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縛られる日本人 人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか 中公新書2715
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2022/09/20 |
JAN | 9784121027153 |
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商品レビュー
3.5
16件のお客様レビュー
日本の少子化の原因を社会規範にあるとみる。その社会規範とは,性別役割分業意識,男は外で働き,女性は家事育児を担う。女性も就労を継続するようになったものの,男性の働き方は変わらず,女性が家事育児に対応できるように育休や時短制度を活用して柔軟に勤務している。日本人男性の家事育児の時間...
日本の少子化の原因を社会規範にあるとみる。その社会規範とは,性別役割分業意識,男は外で働き,女性は家事育児を担う。女性も就労を継続するようになったものの,男性の働き方は変わらず,女性が家事育児に対応できるように育休や時短制度を活用して柔軟に勤務している。日本人男性の家事育児の時間は少ない。夫が仕事ばかりになってしまう原因の1つとして日本のメンバーシップ型雇用があげられていた。会社のために献身することが評価される職場慣行。残業や転勤がワークライフバランスがとれることを難しくしている。 夫が育児休業を取得すると2人目の子どもをもうけやすいという先行研究を紹介しつつ,日本では育休取得率が低いと指摘。日本人男性は「多元的無知」の状態にあるという。個々の男性労働者は育児休業は好ましいと考えていても,周りの同僚は育休に否定的で自分は少数派だと思い込んでいる状態。そうした状態だから,休むと迷惑をかけると思って育休を取得しない。 最後の6章にはそれまでの分析を踏まえた著者からの提言がまとめられている。
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インタビューをもとにしていることで、作者曰くミクロなレベルで具体的なケースとして考えられるのは分かりやすかった。すごく目新しいわけではないけど、タイトルがそのままなんだね、いくら制度があっても私たちは規範に縛られているだろうなぁ。
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アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。 具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範で...
アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。 具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範であると主張し、その解決のために、①子どもを保育園に入れづらい状況をできる限り解消する、②既婚者の税制を変更する、③さらなる法改正により、男性の家庭生活への参加を促す、④ジェンダー中立的な平等を目指す、ということを提案している。 著者の主張は、データに基づく国際比較や詳細な子育て世代のインタビューに裏付けられており、かなり説得性があると感じた。 正直、最近は男性の育児休業に対する忌避的な考えはほとんどなくなってきているのではないかと思っていたが、それはおそらく公務員という自分の立場によるバイアスが影響しているもので、まだまだ日本社会では男性の育児休業に対する理解が深まっていないのだということを思い知った。育児休業等の制度は他国に比べても充実しているのに、その活用が大幅に見劣りするのは、やはり社会規範、意識の問題が大きいのだと思う。 人口減少、少子化に歯止めをかけるために、日本も「共働き・共育てモデル」に社会を変えていかないといけないと強く思った。その上で、日本社会を著者の政策提案はどれもやるにこしたことのないものばかりで、特に、男性の育児休業の義務化は強制的に社会規範を変えていくためにとても有効な一手だと思う。 ただ、日本社会に根深く残る男女の役割に関する社会規範、ひいて言うと深層心理が原因ということであれば、小手先の制度的対応では限界があるような気もした。明快な対案があるわけではないが、もっと一人一人の意識の面から変えていかないといけないのではないか。 その点で、日本の男性が家事育児を全然担っていない状況は、単に長時間労働等のためだけではなく、男性自身の意識の問題の面が強いと思うので、教育や啓発でなんとかなるものなのかは心許ないが、その面の改善をなんとかしていく必要がある。本書でも指摘されていたが、男性の意識改善のためには、男性上司・同僚がカギになるのではないかと思う。
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