惑う星 の商品レビュー
とても良かったです。オーバーストーリーよりずっと分かりやすい。 地球を外の星から客観的に見たときに、見える人間の抵抗?の浅はかさを語る。 地球から何万光年も遠い星の生命体の存在を感知することなど、できるのだろうか。地球の人間の歴史でも、人間では捉えられないほどの、わずかな一瞬なの...
とても良かったです。オーバーストーリーよりずっと分かりやすい。 地球を外の星から客観的に見たときに、見える人間の抵抗?の浅はかさを語る。 地球から何万光年も遠い星の生命体の存在を感知することなど、できるのだろうか。地球の人間の歴史でも、人間では捉えられないほどの、わずかな一瞬なのではないか、と思う。
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生き物を愛する優しい少年と父親の物語。 ジャンル的にはSFになるとは思うが、家族愛がメインテーマだったように思う。 少しディストピア風の世界観が興味深い。 環境問題に対して、とてもメッセージ性が強い作品。 ロビンの純粋な質問がとても深い。 この著者は、他の作品も読んでみたいと思う...
生き物を愛する優しい少年と父親の物語。 ジャンル的にはSFになるとは思うが、家族愛がメインテーマだったように思う。 少しディストピア風の世界観が興味深い。 環境問題に対して、とてもメッセージ性が強い作品。 ロビンの純粋な質問がとても深い。 この著者は、他の作品も読んでみたいと思う。
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一言も漏らさず読みたい、そんな美しい物語で、いつもよりかなり時間をかけて大切に大切に読み進めた。 きっと私の中にもちいさなロビンがいて、共鳴するものがあったからだと思う。 まっすぐな瞳で「生きとし生けるものが不要な苦しみから解放されますように」と願うロビンの純粋さを、そしてその...
一言も漏らさず読みたい、そんな美しい物語で、いつもよりかなり時間をかけて大切に大切に読み進めた。 きっと私の中にもちいさなロビンがいて、共鳴するものがあったからだと思う。 まっすぐな瞳で「生きとし生けるものが不要な苦しみから解放されますように」と願うロビンの純粋さを、そしてその純粋さを持ち続けることの生きづらさを、傷跡のように鮮明に残していった。 読んでいる時からずっと胸が痛い。 以下、本文からの引用。 「土台から壊れているこの世界の中で共感力を高めることはさらなる苦しみを意味する。問題はなぜロビンがまた坂を転がり落ちているかということではない。問題は私たち皆がどうしてここまで理不尽に能天気でいられるのかということだ。」 ロビンの父シーオが、あくまでもずっとロビンの側にいて寄り添おうとする姿に救われた。 原題『Bewilderment』を『惑う星』と訳した訳者にも拍手。 今の語学力では無理だけど、いつかこれを原語で読むのが夢になった。
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文学ラジオ第108回https://open.spotify.com/episode/6VoTFJnVfCY0ETkpU2zxfN?si=eda9484991a346b5 リチャード・パワーズは、おそらく、結構読みにくいという印象を持っている人がいると思うが、それに比べたら驚くほ...
文学ラジオ第108回https://open.spotify.com/episode/6VoTFJnVfCY0ETkpU2zxfN?si=eda9484991a346b5 リチャード・パワーズは、おそらく、結構読みにくいという印象を持っている人がいると思うが、それに比べたら驚くほど読みやすい。かつ、テーマや要素が濃厚なので、ハードルが低いのに、めちゃくちゃ良いものが読めるという素晴らしい作品だと思う。 人間って何、地球って何、って考えさせられる小説なので、多くの人にとっておすすめ。
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リチャードパワーズ「惑う星」 https://www.shinchosha.co.jp/book/505877/ ラストが美しくて読後の余韻がとんでもなかった。圧倒的なストーリーの力。性格や能力の特性、団体行動とルール、家族や職業の型、研究者の社会貢献vsエゴ/名声欲、メディアの...
