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たおやかに輪をえがいて の商品レビュー

3.4

44件のお客様レビュー

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2024/08/21

ほぼ自分と同年代の作者が描く女性は、まるで自分のことを見透かされたような表現があちこちに出てきてイタイ。 スーパーでそろえる色気のない下着で満足し毎日夫と大学生の娘のために家事をする、「ただのおばさん」が、夫が風俗に通っていることを知ったところから物語は始まる。 完璧に「姉」キャ...

ほぼ自分と同年代の作者が描く女性は、まるで自分のことを見透かされたような表現があちこちに出てきてイタイ。 スーパーでそろえる色気のない下着で満足し毎日夫と大学生の娘のために家事をする、「ただのおばさん」が、夫が風俗に通っていることを知ったところから物語は始まる。 完璧に「姉」キャラの絵里子。言いたいことを胸におさめ、ただ嵐が過ぎ去るのをじっとがまんして。 「どうして怒らないのか」と後で娘に言われる。それから、こどものころからなんとなくなじめなかった母親にも「何か言うのが怖かった」と。 そんな絵里子が、希望を抱けない自分の未来に疑問を持ち、親友詩織の理解を得てとうとう家を出る。レズビアンの詩織やそのパートナー、またその友人の「風の子(風俗)」と話をするうちに少しずつ自分の生き方を模索するようになる・・・ 詩織の経営する高級ランジェリーショップで隠れた才能?「人の話を聴く」を発揮し店長となり、自身もランジェリーだけでなく洋服やヘアスタイルに気を配るようになり、たまたま用事で帰った元のマンションに戻って荒れている様子を見てつい手を出しそうになるのをぐっとこらえて放置する。 そうして静かに絵里子は強くなっていく。 ひとりぐらしとなり、上機嫌で自分のために朝食を作る。ひとりとはなんと贅沢なのだろう。 これは、わかる。 父が亡くなりひとりとなった母親もそんなことを言っているし、 たまたま自分の家族がみな留守になったときにはそのような解放感を味わうこともあるから。ただそれがずっととなるとどうなのだろう 「ただのおばさん」から華麗に?変身した絵里子、3度結婚した絵里子の実母、レズビアンの詩織とみなも、風の子の楓、旅先で出会った乳がんで乳房を失った鹿子、いろんなおんなたちの物語。 いちばんインパクトがあったのは、楓の「風俗が介護の仕事だと気づいたら気が楽になった、性的な交わりを通して人を介護してお金をもらってる」というセリフ。 なるほど。風俗も介護も家族以外の誰かにケアしてもらうっていう点ではいっしょ・・かなぁ。 *** 離婚してからガンになった父をひとりで看病し看取るところは胸にせまるものがあった。 共感するところも大いにあるけれど、高級下着ショップを経営し仕事を与えてくれて、空いているマンションを提供してくれるような都合の良い友達はいないしな・・・ 窪美澄作品は3?4作目かな。さすがに女性の細やかな心情を描くのはとても上手。

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2024/08/02

専業主婦である主人公、前半は読んでいて面白さが分かりませんでしたが、中盤から展開が変わります。後になって皆から「変わった」と言われる主人公ですが、実際変わり始めるある行動を取ってから面白く感じました。 専業も兼業も、主婦をリスペクトしたくなる一冊です。

Posted byブクログ

2024/07/15

私は今ニートでふとした事から彼女が出来ました。 その折でこの小説に出会っています。 ただ彼女というのも、好きよりセックスがしたいから作りました。 主人公は、うじうじとしていて亭主関白の悪い所を凝縮したかのようです。 自分の意見を言わずに腹に収める大人な対応。 昔の自分みたいで...

私は今ニートでふとした事から彼女が出来ました。 その折でこの小説に出会っています。 ただ彼女というのも、好きよりセックスがしたいから作りました。 主人公は、うじうじとしていて亭主関白の悪い所を凝縮したかのようです。 自分の意見を言わずに腹に収める大人な対応。 昔の自分みたいです。 私には力がない、やりたい事もない、何もできない。 そう思い込んでいました。 今は、私は自分のしたい事を行える様になったんでしょう。私はセックスがしたいから彼女を作った。 そこに負い目も引け目もありません。 私は私の人生を生きるんです。 男の社会は辛いものです。仕事が全て、競争社会、女よりできて当たり前。風に当てられ、健常者からは大きく外れました。最早、人間ですらない。 クソ喰らえです。 どうせ女だろうが男だろうが、自分がやりたい事は自分で決めるんだ。 幸福を。幸福を。幸福を。

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2024/07/08

最近は三国志や三体など大作めいたものを読み耽っていた私だが、夫の風俗通いを見つけてしまったとこから始まる小説を楽しめるのか不安だったけど、やっぱり窪美澄さんは最高である。 登場人物がそれぞれ抱える悩みが身近で、家族や友人、街ですれ違う人や電車で向かいに座った人、全員が大なり小な...

