1,800円以上の注文で送料無料

蝙蝠か燕か の商品レビュー

3.4

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/10/01

この作品を読了してこれで全ての西村作品を読んだことになる。 西村作品に多く出てくる「秋恵」が全く出てこない、西村作品としては稀有な作品。 敬愛する藤澤清造氏の没後弟子を自称して命日に「清造忌」を取り行ったり、七尾に住まいを持ったり、藤澤氏のご遺族との交渉など、今作は藤澤清造一色な...

この作品を読了してこれで全ての西村作品を読んだことになる。 西村作品に多く出てくる「秋恵」が全く出てこない、西村作品としては稀有な作品。 敬愛する藤澤清造氏の没後弟子を自称して命日に「清造忌」を取り行ったり、七尾に住まいを持ったり、藤澤氏のご遺族との交渉など、今作は藤澤清造一色なので、若干の物足りなさを感じられる向きもあるかもしれないが、そこここに西村賢太氏の美しい情景描写があり、はっとさせられたりもする。 昨年の急逝は急病によるもので、死を予測できたとは思えないのだけれど、死に関しての思い書いた文章も複数あるのも複雑な思いで読んだ。 今は生前、藤澤清造氏の隣に建てた墓に眠っておられる西村さん、安らかに。

Posted byブクログ

2023/08/23

発売日に買ったものの読まずにしてた。 これが最後か。 手元にあってまだ読んでないのが雨滴は続くと、どうで死ぬ身のひと踊り

Posted byブクログ

2023/07/29

師たる藤澤清造の全集および書作文庫での復刊へ奔走する西村賢太氏の日々。自身も「何故それ迄に」と疑念を持つ程の執着。 ですが作中の「だが彼我も、当人には当人なりの事情と目的があって、互いにそれを自信をもって行なっているのだ。」と言う氏としては珍しい他者共感の一文が一ファンとしても面...

師たる藤澤清造の全集および書作文庫での復刊へ奔走する西村賢太氏の日々。自身も「何故それ迄に」と疑念を持つ程の執着。 ですが作中の「だが彼我も、当人には当人なりの事情と目的があって、互いにそれを自信をもって行なっているのだ。」と言う氏としては珍しい他者共感の一文が一ファンとしても面映ゆかった。

Posted byブクログ

2023/07/04

なぜか読みたくなる、そして読めてしまう西村賢太さん。 藤澤清造さんの「殉後弟子」としての短編集や全集出版に奔走する著者を書いた私小説でした。 著者の破天荒なプライベートを書いた私小説とは違い、コアな層以外にはとっつきにくい内容です。 好きですけどね。派手さは無い。やっぱり、他の作...

なぜか読みたくなる、そして読めてしまう西村賢太さん。 藤澤清造さんの「殉後弟子」としての短編集や全集出版に奔走する著者を書いた私小説でした。 著者の破天荒なプライベートを書いた私小説とは違い、コアな層以外にはとっつきにくい内容です。 好きですけどね。派手さは無い。やっぱり、他の作品も読んでいる読者からすると、藤澤清造さんについての記述は繰り返し読んでいるものになってしまうし。若い頃の話はパンチがあるけれど、老いてくれば目新しいことは無くなるし、私小説はその点難しいなと思いました。 亡くなる数年前まで親密な女性がいたのは知らなかった。その方とのことについての話が読みたかったな。どこかで書いているのだろうか。

Posted byブクログ

2023/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

逝去からちょうど一年後に発売された本。P148(まあ、あれだ。人それぞれってことだよな……)がとても良かった。著者は孤独の中で自分の支えを見つけ、人生を捧げている人だからこそ、そこに関わる他人の所作には非常に厳しい。皆同じ価値観ではないのに……。「これしかない!」と人生を棒に振り、お金も人間関係も自分都合で巻き込みながら突き進むのは破滅的だと思い読んでいたけれど、命懸けで真剣で純粋だからこそ、危険な生き方になってしまったのかもしれない。そう思った時の(まあ、あれだ。人それぞれってことだよな……)が良かった。

Posted byブクログ

2024/09/07

完成した小説で言えばラストということで、不思議と死を匂わせたところも有り、読んでいてなんとも言えない気分となった。 出されてしまった小説感は否めず、個人的な評価は凡作という判断ではあるが、独特の作風で、読み手を不思議と惹きつける類稀なる作家さんの新作をもう読めないというのは、矢張...

