縛られる日本人 の商品レビュー
日本の少子化の原因を社会規範にあるとみる。その社会規範とは,性別役割分業意識,男は外で働き,女性は家事育児を担う。女性も就労を継続するようになったものの,男性の働き方は変わらず,女性が家事育児に対応できるように育休や時短制度を活用して柔軟に勤務している。日本人男性の家事育児の時間...
日本の少子化の原因を社会規範にあるとみる。その社会規範とは,性別役割分業意識,男は外で働き,女性は家事育児を担う。女性も就労を継続するようになったものの,男性の働き方は変わらず,女性が家事育児に対応できるように育休や時短制度を活用して柔軟に勤務している。日本人男性の家事育児の時間は少ない。夫が仕事ばかりになってしまう原因の1つとして日本のメンバーシップ型雇用があげられていた。会社のために献身することが評価される職場慣行。残業や転勤がワークライフバランスがとれることを難しくしている。 夫が育児休業を取得すると2人目の子どもをもうけやすいという先行研究を紹介しつつ,日本では育休取得率が低いと指摘。日本人男性は「多元的無知」の状態にあるという。個々の男性労働者は育児休業は好ましいと考えていても,周りの同僚は育休に否定的で自分は少数派だと思い込んでいる状態。そうした状態だから,休むと迷惑をかけると思って育休を取得しない。 最後の6章にはそれまでの分析を踏まえた著者からの提言がまとめられている。
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インタビューをもとにしていることで、作者曰くミクロなレベルで具体的なケースとして考えられるのは分かりやすかった。すごく目新しいわけではないけど、タイトルがそのままなんだね、いくら制度があっても私たちは規範に縛られているだろうなぁ。
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アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。 具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範で...
アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。 具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範であると主張し、その解決のために、①子どもを保育園に入れづらい状況をできる限り解消する、②既婚者の税制を変更する、③さらなる法改正により、男性の家庭生活への参加を促す、④ジェンダー中立的な平等を目指す、ということを提案している。 著者の主張は、データに基づく国際比較や詳細な子育て世代のインタビューに裏付けられており、かなり説得性があると感じた。 正直、最近は男性の育児休業に対する忌避的な考えはほとんどなくなってきているのではないかと思っていたが、それはおそらく公務員という自分の立場によるバイアスが影響しているもので、まだまだ日本社会では男性の育児休業に対する理解が深まっていないのだということを思い知った。育児休業等の制度は他国に比べても充実しているのに、その活用が大幅に見劣りするのは、やはり社会規範、意識の問題が大きいのだと思う。 人口減少、少子化に歯止めをかけるために、日本も「共働き・共育てモデル」に社会を変えていかないといけないと強く思った。その上で、日本社会を著者の政策提案はどれもやるにこしたことのないものばかりで、特に、男性の育児休業の義務化は強制的に社会規範を変えていくためにとても有効な一手だと思う。 ただ、日本社会に根深く残る男女の役割に関する社会規範、ひいて言うと深層心理が原因ということであれば、小手先の制度的対応では限界があるような気もした。明快な対案があるわけではないが、もっと一人一人の意識の面から変えていかないといけないのではないか。 その点で、日本の男性が家事育児を全然担っていない状況は、単に長時間労働等のためだけではなく、男性自身の意識の問題の面が強いと思うので、教育や啓発でなんとかなるものなのかは心許ないが、その面の改善をなんとかしていく必要がある。本書でも指摘されていたが、男性の意識改善のためには、男性上司・同僚がカギになるのではないかと思う。
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日本の少子化問題に対する見方が変わりました。 「男性の育休取得の義務化」という著者の提言に賛同します。これぐらいのことをしないと、日本の社会規範が変わることはないと思います。
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出生率上昇に向け労働政策の観点からアプローチ。男性の育休取得や家庭での無給労働時間(育児・家事)上昇の重要性を説明。
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明確な答えが出る問題でもないため読後感としてはスッキリしない部分もあるような感じだが 日本社会における労働の捉え方という分水嶺が、下流に佇む大衆の生活全般を変革しうる部分なのだろうかとは思う。
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女性活躍推進の次は、男性育休推進。大いに結構だが、子供のいない立場からすると、どうしても、モヤモヤが残る。今回も消化不良。 育休取得を受け入れる上司や、欠員の影響を受ける残された同僚達だって、プライベートがある。私の身近には、育休取得者のしわ寄せをくらい荷重労働になって、デート...
女性活躍推進の次は、男性育休推進。大いに結構だが、子供のいない立場からすると、どうしても、モヤモヤが残る。今回も消化不良。 育休取得を受け入れる上司や、欠員の影響を受ける残された同僚達だって、プライベートがある。私の身近には、育休取得者のしわ寄せをくらい荷重労働になって、デートにも行けない独身者や、子供を望んでも授からないカップルがいる。 子育て中の社員をフォローする人達を手助けする議論は、この日本ではいつ始まるのか。「まずは社員全体の残業削減」等といった、漠然とした課題にすり替えられ、後回しにされていないか。真っ先に手を上げて、育休を取得した従業員が英雄扱いされる風潮になっていないか? 顧客があり、やらなければならない仕事は、本当に少ない人数で長時間労働で終わらせないといけないのか。いっそ、放棄して良いと思う。そして放棄した労働者が、人事待遇で不利益を被らないように守られるべき。納期に間に合わないのは、十分なリソースを用意しない経営者の責任、無茶な納期を要求する顧客の責任だろう。 この国は、ママの支援にフォーカスした時期、続いてパパの支援にフォーカスする時期を経て、いい加減に、その他の人達を支援する政策提言や議論を始めるべき。
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今の働き方では持たないと誰もが思っているのにいつまでも日本人の長時間労働は変わらない。あるいは変わるスピードが遅い。この社会や会社に蔓延する空気や雰囲気こそが今の停滞につながっているのだろうか。男性も女性もさまざまな働き方の選択肢やオプションがあって、利用できればいいと思った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
人口減少の原因を若い人へのインタビューと米国・スウェーデンの比較から紐解き、解決策を提言。曰く 1. 保育園に入りずらい環境を解消する。 2.配偶者の税制をなくす 3.男性の家庭生活への参加を促す 4.ジェンダー中立的な平等を目指す。 赤ちゃんのお風呂の時間までに帰宅できる職場環境になれば、男性も育児に目覚め、二人目の際は育休をとる。男性が仕事、女性は育児という日本の社会規範が解消されないと 制度はあっても使わない。 男性が当たり前に育休がとれる社会を目指そう! スウェーデンを目指すのであれば、著者の主張は正しい。ただし、男性が社畜、女性は家庭を守るという昭和の体制で日本社会は繁栄したのも事実。男性の給料を2倍にして、専業主婦の女性を増やす対案モデルと どちらが良いか議論すると面白いかも。育児より仕事の面白さをとる男性や仕事より専業育児をとる女性も多いと思うけどなあ。
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本書の難点をあげると、比較対象がスゥェーデンとアメリカの2国だけであることだ。 わずか2つの国を参考にするだけでは説得力に欠ける部分がある。 ただし、私の知る限り、単身赴任の問題の指摘に接したのは本書が初めてである。 本書に挙げられた日本社会の問題点は、頭の痛い問題ばかりである。
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