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われら闇より天を見る の商品レビュー

4.2

206件のお客様レビュー

  1. 5つ

    79

  2. 4つ

    75

  3. 3つ

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2023/02/26

アメリカ、カリフォルニアの海岸にある田舎町ケープ・ヘイヴン。過去の少女殺人事件を引きずる警察署長。父を知らず、母と弟を守るため自らを"無法者"とうそぶき現実に抗う少女。 30年の時を経て、運命の歯車は悲劇を呼び起こす。彼は過去と友を守るため、彼女は未来を掴み取...

アメリカ、カリフォルニアの海岸にある田舎町ケープ・ヘイヴン。過去の少女殺人事件を引きずる警察署長。父を知らず、母と弟を守るため自らを"無法者"とうそぶき現実に抗う少女。 30年の時を経て、運命の歯車は悲劇を呼び起こす。彼は過去と友を守るため、彼女は未来を掴み取るため、それぞれの運命に挑む。 少女"無法者"ダッチェスと中年署長ウォークの2人の主人公を通して、懸命に前へ進もうとする人間の弱さと強さが描かれ、ミステリならではの展開が物語に奥行を加えている。ミステリ好きでよかったと思える良作。

Posted byブクログ

2023/02/25

ミステリーというジャンルを超えた本だと思います。 自分を「無法者」と呼び(この訳語だけは最後まで違和感がありました。解説では「アウトロー」とふりがながついていて、こちらの方がしっくりくると思うのですが)、乱暴な言葉を使うダッチェス。まだ13歳で、母親には頼れず幼い弟の母親代わり...

ミステリーというジャンルを超えた本だと思います。 自分を「無法者」と呼び(この訳語だけは最後まで違和感がありました。解説では「アウトロー」とふりがながついていて、こちらの方がしっくりくると思うのですが)、乱暴な言葉を使うダッチェス。まだ13歳で、母親には頼れず幼い弟の母親代わりでもあるような態度に、精一杯の強がりを感じました。 「王子」と言われる弟ロビンのかわいさがよく伝わり、辛い話の癒やしにも。 全く祖父に心を許さなかったダッチェスの気持ちが徐々にほぐれていく展開に少しホッとしたのも束の間の悲劇。 「人は終わりから始めるのさ」 という祖父の言葉は、原題の 「WE BEGIN AT THE END」 なのでしょう。 そして終盤のどんでん返しの繰り返しからのラスト。 私の考える幸せな未来とは違った形ではあるけれど、きっと二人ともそれぞれの人生を、終わりから始めることができると信じます。 もちろんもう一人の主人公、警察署長ウォークも。 翻訳一般書の中で、ダントツトップの一冊になりそうです。

Posted byブクログ

2023/02/23

アメリカ・カリフォルニア州の海沿いの街を舞台にしたミステリー小説。 物語スタート地点の町並みや中盤に出てくる牧場など、頭の中でクリアに想像できる描写で、登場人物の動きもイメージがしやすかったです。比較的分厚い書籍のため、登場人物と家系図が示された栞も便利でした。 物語のトーンは全...

アメリカ・カリフォルニア州の海沿いの街を舞台にしたミステリー小説。 物語スタート地点の町並みや中盤に出てくる牧場など、頭の中でクリアに想像できる描写で、登場人物の動きもイメージがしやすかったです。比較的分厚い書籍のため、登場人物と家系図が示された栞も便利でした。 物語のトーンは全体的に重め。しかし、ゴールが見えるに連れて徐々に光が強くなり、最後にふわりと軽くなりました。 物語を読み進めながら、いつもの通りに謎の答えをあれこれ頭に浮かべていました。その一つがそのまま当たってしまったので、真ん中のポイントとなりました。

Posted byブクログ

2023/02/18

長かった…。年々、フィクションでも子どもがつらい目に合う状況に耐えられなくなってる…。 30年前の幼い少女が犠牲になった轢き逃げ事件により、壊れたそれぞれの人たち。 少女の姉は母になり、その娘のダッチェスが今作の主人公のひとり。まともに生活できない母に愛憎を抱きながら、天使のよう...

長かった…。年々、フィクションでも子どもがつらい目に合う状況に耐えられなくなってる…。 30年前の幼い少女が犠牲になった轢き逃げ事件により、壊れたそれぞれの人たち。 少女の姉は母になり、その娘のダッチェスが今作の主人公のひとり。まともに生活できない母に愛憎を抱きながら、天使のような弟のために生き、自分には無法者の血が流れているということに誇りをもつ。 ダッチェスの頑なさ、周りの人を愛し必要としながらも人生は良くなんてならないと撥ねつけ拒む。 でもまだたったの13歳で、傷ついて傷つけながらも祖父やウォーク署長を愛しているのが伝わって苦しかった。 弟にはあたしが必要だ、と思い続けなければ生きられなかったよね、こんなつらい日々。心の何処かで弟には別の人生があると分かりながらも。 ミステリーとしては、話がなかなか進まないかと思えば後半急にいろいろ明らかになって、おお…となったかな。そんなにミステリーの良し悪しが分かるわけではないけど。

Posted byブクログ

2023/02/14

3.8点くらい ミステリー的な結末は、だいぶ初期での予想が当たってしまった感はあった。 ただ、12歳の少女が壊れて、少し治りかけて、壊れて、また治りかけて、それでもやっぱり壊れていく描写がとても印象的で悲しかった。

Posted byブクログ

2023/02/12

三十年前に少女を死に至らしめたヴィンセントが、刑期を終えて帰ってきた。ヴィンセントの親友であったウォーク警察署長、そして死んだ少女の姉であったスターはまだその事件に囚われており、スターの娘ダッチェスもまた苦しみの中にいた。そんな中で起こった新たな悲劇。再びヴィンセントが犯行を起こ...

