アーモンドの木 の商品レビュー
幻想怪奇と児童文学、どちらの風味もありつつ、かつ文学の香りが濃く匂い立つような短編集。あとがきにある通り、デ・ラ・メアの文章は俯瞰をとらずそれぞれの人物からの視点に寄り添うが、そこには慈しみだけではなく、ひやっとするほど透徹した眼差しを感じる。時々、この人はもう何百年も生きてきた...
幻想怪奇と児童文学、どちらの風味もありつつ、かつ文学の香りが濃く匂い立つような短編集。あとがきにある通り、デ・ラ・メアの文章は俯瞰をとらずそれぞれの人物からの視点に寄り添うが、そこには慈しみだけではなく、ひやっとするほど透徹した眼差しを感じる。時々、この人はもう何百年も生きてきたのではないかという気がしてしまう。デ・ラ・メアの作品は全体に神秘の靄がかかっているような読み心地だが、その源は情景描写の美しさや事実のあやふやさだけではなく、この眼差しにもあるのかもしれないと今回思った。人生の寂しさ、哀しさ、陰の部分をそのままに見つめて愛おしむありようは心惹かれるものがある。
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幻想/怪奇小説のジャンルとなりそうな作品がいくつかあったのが意外だった。それでもものものしい恐さはなく、柔らかな眼差しがよかった。
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どこか不気味さや怖さ不条理さを纏うデ・ラ・メアの世界は幻想と現実が地続きでその曖昧模糊さと余韻が心地よい。寂しさと孤独を繊細に描き、その静謐さに闇が降りる時、仄かな幻影が輪郭を帯びてよりその世界に惹かれます。(2023年7月25日)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読了はしたものの、この本を十分に味わえた実感が未だにない。 巻末の解説にはデ・ラ・メア作品の視座の低さ、高みからの俯瞰が皆無であることを特徴に上げているが、その一方でどの人物に対しても読み手に感情移入させないように―少なくとも自分には感じられた。加えて登場人物……特に女性(表題作の母親、「伯爵の求婚」の叔母、「シートンの伯母さん」の伯母等)の言葉がどうにも理解し難いのだけれど、女性に聞いてみると「よくわかる」とのことだったので、この辺りのことも含めて男女でデ・ラ・メア作品への印象が変わったりするんだろうか。 何れにせよこの“朦朧法”……作品像が何とも掴み難いということとは即ち、様々な解釈や感想を生む余地や余白であり、それが魅力の一つであるということだけは今回理解できた―ような気がする。
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幻想的な短編集。どれもこれもひそかな不安感が漂う読み心地です。エドワード・ゴーリーの挿絵も素敵です。 「シートンの伯母さん」と「旅人と寄留者」は読んだ覚えがあるかな。怪奇めいた雰囲気の作品だけれど、これといった怪奇なものは出てこないんですよね実は。でもなんだか不気味で恐ろしいよう...
幻想的な短編集。どれもこれもひそかな不安感が漂う読み心地です。エドワード・ゴーリーの挿絵も素敵です。 「シートンの伯母さん」と「旅人と寄留者」は読んだ覚えがあるかな。怪奇めいた雰囲気の作品だけれど、これといった怪奇なものは出てこないんですよね実は。でもなんだか不気味で恐ろしいような印象がありました。 お気に入りは「ルーシー」。没落した家の三姉妹、しかし没落した家の中にこそ幸せを見つけてしまう三女。そして謎めいた「ルーシー」の存在。これもまた怪奇小説と言えるのかもしれませんが、しかしあまり恐ろしい気はしませんでした。幸せな物語ではないはずなのだけれど、穏やかな読み心地です。
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