四日間家族 の商品レビュー

川瀬七緒(著者)

2023/04/24

SNSで知り合った自殺願望のある4人が集まり、山奥で集団自殺を図ろうとした矢先、赤ちゃんを遺棄する現場を目撃してしまう。赤ちゃんを助けようとするが、その犯人が現場に戻ってきてしまい、慌てて逃げる羽目になり…

遺棄した犯人がSNSで母親と名乗り出た事により、助けたメンバーが犯人扱いとなり、特定班なるSNSでの捜査がえげつなかったです。本名は勿論、家族構成や顔写真などあっという間に拡散されてしまう恐怖にゾッとしました。

夏美の頭の回転の速さには脱帽でしたが、良い方向へ向けてればそれなりに暮らせたのかもしれないと思うと、何だか切なくなりました。
陸斗もエリート一家故の苦悩がこれも可哀想でした。

それぞれがとても濃い4日間でしたが、タイトル通り「家族」でした。

2023/04/24

集団自殺を図るべく集まった４人の眼の前に、赤ん坊の遺棄が。死ぬはずだった４人が必死に赤ん坊を護って過ごす貴重な四日間の物語。赤ん坊の遺棄には恐ろしい犯罪が絡んでいた。４人それぞれのとんでもない事情もどうかと思うが、赤ん坊という存在が互いの団結を高めていき、スピード感ある展開は素晴らしいし、最後まで一気読みでした。

2023/04/22

面白かった！
前半は、登場人物4人の性格が悪すぎてイライラしたが、
赤ちゃんと出会ってから、
ハラハラして一気読み。
すごい。
このチーム。
ベビー用品の記述で、最近の赤ちゃんミルクに驚く。
ドリンクのように完成された状態で売っていて、常温で飲めるとは！
だって、お湯が必要で煮沸が必要で、人肌に冷ましたり手間暇かけて準備したのに、
最近のは、一瞬で飲める状態って神すぎる。

ミステリー要素もありサスペンス要素もあり、想像以上に面白かった。
SNSで集まった4人は、初めはクズみたいな性格だったが、
ラストは、例えるなら「セーラー服と機関銃」みたいな爽快な読後感で、感動した。
映画になることを期待。
良い話だった。
また4人で会いたい！　

2023/04/21

ネット社会での
鬼ごっことかくれんぼがスリリングで
どんどんページがすすむ。
そして
赤ん坊という無垢なものの
力の強さをあらためて思い知らされる。
欲や雑念にまみれ
死ぬしかなくなった者たちの心まで
まっさらにし
何がなんでも生きなきゃと再生させてしまう。
ただ結末がありがちであっけなかった。
犯罪組織の闇も深く暴かれず…

2023/04/12

2023/4/12
最近こんな夢中になって読んだ本あっただろうか。
通勤中に読むので会社に行くのが待ち遠しいほど。
いやだって家で読んだらすぐ読み終えてまうやん。
これ読み終えたらまた未読の川瀬七緒作品なくなるんよ。
読み終えてしまったな。ツライ。
日々暮らしていて、この人どう考えて生きてるんやろ？って思う人がいるやん。
そういう人が主人公側。
具体的にはサークルクラッシャーが主人公。
サークルクラッシャーの動機的なもの初めて聞いたかも。
動機の一例なのはわかってるんだけど、一つの答えが与えられたようで気持ちがいい。
他の3人も嫌悪感からのスタートだったのに、読み終えた今は彼らの今後の幸せをめちゃめちゃ祈ってるからね、私。
主人公側もたいがいなんだけど、敵役がまたとんでもない。
川瀬さんお馴染みの真っ黒な絶対的な悪人な訳ですよ。
それとネットの無責任な正義。正義をかさに着た悪意。
怒涛のように押し寄せて自分では読むのを止められない。
絡ませ方が上手すぎる。痛快。
本読むの遅くなったわぁと老いを嘆いていた私があっという間に読み終わりました。
新作心よりお待ち申し上げておりますよ、川瀬さん。