三十年前に少女を死に至らしめたヴィンセントが、刑期を終えて帰ってきた。ヴィンセントの親友であったウォーク警察署長、そして死んだ少女の姉であったスターはまだその事件に囚われており、スターの娘ダッチェスもまた苦しみの中にいた。そんな中で起こった新たな悲劇。再びヴィンセントが犯行を起こしたのか。そして救われない人々はどこへと向かうのか。重厚な人間ドラマを描いたミステリです。 自らを「無法者」と名乗り、弟を守るためにとてつもない強さを見せるダッチェスが魅力的です。本当は彼女だってまだまだ子供で誰かに庇護される立場であっていいはずなのに、その庇護を撥ねつける態度が頼もしいような、悲しいような。それでも彼女に拒否されながらも彼女を理解し思いやろうとする人たちの優しさには安心させられます。 それ以上に危うくって見ていられないのはウォーク署長。病気に苦しめられながらも奮闘するのだけれど、ひたすらに過去にしがみつこうとする態度がこれまた悲しくて。どうか前に進んでほしいと切に願うのは、ダッチェスよりも彼に対してだったかもしれません。

Posted byブクログ

2023/02/12

読み始めて中々ペースがつかめず、どの様な筋書きになるのかただ読み進めるしかなく、最後の最後に込み入った全容が一気に明かされ待たされた感が残った。 ロビンを見守りダッチェスの振る舞いに苛つきウォークの役割りに期待するそんな流れが延々続き、これに付き合い切れるガマンが必要だった。 g...

読み始めて中々ペースがつかめず、どの様な筋書きになるのかただ読み進めるしかなく、最後の最後に込み入った全容が一気に明かされ待たされた感が残った。 ロビンを見守りダッチェスの振る舞いに苛つきウォークの役割りに期待するそんな流れが延々続き、これに付き合い切れるガマンが必要だった。 goodreadsの評価は4.17、ここは4.18、読者の評価は洋の東西を問わず同じと言う事か。

Posted byブクログ

2023/02/08

最初は、細切れな文体や倒置法の多さが読み難くてイライラして挫折しそうになったけれど、次第に物語に引き込まれて気にならなくなっていった。 我慢して読んだ甲斐があった。 少女の、周りから差し出された優しさに心の中では甘えたくて感謝してても、悪態をつく悲しさとそうしないと息ができないほ...

最初は、細切れな文体や倒置法の多さが読み難くてイライラして挫折しそうになったけれど、次第に物語に引き込まれて気にならなくなっていった。 我慢して読んだ甲斐があった。 少女の、周りから差し出された優しさに心の中では甘えたくて感謝してても、悪態をつく悲しさとそうしないと息ができないほどの追い詰められた姿に、何度も切なくなった。 また、いつか読みたい。

Posted byブクログ

2023/02/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ウォークの謎追い(証拠集め)と、姉弟の生活の変化と、交互に展開される。ずっと自分は無法者だと言い聞かせ、様々な出来事に耐えてきたダッチェスが、パーティーから帰り、ハルに報告してやろうとうきうきしているまでは物凄く嬉しかったが、そこからハルの死で生活が変わり、里親が見つかるまでに与えられた仮住まいの家族には除け者にされる。姉弟にはソーセージ1本ずつ皿に乗っていたが、ロビンがもう1本あったらいいなと言ったのでダッチェスが残ってないか聞くと、無いと言われ、ふと見ると、当の家族の子供の皿にはソーセージが三本ずつ乗っていた。自分の皿からまだ食べていなかったソーセージを取って、貰ってきたよ、とロビンに渡すダッチェス。切ない。 ハルにはずっと、おじいちゃんなんて呼んでやらないよと、悪態を突き通していたのに、じわじわと心が解れ、パーティーをきっかけに、普通の家族になれそうだったのに。 結果として、姉弟は離れてしまったけれど、あたたかい終わり方だった。 読み終えてから、しばらく表紙の絵を眺めていた。 古い西部劇を見たり本を読んだりして、人生というのは復讐心にあまり染まりすぎると、その人の持っていた善良さを食いつくしてしまうことがあるのを学んでいた。p355

Posted byブクログ

2023/02/07

奥深いテーマが描かれてる。連続する悲しい出来事に負けない心を持っているダッチェス。自分と戦いながら事件の真相究明に尽力するウォーク。それぞれの姿が印象的だった。結末は希望が目の前でやっと見えた瞬間のような気もした。

Posted byブクログ