日本インテリジェンス史 の商品レビュー
戦後から現代までのインテリジェンスに関する歴史が内調主点で書かれています。参考文献も多く、有用なレビューかと。今後も参照する機会が多そうな一冊です。
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日本におけるインテリジェンスの歴史を戦前から遡って見ていく。敗戦直後、旧日本軍は、暗号等の秘密事項を隠滅するために処分した。そうした中で、ある日本人女性のちょっとした会話によって、米兵にその存在がばれてしまう。その状況下で、有末精三、服部卓四郎といった一部将校たちが、インテリジ...
日本におけるインテリジェンスの歴史を戦前から遡って見ていく。敗戦直後、旧日本軍は、暗号等の秘密事項を隠滅するために処分した。そうした中で、ある日本人女性のちょっとした会話によって、米兵にその存在がばれてしまう。その状況下で、有末精三、服部卓四郎といった一部将校たちが、インテリジェンス組織を創設しようと目論んでいた。ところが、1951年、GHQが日本を去ったことで、旧日本軍の構想がなしとなる。その一方、これらの動向をうかがったCIAは、吉田茂、緒方竹虎、村井順と、時の政府の中枢に介入する。そこから、インテリジェンス機関の創設を検討する。しかし、緒方の死去や吉田の政治的求心力の低下で、結局のところ、実現には至らなかった。このように、日本の諜報機関は空回りし、防衛庁と警察官僚らが、その代わりを担う。 その後、中曽根康弘と後藤田正晴の二人が、インテリジェンスに向けていろいろと着手するものの、抜本的な改革は実行できなかった。冷戦期は、日米同盟の関係上、アメリカの下請け扱いであった。時を経て、第2次安倍政権になると、防諜として、法案を通し、以前のような縦割り状態から、徐々に変わりつつある。今後の課題としては、サイバー対策が重要らしい。
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戦後日本のインテリジェンスの歴史を辿れる希少な一冊。 政治などの時代背景とともに日本のインテリジェンス機関の変遷が網羅されている。 「そもそもインテリジェンスとは何か」という点から解説されており理解のハードルは高くない。本書を通じて、過去に一度は目にしたであろう数々のニュースの裏...
戦後日本のインテリジェンスの歴史を辿れる希少な一冊。 政治などの時代背景とともに日本のインテリジェンス機関の変遷が網羅されている。 「そもそもインテリジェンスとは何か」という点から解説されており理解のハードルは高くない。本書を通じて、過去に一度は目にしたであろう数々のニュースの裏にもインテリジェンス機関の存在があったことを知れば、今後の視野が大きく広がるだろう。 日本のインテリジェンス機関の活躍といえば、大韓航空機撃墜事件(1983年)程度しか知らなかった。しかし本書によると、それすらもソ連を追及したい米国に利用された形であり、さらにはその情報自体も優越していたのは音質だけだったそうだ。 情報に限らず、収集・蓄積は日本の得意とする分野のイメージがある。実際、私が知らなかっただけで上記の他にも日本のインテリジェンス機関が情報を掴んでいたシーンは多くあったそうだ。ただし、分析・活用となると途端に苦手となる。 何故なのだろうか? 本書から私が得た答えは「“収集意図”が明確でないから」だということだ。指示通りにデータを収集・蓄積し続ける。真面目で受動的な傾向の日本人には向いていそうな作業だ。対して、それを指示した人間に明確な意図がなければ、それらのデータが分析・活用されることはない。もっと言えば、何のために集めたのかもわからないゴミの山と化してしまう。 なにも日本を支える人々がそんなレベルだと言いたいわけではない。私にはそんな経験がいくつもあったというだけだ。 さらに、NSC/NSSの設置により“情報要求”まで行われるようになった現在の日本のインテリジェンス・コミュニティにそんな心配は杞憂だろう。頼もしさすら感じる。 本書のお陰で、少しづつでも日本のインテリジェンス・コミュニティは前進しており、それを支える優秀な政治家、官僚の存在も改めて認識できた。日本のインテリジェンスの歴史を学ぶだけでなく、日本が成長していることを知り、これからへの希望も見出だせた良書であった。
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戦前は軍のインテリジェンスが強かったが、戦後は縦割りで強い中央情報機構がない状態が続く。1984年にはスパイ防止法案が廃案に。冷戦後は防衛省情報本部の創設や内調の格上げ、CTUーJの創設など改革が進んだ。 ・大森「湾岸戦争により内調の仕事は変化し、政策のベースとなる情報を官邸に上...
