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目的への抵抗 の商品レビュー

4.3

54件のお客様レビュー

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2024/09/21

ひま師匠から素敵な提案があった。 『ユッキーも「哲学」好きだから、みんなで読んで一Qさんを追い込むのだw』 素晴らしい!一休さんを追い込むのだ!! ひま師匠から一冊選んで頂き、早速読んでみた。 うん。私は小説しか読めない体だったことに気付いてしまった。 まず、哲学とは...

ひま師匠から素敵な提案があった。 『ユッキーも「哲学」好きだから、みんなで読んで一Qさんを追い込むのだw』 素晴らしい!一休さんを追い込むのだ!! ひま師匠から一冊選んで頂き、早速読んでみた。 うん。私は小説しか読めない体だったことに気付いてしまった。 まず、哲学とは何なのかですよ! 私は分かっておりません。 でも小説を読んでいると、京極夏彦先生の狂骨とか、鉄鼠とか凄く哲学的だと感じたし、平野啓一郎先生も哲学的だなぁと感じる。 じゃ、何で哲学的だと感じるんだろ? 物事を深く、深く考えるとこなのか?? コロナ禍では、命を守るために移動の自由を制限した。 移動の自由かぁ。。。 移動出来ることが自由であると考えたことが無かった。 人間の命を守るだめなのだからと、移動の自由を制限されても、一つも疑問に思わなかった。 移動出来るって自由なんだ! 言葉を使って話をすることで、同意を取り付けて、その同意に基づいて一緒に行動ができる。僕らが話をすることが、結局は大きな規模の政治にもつながっていく。 つまり、ひま師匠が言っていた 『ひたすらに考えるのはそうなんだけど、ちゃんと問題解決の道筋を見つけるのが「哲学」の役割なんよ』 これがこの本の私なりの答えだった。

Posted byブクログ

2024/09/17

コロナ禍における不要不急の外出の制限から「自由」や「目的」を哲学する、といった内容。 実際の大学の講義を文字起こししたような形式なので話し言葉で哲学書にしてはかなりわかりやすいものになっている。ただし、『暇と退屈の倫理学』の実質的な続編になっているため、そちらを先に読んでおくこと...

コロナ禍における不要不急の外出の制限から「自由」や「目的」を哲学する、といった内容。 実際の大学の講義を文字起こししたような形式なので話し言葉で哲学書にしてはかなりわかりやすいものになっている。ただし、『暇と退屈の倫理学』の実質的な続編になっているため、そちらを先に読んでおくことを強くお勧めする。 二章構成になっており、前者はコロナ禍の外出制限を強く批判して炎上したアガンベンという哲学家の発言から哲学家の社会的役割を考察するというもので、後者はコロナ禍における不要不急の外出の制限から「自由」と「目的」を考察するというもの。 個人的には二章目の「自由」と「目的」に関する考察が非常に興味深かった。 コロナ禍によって不要不急の行為を自粛するという風潮になっていたが、実は、清貧の思想などに代表する、贅沢などの非効率的なことを良しとしない考えという形で、コロナ禍前から潜在的に存在していたのではないか?と語られている。さらに、今の社会は目的が先行しすぎていて、目的に縛られない自由を獲得できていないのではないか?とも語られており、真の自由とは、目的を超えてなされる事柄であり、その余裕や、アクセルやブレーキでいう「遊び」を実感することが、人間が人間らしく生きる喜びと楽しみを見出せるのではないか、と結論づけている。 この著作で特に印象に残っているのは、チェスをするためにチェスをする、などのように「AをするためにAをする」という構図以外は、全て自由ではない、としている点である。(例えば、栄養を摂取をするために食事をするなど、AのためにBをする、は完全に自由な意思での行動ではないとする、ということ) この考えは目から鱗が落ちるとはまさにこのことか、と言わんばかりの考え方であり、自分が自由意志で行っていたものは、実は自由意志ではなかったのではないか、と再考するきっかけとなった。 よりよく生きるためには、AのためにAをする、という構図を意識して真の自由を目指してみたいと思えた。 最後に、『暇と退屈の倫理学』があまりにも卓越しすぎた内容であったため、星4としたが、他の哲学本と比べたら、星5の内容であったと思う。

