サード・キッチン の商品レビュー
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ゴールドサンセットがすごく良かったので、白尾悠の過去作を読んでみようと手に取った1冊。いや、これもまた凄かった。 あしながおじさんの現代(というても1998年)版、女子一人でアメリカの大学に留学した主人公のナオミ。幼いころに父親を亡くした彼女の家は決して裕福ではないが、正体を母しか知らない謎の援助者のおかげで留学資金を調達できた。条件は一つ「学園生活の手紙を定期的に送ること」 この設定であれば、そりゃもう外国で色んな友人を作って揉めたり仲直りしたり、恋したり挫折したり、青春学園モンの楽しいヤツ…って思うやん。その金八感や裏切られるから。 ダイバーなんとかとかLGBTQとか価値観の多様性とか、最近色々騒がしい昨今のあれやこれや…がぶっ刺さるぞ。そういう問題に直面して主人公思いっきり悩むから。白人社会で差別される側の苦悩かと思ったらそれだけちゃうから、そんな甘いもんじゃないから。 読んでどんどん苦しくなる。自分の言ってきたことやってきたこと、常識かなぁと思っていたけど違ったよねって最近気づいたそのクソ甘え…。もう人と顔を合わすのがイヤになるから。主人公もそうなるんやけど、こんないい子がそうなるのに、俺程度は「生きててすみません」だから。 それでもね、そういう罪科を背負って生きるんよ。赦しは得られないだろうけど、これ以上罪を背負わないよう、そして少しでも償える言動をして生きるんよ。 覚悟を迫られる小説。読んでる間結構ツラかったけど、読んでよかった。もっぺん腹を括れた
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偏見や差別、マイノリティを描いた物語。 難しくも考えさせられた。 主人公が他者からの差別意識を感じ取ったり自分の持つ偏見に気付いたり、根深いそれらに傷つきながらも真摯に向き合っていく姿が苦しくも美しかった。 自分自身も無意識に差別意識を持っていて、いきなり変えることはできない...
偏見や差別、マイノリティを描いた物語。 難しくも考えさせられた。 主人公が他者からの差別意識を感じ取ったり自分の持つ偏見に気付いたり、根深いそれらに傷つきながらも真摯に向き合っていく姿が苦しくも美しかった。 自分自身も無意識に差別意識を持っていて、いきなり変えることはできないけれど知ること、向き合うことはできるんだと思った。 ☆3.7
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この本の存在はNHKの本の紹介番組で知った。 読んでみて、ありありとウン十年前の留学時代に感じた記憶が読みがえって来た。 何度「チャイニーズ!」っと遠くから叫ばれた事だろう。 土曜日の、まだ街が起きだす準備をしている静けさに包まれている朝に、街の中心を突っ切り駅へ向かう道で、私...
この本の存在はNHKの本の紹介番組で知った。 読んでみて、ありありとウン十年前の留学時代に感じた記憶が読みがえって来た。 何度「チャイニーズ!」っと遠くから叫ばれた事だろう。 土曜日の、まだ街が起きだす準備をしている静けさに包まれている朝に、街の中心を突っ切り駅へ向かう道で、私は顔面に黒い色の皮膚を持つ人に唾をかけられたのだ。 一瞬、何が起こったのかを脳が理解する事が出来ない…息も出来ない… 近くのスタバの入り口を叩き、顔を洗わせて欲しいと懇願する自分がいた。 怒りより驚きが、何度顔を洗っても落ちない唾の感覚が残る。 こんなに露骨にも差別とはこの世に存在するものなのだ… あの日の事は一緒忘れない。 大好きな国の醜い一面。 世界の中にいるアジア人の私。 一方で、表には出さないが私の中にも間違い無くある差別的な感情。 人間の心は複雑で、また、世界も複雑なのだと痛感させられる。 言語の問題で、自分をうまく表現出来ないもどかしさと悔しさ。 白人、黒人だけではない、わかりやすさからくる差別。 無知であることへの自覚。 折に触れて、何度も読もうと思う一冊です。
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人は、何かを理解しようとする時、 自分の知っている既存の知識や常識の枠で ものを捉えようとする。 それは自然なことに思えるけれど、 それゆえに、決めつけや差別を無意識にしてしまっていることに気づかないこともある。 自分の価値観や考え方は、変わるものであり、育てるものだと思う。 ...