2023/04/10

本作で直木賞受賞しても全く驚かないくらい、読みどころ満載の一気読み必至の大傑作ミステリー。４人の背景描写・性格描写が完璧で、集団自殺を図ろうとするが、ひょんなきっかけで放置された赤ちゃんを助けるところからの急展開のストーリも無理・無駄がなく、タイトル通り四日間だけだが精神的な家族となるエンディングも爽やかで読後感も良い。捨てられた赤ちゃんの背後にある大きな闇も真実味たっぷり。ネットを駆使し、犯罪組織のかたわれとの会話から犯罪組織に行き着くまでの書きっぷりも見事で読み応え十分。

2023/04/10

それぞれの理由で集団自殺に参加した四人の人間。人目につかない山奥で自殺を決行しようとしたところ、乳児が捨てられる現場を目撃してしまう。見捨てることができずに乳児を保護したものの、なぜか誘拐犯として追われることになってしまった四人は、これはただの乳児遺棄事件ではないのでは、という思いを抱き、事件の影にいる何者かと闘うことにする。スリリングでハートフルなサスペンスです。
自殺を試みた四人は、最初は誰もがなかなかに癖が強く、好感の持てない人物ばかりでした。主役の夏美にしても、どちらかといえば悪人と称されて仕方ないかも。しかし単純に小さな命を救い、守りたいという思いだけが共通して一致団結する姿が、とんでもなく爽やかで驚きます。どんどん退路を断たれ追い詰められていくほどに、そのしたたかさを武器として乗り越えていく四人がどんどんカッコよくなってきて、ぐぐっと好感度がアップします。
対決する謎の組織らしきものや夏美を追い詰めるヤクザも怖いけれど。ネットの「特定班」が本当に恐ろしいです。直接関係がなく、事情をよく知りもしない人間が振りかざす正義ほど恐ろしいものはないのだなあ、と思いました。まあそれを逆手に取ってしまうラストは痛快でもありましたが。とんでもなく皮肉でもありますよね。

2023/04/09

一気読みの面白さ。

ネットで繋がった自殺志願者四名。
人生に絶望し、練炭自殺を決意した老若男女が、森の奥で赤ん坊を保護した事で運命の歯車が再び動き出す。

反目し合っていた彼等が、凶悪犯罪を暴き赤ん坊を救うという同じ目的を持った事で一致団結し、悪に立ち向かっていく姿から目が離せない。

犯罪小説なので面白いと言うと語弊があるけれど、スリリングな展開にページを捲る手は加速。

目的達成に向かう最中、自分達の過去を悔い己を見つめ直す姿にも心を打たれた。
ネット私刑や卑劣な犯罪への怒りを覚えつつ、彼らに芽生えた絆に胸が熱くなる。

2023/04/04

ネットで繋がった年齢もバラバラの男女4人。
山奥の車中で自殺しようとしたそのときに不審な車が走り去ったあと、森の奥から赤ちゃんの声が…。
見捨てるわけにはいかず、だが何か訳ありな感じがして警察に届けるのを躊躇している間にSNSで連れ去りの汚名を着せられる。
瞬く間に身バレ炎上。
彼らがとった行動は…。
一気読み。

それぞれ何らかの事情があって自殺しようとした4人が、無垢な赤ちゃんを前に自らの行動を振り返り正すという…それほどまでに尊い生命なのだからと自然に思えるのは凄いこと。

途中で2人になったとき、16歳の陸斗の言った「チームって不思議だよね。できるやつが抜けてもだいたい代わりはすぐ見つかるけど、役に立たないどうでもいい人間が抜けると、なぜかチーム全体の士気が下がることがある。」
口煩いおっさんの長谷部にしろ、最年長の千代子にしても存在感が半端なくて、いなくなればこれほどの喪失感を与えてくる人間だったのかとなるのもわかる気がした。
赤ちゃんを介して密度の濃い時間を共有した4人。
最悪で最強のヤバい仲間だったな。

2023/04/02

ジェットコースターに乗って揺さぶられているような感覚。ネットで集まった自殺志願者たちが自殺を決行しようとした時に遺棄された赤ちゃんを保護するが、何故か誘拐犯になってしまう。ネットに追い詰められた4人に迫る一般市民、ヤクザ。ネットのおもちゃになる4人はここからどう巻き返すのか。ネット炎上の怖さや一般市民が悪人を容赦なく叩くさまにすさまじいまでの悪意を感じたし、そのネットを利用して逆転に持ち込んだ4人の頭のキレには感心した。先が気になり一気読み。さすが川瀬さん、新刊はこれからも追いかけます！