スター の商品レビュー
フォロワー何十万、登録者何百万、みたいな、数値化されたひとつの指標で捉え方を変えたりしたくはない自分がいるけれど、やっぱりちょっと気にしてしまう自分もいるわけで。 自分の中に確かな価値観を持てるかどうかって、いろんなとこで考えたり確かめたりぶつけたりしながら形作っていくものなんだ...
フォロワー何十万、登録者何百万、みたいな、数値化されたひとつの指標で捉え方を変えたりしたくはない自分がいるけれど、やっぱりちょっと気にしてしまう自分もいるわけで。 自分の中に確かな価値観を持てるかどうかって、いろんなとこで考えたり確かめたりぶつけたりしながら形作っていくものなんだろうな、きっと。
Posted by
人物設定にしても、登場人物の心情吐露にしても、どうも説明過多なきらいがあるのだけど、作者の「今書かなくてはならない」っていう気迫めいたものが筆を走らせた故なのかも。主人公二人の後輩・泉の描き方と与えられた役割がまさに朝井リョウの真骨頂って感じでゾクゾク。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自分の中での要約、古き良き映画と新しくて軽いYouTubeの2項対立のような図式で物語が進んでいったが、そもそもその2つは土俵が異なり、自分の分野を高めることが重要である。その結果分野を超えて影響力を持つことができるモノがこれからの「スター」になる。 朝井リョウ作品のなかでも作者の考えが大きく反映されてる作品だと感じた。学生であるため仕事についての感覚が正確には掴めないが何かの節目にまた読み返すことになりそう。 南沢奈央さんの解説の言葉がよかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
(個人的感想です) 私は、朝井リョウさんの作品を勝手にドロっとした人間関係。若い人達の葛藤を強く出した作品だと思っていました。 その中で「スター」は純粋であるがそれ故の世間とのギャップを描いてる作品。読み始めはその様な印象を感じていました。そして、次第に時代の流れによる変化に苦しみつつも解かれていく感覚は、気づきや、自身への問い、共感が多くありました。 時代の変化に対応できないのは必ずしも年齢が高い人達だけではない。少し前はそうだったかもしれないが、今、世界は1年も満たず変化する。その変化は新社会人や大学生、もしかすると中学生にまで及ぶのではないかと思う。 最後に、356ページから始まる尚吾と千紗との会話は心が詰まる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
“ひとつの道しるべ” 学生時代、映画監督として賞を獲得したことのある尚吾と紘。卒業後、尚吾は映画の名門、鐘ヶ江組で力を磨き、紘はYouTubeや新しいプラットフォームの制作会社で動画編集を仕事とする。互いに正反対の道を歩む二人の眼には、お互いの道を羨ましく映り、自分との差や現状に苦悩する。人としての道しるべとなるような人間小説。。 ボリューム満点、考えることの多い小説だった。 それは人生についてというより、潜在意識に対する問いのような。 振り返ってみればそんなに多くのことを感じたわけではないのに、 読後の不思議な感覚は、言葉に表せられない。 充実していた。 私が数冊前に読んだ『自転しながら公転する』と似ているような。 ただ、主人公の性別が違うだけでこうも違うかというような。 どこかに生きることの重さを感じる小説だった。 朝井さんは、言葉選びが賢い。 けれどもわかる、読める。ぎりぎりのラインにある。 それがまた良い。 一番良かったところ。 8章、p.193あたり。 今まで上手く言語化できていなかった、「なぜ読書が好きなのか」 それにひとつの答えが見えた部分。 本は正解のない問いをくれる存在である。 それに対する自分の出した答えに不正解はない。 だから“安心して”楽しく読めるのではないか? 本だけは安心して答えを言える。 そんな存在だから好きなのではないか。 『恋愛ごっこ』という言葉が、やけに自分にしっくりくる。 『待つ。ただそれだけのことが、俺たちはどんどん下手になっている——。——最終的に、自分を待てなくなる。すぐに評価されない自分自身を信じてあげられなくなって』 『星って、ほんとうは星形じゃないよね』 学生最後の本がこれで良かった。 数日後には社会人となる。 社会人になっても、読書をしたい。 理想は、なんの負い目もなく読書できるようになること。 再び本を読み始めてくれてありがとう、大学二年生の俺。。
Posted by
朝井リョウさんの文庫…スター‼️やっぱり面白い。 時代が変わり、さまざまなツールがあり多様性がうたわれる時代。情報も多い分、何か残さないとと焦ることもあれど、自分の価値観 大切なものはブレずに持つことの難しさもこの小説は的確に表していて、これからの時代読むべき本の一つ!
