流人道中記(下) の商品レビュー
流人道中記・下巻。 青山玄蕃という人間の思想の高潔さ、というものに打ちのめされる下巻。ただ彼のそれは、武士道への反感や格差社会への諦念、といった鬱屈した部分が大きく作用したように思えます。その暗い気質を抱えながら、その上であの境地に至ったということが、高潔であると思うのも事実。...
流人道中記・下巻。 青山玄蕃という人間の思想の高潔さ、というものに打ちのめされる下巻。ただ彼のそれは、武士道への反感や格差社会への諦念、といった鬱屈した部分が大きく作用したように思えます。その暗い気質を抱えながら、その上であの境地に至ったということが、高潔であると思うのも事実。 その一方で、理想を貫くことを選び、世間への反骨を示すことで、失わなくてもよいものを失ってしまうことになった、という一面もあるのが一滴の染みになってしまっているのか、とも思う。家族・家臣たちへ残したものが、それ。 玄蕃の生き様を見た乙次郎。彼がこの先の人生において、どんな行状を取るのか。怒涛の幕末、これまでの幕藩体制が崩壊し、価値観が一変する時代の中で、何を思い何を抱え何を支えとして生きてゆくのか。 最後、言葉を交わさずに別れた二人の間にあった、渡された残されたものがなんであったのか。それは、今後の乙次郎が人生を賭して表現してゆくしかないわけで。 それを見ることのできない「流人道中記」の終幕の仕方は、甚だ卑怯だと思います。 答えは与えられるものでなく、自ら見出すものである、と言われればそれまでですが、覚悟を持って幕末を生き抜いてゆくであろう乙次郎の姿を見たいという望みは、卑怯でしょうか。
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武士の生き様、信念を感じられる物語。 玄蕃と乙次郎の道中記。 下巻です。 無罪の罪をかぶり、磔となる少年との出会い。 そして、敵討ちの結末は? 玄蕃の導いたこの落としどころはちょっと悲しい。 さらに、故郷の水が飲みたいと願う病状の女との出会い。 ここちょっと面白い! 変なお決ま...
武士の生き様、信念を感じられる物語。 玄蕃と乙次郎の道中記。 下巻です。 無罪の罪をかぶり、磔となる少年との出会い。 そして、敵討ちの結末は? 玄蕃の導いたこの落としどころはちょっと悲しい。 さらに、故郷の水が飲みたいと願う病状の女との出会い。 ここちょっと面白い! 変なお決まりがあったんですね。 旅も終盤になってきて、この旅を通して語られるのは、武家の辛さ、厳しさ。「礼」と「法」の意味。 そして、いよいよ、旅の最後で語られる玄蕃の罪の真実。 そこにあった玄蕃の武士としての矜持。 家と取り潰してまで貫いた玄蕃の信念。 これは、唸ります。 そして、最後、乙次郎との別れには、熱いものがこみ上げました。 お勧めです。
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旗本の流人と見習与力の押送人の道中記。 玄蕃の犯した罪はなかなか語られない。 道中に出会う色々な事情を抱えた人々への深慮と筋の通った振る舞いを見れば見るほど、聡明さと信念、透ける孤独に魅かれていく。 これだけの人が切腹を拒否した理由は単純ではないとわかりつつ、後半につれて語ら...
旗本の流人と見習与力の押送人の道中記。 玄蕃の犯した罪はなかなか語られない。 道中に出会う色々な事情を抱えた人々への深慮と筋の通った振る舞いを見れば見るほど、聡明さと信念、透ける孤独に魅かれていく。 これだけの人が切腹を拒否した理由は単純ではないとわかりつつ、後半につれて語られる正体と罪をどこか知ってしまいたくない。知れば罪を撤回したくなるから。 信念を貫くのは簡単ではない。でもそれを玄蕃は選んだ。旅の中で玄蕃の生き様を見て生まれた乙次郎にとっての礼が新しい道の導になっていくのだろう。 歴史小説が苦手な私が浅田次郎さんの小説を好きな理由は人物が本当に魅力的な所。存分に味わいました。
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マイケルサンデルさんの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」the tyranny of meritの小説版と言えなくもない。 人は生まれる時代も場所も親も何も選べず生まれてくる。 容貌も頭脳も身体能力も。 遺伝要因と環境要因以外に、意思など自由になる要因はあるのだろうか。 ...