Posted byブクログ

2024/09/15

コロナ禍の行動制限をきっかけとして自由にまつわる哲学的議論を整理した講演録。剥き出しの生の現実の前に不要不急のものとして容易に制限される自由に対して異を唱える哲学の役割や、目的の外にはみ出していくものの中に生きることの本質をみようとする考え方には前著『暇と退屈の倫理学』との共通点...

コロナ禍の行動制限をきっかけとして自由にまつわる哲学的議論を整理した講演録。剥き出しの生の現実の前に不要不急のものとして容易に制限される自由に対して異を唱える哲学の役割や、目的の外にはみ出していくものの中に生きることの本質をみようとする考え方には前著『暇と退屈の倫理学』との共通点が見いだせる。講話のあとの学生との質疑応答からも色々な気づきが得られる。 本書では触れられていないが、例えば結婚や出産をコスパで評価するような考え方も経済的目的合理性を人間の生の上に位置づけているものだ。預金残高やインプレッションの数字を目的として生きる、というと誰もがそんな馬鹿なと笑うだろうが、実際にはそうした考えが人生を絡め取ろうとする力は思いの外強いのかも知れない。

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2024/08/16

「あなたがすることのほとんど無意味であるが、それでもしなくてはならない。世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」(ガンジー) はい、東大教授國分功一郎先生による講話をまとめた『目的への抵抗』です 本書では主にコロナ禍においての移動の制限や...

「あなたがすることのほとんど無意味であるが、それでもしなくてはならない。世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」(ガンジー) はい、東大教授國分功一郎先生による講話をまとめた『目的への抵抗』です 本書では主にコロナ禍においての移動の制限や、少し落ち着いてからの「不要不急の」というものについての論考です まぁ、このこと自体はコロナというものを封じ込めるために致し方ない部分もあったことは認めつつも、みんなちょっと簡単に受け入れすぎてないかい?ってことを考えてみようってことです 先日読んだ『スピノザ』でもそうだったんですが、もう圧倒的に分かりやすい!読みやすい!天才か いやね「哲学」っていったらさ、わいの中ではもう謎に包まれた小難しい、わいなんかが簡単に近付いちゃいけない学問という位置付けだったわけ それがもうむしろみんながもっと気軽に接していいことなんだとガラッと変わってしまっています すげーぜ、國分先生! 今のところ、わいの中では「哲学」ってのは「考えること」を考えるって感じなのよね だから何でも「哲学」なのよ 例えば原爆投下ね 二度とこの悲劇を繰り返さないためにどうするか?って考えることは、もう「哲学」なのよ 世界は「哲学」で出来ている! 注)國分先生はそんなこと言ってません

Posted byブクログ

2024/08/13

思考の組み立て方が気持ちいいくらいわかりやすく書かれていて一気に読めた。二項対立のように見える事柄についてのアプローチや、極端な例を想定する考え方がとても参考になった。 暇と退屈の倫理学に続く内容として、著者の立ち位置や別の視点について示されているところに興味が湧いた。福田 恆存...

思考の組み立て方が気持ちいいくらいわかりやすく書かれていて一気に読めた。二項対立のように見える事柄についてのアプローチや、極端な例を想定する考え方がとても参考になった。 暇と退屈の倫理学に続く内容として、著者の立ち位置や別の視点について示されているところに興味が湧いた。福田 恆存やアーレントの本の引用部分から手を出してみたい。

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2024/08/01

「目的」という当たり前のものに対する批判的な捉え方をできるだけ噛み砕いて解説をしてくれている。 「はじめに」の冒頭、「自由は目的に抵抗する。自由は目的を拒み、目的を逃れ、目的を超える。人間が自由であるための重要な要素の一つは、人間な目的に縛られないことであり、目的に抗するところに...