Posted by
------------------------- 映画監督、YouTuber、アスリート、芸能人、インフルエンサー…… “国民的”スターなき時代に あなたの心を 動かすのは誰だ? 誰もが発信者になった現代の光と歪を問う新世代の物語 -----------------------...
------------------------- 映画監督、YouTuber、アスリート、芸能人、インフルエンサー…… “国民的”スターなき時代に あなたの心を 動かすのは誰だ? 誰もが発信者になった現代の光と歪を問う新世代の物語 ------------------------- 大学の映画サークルで共同制作した作品。 映画祭でグランプリを受賞した二人の監督。 尚吾と紘は、大学卒業後それぞれの道へ。 名監督への弟子入り、 YouTubeでの制作、発信。 質の良いものに触れろ 良いものは自分で選べ 二人の葛藤、嫉妬、迷い、現実、お金、名声、満足、 何が良いのか。 周囲の人たちが、それぞれの結論や考えを語る場面が多々ありますが、すべてが正しく思えて心に迫ってくるものがありました。読んでいて苦しかったです。 他の本に書いてありましたが、 一日に約80年分の動画がアップされているらしく。 みんな発信したいし、クオリティも関係なく、 刺激的で目に留まって、関心を集められれば、 有名にもなれる。 私自身も、大好きなYouTuberの動画をあっという間にすべて見て、今ではもう見ない、なんてこともあり。 単純な量も増えているけれど、消費のスピードもかなり上がったのかも。 尚吾と紘が見つける答え。 最後の尚吾と千紗のやりとりは、読んでいてうすら怖い感じでした。 ちょっと待って、これ以上言わないで、と何度も思いました。苦笑 これは「今」読むべきかもしれないです。 ただ、10年後にもう一度読み返してみたいです。
Posted by
SNSやYouTubeの普及により、誰もがスターになり得る時代が到来して早や久しい。昭和的な根性論が未だ根付いていた時代を経験した身としては、それらを通じてデビューするミュージシャンや漫画家より、地道なライブハウス周りや長年のアシスタント経験を経てデビューする人達を応援したい気持...
SNSやYouTubeの普及により、誰もがスターになり得る時代が到来して早や久しい。昭和的な根性論が未だ根付いていた時代を経験した身としては、それらを通じてデビューするミュージシャンや漫画家より、地道なライブハウス周りや長年のアシスタント経験を経てデビューする人達を応援したい気持ちの方が強いが、だからといって前者を腐すのは見当違いだ。多様な価値観が許容される現代は一昔前より優しい世界ではあろうが、収益を長らく維持出来るとも限らない。大量消費社会の行く末を憂いつつ、良質な作品に出会う機会を増やしてゆきたい。
Posted by
今だからこその物語 10年前なら刺さらないし、 10年後は今更何をと言われそう。 映画から動画配信の間にはTVもあるけれど TVドラマの監督になりたいでは 物語が成立しないよね。 本書は、受け手側としては成程と面白かったが 実際に映画に携わっている人も刺さるのかな?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めて朝井リョウさんの本を読みました。 読み進めていく中で、社会に溢れているコンテンツに対して、自分の心が揺さぶられない理由に気付かされたような気がしていました。人の心、人の顔が過るか。 でも、最後の千紗の言葉から、 自分が無意識に考えていた思考は、誰かやなにかと比べて否定してるだけなのでは、自分がこだわり続けているものを守りたいだけなんだな、と。 「誰かがしていることの悪いところよりも、自分がしていることの良いところを言えるように。」 誰かと比べて自分を守るのではなく、 自分がこだわり続けていることを胸張って言える人間でいたいと感じました。 しっかり読ませ、しっかり考えさせてくれる一冊でした。
Posted by