認めたくないばかりにどんどん酷い状態になっていくその経過がよくわかる。 やっとの思いでクリニックを訪れた全員がボロボロと泣き出すのが印象的。辛い時に辛いと言える場所が必要なんだな〜とつくづく思う。そして自分の居場所をどこかに作っておくこと。 この作品では純喫茶「純」がその役割を果たしているんだけど、そんなところを見つけるのも現実にはひと苦労なんだろうけどね。 私自身は鋼のメンタルなので作品に出てくる人たちには「大変ね」という印象しかないが、もし息子の妻が産後うつになった時にはせめて、泰子のような姑にはならないようにしようと思った読後でした。
Posted by
町の片隅にある一軒家で、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりは「椎木メンタルクリニック」を営んでいる。 夫婦で患者に寄り添う治療は、とても癒やされ安心できる。 そして近くには純喫茶・純があり、そこでバイトしている澪は大学へ通うことができないほど心身が病んでいた。 第1...
町の片隅にある一軒家で、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりは「椎木メンタルクリニック」を営んでいる。 夫婦で患者に寄り添う治療は、とても癒やされ安心できる。 そして近くには純喫茶・純があり、そこでバイトしている澪は大学へ通うことができないほど心身が病んでいた。 第1話 キャンベルのスープ缶 澪のうつ病 第2話 パイプを持つ少年 サラリーマンをしながらイラストを書いている直也がADHD 第3話 アリスの眠り 自信がなくてうまくいかない恋愛に悩む麻美 第4話 エデンの園のエヴァ 子育てがうまくいかず育児ノイローゼにパニック障害をおこす美菜 第5話 夜のカフェテラス 旬とさおりの出会いからさおりが子どもを亡くして鬱になり、旬が精神科医になるまで 第6話 ゆりかご 純喫茶の純が産後うつとパニック障害で娘を置いて離婚となったこと エピローグの澪ちゃんのキラキラ度を見て、寄り添ってくれる人と話を聴いてくれる人がいることで、人ってこんなにも変われるんだということがわかった。 クリニックと喫茶の繋がりも良いなぁと感じた。 すぐに手を貸してくれる人のありがたさは、身に沁みる。 情報過多ではある現代、やみくもにネットに頼ることよりも信頼できる人との繋がりが如何に大切かということ。 目を見て話を聴いてくれる人がいることはほんとうにありがたいこと。 文中にあった「休み、休みでいいじゃない。誰かを頼っていいんだよ。」は心に沁みる言葉だ。
Posted by