なめらかな社会とその敵 の商品レビュー
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この本については、実現できるかという観点ではなく、いかに今の政治、社会、経済、生活のオルタナティブに対する示唆を与えてくれるかという観点で評価したい。一部でも現実に投射させられてしまう魅力に満ちた本。
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300年後の社会を構想した本。 「この複雑な世界を,複雑なまま生きることはできないのだろうか」という冒頭の文章に心動かされ手に取った。 数式的な部分の理解は飛ばしてしまったが、要旨は以外2点だと受け取った。 1.インターネットとコンピュータの発達により、複雑なものを複雑なまま受...
300年後の社会を構想した本。 「この複雑な世界を,複雑なまま生きることはできないのだろうか」という冒頭の文章に心動かされ手に取った。 数式的な部分の理解は飛ばしてしまったが、要旨は以外2点だと受け取った。 1.インターネットとコンピュータの発達により、複雑なものを複雑なまま受け取ることが可能になる(物理世界と認知の間の万能のミドルウェアとして情報技術) 2.フラットでもステップでもない、内と外が連続的につながっている状態(=なめらか)を志向する 現在のインターネットの状態と比べると理想を描きすぎていると感じる点は否めないものの、想定問答に対する反論や現状考慮できていない点に対する真摯さは、本論に取り組む決意を感じた。 その上で考慮から漏れていると感じた点は、インターネットという仮想空間を維持するための物理的制約(ハードの維持管理)とソフトのメンテナンス体制の2点だ。 前者は2025年現在話題となっているAIを成立させるためのデータセンターの増加及び電力消費の増大という形で表出している。テクノロジーの進歩で解決できる側面もあるのだろうが、本書を読んだ限り膨大な計算を誰がするのかの視点が抜けているように感じた。
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> 本書が挑戦するのは、膜と核という2つの社会現象がインターネットによって打ち破られるのか、もし可能だとして一体どのような方法で可能なのかという問題である。(1.2. 膜と核) 科学的なメタファーで社会を分析するやり方自体はおもしろかったものの、シグモイド関数などはモデル...
> 本書が挑戦するのは、膜と核という2つの社会現象がインターネットによって打ち破られるのか、もし可能だとして一体どのような方法で可能なのかという問題である。(1.2. 膜と核) 科学的なメタファーで社会を分析するやり方自体はおもしろかったものの、シグモイド関数などはモデルではなくメタファーとして紹介されており、再現性を持った問題の解決方法には達していないという印象を受けた。 数式や行列計算も多く出てくるが、現象よりも数式が先立っているように読めてしまい、理解が難しかった。
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2025.03.08 長らく読みたかったが文庫化されてから、また長い時間が経ってしまったが、とうとう本屋で購入した。横書きという体裁への驚きはすぐになくなり、難しい算式に戸惑いながらも、すべて読了(算式は読み飛ばしても問題なく読める構成に感謝)。 著者は、人間の認知限界により、...
2025.03.08 長らく読みたかったが文庫化されてから、また長い時間が経ってしまったが、とうとう本屋で購入した。横書きという体裁への驚きはすぐになくなり、難しい算式に戸惑いながらも、すべて読了(算式は読み飛ばしても問題なく読める構成に感謝)。 著者は、人間の認知限界により、世界を単純化せざるを得ないことを指摘するところから議論はスタートする。罪を犯した人の背景を考えるブレストで、僕たちの世界はもっともっと複雑であったことを思い出させられた。そんな事実を忘れていた自分へ一番驚いた。複雑な世界を複雑なまま受け入れる事はあまりにも難しい。これは人間の脳の認知機能の問題であり、インターネットなどの技術の発達により、世界の見方を変えられるのではないかということがこの本の大きなストーリーである。 資源を囲い込み内部と外部を分離する膜と、膜を操る権力となる核。この2つの構造は、資本においても政治権力においても見られ、本来手段であるものが自己目的化して凝り固まる。資本は資本家に集められ、権力は一手に集中する。本書はそこに変容を与えることに挑戦する、提案していく。 核や膜の形成は生命史に深くプログラミングされたことであることから議論はスタートする。