人は、何かを理解しようとする時、 自分の知っている既存の知識や常識の枠で ものを捉えようとする。 それは自然なことに思えるけれど、 それゆえに、決めつけや差別を無意識にしてしまっていることに気づかないこともある。 自分の価値観や考え方は、変わるものであり、育てるものだと思う。 未知の人、もの、ことに出会った時には、まずはよく観察し受け入れることから始めたい。 それは学習と同じだと思う。 あらゆる差別やマイノリティに対する考え方が発信される世の中において、だんだんと身動きが取りにくい感覚に陥ることがある。 時に、過剰な理解や配慮に感じることがあるけれど、『それは過剰じゃないか、』という部分は、自分の立場から見た一つの意見であって、『必要である』と感じる人もいることに気づく。 何事も、良い悪い、0か100かでは割り切れないし、決めれられない。話し合っても、結論が出ず、平行線のこともある。 主人公ナオミの良いところは、 手を離して、考えるのをやめて、楽になりたいと思うような複雑な他者との関係性や価値観の理解を放棄しなかったこと。読んでいて、とってもネガティブな発言が多くて疲れるけど、それでも逃げなかったことがナオミの成長を描いていて、象徴的だった。 そして、外国人同士だけでなく、家族や友達 色々な関係性を引用しながら、本書では、 もっと本質的な、 人と人が分かり合うということの難しさ示しながら、 なお、私たちにどうするかを問うている。 分かり合えないというのはある意味当然だと思うのだが、それでも分かり合いたいと願い、分かり合えた時に喜ぶことは世界共通のことなのかな、と感じた。 自分の感覚を、いつも柔らかく保っていたいと思った。 私はこういった、問いをくれる本がとても好きなので、 面白かったです。
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人権、多様性、バイアス…。現代で注目されているキーワードですが、何となく知識的という感じもありましたが、本書を読んで、日常に潜むリアルとして受け取ることが少しはできたかもしれません。考え方や視野を広げさせてくれる一冊。よい読書体験になりました。
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こうして人は成長するのだなと、感銘を受けた。 人種、文化、ステレオタイプ、色んな悩みと向き合って、生きていくことは大変だけど。絶対に人生を豊かにするんだ
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あらすじを読んだ時、留学前かつ国際寮で生活する私にとって、通ずるものが多いと感じ、手に取った。 誰でも差別をする側に回る可能性があるが、それを恐れて人と接することを避けるのではなく、相手と自分の体、心、言葉で向き合うことが大切だと学んだ。 国際交流に限らず、人と関わる上で大切...
あらすじを読んだ時、留学前かつ国際寮で生活する私にとって、通ずるものが多いと感じ、手に取った。 誰でも差別をする側に回る可能性があるが、それを恐れて人と接することを避けるのではなく、相手と自分の体、心、言葉で向き合うことが大切だと学んだ。 国際交流に限らず、人と関わる上で大切なことについて描かれているため、全ての人にお勧めしたい本である。内容は簡単とは言えないため、少しずつ読み進めていくスタイルをとった。
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アメリカに住んでた身として、主人公のナオミに超共感。 アメリカにおいてマイノリティの身分でありつつ、マイノリティが直面する、提起する問題がいまいちピンときていなかった。 単なる無知。無知であることの恥ずかしさ。声を上げることの大切さ。 簡単にわかるものではないけど、知ろうとし続け...
アメリカに住んでた身として、主人公のナオミに超共感。 アメリカにおいてマイノリティの身分でありつつ、マイノリティが直面する、提起する問題がいまいちピンときていなかった。 単なる無知。無知であることの恥ずかしさ。声を上げることの大切さ。 簡単にわかるものではないけど、知ろうとし続けること、話し合おうとし続けること。それが重要。
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表紙に惹かれて手に取った本。 異文化や差別を扱った小説で、外国人が多く出る中でのキャラの区別が大変なこともあり、そんなにとっつきやすい小説ではない。 無知も差別を助長するという議論が交わされ、主人公は度々悩んでいる。ちょっと青臭い会話もあり、大学生らしいなぁと思いつつ読んだ。
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多様性を考える 十人十色わかりあいたくて伝えたくて言語を学び歴史を考える 差別を感じ心のこもった料理に癒やされる 読んでる私も主人公と共に考えた。
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