リチャードパワーズ「惑う星」 https://www.shinchosha.co.jp/book/505877/ ラストが美しくて読後の余韻がとんでもなかった。圧倒的なストーリーの力。性格や能力の特性、団体行動とルール、家族や職業の型、研究者の社会貢献vsエゴ/名声欲、メディアの暴力とかとかの社会問題が詰め込まれて絡み合ってネガティブなスパイラルを進む。キラキラと明るい場面の不穏さが印象的だった。一年最初にこれを読めて良かった
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精神的に問題を抱える息子を持つ、寡夫の宇宙生物学者の物語。息子はfMRIを用いた実験の中で、他の被験者の脳のスキャンデータ、特に亡き母の残したデータを基に精神的安定を得るが… 自然や宇宙、特に主人公が息子に語る数々の惑星の描写が興味深い。ただ現代社会問題、政治的問題が随所に色濃...
精神的に問題を抱える息子を持つ、寡夫の宇宙生物学者の物語。息子はfMRIを用いた実験の中で、他の被験者の脳のスキャンデータ、特に亡き母の残したデータを基に精神的安定を得るが… 自然や宇宙、特に主人公が息子に語る数々の惑星の描写が興味深い。ただ現代社会問題、政治的問題が随所に色濃く反映されており、独善的なきらいもあるので現実逃避したい人にはあまりお勧めはしない。
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どうすればよかった、どこでとまれば失わずにすんだのか。惑う父親の話。悲しすぎて苦しすぎる。失うために生まれたのなら、酷すぎる。楽になれたのならいいのだけど。それでもまた読みたいと思う美しい話
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私の初リチャード・パワーズとなったのは本作、2021年に発表された『惑う星(原題:Bewilderment)』。 地球外生命体の存在を探る研究者(=宇宙生物学者)であるシーオは、動物の保護活動を行うNGOで活動していた妻アリッサを亡くす。母親を喪ったことによって情緒不安定となっ...
私の初リチャード・パワーズとなったのは本作、2021年に発表された『惑う星(原題:Bewilderment)』。 地球外生命体の存在を探る研究者(=宇宙生物学者)であるシーオは、動物の保護活動を行うNGOで活動していた妻アリッサを亡くす。母親を喪ったことによって情緒不安定となった幼い息子のロビンは、学校で友人に暴力を振るって怪我をさせてしまう。このままでは息子が学校を追い出されてしまうと危機感を募らせるシーオ。だが、息子に向精神薬を飲ませたくはない。 そんな時、シーオは妻の知人であった神経科学者カリアーが進める、「fMRI(機能的磁気共鳴機能画像法)」を用いた神経フィードバック治療を思い出し、一縷の望みを賭け、ロビンを被験者として欲しいと願い出る。亡き母の脳パターンと同期させるセッションを重ねるロビンは、精神の安定と聡明さを獲得、そして母が生涯をかけて取り組んだ動物保護への意識を深めていくが―――。 「大自然、大宇宙の"生命"に思いを馳せる、幻想的な筆致で描かれる、父と子の切ない物語。」 父が子に聞かせる様々な惑星の幻想的な光景、脳パターンを同期させることで亡き母を内で感じる幼い子、直面する厳しい現実に"惑う"父子―――物悲しい幻想的な雰囲気を味わうことが出来る作品だった。ただ、シナリオ自体の面白味はそこまで。自分が「動物保護運動」というものにあまり良いイメージを持っていないことが大きな要因かもしれないが・・・。
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21世紀のアルジャーノン? シングルファーザーと母の遺伝と読める少し精神的に不安定な息子。脳内で母の感性が体感できるようになる高度技術にて、状況は改善方向に。しかし、それがなくなると…。 たしかにこの展開はアルジャーノンだ。作中にもアルジャーノンを読む場面が登場する。宇宙...
21世紀のアルジャーノン? シングルファーザーと母の遺伝と読める少し精神的に不安定な息子。脳内で母の感性が体感できるようになる高度技術にて、状況は改善方向に。しかし、それがなくなると…。 たしかにこの展開はアルジャーノンだ。作中にもアルジャーノンを読む場面が登場する。宇宙生物学者である父の話としてちりばめられた宇宙論は限りなくハードSFであり、、なぜ人類は孤独なのかといった問いも語られる。 でも、メインテーマはSFではないように読める。妻と息子をと研究を失った父の慟哭が心に残る長編だと思う。
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たった一人で死にゆく生き物たちのために戦うロビンがあまりに純粋で胸が苦しくなった。実験が行われる前でも、彼は十分聡明にみえたのに。父と息子の物語が好きだ。ずっと二人で星を探索しながら暮らしていてほしかった。
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