が、一見核や膜で説明しやすい事象は、それらを成立させる複雑な相互作用のネットワークである網があり、それこそが本質なのである。 生命史に刻まれた核と膜の重要性に対して、環境である網=ネットワークに技術を適用することで本質的にものごとをとらえる(世界を複雑なまま捉えることができる)。 読了後に、世界の見え方がまた少し変わった。 ・自由意志は存在しない。運動が先に始まり、その後意志が動く。自由意志はいわば拒否権。適切さが一貫性を意味するときに、人は運動を後付けで合理化する。 ・ものごとを2分化する。そのための制度が視野を固定化する(婚姻という制度が、婚姻届や婚姻者用住居の整備などにより、強固になる)。 ・自由とは、与えられた選択肢の中から選択することが可能であることでは決してなく、複雑なまま生きることが可能であることを言う。 ・そもそも官僚機構とは、法律と言うある種のプログラムによって書かれた内容を実行する存在である。直接民主制においても、実際にその意思決定が実行されるかどうかは官僚制の実行に委ねられるのが現実だ。だから、その効率性や性格性や法律の自動実行によって飛躍的に向上する。
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人工物としての社会制度があり、そこに所有の概念がついてまわる。人々は、潜在意識下であるものに対して所有の概念を持つ。身体的システム、人間と環境、たとえば市場のような社会制度を概念化。権力とは、権力があると人々が信じることから生まれる自然発生的なものであると。そこから、個人、自由意...
人工物としての社会制度があり、そこに所有の概念がついてまわる。人々は、潜在意識下であるものに対して所有の概念を持つ。身体的システム、人間と環境、たとえば市場のような社会制度を概念化。権力とは、権力があると人々が信じることから生まれる自然発生的なものであると。そこから、個人、自由意志があるわけだが、行動に責任を取らせるような形を与える。ここで問題が生じたのは、原発事故である。誰の責任なのか、複雑性に支えられた社会は、筆者が主張する、膜という内と外の概念、核という小自由度による大自由度の制御、それを支える複雑な反応を持つネットワーク、これがインターネットである。これがなめらかな社会を形成する。 ミルグラムの実験では、隣の人の知り合いの知り合いを辿っていくと、5.5人で世界中の人にたどり着けるという結果をもたらした。スモールワールドとはまさにこういう社会である。フェイスブックのような巨大なネットワークサービスが30億人に達すると考えられている。なめらかなメッセージングと管理できない複雑性を複雑なまま受け入れる社会である。しかし、フェイスブックは、現在ロシアでも中国でも使えない。どんどんそーシャライズしていった結果、逆に民族、国家の独立性、閉鎖性を増している。 仮想通貨にも似たような、新しい社会通貨のようなものを提唱している。実際には、社会主義に近い概念で、日本的に受け入れやすい一方で、非常に難しい個々人の利益を最優先とした場合にコンフリが起きる。これがゲームの世界で起きている、インフレと同様に、価値と通貨のバランスを取れなくさせている。また、経済的価値をソーシャル的な価値においているが、実際には社会の価値とは非常に計りにくいものであるがために、価値創造プロセスに、社会的いいことを導入することはほぼ不可能である。 もう一つは、投票制度。こちらも批判すればいくらでもできるものの発想としては、非常に面白い。働くことの評価も、参加者全員の360度評価で決まる。そうなると、全員の利益にならない決断は受け入れにくいことになる。大衆的な意見に流されることで、素晴らしい直感的なアイデアは否定される恐れもある。しかし、偏執的な評価体系を持つ限り企業も組織も、誤った方向性にいくことを止められないのと、社会的な価値創造に判断が向かない個別事象の影響が大きくなるだろう。地球という規模でいいことをしていなければ是とはならない社会を作る必要があるという、非常に面白い考え方でもある。IndividualからDividual(分人)概念である。日本は実は、こうした感性が働いているので、非常にクリーンで、安全だ。この理由を外国人に説明するのが非常に難しい。組織のメリットを受けるという意味でも社会主義的な考え方との違いをもう少し理解しないといけないだろう。また、当然独裁制に移行する可能性を秘めているので、それ自体を悪いことととらないこともポイントになっている。実体的には分かりやすい民意を作り出してしまうことから、複雑性を逆に勘案しない、分かりやすい意見、他国は全て悪い、というような意見が大宗を占めるリスクがある。