二人の嘘 の商品レビュー
10年前の真相に辿り着いたらそこには不幸が。 優しく悲しい嘘でした。 ただこれを機に感動的な純愛ストーリーが始まる。そしてモラハラ夫にうんざりする礼子にすごく感情移入できるし、金沢に行きたくなった。 ハッピーエンドじゃない感じも好き。
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※このレビューにはネタバレを含みます
【あらすじ】 女性判事・片陵礼子の経歴には微塵の汚点もなかった。最高裁判事への道が拓けてもいた。そんな彼女はある男が気になって仕方ない。かつて彼女が懲役刑に処した元服役囚。近頃、裁判所の前に佇んでいるのだという。違和感を覚えた礼子は調べ始める。それによって二人の人生が宿命のように交錯することになるとも知らずに......。感涙のミステリー。 【感想】 判事としての職務、家庭も完璧にこなす礼子が自身が唯一間違いをした判決の元服役囚に出会い、間違いを犯しながらも人間らしさを取り戻し、自分の過去に向き合い、未来に向かっていく。 個人的に【容疑者Xの献身】の犯人である石神のように献身的すぎる愛情とミステリーの要素が絡まった作品でした。 服役囚の蛭間は妹の罪を被ってもなお、『俺の手はいつも間違える』という悲しい結果になってしまう。 礼子と蛭間という現在は全く違う社会的立場の2人が心を通わせるが、決して横には立たずに2人で距離を置きながらも旅行をする場面は切なくもあり、愛おしくもあった。 蛭間の最後に旅に出ると言い、出ていくも人知れず自分の人生を終わらせようとしたが、運悪く漁船の網に絡まり、死体が見つかってしまう。 『俺の手はいつも間違える』が唯一報われた?ような最後だったのかなと感じた。 恋愛小説は得意ではないが、ミステリーの要素も強くベタベタな恋愛では無かったので、読みやすかった。 切なくも悲しくもあるが、礼子と蛭間が自由になれたところは救われたようにも感じました。
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優秀な将来を嘱望される裁判官とかつてその裁判官に判決を受けた受刑者。 一気に読了。金沢の街を思い起こした。 二人の嘘。切ないね。
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誰と誰の嘘なのか? どう嘘をついているのか、自分についた嘘か? 犯罪と裁判と犯罪者と裁判官の心理。 そして、 心を封じ込めた、心に傷のある2人が、寄り添っていく心理。 おもしろい。
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ひとつの裁判に隠された真相。 その真相にたどり着いた時にまた不幸が。せつなく悲しい物語。しかし、前半は若く美しく優秀な裁判官、片陵礼子の非の打ち所のない仕事ぶりが綴られる。それはまるで テレビドラマ『ドクター X 』の「 私、失敗しないので」と言った大門未知子のようだ。 作者は...
ひとつの裁判に隠された真相。 その真相にたどり着いた時にまた不幸が。せつなく悲しい物語。しかし、前半は若く美しく優秀な裁判官、片陵礼子の非の打ち所のない仕事ぶりが綴られる。それはまるで テレビドラマ『ドクター X 』の「 私、失敗しないので」と言った大門未知子のようだ。 作者は裁判所や裁判官の仕事に精通しているのか 、とても詳しい。主人公礼子の仕事ぶりを知るにつけ、いかに 日本の裁判官が激務であるかを思い知る。 公判(裁判)が終わる前にすでに被告人の判決は決まっていなければならないので、仕事が終わっても、帰宅しても、何十件もの事件の判決文を作成する、ということに驚いた。本書を読むと日本の裁判の現状がわかる。さらに 主人公 礼子は 朝6時に出勤する時も、夫の朝食を作り、義母に食事を届ける。睡眠時間 3時間。感情や心を排除し「裁判官 独立の原則」を徹底し、人と交わらない礼子。 そんな 礼子に転機が訪れる。自分が裁いた一人の元服役囚が現れてから。そこから一気に礼子の感情が動き出していくところが ドラマティックに描かれる。まるで映画を見ているように はっきりと 映像化できる 描写 だ。悲しみに向かってひた走る。ネタバレになるので 内容は書かないが キーワードは『手』なのではないか。タイトルは「嘘」となっているが重要なのは『手』である。そのことを心に留めて 読み進めていただけたらと思う。
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ロミオとジュリエットを思わせるような高潔な純愛物語だった。美しい悲劇。しずかできめ細かい文章で初めから哀しみが漂っていたけれど、それはとても熱のこもったもので、酔いしれてしまう。法廷小説としても興味深かった。裁判官は囚人よりも囚人のような生活をしていることに気づかされハッとした。...
