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歴史学者という病 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2023/01/20

p29 韜晦 とうかい 自分の才能や本心を他のことで隠すこと p81 新選組という存在は、ほぼ小説家・司馬遼太郎の影響下にあるロマンの結晶とも言え、多数の史料の精読を重ねるという学問の対象にしずらい。要するに史料が少なく、研究対象にならないのである p83 歴史上の人物の心の...

p29 韜晦 とうかい 自分の才能や本心を他のことで隠すこと p81 新選組という存在は、ほぼ小説家・司馬遼太郎の影響下にあるロマンの結晶とも言え、多数の史料の精読を重ねるという学問の対象にしずらい。要するに史料が少なく、研究対象にならないのである p83 歴史上の人物の心の中へ分け入り、「当時はこんなことを考えていたのだ」ということを語るーそれは作家や文学研究者の仕事である。歴史学を研究する者の立ち入るべき場所ではない 現在の歴史学の主流は実証を重んじる科学なので、人間の内面にこだわってはいけない。 p91 本能寺の変 学説と呼べるレベルに達しているのは「四国説」しかない。 四国の長宗我部氏をめぐる信長と光秀の対立を指し、この対立が本能寺の変の遠因だったのでは p93 大人になるということは、自分に詰腹をきらせることだ 西部邁 (強制的に責任をとらされたり辞職させられたりすること) p145 皇典講究所 国学院大学の基 p185 鎌倉時代、地頭たちへの命令書には、必ず「先例に任せてその沙汰をいたすべし」という決り文句が書かれている。あなたを地頭に任命するが、詳細は、その土地の先例どおりにやりなさいということだ

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2023/01/09

大学で歴史学を学んでいた者にとって、歴史学の奥深さ、闇深さを感じて面白かった。物語ではない科学としての歴史、実証史学とはなにか。歴史を研究するということの意味について考えることができる。①一つの国家としての日本は本当だろうか、②実証への疑念、③唯物史観を超えていく。の3つの柱は興...

大学で歴史学を学んでいた者にとって、歴史学の奥深さ、闇深さを感じて面白かった。物語ではない科学としての歴史、実証史学とはなにか。歴史を研究するということの意味について考えることができる。①一つの国家としての日本は本当だろうか、②実証への疑念、③唯物史観を超えていく。の3つの柱は興味深い。

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2023/01/09

ブタに歴史はありますか? なんたるパワーワード! 平泉澄、ヤベェな。 それはさて置き、本筋は以下。 まるで熱血実証史学者群雄伝だね。 戦前の皇国史観との抗争と敗北から始まり、戦後の唯物史観の隆盛と崩壊、そして今も続く訓詁学的実証史学原理主義者との内ゲバ的な闘争が、魅力的な史学者達...

ブタに歴史はありますか? なんたるパワーワード! 平泉澄、ヤベェな。 それはさて置き、本筋は以下。 まるで熱血実証史学者群雄伝だね。 戦前の皇国史観との抗争と敗北から始まり、戦後の唯物史観の隆盛と崩壊、そして今も続く訓詁学的実証史学原理主義者との内ゲバ的な闘争が、魅力的な史学者達のキャラクターとともに物語られる。 私達の愛読する歴史小説や歴史本の参考文献に列記されてる、名前だけはお馴染みの、あの学術書群の著者達の、歴史です。 歴史好きのキミ!面白いから読んどきな♪ 今までと違う角度で読書が進むこと間違いないから。 そして、何者でも無かった私達と同じような歴ヲタ少年が、いかにして実証史学のプロフェッショナル(プロフェッサーともいふ)を志し、惑い躓き、それでも歩み続け、ついに己の天命(←ヒストリカルコミュニケーター)を知るに至ったか。 そんな素敵なビルドゥングスロマンにもなってる。 一粒で2度美味しくコスパ最高ね。 あの石井進教授との愛憎半ばする師弟関係なんて、雑魚からすると『あんな先生、いなかったなぁ』と羨ましい限り。 ところで、本書の著者の本郷和人教授は 逃げ上手の若君(松井優征:暗殺教室) や 新九郎奔る(ゆうきまさみ:究極超人あ~る) や 雪花の虎(東村アキコ:海月姫) の監修をされてる事を今さっき知りまして、もちろん雑魚も愛読してまして、もしや昨今のメジャー誌界隈での歴史漫画のプチブームの仕掛け人は本郷教授であったかと思い至った訳で。 史学復興計画、順調みたいですね♪

