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遅いインターネット の商品レビュー

3.7

9件のお客様レビュー

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2025/12/29

日常非日常と他人の物語自分の物語の2軸でメディアを分類する時に、今ライブが再注目されているのは、非日常を自分の物語として語ることを自身のアイデンティティとしているからだ、それを可能にしたのがSNSだというのが、最近のライブや現地エンタメの盛り上がりを解釈する上で面白かった。 イン...

日常非日常と他人の物語自分の物語の2軸でメディアを分類する時に、今ライブが再注目されているのは、非日常を自分の物語として語ることを自身のアイデンティティとしているからだ、それを可能にしたのがSNSだというのが、最近のライブや現地エンタメの盛り上がりを解釈する上で面白かった。 インターネットポピュリズム政治についてもおなじ様に考えられる。 「自分の日常」を探索し、単なる二元論や他者の意見の乗り変えに止まらない、複雑な世界と感情、自分の考えを解釈する力を取り戻すことで、民主主義を生活に根差したものにする。 これは最近読んだ「スマホ時代の哲学」でも同様のことが語られていたと思う。 吉本隆明の共同幻想論は名前だけ知っていたが、概要を今の時代に即して解説してくれたのも嬉しかった。 今の自分たちがいる現状を捉えた上で、それでも人と人との直のつながりが大事だよね~とかにならず、メディアとして技術を用いながら、しかし市場ゲームの外側に存在するサービスとして、実験まで進めていく著者は、ここで語られたものを自分の日常として進めていくんだな~と思った。

Posted byブクログ

2025/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

村上春樹がエルサレム賞を受賞した2009年、インターネット上では、ガザを攻撃するイスラエルの賞を受賞すべきか?という議論が起きていたのを覚えている。「賞を辞退すべきか?」「授賞式には出るべきか?」「戦争、侵略行為の反対を唱えないのか?」受賞に賛成の声や、村上に失望したとの声、彼の考えは?彼はどう行動すべきか?など、多くのブログ記事と、その記事のコメント欄での盛んな議論、受賞式直前の沈黙の時間帯、すぐに海外から伝わってきたあの「壁と卵」の見事な受賞スピーチ(NHKのニュースになったのは確か2日後くらいだった)。インターネットの言論空間の意義を感じていたあの頃とは異なり、SNSが中心となりコンテンツの閲覧数を増やすことが直に収入に繋がるようになった今、インターネットは大きな害をもたらしている。インターネットに意味を取り戻すための具体的な試みを行おうとしている著者の主張や行動に共感するし、今後の展開に期待もしている。

Posted byブクログ

2025/04/28

私は宇野常寛の本は『ゼロ年代の想像力』と『母性のディストピア』しか読んでいないのだが、彼の思想はある種戦後民主主義の崩壊とその後の情報社会に対するそのアップデートという一本の軸に貫かれている感じがして、論旨も明快で非常に読むのが楽しい。今回の『遅いインターネット』を読んで得た収穫...

私は宇野常寛の本は『ゼロ年代の想像力』と『母性のディストピア』しか読んでいないのだが、彼の思想はある種戦後民主主義の崩壊とその後の情報社会に対するそのアップデートという一本の軸に貫かれている感じがして、論旨も明快で非常に読むのが楽しい。今回の『遅いインターネット』を読んで得た収穫は、いわゆる批評家が(東浩紀しかり宇野常寛しかり宮台真司しかり中島義道しかり)活動の主眼を本を書くことからコミュニティを形成することに移していることへの疑問(というか半分は不信感)が多少なりとも解消されたということだった。 本書は4章構成だが1章はほぼ『一般意志2.0』や『22世紀の民主主義』、『なめらかな社会と、その敵』と似ていて、衆愚政治に堕した民主主義から情報技術によって本来の政治を取り戻そうとするものだった。特徴的なのはそこで志向されているものがある種テクノクラート的な職業人による仕事の延長として政治が捉えられていることおよび、選挙というものを祝祭と捉え、選挙以外の日常生活の中に政治を接続しようとする試みを描いていることだろう。まあこれもオードリー・タンの受け売り感はあるが(自分で言及してるし)。誤解のないようにいうが、私自身はこういう情報技術の政治は(東や成田のような半ポピュリズムはどうかと思うが)首肯できるところがある。問題はそうした手法が必ずしも全ての政策分野に当てはまるわけではないことで、例えばきわめて専門的な知見を要する事業や長期的な規模間の政策、また誰もやりたがらないが必要不可欠な政策については日常の延長としての政治という手法だけでは無理があると思う。まあその辺も織り込んだ上での議論を宇野はしているので、こうした議論の中では比較的手堅いものか。 2章はほぼ『ポケモンGO』おもしれーっていう話。『母性のディストピア』でみた。 面白かったのは3章で、ここでは吉本隆明の『共同幻想論』の再評価を行いながら現代の情報社会(『母性のディストピア』で描いていた肥大した母胎としての情報技術)における自己像を肥大した自己幻想が共同幻想や対幻想を取り込んでいる状況に喩えている。またここで重要なのが(言い忘れたが本書全体を貫く通奏低音でもあるが)階級の問題で、そもそも情報社会で自己幻想のみで自立しうるのは経済的・人的資本を持った個人のみで、大半の大衆は自己の意見を持つ能力もなく他人の意見をリツイートしたりすることによって自分の意見を言った気になるという意見の格差とでもいうべきものが存在しているということだ。これは本書の冒頭でも、世界に経済活動を通して素手で触れている層と、その実感を持たず政治にその捌け口を求めている大半の大衆層との分断を非常に問題意識を持って述べている。再びトランプ政権が台頭しつつある現代ではこの格差という見方は今の分断の図式を整理してくれたと思う。 4章は1〜3章の議論を踏まえ、リテラシーを養いタイムラインの流行に流されずじっくり熟考する主体を養うためにコミュニティを作ろうという自身のプロジェクトを描いたもの。このコミュニティが成功したのかは私も部外者なのでよく知らないが、理念自体はいいと思う。ただそれは結局、そういうコミュニティに属そうとするだけの意識高い系エリートだけしか包摂できてなくね?という感じがして、宇野が批判している『ポケモンGO』のエリート主義との差別化がうまくできてない気がする。まあこの辺はサロンの人のセールストークと捉えるべきか。 全体としてはまあ今となっては「そうやろなあ」という感じです当たり前のことを言っている感じだった。

