パワハラ上司を科学する の商品レビュー
被害者への聞き取りだけではなくて、組織や会社側への聞き取りも加味しながら、科学的(統計的にまとめた本。 内容は学術論文的ではあるが、できるだけ多くの人にとって欲しいと言う著者の思いから新書にされている。 興味を引いたトピック。 立場が優位であれば、言動も高圧的になってしまうと...
被害者への聞き取りだけではなくて、組織や会社側への聞き取りも加味しながら、科学的(統計的にまとめた本。 内容は学術論文的ではあるが、できるだけ多くの人にとって欲しいと言う著者の思いから新書にされている。 興味を引いたトピック。 立場が優位であれば、言動も高圧的になってしまうと言う結論に至る実験として、ボードゲームの実験がある。勝っている人は、お菓子をついついつもり食べ過ぎてしまうとか、ちょっと横道にそれるエピソードではあったが、なるほど、確かにこういうところにも表れているのかと印象に残った。
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とてもわかりやすい。単に法律上のパワハラをなくすためだけでなく、人が気持ちよく働いて、その人らしさを持ちながら最大限のパフォーマンスを発揮してもらう必要がある。 何をすればいいのか、どうすればいいのか、など科学的な根拠に基づき書かれており、著者の熱い思いが伝わってきた。
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そもそも日本の価値観や風土がパワハラを発生させやすいようだ。 皆に同じ行動を要求したり、 ハードワーク(気合と根性)を評価したり、 理不尽なことがあっても黙って耐えることを美徳とするところなど。 同じを求めるが故にはみ出したものは、集中砲火に会う。 パワハラといじめの構造...
そもそも日本の価値観や風土がパワハラを発生させやすいようだ。 皆に同じ行動を要求したり、 ハードワーク(気合と根性)を評価したり、 理不尽なことがあっても黙って耐えることを美徳とするところなど。 同じを求めるが故にはみ出したものは、集中砲火に会う。 パワハラといじめの構造はかなり似通っていることを改めて感じた。 もちろんパワハラが生じるのは加害者が一番わるいのだが、 反論せず、自分が悪いのだと同調し続ける被害者や加害者を持ち上げる太鼓持ちのような存在。気づいていても黙認する放任型の上司など、 加害者をとりかこむ人の関わり方がパワハラを生み出す土壌をつくりだす。 パワハラ加害者は十中八九、自分がパワハラをしていると自覚できないという。 だからこそ周囲の人間が断固とした意思を持って、小さな理不尽でもそれは人としてやってはいけないことだと伝えなければならない。
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2023年6月読了。 役目柄、ちょっと面白そうなタイトルの本だったので読んでみた。正否はともかく科学論文による裏付けを取っており、少なくとも独りよがりでカッコつきの「パワハラ対策」ではなさそうな印象で、なかなか興味深い一冊だった。著者の話を是非リアルに聞いてみたい。 (49・5...
2023年6月読了。 役目柄、ちょっと面白そうなタイトルの本だったので読んでみた。正否はともかく科学論文による裏付けを取っており、少なくとも独りよがりでカッコつきの「パワハラ対策」ではなさそうな印象で、なかなか興味深い一冊だった。著者の話を是非リアルに聞いてみたい。 (49・50ページ、モノポリーを使った実験結果について)社会や組織の上位にいくほど、①慈悲や同情の気持ちが減り、②権利意識や自己利益についての意識が強くなり、③周囲の人の不利益を顧みなくなる…(中略)その逆に、社会的地位が低い人(または貧しい人)の方が、より寛大であり、他者を信頼する傾向にあり、他者に施すのに熱心であり、他者を手助けする傾向にあった(以下略) (52ページ)登用前の研修で、管理職になっても人として偉くなるわけではないこと、業務内容にマネジメント業務が加わっただけであること、部下が上司の言うことを聞いて当たり前だと思わないことを、説明して理解してもらうことも大切 (66ページ)「自分は女々しくない」ことを男性仲間にアピールするために、(本当はしたいと思っていなくても)攻撃的行為や暴行をしてしまうことも、「有害な男らしさ」の一つです。 (67ページ)スポーツを通して有害な男性らしさを獲得した人々を、「有毒体育会系」と呼んでいる研究者もいます、。一般的にスポーツは心身の発達に良い影響をもたらしますが、「有毒体育会系」の学生の関心は、チームワークやスポーツマンシップよりも、他の選手より優れたパフォーマンスをしてスターになることに重きが置かれているため、自己中心的で衝動的である傾向が指摘されています。 (69ページ)近年、パワハラ行為者に特有の性格傾向があることが報告されています。その中でも特に注目されているのが、マキャベリアニズム(マキャベリ主義)、サイコパシー(精神病質)、ナルシシズム(自己愛性傾向)の三つの要素から構成される「ダークトライアド」です。そして、これらに当てはまる人は男性に多いことがわかっています。 (75ページ)(前略)これではパワハラは防止できません。性格は生まれ持った部分が大きく、年齢を重ねる につれ成熟し変化していくものの、直ちに変化させることは難しものです。