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2022/12/26

実証の位置付け等から考える、本郷版の「歴史とは何か」。 筆者の自伝的な内容。生い立ちから歴史との関わり合い、そして現在に至るまで。日本史学界を時に強く批判しつつ、筆者の思想の遍歴から、歴史とは何かを考える。 ちょっと筆者の他の作品と毛色が違うので、単なる歴史マニア受けはしない...

実証の位置付け等から考える、本郷版の「歴史とは何か」。 筆者の自伝的な内容。生い立ちから歴史との関わり合い、そして現在に至るまで。日本史学界を時に強く批判しつつ、筆者の思想の遍歴から、歴史とは何かを考える。 ちょっと筆者の他の作品と毛色が違うので、単なる歴史マニア受けはしないかもしれない。

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2022/12/14

本郷先生の個人史かつ戦後の日本史学の流れの概観といった趣の本だが、歴史好き(物語好き)と歴史学(実証主義)との違いなど、意外に知らないプロとアマの違いなども分かり、面白かった。

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2022/12/04

本郷和人さんは「世界一受けたい授業」で初めて拝見した時にアイドルの高城亜樹さん推しという妙なキャラで軽く引いていた(アイドル推しに引いたのではなく番組見たらわかるよ)のだが、東大教授なのだから当たり前だがガチ中のガチの人だな 高校歴史教科書を変えようとしたり 引用 「非常勤残...

本郷和人さんは「世界一受けたい授業」で初めて拝見した時にアイドルの高城亜樹さん推しという妙なキャラで軽く引いていた(アイドル推しに引いたのではなく番組見たらわかるよ)のだが、東大教授なのだから当たり前だがガチ中のガチの人だな 高校歴史教科書を変えようとしたり 引用 「非常勤残酷物語」とか言うが、私から言わせれば、学問の一定のレベルに達していない人間が大学に残ろうとしてもそれはうまくいくはずがないよ、ということであり 本来は、指導する先生が研究者として見込みがない人間に対してはリスクについて説明した上で「君は実社会で頑張ったほうがいい」などと引導を渡すべきなのだ。大学の方針だからといって、自分の可愛い教え子を貧困のどん底に落としてどうする。 引用終わり 言うねー帯にある「ぜんぶ、言っちゃうね。」って大抵こけおどしなのだけど本書は言っちゃってる。上記は序の口で歴史学の根本についても言っちゃってる。 目の離せない人だ。

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2022/11/17

見城徹の「編集者という病」を想起させるタイトル。 日本の文系の学問というと師弟関係や学会の定説にがんじがらめ、というイメージだがその例にもれない歴史学について「そこまで言っていいのか」というところまで踏み込んだ一書。  皇国史観主義が敗戦により一挙にマルクス主義的な視点にふれ...

見城徹の「編集者という病」を想起させるタイトル。 日本の文系の学問というと師弟関係や学会の定説にがんじがらめ、というイメージだがその例にもれない歴史学について「そこまで言っていいのか」というところまで踏み込んだ一書。  皇国史観主義が敗戦により一挙にマルクス主義的な視点にふれた。著者は「どちらでもない、新たな分析主観が必要、もうその時期に差し掛かっている」とする。  著者は東大史料編纂所の本郷和人氏。  東大史料編纂所は国学者の塙保己一により設立された組織で日本の国試編纂を100年以上続けている。日本書紀など六国史以来編纂されていない、日本国史編纂を目的とし地道な作業を続けている。一部刊行されたものがあるがこのペースだと完成まであと800年かかる、という。こんな大事業が静かに進んでいたことに驚愕。  崩し字を読み、現代文に直すことが歴史学ではない、と明確に切り捨てる。埋もれていた古文書を読み解き、その時代に光を当てる、磯田道史氏のような活動も無意味とは思わないが、本郷氏から見れば、  「古文書を読み、読み解き、それらを再構成して歴史の本当の姿を浮かび上がらせる」ことこそが本来の、そしてこれからの歴史学。  歴史学の泰斗たちの短評が散りばめられ、本書は歴史学会に大きな影響を及ぼしたのではないか。

