踏切の幽霊 の商品レビュー
ジェノサイドの著者の新作ということで迷わず購入。今回の作品も超常と現実が調和しており、ありえないようなありえそうな絶妙な流れで、次の展開が予想できず最後まで楽しめた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
帯には11年ぶりとあるが、ほぼ12年ぶりでは。大作『ジェノサイド』以来の高野和明さんの新刊は、「幽霊小説の決定版!」だそうだが…。300p以下と、前作を思えばかなりお手頃な長さだったので、血も凍る感動には期待せず読み始める。 若くして妻が先立ち、現在は女性誌の契約記者である、元新聞記者の松田。仕事に身が入らない彼は、ある日心霊ネタの取材を命じられる。下北沢にある小田急線の踏切では、怪異現象の目撃が相次いでいた。正直、そそられない設定である。 取材を進めると、ある殺人事件との接点が浮上する。犯人は既に起訴されているが、被害者である女性の身元は不明なまま。松田の旧知の刑事は言う。被害者が誰かなんて、検事も裁判官も気にしない。現実に、そんな非情な扱いはあるのか? 本作の時代設定は1994年。暴対法は施行済だが、当時の暴力団はまだ羽振りがよかったのか。政財界との癒着は露骨だし、男どもの汚さに反吐が出そうになる。現実の暴力団に、任侠なんて欠片もない。描写がステレオタイプに感じるが。 松田の記者魂に火が付いたのか、社会が気にかけない女性の素性を追い始めるが、彼女が置かれた境遇が徐々に明らかになる。取材と称して、白日の下に晒してよいものかどうか。松田は逡巡しつつも、真相に迫っていく。 元々心霊ネタの取材とはいえ、最後のヒントがそんな形とは。松田が何とか読み解き、遂に辿り着いた真相は、過酷なんて言葉では生ぬるい。そりゃ浮かばれるわけがない。彼女の執念のなせる業か、因果応報か。それとも松田の執念か。 だがしかし、最後に松田が暴走するシーンは、どうなのさ。もっとスマートに追い詰めると思っていたので、唖然としてしまったよ…。その後、急転直下の展開でさらに唖然。これはミステリーではない、幽霊小説なんだ。そう考えるしかないのか。 まあとにかく、作家・高野和明が筆を折っていないことが確認できた。大作でなくてよいので、せめて数年に1冊くらいは新刊を出してほしい。
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”ジェノサイド”から10年以上経つこともあり、もう氏の著作は読めないものと思っていました。前作が圧巻の出来で、かつこれだけ待たされたこともあり、本作への期待は当然、大きくもなります。でもちょっと不安を感じたのは、タイトルからして幽霊絡み、ってこと。スーパーナチュラルが好きじゃない...
”ジェノサイド”から10年以上経つこともあり、もう氏の著作は読めないものと思っていました。前作が圧巻の出来で、かつこれだけ待たされたこともあり、本作への期待は当然、大きくもなります。でもちょっと不安を感じたのは、タイトルからして幽霊絡み、ってこと。スーパーナチュラルが好きじゃない(苦手ではなく)身としては、読前から『そっち系で大丈夫…?』って状態で紐解くことに。で、そこまで霊色は強くなかったんだけど、やっぱり満足度はそれほど得られませんでした。残念。
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『ジェノサイド』高野和明11年振りの最新作。 幽霊×社会派サスペンス。舞台は94年ながら、今の時代にこんなに真っ直ぐ幽霊を物語に組み込んでいるのが珍しい。 ベテラン作家ならではの安定感はあったけど、特に捻りもなく、『ジェノサイド』ほどの興奮とスペクタクルは無かったかな。 『...
『ジェノサイド』高野和明11年振りの最新作。 幽霊×社会派サスペンス。舞台は94年ながら、今の時代にこんなに真っ直ぐ幽霊を物語に組み込んでいるのが珍しい。 ベテラン作家ならではの安定感はあったけど、特に捻りもなく、『ジェノサイド』ほどの興奮とスペクタクルは無かったかな。 『ジェノサイド』電子書籍化して欲しい。
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久しぶりの高野和明さんの新刊。もう待ち焦がれてました。今回はなんと、幽霊系とミステリーの融合でした。 毎作、本当に同じ人が書いてるの?と疑うほどガラッと変えてくる高野さん。どの作品も、ある弱い立場の人を全力で応援する、優しい心が寄り添っていて、巧みな筋で興味を惹きつけられな...