マイケルサンデルさんの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」the tyranny of meritの小説版と言えなくもない。 人は生まれる時代も場所も親も何も選べず生まれてくる。 容貌も頭脳も身体能力も。 遺伝要因と環境要因以外に、意思など自由になる要因はあるのだろうか。 最初の起点である、生まれ出る要因のどこにも、主体としての意思がない以上、論理的には、木に竹を継ぐように、意思や自由が立ち上がるのは、やはり筋悪の議論と言わざるをえないのではないか。 また、社会に目を向けると、法、というものも社会、組織など集団に、一定の秩序をもたらすため、必要になることも分かる。 しかし、法など、それが議会制民主主義の下で定められようが、封建領主の下で定められようが、不完全、あるいはある局面においては有害なものにならざるをえない。 統治機構も、どれだけの頻度で最適化するのが適当かは分からないが、状況により見直すことが不可欠である。しかし、その機構の構成員は、どんな状況にあっても、機構の存続のため懸命の努力を行う。 結果、相当程度大きな不都合により、転覆されるまで、軋みを増しつつ続くことになる。 しかし、人が生きていくためには、意思や自由という虚構が必要であるとは思う。 礼、もその軸の一つであろう。 一人ひとりが、礼、美しさを希求し、軋みで損なわれてしまうものを、なんとか救い出そうとすることによって、人の世は住むに値するものになるのではないか、ということが著された作品だと思う。 論説文で積み上げる論理の力も重要だが、難しいことを書き連ねることなく、エッセンスを伝える、小説の力に改めて感じ入った。 解説に杏さんの文章があった。 なんだか若い子だけどいろいろ苦労があったように報じられた子だったか。 年号など気にせず読んだが、江戸幕府最後の数年が舞台だと解説。 杏さんが指摘する通り、そうしたことも踏まえると、登場人物のこれからが少しでも明るさを増すのではと期待できて、一層よい読後感を得ることができた。
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明かされた玄蕃の罪の真実。 法とは、礼とはと考えさせられはしたが、だからといって、家を取り潰してまでと考えてしまう。 玄蕃は満足しても、家族・家来などのことは考えなかったのだろうか。キレイごとすぎるように思えてならない。 玄蕃と乙次郎の別れのシーンは良かった。 後日譚として、乙...
明かされた玄蕃の罪の真実。 法とは、礼とはと考えさせられはしたが、だからといって、家を取り潰してまでと考えてしまう。 玄蕃は満足しても、家族・家来などのことは考えなかったのだろうか。キレイごとすぎるように思えてならない。 玄蕃と乙次郎の別れのシーンは良かった。 後日譚として、乙次郎のその後も読んでみたい。
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大好きな作品。再読。 「人間が堕落して礼が廃れたから、御法ができたんだぜ。」 「大勇は怯なるが如く、大智は愚なるが如しという。ならば俺は、破廉恥漢でよい。」 実写化するなら、玄蕃は佐藤浩一に演じてほしいなぁ。 あ、玄蕃は三十代か笑
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青山玄蕃は本当に罪人なのか。この人と別れたくない、何とか冤罪を晴らしたい、乙次郎の気持ちが痛いほど分かる。
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初版から半年以上たっている今でも新聞に広告が頻繁に出ている。帯は50万部突破とか。 残念ながら何故そこまでの作品なのか、自分にはわからなかった。
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浅田ドラマにどんどん引き込まれて、 旅が終わって欲しくない気持ちが どんどん強くなっていった。 礼とは、法とは、考えさせられた。
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上巻よりも読みやすく玄蕃の罪についてもほどかれていく 乙次郎とのラストは流石 現状に疑問を持ち、考えることって難しい 疑問を持つことすら無くなってしまったら進まない でも守りに入って見て見ぬふりをする など、現代社会でもぶつかる壁に通ずることを 考えさせてくれる作品
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