最近は三国志や三体など大作めいたものを読み耽っていた私だが、夫の風俗通いを見つけてしまったとこから始まる小説を楽しめるのか不安だったけど、やっぱり窪美澄さんは最高である。 登場人物がそれぞれ抱える悩みが身近で、家族や友人、街ですれ違う人や電車で向かいに座った人、全員が大なり小なり悩みを抱えているんだと再認識させられた。 窪美澄さんの小説は、穏やかに始まって、気づいたらドカ雪が降って、暖かい日差しで雪解け、そこは元の形に戻らないけど、一歩前進した新しい場所になっているみたいな、最後はすごく温かい気持ちになれる。 大好きな作品になりました。

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2024/06/14

窪美澄さんの、いわゆる「普通の女性」の心理描写はやはりすごい、と感じる。 私のように結婚も出産もしていなくても子持ちの主婦の気持ちになれるし、旦那が不倫をした妻の気持ちにもなれる。 主人公は52歳の絵里子。夫と20歳の娘と3人、小さなマンションで暮らしている。普段はホームセンタ...

窪美澄さんの、いわゆる「普通の女性」の心理描写はやはりすごい、と感じる。 私のように結婚も出産もしていなくても子持ちの主婦の気持ちになれるし、旦那が不倫をした妻の気持ちにもなれる。 主人公は52歳の絵里子。夫と20歳の娘と3人、小さなマンションで暮らしている。普段はホームセンターのパートに出て、多くはないが家計の足しにしている。 とりあえずは平穏な暮らしだが、思春期の反抗期以降は娘に気を遣いあまり口うるさく言わないようになり、仕事漬けの夫とはすっかりセックスレスで、それどころかほぼ会話もない。 だけどそんなものだろう…と自分を納得させながらいたのだが、ある日夫婦の寝室に、風俗店のスタンプカードが落ちているのを見つけてしまい…。 不和まではいかないもののしっくりいかない家庭に居心地の悪さを感じていた絵里子が、ひとつのきっかけを得て、「自分らしい生き方」を希求していく物語。 20代で結婚して30代で出産して子育てを大方終えて、少し早いけれど後は余生に向かって生きていく…と思っていた52歳の女性が、周りの人から影響を受けたり助けを借りたりしながら変化していく様がとても素敵だった。 とくに学生時代の友人・詩織の影響は大きく、後ろ指を指されようと自分らしく生きる詩織を目の当たりにして、最初はどこか彼女との間に線を引いていた絵里子が、だんだんと詩織の生き様に導かれるようにして、ひとりの女性として強く生きる在り方を獲得していく。 一旦距離を置いた夫や娘との関係性の変化も見事だった。「女がこうなっちゃえば男なんて弱いものよ」と思ったり。笑 何をしても妻はずっと自分の側から離れないだろうという謎の自信を持った男性は、年配層の世代ではとくにそこそこいる。 だから自分らしさを獲得していく妻に畏怖のようなものを感じつつ、それでも離れて欲しくないと思うのだろう。 自信を持った女は格好いい。 でも絵里子はまだ発展途上で、家族を簡単に捨てるわけではない猶予型なのもリアル。 どう転ぶか分からない、元に戻るかもしれない。だけど自力で変化したという経験は大きな糧になる。 夫も本質的には寂しかっただけで悪人ではない。家族となって長年暮らしても、解り合えないことは山ほどある。家族だからこそ、伝えるのをやめてしまうことも多々ある。 絵里子夫婦、友人カップル、絵里子の母と再婚相手、色んな関係性から、「うまくいくばかりではない家族」や「恐れずコミュニケーションを取ることの必要性」を感じる物語。 人と人の関係は、どんなに距離が近くても、遠くて難しくて愛おしい。

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2024/06/13

途中まではおもしろく読んだけど、途中から主人公の性格が変わりすぎてよくわからなくなってしまった。 話は素敵な物語だけど、少し現実味に欠けすぎていた気がする。

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2024/04/23

昭和〜令和問わずあるあるなのかもしれないけど、どうしても好きになれず。主人公が変わっていった後もご都合主義に感じてしまって合わなかった。

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2023/11/28

2023.11.26 ジェンダーレスな昨今、こういう表現をして良いのかわからないが、女性ならでは、女性による、女性の為の小説だと感じた。 ただ、それだけではなく、自分の人生の楽しみ方について考えられる自己啓発書の要素もあるので、色々と考えさせられる作品だった。

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2023/11/06

未だに付き纏う女性の老いとか、誰しもある誰にも知られたくないこととか、そういった後ろめたいようなネガティブなものをプラスにしてくれるような、そんな作品だった。色々考えたことは多いけど、私はずっと詩織とみなもの関係がすきでした。

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2023/10/28

夫が風俗に通っていたことがそんなに一大事?娘が親父みたいな男と一緒にいたところを保護されたら、寄り添って理由を聞いたりしないの? 「家族の世話ばかりしていた」って言うけれど、そこに自分の幸せはなかったと言うのか?友達の店で仕事をしたからって、自分のための上質なものを買える経済力が...

夫が風俗に通っていたことがそんなに一大事?娘が親父みたいな男と一緒にいたところを保護されたら、寄り添って理由を聞いたりしないの? 「家族の世話ばかりしていた」って言うけれど、そこに自分の幸せはなかったと言うのか?友達の店で仕事をしたからって、自分のための上質なものを買える経済力がつくの? モヤモヤばかりが残ってしまった。

Posted byブクログ