ストーリーが世界を滅ぼす の商品レビュー
ハイダー=ジンメル実験からも分かるように、人間は物語を想像してしまう生き物。 ナラティヴのもつ力を思い知らされる。
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2026年の本屋大賞にノミネートされた一冊の主要なテーマは「物語」。 「物語」がどれだけ強力なものなのかに興味を持ち手に取ったのだが、人間は「物語」なしでは生きていけない、それどころか人間は「物語」そのもの、と結論付けても間違いではなさそうだ。 「物語」の使い方次第で、人間をいと...
2026年の本屋大賞にノミネートされた一冊の主要なテーマは「物語」。 「物語」がどれだけ強力なものなのかに興味を持ち手に取ったのだが、人間は「物語」なしでは生きていけない、それどころか人間は「物語」そのもの、と結論付けても間違いではなさそうだ。 「物語」の使い方次第で、人間をいとも容易く操ることができるのだ。 この本は決して人を思いのままに操る方法を教えてくれるものではない。 だが、「物語」がそれだけ危険なものであるということを知っておくことが重要だということを教えてくれる。 情報が氾濫し、玉石混交な「物語」にさらされる世の中を泳ぎ切るために、「物語」に踊らされない自分を確立しておきたいもの。
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人間社会は、物語の影響を受けるという話。 自分が意識することなく、自分の判断に影響を与えるし、差別を引き起こすことさえある。 役立つ書籍。 ゴッドシャルの父のセリフ「善人でいられる贅沢を手にしているだけだ」が印象的。 善人でいられるのは、そういう環境に産まれた偶然に恵まれただけ...
人間社会は、物語の影響を受けるという話。 自分が意識することなく、自分の判断に影響を与えるし、差別を引き起こすことさえある。 役立つ書籍。 ゴッドシャルの父のセリフ「善人でいられる贅沢を手にしているだけだ」が印象的。 善人でいられるのは、そういう環境に産まれた偶然に恵まれただけという言葉が深いです。
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物語が持つ暴力性と、私たち人間が物語りを語らざる負えないという性質、そのどちらもが現実であり、生きる上で逃れることが出来ないという事を、様々な事案や社会情勢を参考にしながら語られている良本でした。 昨今のポストトゥルースと言われる21世紀を生きる私たちですが、都市伝説や陰謀論、...
物語が持つ暴力性と、私たち人間が物語りを語らざる負えないという性質、そのどちらもが現実であり、生きる上で逃れることが出来ないという事を、様々な事案や社会情勢を参考にしながら語られている良本でした。 昨今のポストトゥルースと言われる21世紀を生きる私たちですが、都市伝説や陰謀論、根拠のない言説がSNSにより多分に散見され、私達自身の日常生活にも影響を及ぼしているように感じていました。それ自体は時代の変化や、メディア環境の変化によって必然的に起こるべくして起こった事だと思っています、しかし、私達自身がどこを頼りに生きれば良いか、「真実」や「現実」とは一体なんなのか、という問いも同様に生まれ、頼る所がなく、より生きにくい世の中になったのも必然だと感じる事がしばしばでした。 本書で語られている「物語」が世界を作り出し、大衆を先導する世の中で、ストーリーテラーは今にも生まれ続けています。最終章に書かれていた、ストーリーは批判されるべきだが、私達一人一人がストーリーテラーである以上それ自体を批判するべきではなく、いかに自己言及的に物語に留保をつけられてるか、そして他者の物語りに対しても常に留保を持ち続ける姿勢を保てるか、と言う言説は今世を生きる全ての人に必要な考えだと思いました。非常に面白かったです。
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暴力や貧困、政治とカネ、発展と衰退、あらゆる所にストーリーテラーの存在。もう自分の存在や人生が誰かが語る物語の一部なんじゃないかと思えてきました。
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人は物語が持つ力の大きさを見くびり過ぎているのだと思う。人類にとって物語は薬であり毒。物語の持つ力の大きさを今一度見つめ直そう。逃れられない物語との付き合い方を考えてみよう。という良書
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2025.7.26市立図書館 SNSのTLに流れてきて気になったか新聞の書評で見てちょっとまえに予約を入れて、順番が回ってきた。 太古から人間の社会で重視されてきたのは集団をまとめるストーリーテラーだったし、プラトンの時代から物語の危険性は問題視されていた、と起こし、人類の歴史に...
