スター の商品レビュー
「映画」と「YouTube」。 映像や発信という点での違い、 考えたことなかったなぁ。 どっちがいいんだろうか、価値があるんだろうか 、という問いの先には!!! 朝井さんの作品は、 読後必ず、自分の世界が少し変わってる。 だから本当におもしろいです。 現代社会をテーマに取り上...
「映画」と「YouTube」。 映像や発信という点での違い、 考えたことなかったなぁ。 どっちがいいんだろうか、価値があるんだろうか 、という問いの先には!!! 朝井さんの作品は、 読後必ず、自分の世界が少し変わってる。 だから本当におもしろいです。 現代社会をテーマに取り上げて、 深く考えさせてくれるのもなんだか身近で嬉しい。 「正欲」もそうだったけど、 メモしたい!という文章がありすぎて大変!笑笑
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本作は大学生活中に作成した映画が評価されたことをきっかけに、尊敬する監督の元で働く尚吾と撮りたいと思えるものを撮りにYouTube活動を始める絋の二本柱で構成されている作品である。 読んでいて感じたテーマは「変動する世界と変動しない個」。 世の中のコンテンツはどんどんと細分化さ...
本作は大学生活中に作成した映画が評価されたことをきっかけに、尊敬する監督の元で働く尚吾と撮りたいと思えるものを撮りにYouTube活動を始める絋の二本柱で構成されている作品である。 読んでいて感じたテーマは「変動する世界と変動しない個」。 世の中のコンテンツはどんどんと細分化され、その細分化された世界を作る資格も見る資格も全員に与えられている。 そんな世界の中で尚吾は「伝統的な映像界」の世界に属し、それと隣り合っていたYouTube、つまり「素人でも発信できる映像界」を目の敵にしていた。 結果、尚吾は自分の属さない世界を侵さないと同時に、自分の世界も侵させないという結論に至る。 この尚吾の考えは非常に有効だと思う。 細分化が続く世界に加えて多様性という言葉が頭角を表し、さらに「個」が重要視される世界になってきている。そんな世界で初期の尚吾のように噛み付いていたら、間違いなく噛み付いた側が非難される。 そんな世界だからこそ一番の対処は不干渉だと思う。でもそれだけだと細分化された世界にすり潰されてしまうから、自分の考えを持ち、自分の世界を守る必要がある。 だから私は朝井リョウの作品が好きだ。 作中に浅沼の下記のようなセリフがあった。 「鐘ヶ江監督の映画を好きになったのって、答えじゃなくて問いをくれるからなのね」 これがまさに朝井リョウの作品だと思う。 話題になった『正欲』も答えは示されず問いかけを残したまま物語は幕を閉じる。だからこそ良いのだ。 余談だけど 「チーズの風味がするそれは、風味がするというだけで、本当は何で味付けされているのか良くわからない。」 散々作中で言われてた「ないものをあるように見せる」を言い換えしたこの文章好き
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10年前の高校生くらいの時、YouTuberをやってる人たちは非計画的で現実逃避してる人たちだと思ってた。 けど時代も変わり、歳を重ねるにつれて考え方も変わって、どんな生き方もどんな考え方も否定されるべきではないのかもと思えるようになった。 自分の意見を主張するということは自分と...
10年前の高校生くらいの時、YouTuberをやってる人たちは非計画的で現実逃避してる人たちだと思ってた。 けど時代も変わり、歳を重ねるにつれて考え方も変わって、どんな生き方もどんな考え方も否定されるべきではないのかもと思えるようになった。 自分の意見を主張するということは自分と反対の考えを持つ人の意見を否定することにもなり得る。 だからこそ、もはや全員に自分の意見を主張する必要はないし、そうするべきではないのかもしれない。 より多くの人たちに影響を与えられて、共感を得ることができればそれはそれですごく嬉しいと思う。 けどそれだけを目指して、自分の考えを広めることだけに盲目的にならずとも、その考えや活動、好みが誰かにとっていいものであれば自ずと伝播していくし、受け入れられていくものだと思う。 セールスからマーケティングがより重要視されてきているのもそういった考えからではないかと思う。 「越境しますよね、素晴らしいものは」 素晴らしいものがいつまでも誰かに受け入れられ続ける世の中が続きますように。
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大学時代に一緒に賞を取った二人が全く別の道を歩みながら嫉妬し自分の道を疑問視しながら最後にまた交差する。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画を撮るにしても料理人を目指すにしても、一流を目指せば、一流にさえなれば、そのジャンル全てをカバーできると思い込んできたが、今の時代のニーズはもっと細分化されていて、そのニーズに応えられさえすれば必ずしも一流である必要はない、変わりゆくたくさんのニーズに形を変えて柔軟に答えられることこそが今の時代成功する。それでも自分の感性は持ち続け表現し続けることが大事。人生のバイブルのような本だった。
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大学時代に映画業界での仕事に憧れ、社会に出た二人。一人は憧れの映画監督のいる事務所で「弟子入り」、猛烈に働きながら、旧来の「良き映画」を作ろうと奮闘しつつ、時代の変化に苦悶する。もう一方は流行りのYoutube動画に携わる仕事で人気を得るも、「作品への拘り」がないがしろにされ、「...
