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歴史学者という病 の商品レビュー

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2022/09/04

個人的には大変面白い。 誰もが面白いと感じられるかは疑問符がつく。 興味を持って面白いと思う人は以下のような方であろうか。 ・歴史に興味があり、これから歴史学を志す人 ・大学で歴史をかじった人 ・過去、歴史学を履修したことがある人 ・蛸壺のような学会政治に興味がある人 まず...

個人的には大変面白い。 誰もが面白いと感じられるかは疑問符がつく。 興味を持って面白いと思う人は以下のような方であろうか。 ・歴史に興味があり、これから歴史学を志す人 ・大学で歴史をかじった人 ・過去、歴史学を履修したことがある人 ・蛸壺のような学会政治に興味がある人 まず、歴史学と歴史は全く別物と認識する必要がある。 歴史学科に入った時の違和感は以下に代表される。 三国志、戦国時代、幕末が好きなのに自分の好きな○○は研究対象にならないと いうことである。 歴史は物語であり、歴史学は実証を元に構造化するということである。 とはいえ、歴史学も物語主義と実証主義かという2つの軸のバランスで学会は成り立っている。 学会は古文書などを元にした実証主義が大勢をしめ、実証主義もただ資料を現代語訳するだけ となっているという実勢に批判が入っている。 現代までの歴史学の流れは以下になっているという。 、 1皇国史観の歴史学 (主な学者 平泉澄)  2マルクス主義、唯物史観の歴史学 (主な学者 石母田正)  3社会学史的アプローチの歴史学(主な学者 網野善彦 佐藤進 勝俣鎮夫 笠松宏至) 90年代の歴史学は唯物史観は影を潜め、網野史学を代表とするアナール学派が評判となっていた。 歴史学は抽象化、構造化が苦手な性質をもっており、社会学のフレームワークを持ってきて結論ありき 実証は後回しの状況には危惧をしていた。 網野史学への違和感は民衆は平和や自由を追い求めるという面をクローズアップするあまり、 結論に実証を紐づけるきらいがあった。 (極端な話 学会の趨勢がマルクス主義が社会学史に置き換わったような印象もあった) 歴史学は資料をもとにした実証的すぎる立場(物語性なし)、ある立場にしたがった物語的歴史学(実証少なめ) どちらかに偏っていたように思う。 筆者は以下の手順を取って歴史学を論じるべきといっているように思う。 資料を元にした事実の確認→事実を元にした他の資料との整合性の確認→抽象化・帰納化→解釈 上記のような考えであれば統一理論的な解決はできないと思われる。 ボトムアップ的な考えで、「この条件であればこうという」「この考えは全体の一部」という 歯切れの悪い結論となると思われる。 しかし、ビジネス界隈では当然用いられる手法であり、歴史学でも取り入れられてしかるべきである。

Posted byブクログ

2022/08/28

<目次> はじめに 第1章  「無用者」にあこがれて 第2章  「大好きな歴史」との訣別 第3章  ホラ吹きと実証主義 第4章  歴史学者になるということ おわりに <内容> 歴史学者・本郷和人の半生記。彼は近年やたらと教養書を書いている(一方で研究書は少ない、というかかなり少...

<目次> はじめに 第1章  「無用者」にあこがれて 第2章  「大好きな歴史」との訣別 第3章  ホラ吹きと実証主義 第4章  歴史学者になるということ おわりに <内容> 歴史学者・本郷和人の半生記。彼は近年やたらと教養書を書いている(一方で研究書は少ない、というかかなり少ない)。まあ、東大教授と言っても史料編纂所の教授なので、通常の学者とは少し違うのだろうが、異端と言ってよい。「なんで?」という疑問も含めて読んでみた。自分も歴史好きから文学部史学科に入った口なので、大学入学時の話はうなずけた。彼はとても優秀な感じなので、そこを乗り越えられたわけだが、今の異端の位置に就くまでの過程も面白かった。学界の様子も垣間見られ、どこも役立たずがのさばっている様子が分かった。その職場で生きていくに必要な能力のある者は少なく、意外とそういう人がその職場を引っ張ることもない。彼のような強心臓?ならば、意に関せず(たぶん結構のストレスだと思うが)に我が道を行けるのだろうが…。歴史学界の「実証主義」の行き過ぎ(むろんきちんとした史料の読み解きは必須なのだが、そこから先が「歴史」なのだと自分も思う)の弊害を説いている。こうした本を書かざろうえないところに、歴史学界のみならず、日本全体の衰退が感じられた。

Posted byブクログ

2022/08/24

本郷さんの gacco での講義を受講した事があり、それからの気になる方でした。歴史の真実は深いのだなぁと、その時思いました。その時の論調があり、楽しく読めました!

Posted byブクログ

2022/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

学問的な新書ではないから、こんなことを言うのもどうかと思うが、オビのような要約は果たして意味があるのだろうか。これは「奥も闇も深い」ことを支えているのか?    史学の学者の回想記といえば良いのだろうが、できれば最後に示されている3点について、新たな新書を一冊と望む。  ①「一つの国家としての日本」は本当だろうか。  ②実証への疑念  ③唯物史観を超えていく  第四章が一番学ぶところが大きい。   調べることと、考えることは違うということも再認識する。

Posted byブクログ