2025.7.26市立図書館 SNSのTLに流れてきて気になったか新聞の書評で見てちょっとまえに予約を入れて、順番が回ってきた。 太古から人間の社会で重視されてきたのは集団をまとめるストーリーテラーだったし、プラトンの時代から物語の危険性は問題視されていた、と起こし、人類の歴史に常にあった物語の功罪(主に罪)をさまざまな面からていねいに解明していく本。 人間社会とは切っても切れない「物語」は、あるときは人の心を潤しあるいは奮い立たせ、あるときは主人公や登場人物への理解や共感を深め、あるときはひととき現実を忘れさせてくれ、そしてあるときは人々を団結させるよい手段だが、わかりやすい構図で短絡的な合理的思考を促しやすく、間違った方向で人々を団結させたり分断を深める手段とも容易になってしまう。呼吸に必須だが身体へのダメージも大きい酸素と同様に「必要不可欠な毒」とは言い得て妙だった。 カトリック教会、メディアが大いに加担したルワンダ虐殺の顛末、黒人にとってのアメリカ建国神話の白々しさなど興味深い事例ばかりだったが、個人的には哲学的な「不自由意志」の話や「ハイダー=ジンメル効果」のような心理実験の話、またアメリカのメディアや学術界が現実にリベラルに偏っているという危うさなどが印象深かったし、なるほどと腑に落ちるところも多かった。著者とお父上のエピソードもすばらしいと思った。わたしもそういう大人でありたい。 書中で、物語を管理し独占した全体主義の例として、「ナチス時代のドイツ、ソ連、北朝鮮、クメール・ルージュ時代のカンボジア、毛沢東時代および現代の中国」と列挙された中に大日本帝國が入っていなかったのはたまたまなのだろうか。かつての日本はまさに物語(神話)が幅を利かせていて、いままた真偽不明の物語が社会を分断しつつあるけれど⋯ 著者が提案するように「物語を憎む」のは私にはちょっと難しいけれど、たとえよき意図のもとにつくられたことが明白な物語にしろちょっと眉に唾つけて距離を取る態度は必要だと思えたし、自分も含め人は不可抗力的に物語(正しいかどうかにかかわらず)に引きずられてしまう弱きものだということは常に頭におきたいと思った。 読みながら思い出したのは、ピタゴラスイッチの「ビーだまビーすけ」シリーズで、あれはまさしくただのピタゴラ装置が演出によってハラハラドキドキの大冒険ドラマになるというすごい作品で、ただし続編のなかでちゃんと黒玉王子側の物語もあるのが行き届いているなあなどと思った。
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科学的に話そうとしているのかもしれないが、まったく科学的ではない。ちょっと何を言っているかわからない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『ストーリーが世界を滅ぼす』読書メモ ジョナサン・ゴットシャル著/月谷真紀訳/東洋経済新報社 ◆核心テーマ:物語は文明を築きも破壊もする 人類が進化の過程で獲得した「物語依存脳」が、デジタル社会で暴走するパラドックス。陰謀論・フェイクニュースの拡散、社会分断の加速という現代病の根底に「ストーリーテリングの毒性」がある。 ◆物語の二面性 【薬としての機能】 ・共感形成(難民問題を個人の体験談で伝える) ・社会統合(#MeToo運動のような集合的変革) ・知識伝達(複雑な事象の単純化による理解促進) 【毒としての脅威】 ・善悪二元論(移民問題を「善良な市民vs犯罪者」に単純化) ・認知的不均衡(事実検証より感情的反応が優先) ・アルゴリズム増幅(SNSが陰謀論をエコーチェンバー化) ◆現代の「ナラティブ戦争」具体例 ・ロシアの選挙介入:「ハート・オブ・テキサス」偽アカウントで保守派を煽動→イスラム排斥集会を創出 ・Qアノン陰謀論:匿名掲示板から広がる「影の政府」物語→議事堂襲撃事件を誘発 ・反ワクチン運動:個人の体験談を科学データより優先→公衆衛生を脅かす ◆プラトン『国家』からの警告 ・洞窟の寓話:SNSフィルターバブル=現代の洞窟/アルゴリズム=鎖/生成AI=歪んだ影を映す装置 ・詩人追放論の矛盾:物語形式で反物語を論じるジレンマ→著者自身の手法への自覚的考察 ◆解決策:メタ物語リテラシーの育成 1. 物語解剖4ステップ ①誰の利益か? ②省略された事実は? ③逆の立場では? ④感情的誘導の有無? 2. テクノロジーとの付き合い方 ・ブラウザ拡張機能:陰謀論キーワード自動検出/多様な情報源推薦 ・AI活用:GPTに「この物語の矛盾点を列挙して」と入力→批判的思考の補助 3. 日常で意識すべき5大キーワード ・認知バイアス(確証・単純化) ・アルゴリズム引力(エコーチェンバー) ・ファクトチェック(逆画像検索・メタデータ分析) ・ナラティブ戦争(国家/企業の情報操作) ・ストーリー中毒性(ドーパミン依存) ◆未来への提言 ・教育改革:小中学校で「物語構造分析」教科化 ・テック規制:SNSに「感情操作指数」表示義務付け ・国際協力:偽情報拡散ツールの使用禁止条約 ◆実践的アドバイス ・月1回「情報デトックスデー」:SNS断ち/新聞の紙面読み比べ ・怒りを感じた記事には必ず「3秒ルール」:深呼吸→一次情報源確認 ・多様な立場の友人と「物語交換会」:同一テーマで異なる視点の記事を持ち寄る 物語は人類の最大の発明であり、最大の弱点でもある。その力を「破壊の道具」から「共創の技術」へ転換するのが、情報化社会を生き抜く鍵。事実と物語を混ぜず、批判的懐疑心を失わず、しかし物語の持つ共感力を活用するバランス感覚が求められる。
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著書はストーリーが好きだし、人類の生活と結束に必要だと考えている。→同意。 ただし、ストーリーが生み出す結束は善悪二元論をベースにした他者と我々の分断を基盤としており、その基本構造が社会の分断を招いていると説く。→なるほど。そうかも。 ストーリーがない社会は考えられないし、実存し...
著書はストーリーが好きだし、人類の生活と結束に必要だと考えている。→同意。 ただし、ストーリーが生み出す結束は善悪二元論をベースにした他者と我々の分断を基盤としており、その基本構造が社会の分断を招いていると説く。→なるほど。そうかも。 ストーリーがない社会は考えられないし、実存しえない。よってどうやってストーリーの悪い面を捉え、それを自覚しながら活かすか?というのが主張。→言われればそうだけど実際には難しい。自分が持っているストーリーだけでもそれを自覚することから始めたい。 この本は、「NEXUS」、「プロフェッショナルはストーリーを語る」、「ホモデウス」、「楽園の楽園」などストーリーについての考え方を語った本を読んだ後に読んだ。 ストーリー万歳!、ストーリーをとにかく語れ!という、姿勢を疑うために読んでみたのだが、その目的は達成できた。
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