大学時代に映画業界での仕事に憧れ、社会に出た二人。一人は憧れの映画監督のいる事務所で「弟子入り」、猛烈に働きながら、旧来の「良き映画」を作ろうと奮闘しつつ、時代の変化に苦悶する。もう一方は流行りのYoutube動画に携わる仕事で人気を得るも、「作品への拘り」がないがしろにされ、「ここは違うのでは」と気付きはじめ、会社を辞めて次のステップへと進む。 現代の「キラキラ」したSNSビジネスの「空虚さ」や、これまで「名誉、日本を代表とする国民的作品」を生み出してきた映画監督が直面する映画コンテンツのビジネス優位性低下など、社会問題がメインテーマともいえる。 小説としてのストーリーも面白いが、20代の「仕事観」の純粋さや不安定さ、繊細な感情が見事に錨鎖され、自分事のように読み進めることができた。 結局、時代がどれだけ進化して「個人が発信したものがバズる」社会においても、「理想と現実」とどう折り合いを付けるか、どれだけ真正面から向き合うのか、という人生の問いは変わらないのかもしれない。
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お得意の人間の裏の顔であったりと相変わらずの着眼点と表現方法で訴えかけられる作品です。ここ最近の著者の作品の中でも、ちょっと回りくどいかなと感じてしまいましたが、『価値観』そして『自己欲』の違いといったひた隠しにしたい人間味を垣間見えるのが著者作品の良い所。目的は同じであってもや...
お得意の人間の裏の顔であったりと相変わらずの着眼点と表現方法で訴えかけられる作品です。ここ最近の著者の作品の中でも、ちょっと回りくどいかなと感じてしまいましたが、『価値観』そして『自己欲』の違いといったひた隠しにしたい人間味を垣間見えるのが著者作品の良い所。目的は同じであってもやり方が違ったり、そもそも目指すものが違ったりというのはよくあること。時代とともに変化する環境に並走できる人、追いつこうとする人、そして自分を変えない人。十人十色ではあるものの、価値観の押し付けは時代にそぐわないんですよね。
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著者の文章は決して美しくないけれど、書きたいことが明確で、作品に対する使命感を持っているように感じた。 自分が生きている世界に対する違和感や、常に意識していないとすぐ飲み込まれてしまう感覚をここまで言語化してくれる小説はなかなかないと思う。こういう小説は、手元に置いて戒めや自分...
著者の文章は決して美しくないけれど、書きたいことが明確で、作品に対する使命感を持っているように感じた。 自分が生きている世界に対する違和感や、常に意識していないとすぐ飲み込まれてしまう感覚をここまで言語化してくれる小説はなかなかないと思う。こういう小説は、手元に置いて戒めや自分を見失わないためのお守りにしたくなる。
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途中まではイマイチ面白くないなと思ってたけど、後半になるにつれ絋と尚吾がどこに落ち着くのか、気持ちにどう折り合いをつけていくのが気になり面白く読めた。 あるものがないように、ないものがあるように。 どっちがどうという話ではないんだな。 深い話だった。 細部に神は宿るがよかった、。
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何が正しいのか、どれか良いのか、自分が大切にすることを2人の日常の物語から考えさせてるれる。 そんな細部にこだわっても誰も気づかない、という揺らぎに負けないこと。 差し出す相手を騙したり軽んじるような気持ちで、ものづくりに臨まないこと。 という考えは好きだし、別の角度からの考え...
何が正しいのか、どれか良いのか、自分が大切にすることを2人の日常の物語から考えさせてるれる。 そんな細部にこだわっても誰も気づかない、という揺らぎに負けないこと。 差し出す相手を騙したり軽んじるような気持ちで、ものづくりに臨まないこと。 という考えは好きだし、別の角度からの考えも出てきてその都度読んでいる自分でも葛藤が生まれるから面白い。
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