戦前は軍のインテリジェンスが強かったが、戦後は縦割りで強い中央情報機構がない状態が続く。1984年にはスパイ防止法案が廃案に。冷戦後は防衛省情報本部の創設や内調の格上げ、CTUーJの創設など改革が進んだ。 ・大森「湾岸戦争により内調の仕事は変化し、政策のベースとなる情報を官邸に上げるように」 ・日本の弱さは分析能力であり簡潔な報告書に落とし込む必要あり
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防衛関連の研究家であり、危機管理の専門家である著者による日本の「インテリジェンス・コミュニティ」の変遷について書かれた本。 「インテリジェンス」とは国家の政策決定のために行われる情報分析や防諜活動を指す。普段表に出てくることは少ないが公安や外交、防衛を担う「国家の知性」である。...
防衛関連の研究家であり、危機管理の専門家である著者による日本の「インテリジェンス・コミュニティ」の変遷について書かれた本。 「インテリジェンス」とは国家の政策決定のために行われる情報分析や防諜活動を指す。普段表に出てくることは少ないが公安や外交、防衛を担う「国家の知性」である。 このインテリジェンスを司る日本の組織が、WW2の敗戦後の解体・再組織されてからどのようにして現代に至ってきたかについてコンパクトにまとめられている。 元々インテリジェンスについて関心があったわけではないが、サイバー攻撃や激変する国際情勢を受けて情報収集能力・解析能力の重要性は加速的に高まっている。その中で、なかなか目にする機会の少ないインテリジェンスについて知っておくことは不可欠だと思い本書を手に取った。 決して読むのがめちゃくちゃ楽しい本ではないが、日本のインテリジェンスの今後の課題にも触れられており、有用であると感じた。 日本のインテリジェンス・コミュニティについての基礎知識を得るには最適な本だろう。
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戦後日本の情報収集活動について。 戦後、日本は独自の安全保障外交方針を策定する必要がなかったこと、戦前の省庁縦割りを引き継いだことから、統合されたインテリジェンスコミュニティと呼べるような体制が形成されてこなかった。軍へのアレルギーから、情報収集体制を埋めてきたのは主に警察である...
戦後日本の情報収集活動について。 戦後、日本は独自の安全保障外交方針を策定する必要がなかったこと、戦前の省庁縦割りを引き継いだことから、統合されたインテリジェンスコミュニティと呼べるような体制が形成されてこなかった。軍へのアレルギーから、情報収集体制を埋めてきたのは主に警察である。 しかし、冷戦後の環境変化などから、徐々に機能強化が図られていった。第二次安倍政権で、秘密保護法制や国家安全保障会議が整備され、他国と同じスタートラインに立てる体制が整えられた。 安倍政権は、成長戦略については無策だったと批判されるが、やはり安全保障の分野では一定の地歩を築いたのだと改めて感じた。
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冷戦期までは資料もしっかりしているのか、スリリングによめる。ただ安倍政権での動きなどは、著者の立場と主張が全面に出ており、やや辟易した。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本の政治、安全保障、行政、インテリジェンスのいずれかに興味があれば読んだほうが良い一冊。単純に勉強になる。戦後の政治、インテリジェンスコミュニティのあり方から、冷戦や日米同盟の変化の影響を受けながら、国内外のあらゆる事件や事象も受けて、ゆっくりではあるがある意味で成長して、今の日本のインテリジェンスコミュニティがある。まだ課題も多いが、これまでのストーリーを振り返ることは有意義だ。アナロジカルにあらゆる政治や行政の課題にも連想できる気もする。