ロミオとジュリエットを思わせるような高潔な純愛物語だった。美しい悲劇。しずかできめ細かい文章で初めから哀しみが漂っていたけれど、それはとても熱のこもったもので、酔いしれてしまう。法廷小説としても興味深かった。裁判官は囚人よりも囚人のような生活をしていることに気づかされハッとした。本を置くタイミングがわからないほど没頭してしまった。
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重くて辛い、、 2人とってのいい結末がなかったのだろうか 少しでも触れ合えたことだけでも幸いなのか 切ない、、
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桁違いに聡明な頭脳と美貌を兼ね備えた女性判事礼子。 その日常はモラハラ上司と夫と義母に無で従い、淡々と仕事をこなす毎日だった。 しかし。 かつて礼子が裁いた1人の受刑者との再会で歯車は狂いはじめる。 礼子の感情を奪ったのは過去のどんな出来事だったのか。 次第に自分の感情や他者の...
桁違いに聡明な頭脳と美貌を兼ね備えた女性判事礼子。 その日常はモラハラ上司と夫と義母に無で従い、淡々と仕事をこなす毎日だった。 しかし。 かつて礼子が裁いた1人の受刑者との再会で歯車は狂いはじめる。 礼子の感情を奪ったのは過去のどんな出来事だったのか。 次第に自分の感情や他者の心のぬくもりに触れていく礼子が手に入れ、失ったものは…?? 温度がなく、重苦しくも哀しいストーリーに、後半次第に色がつき始める。 ちょっと昭和感というか、そんな雰囲気のくだりが気になり★ひとつ減らしましたが、先が気になり一気読みできる面白い構成でした。
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初めての一雫ライオンさん。想像以上にいい本で一気読み。ひたむきな愛が切なく悲しすぎるし美しすぎる。才色兼備な女性裁判官と彼女が過去に裁いた元服役囚の物語。美しすぎるがために夫にも姑にも上司にも搾取されるまま人生を翻弄され、それを無に受け入れる礼子。門前の人となった蛭間に惹かれ始め...
初めての一雫ライオンさん。想像以上にいい本で一気読み。ひたむきな愛が切なく悲しすぎるし美しすぎる。才色兼備な女性裁判官と彼女が過去に裁いた元服役囚の物語。美しすぎるがために夫にも姑にも上司にも搾取されるまま人生を翻弄され、それを無に受け入れる礼子。門前の人となった蛭間に惹かれ始める。二人の容姿も相まってとても美しい物語だった。礼子は北川景子さんで、蛭間は鈴木亮平さんでぜひ映画化してほしい。
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感涙のミステリーは普段、あまり読まないのだがこの本には感激。 著者は脚本家でもあるそうで、いい映画を一本観た気分で読了。 誰もが振り返る美貌の持ち主であり、頭脳明晰、お金も地位も何でも持っているように見えるヒロイン女性判事礼子。 でも、どこか体温が感じられない彼女が、変わっ...
感涙のミステリーは普段、あまり読まないのだがこの本には感激。 著者は脚本家でもあるそうで、いい映画を一本観た気分で読了。 誰もが振り返る美貌の持ち主であり、頭脳明晰、お金も地位も何でも持っているように見えるヒロイン女性判事礼子。 でも、どこか体温が感じられない彼女が、変わっていく姿に、少しホッとした。貧しい子供時代を経て裕福な夫の元に嫁ぐも幸せではない礼子は、何の為にその立場でいたのか。男と会ってから、無くしていた本能が戻ってくるかのように人間臭くなっていく。 何とも切ないミステリー。映画化もいけるんじゃないかと思った。
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