「目的」という当たり前のものに対する批判的な捉え方をできるだけ噛み砕いて解説をしてくれている。 「はじめに」の冒頭、「自由は目的に抵抗する。自由は目的を拒み、目的を逃れ、目的を超える。人間が自由であるための重要な要素の一つは、人間な目的に縛られないことであり、目的に抗するところにこそ人間の自由がある。」を読んだ時はさっぱり意味が分からず、読み切れるか不安を覚えた。しかし、読了した今思うと、目的に対して著者の言うよう、私も当たり前のものとして感じていたからこそ意味がわからなかったのだ。本全体を通して、「人間の活動には奉仕する以上の要素があり、活動が目的によって駆動されるとしても、その目的を越え出ることを経験できることに人間の自由がある」の意味が分かるようになる。 実際、当初の目的を果たせなくても、その過程に充実感があると言うことは往々にある。目的達成ばかりに囚われた仕事の仕方や人生観でなくても、仕事そのものや人生そのものから充実感を得るような生き方をしてもいいんだと思うと、なんとなくいいなと思えた。

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2024/07/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 國分によれば「自由は目的を越える」らしい。本書でいくつか例が出ていたが、誰しも目的を越えそれ自体を楽しむ(チェスのためにチェスをする)状態になったことはあるのではないだろうか。思えば、私の「読書」も「知識をつけるため」という目的のもとに行ってきたものではあるけれども時折「この本を読みたいから本を読む」という目的からはみ出ることはある。しかし、この目的からはみ出たときに案外本当の学びがあったりもする。後から考えれば目的を達成(学びに達成はないが)することになるけれども、その瞬間は目的に縛られてはいない。こうした事を踏まえると人生において主観的に目的からはみ出ていると感じる瞬間を増やして行きたいと思うが、その瞬間はどういう条件で現れるのだろうか。

Posted byブクログ

2024/07/20

自身の40代が見えてきた中、どう生きていくのかを模索する中で、一つの指針を示してくれた本。本書からの学びを単純化すると、「目的に縛られることなく過程を楽しもう」ということになるだろうか? 今まで学校でもキャリアでも常に強迫観念に近いものに追い立てられてきたが、やっと自分の人生のオ...

自身の40代が見えてきた中、どう生きていくのかを模索する中で、一つの指針を示してくれた本。本書からの学びを単純化すると、「目的に縛られることなく過程を楽しもう」ということになるだろうか? 今まで学校でもキャリアでも常に強迫観念に近いものに追い立てられてきたが、やっと自分の人生のオーナーシップを取り戻してきた感じがする。見栄や誰かの為ではなく、楽しさを追求していきたい。

Posted byブクログ

2024/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目的を超えたある種の余白や遊びの部分に、人間の本質があるのではというのは共感。それを実現した人は結果的に目的思考の人を超越している印象。稼ぎたい、子供を喜ばせたいから野球をするのではなく、野球が好きだがら野球をしている大谷選手のような存在かなと思った。

Posted byブクログ

2024/05/11

ただ詩のために、詩を書き、学び、詩自体を愉しみたい。 まとめ 195 目的合理的な社会は絶対に無くならないが、「無駄な(遊び)ことも必要」と異議することは一定の価値がある。  人間活動には、目的のために行動する以上の要素があり、活動が目的によって動機づけられているとしても、その...

ただ詩のために、詩を書き、学び、詩自体を愉しみたい。 まとめ 195 目的合理的な社会は絶対に無くならないが、「無駄な(遊び)ことも必要」と異議することは一定の価値がある。  人間活動には、目的のために行動する以上の要素があり、活動が目的によって動機づけられているとしても、その目的を超え出ることを経験できるところに人間の自由がある。  人間の自由は、必要を超え出たり、目的からはみ出したりすることを求める。

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