そして、インテリジェンスコミュニティ自体の未来への努力の方向性も見えてくる気もする書籍である。 戦後旧陸海軍のインテリジェンス経験者が情報活動の復権を夢見るが失敗。 共産党の監視は必要であり、旧内務省が警察や公安調査庁に形を変えて存続。 冷戦期を迎えてインテリジェンスコミュニティの原型ができてくるが、中核組織を欠いており、軍の隙間は警察が埋める。 日米同盟の中で日本のインテリジェンスは米国の下請け化していた。 冷戦終結、オウム、北朝鮮ミサイル、等の事象の影響を受けてインテリジェンス体制の改革を意識。 ときの政治家の後押しもあり改革が進む。 第二次安倍内閣により特定秘密保護法や国際テロ情報ユニット設置が実現。 内閣情報調査室も機能し始める。 今後は、 サイバー、ディスインフォメーションなどへの対応が課題。
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やっとここまで来たけど、ほんともう間に合わないんじゃ無いのかと思う。 リベラル、自由はいいんだが、日本の場合は、それを神聖視し過ぎて、まさにやりたい放題です、誰でも入ってきてください、何を持って行っても何を持ち込んで来てもいですよって通ってきた。 冷戦体制で、米国がいたから、さほ...
やっとここまで来たけど、ほんともう間に合わないんじゃ無いのかと思う。 リベラル、自由はいいんだが、日本の場合は、それを神聖視し過ぎて、まさにやりたい放題です、誰でも入ってきてください、何を持って行っても何を持ち込んで来てもいですよって通ってきた。 冷戦体制で、米国がいたから、さほどの危険に面していなかったから。 その間に、浸透してきた物の害は大きいんだと思う。なんせ、日本が壊れたって構わないし、むしろ、壊したいという人たちが同じ顔をしているんだから。 それにしても近視眼だよなあ、須く。 日本という国を対局から俯瞰する目が全くない。去年の7月にほぼ壊滅した。 間に合いますかね。 薄い本だが、価値あり。ここからスタート。
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我が国のインテリジェンス活動とは。 保守派の人たちは、日本はスパイ天国でやられ放題、盗まれ放題だと憂いている。 左派の人たちは、日本の官憲が諜報活動で市民のプライバシーを脅かしていると警戒している。 本書はいずれにも汲みさず、冷静かつ詳細な分析で日本のインテリジェンス活動をフェ...
我が国のインテリジェンス活動とは。 保守派の人たちは、日本はスパイ天国でやられ放題、盗まれ放題だと憂いている。 左派の人たちは、日本の官憲が諜報活動で市民のプライバシーを脅かしていると警戒している。 本書はいずれにも汲みさず、冷静かつ詳細な分析で日本のインテリジェンス活動をフェアに論じている。 米国による占領で始まり、完全に解体された日本のインテリジェンス活動が冷戦期から現代に至る地政学的緊張の中でどのように発展してきたか。 そして、各国のインテリジェンス活動はこの東アジアでどのように跳梁跋扈しているか。 たしかに予算も組織もなく、米国の言いなりでソ連には簡単に侵入を許す、そんな体たらくであったこともある程度事実だったのだろうが、さまざまな工夫の中で、我が国も少しずつ組織の体裁やスパイ防止法に代表される法的枠組みを整えてきている事実がわかる。 左右のイデオロギーを離れれば、平和に暮らす上で周囲で何が起きているかについてアンテナを張り巡らせ分析を怠らないことは独立国として当然の責務であろう。同時に、そうした活動に携わる組織に対して、(機密管理と上手に両立しつつ)国民の監視を怠ってはならないこともまた当然であろう。 007的なスペクタクルとは異なるが、今の我が国周辺のきな臭さを考えれば大いに参考になる本。
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