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ぼくらの戦争なんだぜ の商品レビュー

4.3

32件のお客様レビュー

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2023/07/15

多くの引用と作者の意見とが交互に出てくる構成。原文を読んでおきたくなる。少し細切れに読みすぎたので、再読したい。

Posted byブクログ

2023/06/03

新書のわりに分厚い。480ページもある。 余談・独り言(!)・引用箇所の量もさることながら、やたらと著者の「問いかけ」にぶつかるのだ。 それらに対してたまに自答されることはあっても(それがまたごもっともな回答だから正直自分には入る余地がなかった笑)、基本的には読者参加型の形式を取...

新書のわりに分厚い。480ページもある。 余談・独り言(!)・引用箇所の量もさることながら、やたらと著者の「問いかけ」にぶつかるのだ。 それらに対してたまに自答されることはあっても(それがまたごもっともな回答だから正直自分には入る余地がなかった笑)、基本的には読者参加型の形式を取っていた。 昨年のウクライナ侵攻を受け、各地で反対の声が上がった。 しかし、正直なところ当時の自分はモヤっていた。胸はザワついたが、現地に知り合いが、身近に避難民がいるわけでもない自分が気軽に「戦争反対!」を叫んで良いものなのか。安全地帯の自分が反対を表明しても結局他人事みたいに虚しく響くだけでは…?それ以前に自分は戦時を生きてこなかったから、戦争が何なのかを知らない。 戦後生まれの著者は、ご両親や親戚から戦時の話を聞いて、いや、彼の言葉を借りるなら「聞かされて」育った。 それを煩わしく思い、また何の疑問も持たずに生きてきた結果、気づけば「語り部」は皆この世を去っていた。煩わしく思ったのは、それが著者自身が経験したわけではない「彼らの戦争」の物語だったから。ん?何だか自分と近しいような… したがって読書中は、本書の「問いかけ」一つひとつを咀嚼し、昨年の自問がちゃんと消化できていってるかを確かめていた。 開戦・国民の戦意高揚のために、「言葉」がどれだけの役割を果たしてきたのかを5章にわたって考察。調査対象は教科書・詩・文学etc. (「彼らの戦争」という意識のままでいられるのかを検証しているようにも見える) その間「戦争反対」のスローガンは一旦脇に置いている。そんな感触だ。 とりわけ興味深かったのが、林芙美子の日中戦争従軍記。(ほんの数作とは言え、太宰治も戦争文学を書いていたのには驚いたけど) 戦意高揚を扇動するような威勢の良い文章。中には「私は兵隊が好きだ」と呆れるほど断言しちゃっている詩もあって、『放浪記』と同じ作者とは到底思えない。 しかし戦後発表された短編では、意識の様相がガラリと変わっている。「彼女の戦争」、自分が見た戦争は何だったのかが、これまた明快に言語化されていたのだ… ウクライナ侵攻で抱いたモヤモヤの正体も、高橋氏がちゃんと言語化してくれていた。 想像を絶するような光景を目にした時、我々は「かわいそうに」といった感想よりも前にどう感じて良いのか分からなくなる。頭脳では理解していても感覚がそれに追いついていない。「遠い存在」であるが故にうまく反応することができない。でも「考えたくない」「気が重くなる」とは表立って言えない… そのうち政府高官が発するような「優等生の感想」しか言えなくなり、結局「彼らの戦争」として終結してしまう。 本書では重大な答えが導き出されるわけではない。その代わり著者の「問いかけ」一つひとつが胸に残る。 今回モヤモヤの正体を掴めだだけでも儲け物だったが、「問いかけ」はまだ山積みだ。

Posted byブクログ

2023/05/27

あの時代の戦争について、教科書、小説、詩から見えてくるものを著者と共に一緒に考える。読みやすく書かれているが内容は濃い。ふわっと生きていると気づかないことに気づかせてくれる。特に教科書が「国家の声」であることに改めて怖さを感じている。

Posted byブクログ

2023/05/13

5/12 読了 タイトルからは内容を想像できなかったが、読み進めていくと、そういうことだったのかと、腑に落ちていく感じ。 2020くらいの時点の日本で、戦争に、本気で向き合った大先輩(日本人という広いくくりでの)の、素直で、真剣で、正直で、日本人に対する愛が湧き水のようにあふ...

5/12 読了 タイトルからは内容を想像できなかったが、読み進めていくと、そういうことだったのかと、腑に落ちていく感じ。 2020くらいの時点の日本で、戦争に、本気で向き合った大先輩(日本人という広いくくりでの)の、素直で、真剣で、正直で、日本人に対する愛が湧き水のようにあふれ続けていた一冊。 大きく雑に捉えるのでもなく、感情的にハナから拒絶するでもなく、短絡的で軽率に結論づけるでもなく、自分と過去の戦争、自分と今の戦争、そして、自分とこれからの戦争、そのことに、大先輩のような姿勢で、「戦争」を捉え、考え、向き合い、行動することができるか。 最後の方に書かれていたが、それは「戦争」に限ったことではなく、国や自治体、学校や保育園、PTA、会社やバイト先、習いごとの集まりや、なんやかや。人が複数人集まったり関わったりするすべての場合においても同じことであって、すでに生じている多くの問題を、「ぼくらの〇〇なんだぜ」と捉えられるかどうか、とのこと。 愛が深いぜ、源一郎さん

Posted byブクログ

2023/05/10

数年前、雪が大雪になって慌てて出先から帰ろうと駅に入ったら電車が止まってた。行けるとこまでとバスに乗ったら、坂の途中でタイヤが滑って動かなくなった。さあここで降りろと言われてしまうのか。満員でみんな青い顔で黙りこくっていた。私は閉所恐怖もあってパニック寸前だった。真前の優先席に並...

