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動的平衡 新版(3) の商品レビュー

4.1

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

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2024/04/08

動的平衡シリーズ3冊目読了。 自分自身の細胞が異常化してできたがん細胞には免疫機能が働かない。ならばがん細胞に正気を取り戻させようという画期的な治療法が開発されつつあるという。 チャンスは準備された心にのみ降り立つ。アンテナを張り、様々なことに感性興味を開き、一心に自分のライフワ...

動的平衡シリーズ3冊目読了。 自分自身の細胞が異常化してできたがん細胞には免疫機能が働かない。ならばがん細胞に正気を取り戻させようという画期的な治療法が開発されつつあるという。 チャンスは準備された心にのみ降り立つ。アンテナを張り、様々なことに感性興味を開き、一心に自分のライフワークに専念してその時に備える。 生命体は過剰さをまず用意し、環境にそれを彫琢させる。免疫システムもまた設計的ではなく発生的である。そしてDNAのコピーミスにより生じた突然変異こそが生命を進化させる。 その他、研究者の生態、STAP細胞騒動やコロナウイルスパンデミック等々の考察。 考え方や感じ方、思考方法にも大いに参考になり、今作も興味深い考察が盛りだくさん。 ただ一点、動的平衡という概念は福岡生命論のキーワードであるのだが、多田富雄氏が1996年の名著「生命の意味論」で言及しているので、自身がこの概念を創出したかのように言っているのは少々モヤモヤが残る…と思ってたら最後に多田氏の名前だけ出てきた!

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2024/02/12

前作や前々作と同様に、組織論や芸術論など一見すると本書の主題から外れたように見えるものがいくつか扱われているが、STAP細胞の章などいくつかのものを除き、章のテーマを掘り下げていくうちにいつの間にか「動的平衡」に行きついてしまうというフォーマットが相変わらず面白かった。基本的にこ...

前作や前々作と同様に、組織論や芸術論など一見すると本書の主題から外れたように見えるものがいくつか扱われているが、STAP細胞の章などいくつかのものを除き、章のテーマを掘り下げていくうちにいつの間にか「動的平衡」に行きついてしまうというフォーマットが相変わらず面白かった。基本的にこのシリーズは生物学全般をテーマとして扱い、そのベースとなっている考え方が「動的平衡」である、ということなのだろう。 描き下ろしで追加されたコロナの章は、これまで述べられてきた「動的平衡」たるものの集大成的内容だと思う。コロナ禍以降、いまだにウイルスと人間との関係について様々な見解が飛び交っているが、やはりここに書かれていたものが一番納得できる。そこにはちっぽけな人間中心のヒューマニズムではない、地球生命系という大きなスコープで照らした動的平衡のリアリズムがあるのだ。

Posted byブクログ

2023/12/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「タンパク質を食物として摂取しなければならないのは、自分自身の身体を日々、作り直すため。消化管の細胞はたった二、三日で作り替えられている。一年も経つと、昨年、私を形作っていた物質はほとんど入れ替えられ、現在の私は物質的には別人となってる。」とは驚きだ。 決まり文句である「お変わりありませんか?」の返事は福岡先生曰く「変わりまくり」なのだ。 生命は絶え間のない分子と原子の流れの中に、危ういバランスとしてある=動的平衡 私の生活、私の心理状態もある意味、自分自身を保つために何かを取り入れ、壊し、心の酸化や変性があり、老廃物をなんとか排除し保っている、動的平衡とも言えるのではないか。 点だけを語るのではなく点と点を結び語ることができるようになりたい。 そして点と点が全く無関係なものであっても、それがいつか次のチャンスを産み出すことになるかもしれない。

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2023/09/05

三巻目。 初っ端から水の話が始まりますが そうか血液か、と。 一巻で謎に思っていた鼠の伝達遺伝子についても ちょっと触れていました。 という事は、やはり子孫を作っていけば…。 栄養失調の子供達のお腹の謎も 双子が先出て来た方が優れている説も 理屈(?)がちょっと分かった気がし...

三巻目。 初っ端から水の話が始まりますが そうか血液か、と。 一巻で謎に思っていた鼠の伝達遺伝子についても ちょっと触れていました。 という事は、やはり子孫を作っていけば…。 栄養失調の子供達のお腹の謎も 双子が先出て来た方が優れている説も 理屈(?)がちょっと分かった気がします。

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2023/09/03

シリーズの1, 2のほうが学びが多くて面白かったけど、エッセイとして面白い。 11 - きちんとプロセスをたどって答えに到達しないと、その答えを本当に理解したことにならない。「教養」と「物知り」の違いもこの辺にあるのではないか。 28 - 日本の水道水にはかなり高濃度の塩素...