Posted byブクログ

2024/08/06

遅いインターネットってタイトルの人だけど、スマホを5Gにしてたらちょっと笑う。 内容的には、オリンピック批判とか。走りながら考えたこと。村上春樹のエッセイにもちょっと似る。成田祐輔の解説付き。

Posted byブクログ

2024/02/17

グローバルな市場にドメスティックな政治→「民主主義って本当に最良のルールなのか、世界をまわって考えた」参照。 大きく風呂敷を広げているが、もっとネットリテラシーを持てという話。 ※単行本にて読書

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2023/08/22

他の方も書かれているように文体が難しく、一度では理解できない部分が多かったです。 自分自身がSNSをほぼほぼやらないので、あまりピンと来る話ではありませんでしたが、遅いインターネットが必要というのは理解できました。 フェイクニュースや陰謀論を信じてしまわないために、速いインタ...

他の方も書かれているように文体が難しく、一度では理解できない部分が多かったです。 自分自身がSNSをほぼほぼやらないので、あまりピンと来る話ではありませんでしたが、遅いインターネットが必要というのは理解できました。 フェイクニュースや陰謀論を信じてしまわないために、速いインターネットからはできるだけ距離を置き、しっかりと時間をかけて一つ一つの情報と対峙していきたいです。

Posted byブクログ

2023/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イギリス人ジャーナリスト、デイヴィッド・グッドハートが「境界のある世界」に生きる人たちを「Somewhere」な人々、「境界のない世界」に生きる人たちを「Anywhere」な人々と名付けた。 非日常ー日時の軸と他人の物語ー個人の物語の軸で捉える考え方。 世界を捉える別の視点を得られた一冊。

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2023/04/30

「遅いインターネット」とあるが、新しいネット技術の本ではない(タイトルをみて手にとったときはそんな本なのかと思った)。 インターネットが張り巡らされた上で高速に情報が飛び交う現在社会の現状を論評しつつ、そこから一旦、距離を置くための手段を提案している。 「遅いインターネット」とは...

「遅いインターネット」とあるが、新しいネット技術の本ではない(タイトルをみて手にとったときはそんな本なのかと思った)。 インターネットが張り巡らされた上で高速に情報が飛び交う現在社会の現状を論評しつつ、そこから一旦、距離を置くための手段を提案している。 「遅いインターネット」とは、タイムラインから離れて、一つ一つの情報の真偽を自分自身で確認・他者と議論しながら、フィルターバブルから離れましょうということなのか解釈した。 自分自身でも感じることだが、(今の世に中は)あまりにも情報量が多く、自分の中で反芻する時間がとれないまま日々が過ぎていき、息切れ感が否めない。 批評家の本を読んだのが久しぶりなので、読了するのにやや骨が折れたが、自分自身の視点をもうひとつ付け加えることができた。

Posted byブクログ

2023/04/23

2020年2月に刊行された著書の文庫版で、2023年現在を踏まえた新章が加えられている。解説も成田悠輔という…贅沢。 早すぎるインターネットによる弊害が嫌というほど書かれていて、自分の中でも反芻しながら読み進めた。宇野さんの全てに賛同するわけではないし、それも歓迎してくれるのが宇...

2020年2月に刊行された著書の文庫版で、2023年現在を踏まえた新章が加えられている。解説も成田悠輔という…贅沢。 早すぎるインターネットによる弊害が嫌というほど書かれていて、自分の中でも反芻しながら読み進めた。宇野さんの全てに賛同するわけではないし、それも歓迎してくれるのが宇野さんだとも思う。podcastの「a scope」でも出演していて、本書を理解するうえでの補完になる。 いろんな考えに触れられる読む喜びをこれからも享受していきたい。そして、その後の行動も大切だ。

Posted byブクログ