プロトコル・オブ・ヒューマニティ の商品レビュー
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交通事故で右足を切断、義肢を付けることになったコンテンポラリーダンサーの主人公護堂恒明、AI制御の最新義肢を付けることになった恒明はその脚とともにAI制御のロボットとのダンスを行うことになる。 ダンスが何かよー分かってない俺は、主人公がダンスを突き詰めていくシーンの本領は良く分かっていないと思う。それでも、制御しきれない右足や父親の介護や諸々を抱えつつ、できる工夫と練習と研鑽を重ねていく姿には感動を覚えた。 しかし、介護問題なぁ…。妻や娘に俺ごときの事でこんな苦労をかけることになるんだろうか?だとしたら認知症診断が出た段階で安楽死を選べる選択肢はないものか…。やっかいな人を殺す問題解決方法は非常に危険な思想だと分かっているが、そのやっかいが自分で努力しても改善しない類の時、本当に大切なものを守るためであれば、自爆スイッチを押す自由もあっていいと思うのだ。
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事故で義足になったコンテンポラリーダンサーのお話。2050年くらいのちょっと先の将来の話で、SFにジャンルされてるけど、あくまで現在の延長としての現実的な世界観として受け入れられる。途中ちょいと都合のいい展開に読み進めるのを躊躇したものの、クライマックスに向けてのダンスの描写は素...
事故で義足になったコンテンポラリーダンサーのお話。2050年くらいのちょっと先の将来の話で、SFにジャンルされてるけど、あくまで現在の延長としての現実的な世界観として受け入れられる。途中ちょいと都合のいい展開に読み進めるのを躊躇したものの、クライマックスに向けてのダンスの描写は素晴らしかった。
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AIといえば遠からず人類の知性を凌駕するのではないかという怖れについて語られがちだが、本作で追求されるのは肉体(運動)の方である。機械的動作や競技運動を超えた究極の活動とも言えるコンテンポラリーダンスを義足でも満足に踊れるのか、ましてや観客の前でロボットと協演できるのか、という困...
AIといえば遠からず人類の知性を凌駕するのではないかという怖れについて語られがちだが、本作で追求されるのは肉体(運動)の方である。機械的動作や競技運動を超えた究極の活動とも言えるコンテンポラリーダンスを義足でも満足に踊れるのか、ましてや観客の前でロボットと協演できるのか、という困難な命題に主人公に挑戦させて、著者は見事な文章力により音があり動きの見える感動的な踊りの舞台を描き切ることに成功する。 【付記】表紙絵は、最後の晩餐の前に弟子の足を洗うというキリストの逸話を描いたマドックス・ブラウンの作品の一部を拡大したもの。
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ダークSFでもないのに、読むのに苦しくなったので星二つ。 認知症の親も介護とロボットと共演するダンスの話が同時に進行する。親の介護パートではSF色がほとんどない。兄の無関心さに腹立つだけ。金が無くてSFチックな最新介護サービスが受けられないなんて設定はずるい。ロボットとのダンスは作者の真骨頂の部分。AIの創作(即興?)ダンスが観客やパートナーの反応に合わせて変化するという人間とロボットの協働。ベースとなる距離と速度のプロトコルは理系的で創作ダンスにそぐわない。それを上書きするアナログ的な部分がAIの学習らしいが、感心はするが感動を呼ばないというのが個人的感想。YMOのコンサートに似た感じかな? ロボットには心はなく、人間は認知症で半分以上壊れても心がある。この差は埋められないというのが読後感でした。
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23/03/13読了 あらすじを述べるならわりと救いのない話。 自らの寄る辺があれば、そこでつながっていれば、生きていけるんだろうか
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ダンスは踊れなかったが、プロトコルはつながった ダンスのイメージが理解できずかなり苦戦。速度とか距離とか理解できない。ダンスロボットも理解できない。振り付けAIなんてさっぱりわからない。 ラスト直前の父との踊りを読んでいるころから、ようやくプロトコルを感じられるようになってき...
ダンスは踊れなかったが、プロトコルはつながった ダンスのイメージが理解できずかなり苦戦。速度とか距離とか理解できない。ダンスロボットも理解できない。振り付けAIなんてさっぱりわからない。 ラスト直前の父との踊りを読んでいるころから、ようやくプロトコルを感じられるようになってきた自分に気づく。 そして対をなすロボットと踊る舞台では(あいかわらずダンスはさっぱりだけれども)、プロトコルがびんびん伝わってくる。つまり圧巻だった。 その公演(?)の終わり方にハッとする。そこで屠るか…。 主人公の母や兄や恋人の存在やそのプロトコルはあまり理解できなかったが、父とのプロトコルはあまりに強烈だ。 きっとそれは、意思疎通が困難になってからの別れを経験したものだけに理解できる「共通言語」なんだろうと思う。父を失った息子たちのプロトコルだね。
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1人の人間が挫折や困難を乗り越え懸命に生きようとする物語としてとても面白かった。 一方で、「人間性を伝えるプロトコルとは?」といったタイトルにもなっている疑問に対する洞察としては読み終わった今でもなんだかスッキリとせずぼんやりとしたままだ。人がダンスを見て、他の人間を見て、受け取...
1人の人間が挫折や困難を乗り越え懸命に生きようとする物語としてとても面白かった。 一方で、「人間性を伝えるプロトコルとは?」といったタイトルにもなっている疑問に対する洞察としては読み終わった今でもなんだかスッキリとせずぼんやりとしたままだ。人がダンスを見て、他の人間を見て、受け取るメッセージや情動が生じるメカニズムは、おそらく端的な言葉で説明可能だろう。そういった説明可能な分かりやすい言語化、洞察をこの小説はしようとしない。それがあえてなのかどうかは分からないけれど。
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共生義足、ダンスロボット、振付AIなど 難しいことは半分もわからなかったけど ダンスを言葉で表現することに挑戦し その苦難と熱がひしひしと伝わってきた。 最後に描かれる人間とロボットのコラボを 実際に観てみたいと思った。
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面白い!という感じではない。読んでいて楽しくはない。けれど、人間の身体から発せられるメッセージ性について考えさせられる小説。映画化したら、ダンスシーンなども分かりやすく、メッセージも伝わりやすく面白い作品になりそうな気がする。
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180ページほどでギブアップ。 自分にこの本は読めない。 読んでいてネガティブな感情しか湧かない。 読んでいて考えたことをなるべく控えめに言うと、人間の脳の機械化、人間の寿命の短縮、安楽死の容認。
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