シリーズの1, 2のほうが学びが多くて面白かったけど、エッセイとして面白い。 11 - きちんとプロセスをたどって答えに到達しないと、その答えを本当に理解したことにならない。「教養」と「物知り」の違いもこの辺にあるのではないか。 28 - 日本の水道水にはかなり高濃度の塩素が含まれていると考えられる。外国ならば上限オーバーの値だ。 73 - 記憶はニューロンとシナプスの回路によって保存されている。 206 - 消化管は人体組織のうち、もっとも細胞の新陳代謝速度が速い部位である。二、三日で細胞は交換される。 207 - ヒトの消化管内にはおよそ100兆匹の腸内細菌が棲みついている。この数は自身の細胞数約37兆個をはるかに凌駕している。

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2023/07/11

全体を通して、「動的平衡」をテーマとした単発的なエッセイを章立てしただけの感があり、これまでのものに比べると章の順番で読んでいく楽しみがなかった(どこから読んでも同じ?)のが残念。 さすがにシリーズ3冊目となるので、随所に見られた動的平衡そのものの解説はもはや不要と言ってよいの...

全体を通して、「動的平衡」をテーマとした単発的なエッセイを章立てしただけの感があり、これまでのものに比べると章の順番で読んでいく楽しみがなかった(どこから読んでも同じ?)のが残念。 さすがにシリーズ3冊目となるので、随所に見られた動的平衡そのものの解説はもはや不要と言ってよいのだが、本書が初めてという人に対する心配りがあったのか、どこから読んでも良いように・・・なんでしょうかね。

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2023/06/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1や2と比較するとやや話がとりとめないけれど、どの話も面白かった。理系じゃない人にもわかりやすい説明でした。

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2023/05/22

所々難解で、意識が遠退く章があったが、それを除けば実に知的好奇心をくすぐる良書だと感じた。 動きつつ、釣り合いをとる。これが動的平衡の意味だ。放っておけば、何でも無秩序となってしまう。それがあらゆることに共通した法則「エントロピー増大の法則」。我々生物の組織は、常に破壊し再生す...

所々難解で、意識が遠退く章があったが、それを除けば実に知的好奇心をくすぐる良書だと感じた。 動きつつ、釣り合いをとる。これが動的平衡の意味だ。放っておけば、何でも無秩序となってしまう。それがあらゆることに共通した法則「エントロピー増大の法則」。我々生物の組織は、常に破壊し再生すること(つまり動的平衡を保つこと)で生命秩序を維持させているが、やがて法則に抗うことが出来なくなり、死に至る。 水について、老化、記憶のメカニズム、遺伝子、癌と生きる、腸内細菌の優れたパワー、そしてコロナウイルスについて どれも長い時間軸の上では、動的平衡と言う法則に則っているんだなと感じた。 締めくくりは、C0VID-19を通じての福岡先生の説明に更に納得。 そもそも、C0VID-19の諸症状は、ウイルスが毒素を出したり、何らかの害作用を仕掛けたりしているのではなく、ウイルス感染という事態に対処した身体の側の反応である。免疫系が活性化されたことの帰結である。それが、アンバランスに過剰反応すると、免疫システムを暴走させ、重症化をもたらす(サイトカインストームと呼ばれるものも、これに当てはまる)。ウイルスが悪いのではなく、宿主側が悪いのだ。 パンデミックには、生態学的な調整作用があると言ってよい。人類史を眺めれば、ウイルスは、その都度生き延びるものと死ぬものを峻別し、生き延びるものには免疫を与え、人口を調整してくれた。つまり生命の動的平衡を維持してきた。 ウイルスは地球生命系という大きな動的平衡の一部、自然の環のひとつであるから、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。無理に制圧や管理を強行すれば、自然の環が切れて、動的平衡が乱れる。流れるものを止めてはいけない。止めるとその膨圧はどこかに密かに蓄積され、あるとき、とてつもないリベンジをしかけてくることになる。 つまりそれは、動的平衡としての生命の自由さ自体が、大きく損なわれてしまうことに他ならない。動的平衡はいつも、過剰さと彫琢の、精妙な流れのバランスのうえにこそ成り立つ。

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2023/05/20

「教養」と「物知り」の違いは何か。生命や細胞を通じて11のテーマ(章)で共通しているのは、エントロピー増大の法則。

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2023/05/19

破壊・分解と作り直し・更新により生命は継続するという生命の基本原理を「動的平衡」と定義。1章で組織論に応用可能と書いていた。自分も動的平衡の観点から,組織を考えたいとあらためて思った。「ジグソーパズルのピースのようなもので,前後左右のピースと連携をとりながら絶えず更新されている。...

破壊・分解と作り直し・更新により生命は継続するという生命の基本原理を「動的平衡」と定義。1章で組織論に応用可能と書いていた。自分も動的平衡の観点から,組織を考えたいとあらためて思った。「ジグソーパズルのピースのようなもので,前後左右のピースと連携をとりながら絶えず更新されている。ピース自体が交換されても,ジグソーパズルは全体としてゆるく連携しあっており,絵柄は変わらない。」(17ページ) ウイルスは遺伝情報を水平方向に伝える話はもうちょっと詳しく知りたかった。

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