今の米国、イタリア、トルコ、などの選挙を見ていれば実現している状況は、本施策にとって非常に厳しいと言える。2050年に1.5度気温が上がるのを抑えようという取り組みは確実に無理だろう。こうした独裁国家にとって、これが地球を滅ぼすかもしれないことなんて、意に介さないだろうから。いずれにせよ、10年以上前の書物に、現代の状況からの反対意見を述べても意味はないので、前向きに考えていくことが大事だ。 最後に、改革を願って閉じた本だが、さらに2022年度の段階で追加された最終章がある。分断が進む世界、つまりなめらかな世界とは全く逆の方向に進む社会を見て、筆者としても思うところがあったようだ。情報技術をきちんと社会に適用させ、活用できなかったことを反省すべきとし、努力なくしてなめらかな社会はできないのだとある意味で投げ捨てジャーマン的な論調に持って行っている。個人的な感想としては、むしろ分断されていく、リージョナル、国、地方さえ良ければいいという非常にPoorな考え方、自己中心的な考え方を前提にすれば、人類が取るべき方法は、複雑性を大衆の中から受け止めていくというアプローチではなく、賢者の知恵を借りるということだったのかもしれない。自分自身との対話をしながら読み進められる本書は、社会を見る上での良書と言えるだろう。
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複雑な世界を複雑なまま生きることはいかにして可能か、という観点から、新しい貨幣・投票・社会制度の提案がされた本。 「自由とは、与えられた選択肢の中から選択することが可能であることでは決してなく、複雑なまま生きることが可能であることをいう」という文章が印象に残った。
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開始: 2024/7/1 終了: 2024/7/29 感想 つながり。新世紀エヴァンゲリオンに描かれる人類保管計画。なぜ最後に頓挫するのか。人は痛みを覚えても、確固たる他者と向き合いたいから。
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鈴木健「なめらかな社会とその敵」読了。300年後の社会はどうなっているか?それは生命のシステムに習う。生命の核、膜、網3つの構成要素を模倣するとそれらの境界はなめらかに溶けていく。著者が提唱する貨幣や政治システム等に現代社会の閉塞感の原因とそれを乗り越えるための強烈な希望を感じた...
鈴木健「なめらかな社会とその敵」読了。300年後の社会はどうなっているか?それは生命のシステムに習う。生命の核、膜、網3つの構成要素を模倣するとそれらの境界はなめらかに溶けていく。著者が提唱する貨幣や政治システム等に現代社会の閉塞感の原因とそれを乗り越えるための強烈な希望を感じた。
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複雑な世界を単純化せずに、複雑なまま生きることを可能にするために、情報技術やそれに基づく発想は何ができるかという問いを立てた上で、それにできる限り具体的なもので応えるという試みの記録と言えるだろうか。実際、具体的な提案が存在する貨幣や投票システムについてに比べると、そうしたものを...
複雑な世界を単純化せずに、複雑なまま生きることを可能にするために、情報技術やそれに基づく発想は何ができるかという問いを立てた上で、それにできる限り具体的なもので応えるという試みの記録と言えるだろうか。実際、具体的な提案が存在する貨幣や投票システムについてに比べると、そうしたものを欠いた後半の記述は明らかにテンションが落ちる。その貨幣なども、それ自体についての解説は興味深いのだが、それをどうやって普及させるかという点については、いいアイデアがないようだ。正直、こんなものを普及させるくらいなら、革命でも起こす方が簡単じゃないのか、などと思わないでもない。無論、この手に突っ込みは筆者の想定内のようで、如何に具体的であっても、ここでの議論が直ぐに実を結ぶと言うより、よりすぐれたアイデアの種となることを期待しているのだ的な形でまとめられているのだが。迂生の知見が元から狭いのかも知れないが、個々の課題に対する、ほとんどSF的な解決策は興味深かったし、それ以上にそうした荒唐無稽とも思えるアイデアが、意外なまでに現実性を帯びていることには勇気づけられもした。それ故、原著の頃には、トランプもプーチンの戦争もなかったんだなあと言う感慨を多少は懐いてしまうのだが。
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