数年前、雪が大雪になって慌てて出先から帰ろうと駅に入ったら電車が止まってた。行けるとこまでとバスに乗ったら、坂の途中でタイヤが滑って動かなくなった。さあここで降りろと言われてしまうのか。満員でみんな青い顔で黙りこくっていた。私は閉所恐怖もあってパニック寸前だった。真前の優先席に並んで座った汚れた野球帽のお爺さん二人は、小学生の男の子たちみたいにコッソリ愉快そうに目を見交わしていた。あ、この人たちは戦争を知っているんだなって思った。

Posted byブクログ

2023/04/13

やはり、どんなことがあっても戦時中という日常はあって欲しくない。 これまでの五十数年、折々に思ったことはあっても、言葉を選ばなければいけない本しか読めないことまであまり深く考えたことはなかったと、この本を読んで身につまされたように思う。 小学生の頃、あれは学校の映画鑑賞会だったか...

やはり、どんなことがあっても戦時中という日常はあって欲しくない。 これまでの五十数年、折々に思ったことはあっても、言葉を選ばなければいけない本しか読めないことまであまり深く考えたことはなかったと、この本を読んで身につまされたように思う。 小学生の頃、あれは学校の映画鑑賞会だったか、はだしのゲンの実写版を観て、三國連太郎が演じたゲンの父親?が非国民と罵られる一幕が何故かそれだけ脳裏に残ってるのだけれど、その映画を観た帰り、家の近所まで来た時に強く風が吹き、何故なんだか小さい秋の歌がずっと頭に流れてる、そんな風景がやたら残ってるんだよな。 とにかもかくにも、戦争はやられてもいけないしやってもいけない、絶対に…

Posted byブクログ

2023/03/16

著者の言葉の扱いは巧みである、題名からして、そうである。読みながら、お前はどう考えるかを迫ってくる。戦時が聞こえてくる中、様々な文章から戦争の本質に迫ろうとする。最終章の太宰治の小説についての論考は目が覚まされた。著者の言葉と太宰の言葉か、重なり合って響いてくる。戦時を語らず、戦...

著者の言葉の扱いは巧みである、題名からして、そうである。読みながら、お前はどう考えるかを迫ってくる。戦時が聞こえてくる中、様々な文章から戦争の本質に迫ろうとする。最終章の太宰治の小説についての論考は目が覚まされた。著者の言葉と太宰の言葉か、重なり合って響いてくる。戦時を語らず、戦争の本質を語る。著者の目論見は伝わった。

Posted byブクログ

2023/03/07

教科書や小説を通して、日本の戦争がどのように描かれてきたのか、我々庶民の言葉であの戦争を語るにはどうあるべきであったのか考えさせられる本。

Posted byブクログ

2023/02/08

厚めの本だったが、読み始めると興味深い内容だったので、どんどん読み進めることができた。 文学者と彼らが紡ぎ出す文学が、戦争という背景の中でどう順応し、あるいはどう抵抗したのか、その足跡が丁寧に考察されていた。 しかし、これは戦争の時代だけの問題ではない。文学はいつの時代でもその時...

厚めの本だったが、読み始めると興味深い内容だったので、どんどん読み進めることができた。 文学者と彼らが紡ぎ出す文学が、戦争という背景の中でどう順応し、あるいはどう抵抗したのか、その足跡が丁寧に考察されていた。 しかし、これは戦争の時代だけの問題ではない。文学はいつの時代でもその時代に順応したり、抗ったりしている。文学者は言葉と共に時代を生きるその時代の証人なのだと改めて感じた。

Posted byブクログ

2023/01/25

〝ヨーロッパでは「第一次大戦に参加した最後の兵士」が亡くなった。そう遠くない先に「太平洋戦争に参加した最後の兵士」の死が伝えられるだろう...「あの戦争」を自分の経験として語ることの出来る人間がいなくなってしまう〟・・・古いニッポンの教科書と敗戦国ドイツ、戦勝国の中国、排日の韓...

〝ヨーロッパでは「第一次大戦に参加した最後の兵士」が亡くなった。そう遠くない先に「太平洋戦争に参加した最後の兵士」の死が伝えられるだろう...「あの戦争」を自分の経験として語ることの出来る人間がいなくなってしまう〟・・・古いニッポンの教科書と敗戦国ドイツ、戦勝国の中国、排日の韓国の教科書を読み比べる。大岡昇平の『野火』、林芙美子の従軍記、太宰治の作品に秘めた伝言、戦意高揚のための国策詩集、市井の兵士の手づくりの詩集を読み、「彼らの戦争」ではなく「ぼくらの戦争」にふれ、「次に始まった戦争」を考えるために。

Posted byブクログ