蝙蝠か燕か の商品レビュー
2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。 完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。 三次文庫の件など、厳しい出版事情がうかがえる部分があり、興味深く...
2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。 完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。 三次文庫の件など、厳しい出版事情がうかがえる部分があり、興味深く読んだ。 これが最後の作品なのか。
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表題作は著者が歿後弟子となっている藤澤淸造の全集を世に出すべく奮闘する私小説というより最早エッセイ。 これが文學界に掲載されたのは2021年11月号。著者が亡くなったのは2022年2月。 著者がいつも行っている淸造忌に物見遊山な文学好きが来るのが鬱陶しいから、新聞社を呼ぶのを止め...
表題作は著者が歿後弟子となっている藤澤淸造の全集を世に出すべく奮闘する私小説というより最早エッセイ。 これが文學界に掲載されたのは2021年11月号。著者が亡くなったのは2022年2月。 著者がいつも行っている淸造忌に物見遊山な文学好きが来るのが鬱陶しいから、新聞社を呼ぶのを止めたとか、西村さんらしい。 しかし今更ながら著者は淸造の為に随分と奮闘を重ねてきたつもりだが(使った黄白も6千万にのぼるという)、突き詰めるとそれは淸造のためになっているのだろうかと葛藤する。特に次の記述には笑いながらもしんみりとさせられた。”もし仮に自分の死後、馬鹿な読者が創作中での駄目人間的記述を鵜呑みにし、ヘンに喜んで度を越した共感やら執着やらを寄せた挙句、北町貫太の歿後弟子なぞ名乗ったりしたら甚だ迷惑に思う。そんな手合いは一も二もなく異常者視し、即弁護士に相談する。そのうえで民事司法を介してその者の親類縁者に連絡も入れるし、危ねえ火の粉とみなして必ずや振り払うであろう。” また、最後にこうある”これからが真に自分に対して目にものを見せる正念場であろう。人生何が起きるかわからぬが、何が起き、これに動じる破目になったところで、一方では自分の為すべきことはやり続ける他はない。” 全くその通りです。わかりました肝に銘じます。
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【最後の作品を含む未刊行小説集】2021年1月29日、北町貫多は芝公園の一隅に佇んでいた――22年2月に急逝した著者の、苛烈な“歿後弟子道”を記した三篇。
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