そのため、「部下に配慮して下さい」「思いやりを持って接して下さい」と言っても、元々持っていない部分の特性を突然何らかの方法で獲得することはできません。 (84ページ)マキャベリズムの高い人、ナルシシズムの高い人、サイコパシーの高い人は、自分自身に対する評価も高いため、「自信を持っているように見える」ことも、高い評価を受ける理由の一つです。というのも、人はリーダーを選ぶ時、「自信がなさそうに見える人」よりも、「自信がありそうな人」を選ぶ傾向にあるためです。 (85ページ)組織に必要なのは、人を傷つけたり潰したりすることに全く痛みを感じない邪悪な性格特性を持つ人に対して、決してパワーを与えない、そのような人を決して昇進させないという、強い意志です。 (95ページ)ダークトライアドのような邪悪な性格傾向を持ち、人の痛みを理解するのが難しい人に対して、「人の痛みに気付いて下さい」と言ったところで、何の効果もありません。
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そもそも、パワハラしている人は、自分がパワハラしているという自覚がないのではないかと、思います。 そんな相手に「それはパワハラです!」と言ったところで、相手はきょとんで、なんのことだかわからないということが多いのではないかと思います。 パワハラ気質の人たちには、何か共通点がある...
そもそも、パワハラしている人は、自分がパワハラしているという自覚がないのではないかと、思います。 そんな相手に「それはパワハラです!」と言ったところで、相手はきょとんで、なんのことだかわからないということが多いのではないかと思います。 パワハラ気質の人たちには、何か共通点があるのではないかと思っていた時に、この本に出会いました。 どういった人がパワハラに陥りやすいかなど、なるほどと納得することばかりでした。 読みやすくて、おもしろかったです。 おわりが、筆者の3歳と1歳の2人の息子さんに対して「君たちが就職する前の日本では、パワハラがないことが当たり前の社会になっていることを願います。」で締め括られていて、涙をこられるのに必死でした。 ホント社会からパワハラなくなって欲しい。 人の欠点やできていないところを責め立てるよりも、 相手も認められるようになるといいのに。 自分はそうありたいと思います。
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パワハラは、職場の人間関係がこじれた末の、扱いがややこしい難しいものと思い込んでいたけど違った。めちゃ「科学する」だった。頭の中が整理される。
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とても読みやすい本でした。そして、パワハラについての理解も深まりました。 この本はぜひ新任の管理職に読んでもらいたいなと思います。
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日本で横行するパワハラ。科学的視点がこれまでの日本において驚くほど欠けていた事が分かる。パワハラに悩む人は勿論、経営者や管理者など職場運営に携わる人は必携といえる内容。改善手法はあるものの改善事例には触れていなかったため関連書を読んで学びたいと思う。
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総じて上司個人のパーソナリティ的な心理学的な話題が中心で、組織的なパワハラへの考察が殆どない。個人のパーソナリティ的な問題はある種の「犯罪行為」であって、個人がどうにかすれば(個人にどうにかさせれば)解決する問題であり、これを「科学的」に考察したのは評価されるべきではあるが、果た...
総じて上司個人のパーソナリティ的な心理学的な話題が中心で、組織的なパワハラへの考察が殆どない。個人のパーソナリティ的な問題はある種の「犯罪行為」であって、個人がどうにかすれば(個人にどうにかさせれば)解決する問題であり、これを「科学的」に考察したのは評価されるべきではあるが、果たしてパワハラ問題の根本的な解決になりえるのか否か。 実際のパワハラの現場は所謂「追い出し部屋」に代表されるように、会社ぐるみである種「合法的」かつ巧妙になされる場合が大変厄介であり、裁判でも問題になる部分である。そこには「アイヒマン」的要素が多分に絡んでくるようにも思えるのだが、そういった視点での考察が欠如していたのは期待外れでもあり残念でもある。ただし、著者には力量を感じるので次作に期待したい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館の新着コーナーで手に取った。 若い研究者の著作、学術的になりすぎず読みやすく構成も悪くない。著者の読者に丁寧にわかりやすい本を提供したいという思いが伝わってくる。参考文献も掲載されており理解を深めるのに大変便利だ。このような本がいままでにないというのが不思議なくらいだ。 本著は、働きやすい職場、安心・安全な職場、生産性が高い職場をつくるきっかけとなる一冊だ。
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