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2022/10/31

「歴史学ほど時代に流されやすい学問はない」「実証主義と単純実証主義は断じて違う」・・・・人気歴史学者の半生記にして反省の記。

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2022/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「第二章 『大好きな歴史』との訣別」pp.93-94より  学説を大切にしながら、ものの見方というものは非常に純粋でなければならない。ブレてはいけないし、不純物が混じってはいけない。その一事を肝に銘じ、自分はその一点をきちんと踏まえられる人間だ、自分に詰め腹を切らせることができる人間だ、という一点に自信を持てた人間こそ、「私はこう思う」と伝える資格をもつ。

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2022/10/07

著者は、磯田道史と同様によくTVに出演する東大史料編纂所の教授で、東大教授らしからぬヌーボーとした雰囲気で人気があるようだ。 「歴史学者という病」という仰々しいタイトルや、表紙の深刻そうな著者の顔とは裏腹に比較的軽い感じで読み進められる。 内容は著者の半生記とそれに絡めて、東大...

著者は、磯田道史と同様によくTVに出演する東大史料編纂所の教授で、東大教授らしからぬヌーボーとした雰囲気で人気があるようだ。 「歴史学者という病」という仰々しいタイトルや、表紙の深刻そうな著者の顔とは裏腹に比較的軽い感じで読み進められる。 内容は著者の半生記とそれに絡めて、東大(というか日本の)歴史学の流れが述べられている。その中でのメインテーマは、「歴史を研究するということの意味について考える」という硬派のものであるが、そこへ時おり、大学院時代に奥さんに惚れ込んだ話や、現在の自分の上司が奥さんという自虐ネタを織り込んだりして、硬軟織り交ぜ内容を柔らかくもみほぐして読みやすい内容に仕上げている。 日本では、飛鳥・奈良・平安の3時代にかけ、時の律令政府の手によって「日本書紀(720年)」を始め、6つの国史が編纂・作成された。 その後の日本ではずっと国史の編纂が行われなかった。具体的には、宇多天皇が即位する887年から、幕末の1867年までを対象とする約980年間の国史はなく、明治34年以降、東大ではその間の日本の歴史をまとめようという壮大なプロジェクトが行われている。それを行っているのが、著者の所属する東大史料編纂所である。 その東大の歴史編纂の中で、時代により歴史の見方の変遷があり、著者は明治以降の歴史学の流れを四つの世代に分けている。   第0世代 皇国史観の歴史学   第一世代 マルクス主義史観の歴史学   第二世代 社会史「四人組」の時代(網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎭夫) 第三世代 現在 そして第三世代の現代では、「実証主義」オンリーで、思考停止になっているとの批判が渦巻いている。 また現在の学者に必要な資質とは何かというと、研究者としての実力はもちろんだが、それだけでは駄目だめで、必要なのは、文部科学省を始めとして各方面から「競争的研究資金を得る」能力だという。 これは歴史学だけの問題ではなく、どの分野の研究者にも関係することだろうけど、歴史学は、古文書を隈なく調べ「正解がない」地道な学問で、成果の見えにくさはやはりあるのだろう。 それにしても近年目にするのは、歴史学者の呉座勇一や與那覇潤等がSNS上で炎上したり、それが元で呉座は職場から追放されたりと(個人的な資質かも知れないが)、ストレスの多い仕事なのかなとも思ってしまう。

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