完成した小説で言えばラストということで、不思議と死を匂わせたところも有り、読んでいてなんとも言えない気分となった。 出されてしまった小説感は否めず、個人的な評価は凡作という判断ではあるが、独特の作風で、読み手を不思議と惹きつける類稀なる作家さんの新作をもう読めないというのは、矢張り悲しい限り。 西村賢太の没後弟子の出現を今は待とう。 ★3.0

Posted byブクログ

2023/04/06

2023.04.05 私は純文学、私小説の類はほとんど読まない。ところが筆者の本はちょくちょく読む。こんな破滅型の人生を送り、50代であっさりと急逝されたことは彼には相応しいと思う。

Posted byブクログ

2023/04/03

西村さんの本を読むのは、確か2回目。 多分「苦役列車」を読んで、どうも合わないなぁ、と思ったきりで、亡くなったと聞いて、最新刊らしきこの本を借りた。 やはり、合わない。 なんだか寂しくなったり、ちょっと気持ち悪くなったり。 ほぼ同年代なんだけど、違った環境の違う人なんだな、と改...

西村さんの本を読むのは、確か2回目。 多分「苦役列車」を読んで、どうも合わないなぁ、と思ったきりで、亡くなったと聞いて、最新刊らしきこの本を借りた。 やはり、合わない。 なんだか寂しくなったり、ちょっと気持ち悪くなったり。 ほぼ同年代なんだけど、違った環境の違う人なんだな、と改めて感じた。 しかし、人はいつ死ぬか分からないもの。 儚いものだな、とこれまた改めて思った。 著書とは関係ないけど。

Posted byブクログ

2023/03/19

2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。 完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。 三次文庫の件など、厳しい出版事情がうかがえる部分があり、興味深く...

2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。 完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。 三次文庫の件など、厳しい出版事情がうかがえる部分があり、興味深く読んだ。 これが最後の作品なのか。

Posted byブクログ

2023/02/23

表題作は著者が歿後弟子となっている藤澤淸造の全集を世に出すべく奮闘する私小説というより最早エッセイ。 これが文學界に掲載されたのは2021年11月号。著者が亡くなったのは2022年2月。 著者がいつも行っている淸造忌に物見遊山な文学好きが来るのが鬱陶しいから、新聞社を呼ぶのを止め...

表題作は著者が歿後弟子となっている藤澤淸造の全集を世に出すべく奮闘する私小説というより最早エッセイ。 これが文學界に掲載されたのは2021年11月号。著者が亡くなったのは2022年2月。 著者がいつも行っている淸造忌に物見遊山な文学好きが来るのが鬱陶しいから、新聞社を呼ぶのを止めたとか、西村さんらしい。 しかし今更ながら著者は淸造の為に随分と奮闘を重ねてきたつもりだが(使った黄白も6千万にのぼるという)、突き詰めるとそれは淸造のためになっているのだろうかと葛藤する。特に次の記述には笑いながらもしんみりとさせられた。”もし仮に自分の死後、馬鹿な読者が創作中での駄目人間的記述を鵜呑みにし、ヘンに喜んで度を越した共感やら執着やらを寄せた挙句、北町貫太の歿後弟子なぞ名乗ったりしたら甚だ迷惑に思う。そんな手合いは一も二もなく異常者視し、即弁護士に相談する。そのうえで民事司法を介してその者の親類縁者に連絡も入れるし、危ねえ火の粉とみなして必ずや振り払うであろう。” また、最後にこうある”これからが真に自分に対して目にものを見せる正念場であろう。人生何が起きるかわからぬが、何が起き、これに動じる破目になったところで、一方では自分の為すべきことはやり続ける他はない。” 全くその通りです。わかりました肝に銘じます。

Posted byブクログ