久しぶりの高野和明さんの新刊。もう待ち焦がれてました。今回はなんと、幽霊系とミステリーの融合でした。 毎作、本当に同じ人が書いてるの?と疑うほどガラッと変えてくる高野さん。どの作品も、ある弱い立場の人を全力で応援する、優しい心が寄り添っていて、巧みな筋で興味を惹きつけられながらも、温かい眼差しを常に感じます。 読み終えて直ぐ、また次回作を期待してしまいます。読者を貪欲にさせる、珍しい作家さんですね。
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ふと手に取った本。霊魂が根底に流れるも家族愛であったり汚職であったりと話の展開が面白い。政治家を追い詰めながらもラストはこうなるかと、しっかり裏切られる。こわごわしながらもワクワクしながら一気読み!
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始めから終わりまで読者を本書から惹きつけて離さない文章力。そして緊張の連続のミステリー、とうとう最後まで読み切ってしまった!最後はウーンと唸ってしまった!
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タイトルからも装丁を見てもどうみても単なるホラー小説にしか思えないが、その先入観で読むと痛い目にあう大傑作ミステリー小説。超常現象を追いかけることになった元新聞記者のライターが見た哀しい女の死の真相とは。ホラー現象をエッセンスに使い、卓越したストーリテリングと人物描写で極上のミス...
タイトルからも装丁を見てもどうみても単なるホラー小説にしか思えないが、その先入観で読むと痛い目にあう大傑作ミステリー小説。超常現象を追いかけることになった元新聞記者のライターが見た哀しい女の死の真相とは。ホラー現象をエッセンスに使い、卓越したストーリテリングと人物描写で極上のミステリーに昇華させている。新年早々いい小説に出会て幸先が良いなあ。
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ブクログ最初に登録したのが 高野和明だったな 印象的な本が多いよな って思ったけど そもそも出してる冊数が少なかった 少ないくせにそう思うってことは 好みの作家なんだろう グレイヴディッガーは… ちょっと違うけど… 本屋で『お!高野和明!』 って手に取ったけど 『おばけの話!!...
ブクログ最初に登録したのが 高野和明だったな 印象的な本が多いよな って思ったけど そもそも出してる冊数が少なかった 少ないくせにそう思うってことは 好みの作家なんだろう グレイヴディッガーは… ちょっと違うけど… 本屋で『お!高野和明!』 って手に取ったけど 『おばけの話!!!』 ってすぐ戻した本なのに 買ってしもうとるやないか… 怖いやないか… 高野和明じゃなかったら まず買わない 最初から怖いんだけど ガッツリ引きずり込まれた 読まないままでいるのが怖いっつーか 結末がそっちでいくのね って感じだけど まぁそうだよね幽霊譚だもんな ミステリーなんだけど 幽霊も活躍します的な それにしても 過去作とまた全然違うな ジェノサイドも6時間後に〜も 13階段も幽霊人命救助隊も おんなじ人が書いたとは スバラシイな この作家だからおそらくこんな感じ って予測ができないのは なかなかすごいと思う 好きだからこそ あえての星3つ
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元新聞記者だった松田は、妻を亡くし今は雑誌記者として働いている。 だが契約期間もあと二ヶ月となり、最後の企画に読者からの投稿をもとにした心霊ネタの取材をすることになる。 一枚の踏切前の心霊写真を探っていくうちにこの場所で殺人事件があったことに辿り着く。 犯人は、捕まったものの尋...
元新聞記者だった松田は、妻を亡くし今は雑誌記者として働いている。 だが契約期間もあと二ヶ月となり、最後の企画に読者からの投稿をもとにした心霊ネタの取材をすることになる。 一枚の踏切前の心霊写真を探っていくうちにこの場所で殺人事件があったことに辿り着く。 犯人は、捕まったものの尋常ではない状態。 しかも被害者の身元がわからず。 このような中、松田がカメラマンの吉村と探り出す。 グイグイと引き込まれてしまう。 心霊現象を信じるか、というよりもそれ以上に殺人の原因に至るまでの過程やそれに付随して亡くなっていく人を怨念の末なのか…と考えると余計に怖さが増していくのである。 不可解かもしれないが、真実かもしれない。 そしてこのような事件が現実として隠されているのかもしれない…と考えてしまうと別な怖さを覚える。 筆で記さない事件が、近くにも転がっているのかもしれないと想像してしまった。
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